アクセル・ワールド 君の隣にいるために   作:フラっぴー

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第23話 その少女は剣を造る

 

 

砂漠エリアに探索に来てるリーファ、エギル、ユウキ、フィリア、スメラギ、カムイ、奨真、タクム、アッシュ、アルトリア、寿也、蓮、オルタ。七王を探すために遺跡の中にいるが、ワープゲートのせいで見事に道に迷ってしまう。一度来た道を戻ろうにもどのゲートから来たのかもわからない。

 

オルタ「どうすんのよ……。完全に迷子になったじゃない!!!」

 

フィリア「私のサーチャーもお宝しか探せないし……」

 

エギル「こりゃ参ったな」

 

完全に元の場所に戻れなくなり、とりあえず全員体を休めるため、座り込む。どうにか脱出するために考えてると、ユウキは何か思いつき、カムイの方に駆け寄る。

 

ユウキ「ねぇカムイ。カムイのあれは使えないの?」

 

カムイ「あれ?」

 

ユウキ「ほらあれだよ!道に迷ったときに使うあれ!」

 

カムイ「あーあれか!」

 

奨真「あれっ?」

 

ユウキに言われて何かを思い出すカムイ。カムイはアイテムストレージから球体のようなものを取り出す。球体のスイッチのような部分を押すと、変形してコウモリのようになる。そのコウモリのようなものは空を飛ぶと、道案内するかのように飛び立つ。

 

奨真「カムイ。あれは?」

 

カムイ「あれはダンジョンバット。こういうダンジョンみたいなところで道に迷うと、出口に案内してくれるんだ」

 

リーファ「へぇ〜。でもあんなの売ってる店なんて見たことないですよ?」

 

ユウキ「そりゃそうだよ。あれはカムイがテイムしたダンジョンバットの量産型だからね〜」

 

オルタ「そんな便利なもの持ってるならなんで早く使わないのよ!!」

 

カムイ「ぼ、僕も今思い出したんだから!」

 

アルトリア「とにかく、あのコウモリを追いかけましょう。ワープゲートをくぐりそうです」

 

ワープゲートに入っていくのを確認し、それに続いてどんどんゲートに入る。その先に行くと、まだコウモリが先に進んでいた。急いで追いかけると、出口らしきものが見えてくる。その先に進むと外に出ることができた。コウモリは主人であるカムイのもとに変えるかと思ったが砂漠のど真ん中に立ってる少女の頭に留まる。

 

???「あら?このコウモリ何かしら?」

 

カムイ「はぁ……またか……」

 

カムイ曰く、ダンジョンバットは大の女好きで、女の子を見るとその人の頭に留まる癖があるらしい。

 

カムイ「失礼、そのコウモリは僕の子なんだ」

 

???「そうなの?ほら、ご主人様が来たわよ」

 

少女はすんなりとコウモリをカムイに返す。コウモリは元の球体に戻り、カムイのアイテムストレージに入る。そんな中、奨真はその少女のことをどこかで見たことがあると思い込む。その時、少女は奨真の存在に気付き、大きな声で呼ぶ。

 

???「あっ!奨真じゃん!こんなとこで何してんのー!」

 

奨真「思い出した!!お前クロエか!!」

 

オルタ「あ、あんたあの時生意気なガキと一緒にいた双子の1人!!」

 

クロエ「顔色が悪い人もいる!」

 

オルタ「うっさい!元々よこれは!!」

 

イリヤの双子『クロエ・フォン・アインツベルン』がALOの砂漠にいた。イリヤと美遊もそうだが、何故3人はこの世界に迷い込んだのだろう。イリヤが言うにはいきなり視界が歪んだらしい。もちろんそれを知ってるのはイリヤと合流してる楓子たちだけ。

 

とりあえず奨真はクロエに事情を聞くことにし、彼女に問いかける。

 

奨真「なんでお前がここに?」

 

クロエ「それがゲームにログインしたらいきなり視界が歪んでね〜。気がついたら砂漠のど真ん中にいたわけ」

 

タクム「どうしましょう?この子を放置するわけにもいきませんし、共に行動したほうがいいのでは?」

 

タクムはクロエを1人にさせないように共に行動する案を出す。もちろん全員それに賛成するが、クロエ自身の実力が気になる。もし戦えなかったら守りながら戦わなければならない。

 

とりあえず模擬戦をしてほしいと提案する。クロエは軽く了承し、誰とやるのか聞く。クロエに年齢や体格も似てる寿也が1番適任と考え、寿也が戦うことになる。

 

寿也「よろしくね!いきなり本気で行くから」

 

クロエ「そうこなくっちゃ」

 

デュエルのルールは『初撃決着モード』で寿也から対戦を申し込む。クロエは了承ボタンを押し、カウントが始まる。ゼロになる前にお互い準備をする。寿也は2本のナイフ。そしてクロエの武器が奨真にとって衝撃だった。

 

クロエ「私の力、見せてあげるわ!」

 

クロエは手を前に出すと、力を込める。クロエの手から2本の剣が作られる。その剣は奨真がよく使う武器『干将・莫耶』だった。もちろん奨真はそれにも驚いたが、それ以上にクロエが自分と同じ『投影』が使えることに驚いていた。

 

寿也「うわぁ……奨真さんと一緒の武器だ」

 

クロエ「あなたの力、見せてもらうわ!」

 

そう言って走り出すクロエ。なかなかの速さで、すぐに寿也と距離を詰める。だが寿也は素早いタイプのバーストリンカー。距離を詰められてもまた距離を空ける。

 

側から見るとただの追いかけっこに見えるが、寿也も逃げてるだけじゃなく、飛び道具を使って対抗していた。

 

クロエ「飛び道具が多いわね。いったいどれだけ持ってるのよ…」

 

寿也「まだまだあるよ。けどあんまりダメージを与えられないからやっぱり近づかなきゃダメかな」

 

クロエ「ふふ、そうこなくっちゃ」

 

寿也はナイフを構えてクロエに近づく。対するクロエは余裕の表情を浮かべ、剣を構える。寿也はナイフで攻撃するが、クロエはそれを簡単に弾いてしまう。剣捌きも奨真には劣るがなかなかのものだった。

 

寿也「正面からはダメだね。ならこれを使うしかないかな」

 

寿也は羽織っているコートのフードを被ると、姿が見えなくなる。いや、姿が見えなくなったというより、気配が消えたと言ったほうが正しい。クロエはいつでも対処できるように目を瞑り身構える。

 

寿也の居場所を感知するため、極限まで集中する。すると突然背後から強い気配を感じ、後ろを振り向きながら剣で寿也のナイフを防ぐ。

 

寿也「ええ!?僕のとっておきが!?」

 

クロエ「残念でした♪私の方が一枚上手だったわね。じゃあ特別にわたしのとっておきをみせてあげる!」

 

クロエはさらに『干将・莫耶』を投影し、4本とも寿也に向けてブーメランのように投げる。寿也は捌くためにナイフを構えるが、クロエもただ投げただけではない。剣に気を取られてる隙に背後に回り込み、また新たに投影した『干将・莫耶』を振りかざす。

 

クロエ「鶴翼三連(かくよくさんれん)!!」

 

寿也は背後からのクロエの攻撃をくらい、さらにクロエが投げた4本の剣もくらってしまい、デュエルは終了した。結果はもちろんクロエの圧勝だった。

 

寿也「負けちゃったな〜」

 

クロエ「あなたなかなか良かったわよ」

 

クロエは寿也に決めポーズのように投げキッスをする。デュエルが終わって見ていた奨真たちも2人の元へ駆け寄る。

 

奨真「クロエ……。お前なんで投影が使えるんだ……」

 

クロエ「ん?あたしの基本技よ?」

 

奨真「基本技…か」

 

答えではあるが、奨真はまだ困惑していた。そもそも奨真はクロエがどんなゲームをしているのかがわからない。

 

オルタ「ま、いくら投影を使えても私の敵じゃないわね」

 

アルトリア「大人気ないですよ……」

 

オルタはまるで挑発するかのようにクロエに言う。けどクロエはそんなことは全く気にしていなかった。効果がなかったせいかオルタは少しムッとなる。その時、寿也はオルタの胸に思い切り飛び込む。

 

オルタ「わひゃっ!?」

 

寿也「前から思ってたけどオルタさんってジャンヌさんと同じくらいのおっぱい持ってるよね!」

 

オルタ「ちょっ!な、なにすんのよ!ひゃん!」

 

寿也はオルタの胸に顔を擦り付けながら胸を揉む。日頃マシュの胸を揉んでるせいか、いやらしい手つきがだんだん進化してきている。ジャンヌより力があるはずのオルタでさえ、力が抜けて抵抗できなくなっている。

 

オルタ「あ……あんたたち……見てんじゃ……ない…わよ……」

 

蓮「とりあえず男の俺たちは後ろを向いておこう。アルトリア、あとは頼んだ」

 

アルトリア「結局私ですか……。まあいいでしょう」

 

アルトリアはオルタから寿也を引き剥がし、力が抜けて色気が増してしまっているオルタの手を掴んで立たせる。

 

寿也「10点中10点!!マシュお姉ちゃんの次に素晴らしいおっぱいだった!!大きさ、形、柔らかさ、揉み応え、香り、何もかもが完璧!!」

 

オルタ「うっさい!!!恥ずかしいことを大声で言ってんじゃないわよ!!!」

 

リーファ「めちゃくちゃ褒めてるけどそれでも2番なんだね」

 

ユウキ「うーん……やっぱり胸なのかな……」

 

カムイ「いや、そんなことはないと思うけど」

 

ユウキ「よかった。あ、とりあえずカムイは後でマザーズロザリオの刑ね」

 

カムイ「何で!?」

 

何故かユウキからお仕置きをもらうことになってしまったカムイ。ALOメンバーはこのくだりを知ってるからご愁傷様っていう感じだった。

 

クロエ「なんだか楽しい人たちね」

 

奨真「だろ。毎日が楽しいさ」

 

2人は騒いでる光景をじっと見る。見てるだけで楽しい思いながら、何か別の気配を感じ取っていた。その気配は、奨真は最初七王と思ったが、気配の種類が違った。殺気のような何かだった。

 

2人は気配が感じる方に振り向くと、奨真たちと同じバーストリンカーが1人、ゆっくりと近づいていた。赤色のアバターで腰には刀を持っていた。

 

奨真「誰だ。お前もダミーアバターか」

 

???「ダミー……。そう……。やっぱり私は本物じゃないのね」

 

その発言からして、バーストリンカーは七王たちと同じダミーアバターようだった。しかも本人はそれを自覚している。

 

クロエ「それで、何のようなの?」

 

???「単刀直入に言うわ。私と勝負しなさい」

 

奨真「理由を言え」

 

???「私は強くならなきゃいけない。ダミーアバターのこの体もそう言ってる」

 

奨真「…………なら名前を言え。勝負はそれからだ」

 

とりあえずクロエを後ろに下がらせ、奨真は相手に名前を名乗るように言う。相手も躊躇いなく名前を言う。

 

???「私はフレアエクス」

 

奨真「ブラウンクリエイトだ」

 

エクス「そう……。あなたが無限の剣製ね。相手にとって不足ないわ」

 

奨真「そりゃどうも。勝負内容は?」

 

内容を聞く奨真。エクスは何も言わずにウィンドウを操作し、奨真の方に見せる。そこに書かれていたのは『半減決着モード』だった。言うよりも見せる方が早いと思ったのだろう。

 

奨真は承諾ボタンを押すと、カウントが始まる。エクスは刀を持ち、奨真は『干将・莫耶』を投影する。3・2・1・0とカウントがされるとお互い近づき、戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カウントが0になる前の光景を遠くから見ていたリーファ達。奨真の構えは皆よく見ているから、さっきのクロエの構えは奨真と全く同じにしか思えない。次にエクスの構えだが、もちろん皆初見だがリーファは見覚えがあるようだった。

 

何故リーファがそう思うのか。それは自分自身が一番それを知ってるからだ。

 

リーファ「えっ……?なんで……」

 

フィリア「リーファ?どうしたの?」

 

アッシュ「腹でも痛くなったか?」

 

タクム「アッシュさん失礼ですよ」

 

リーファ「だってあの構えは…………私の剣道の構え」

 

 

 


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