???side
「ハックション!!」
うぅ……相変わらず寒いな……。ゲームの世界だから風邪は引かないけど、寒さは感じるからな……。
「みんなどこにいるんだよ」
???side out
アスナside
私たちはゲートを探しに畑に来た。そこには、見たことのない扉があった。もしかしたらアレが異界へのゲートかもしれない。
「シリカちゃんが言ってた通りね」
「みんな油断するな。この先は私たちもわからない」
黒雪ちゃんとジャンヌちゃんはデュエルアバターになり、私たちはそのままゲートに入る。目の前が光に包まれ、私は思わず目を瞑る。目を開けると、そこには草原エリアにとは全く違う荒廃した街があった。
「な、何よこれ!?」
「ふむ、世紀末ステージか」
「く、黒雪は何か知ってるの!?」
「ああ、ここは私たちの世界の一つ、世紀末ステージだ。荒廃した街が特徴だぞ」
「不気味なところね〜。早くあんたたちの仲間を探して街に戻りましょう」
でも、なんでALOに黒雪ちゃんたちがいた世界が……。これじゃあまるで黒雪ちゃんたちがいた世界がALOを侵食していってるみたい。
アスナside out
黒雪姫side
ハルユキ君……みんな……どこにいるんだ。
「ローちゃん?どうしたの?」
悩んでるとストレアが私に話しかけてきた。変な呼び方をしてきたが。
「ローちゃん?それは私のことか?」
「うんー!ブラックロータスって長いからローちゃん!可愛いでしょ!」
「う、うむ……。だがそれなら、短い愛称があるぞ」
そう、私には愛称というものがある。まあそれで言ってるのは旧ネガビュのみんな、奨真君、姉さんだけなんだが。
「私を昔からよく知る者は、サッチん、もしくはサッちゃんと呼ぶ」
「じゃあサッチんだね!」
黒雪姫side out
アスナside
2人はもう仲良くなり、私たちの後ろで楽しく話しながら歩いていた。
「もう仲良くなってるわね」
「さすがストレアのコミュ力。キリトも見習いなさいよね」
「なんでだよ!!」
その時、突然黒雪ちゃんは倒れ、ストレアは頭を抱え込む。私たちは心配になり、2人に駆け寄る。
「2人とも大丈夫!?」
「妖精と機械の戦士たち。聞こえますか?」
「「「「えっ?」」」」
ストレアはいつもと全然違う口調で話し始めた。
「お前、ストレアじゃないな。誰だ!」
「そのことについてはまだ教えることはできません。ですが、私はあなたたちにあることを伝えなければなりません」
「あること?」
「のんびりしていると、あの小妖精は魔女に消されてしまいます」
「「「「っ!?」」」」
ユイちゃんが……消される!?
「っ!?もう限界のようです」
「待って!!なんでユイちゃんが消されるの!?」
「それ……は……」
ストレアの中にいる誰かが何か言おうとしたけど、もういつものストレアに戻ってしまっていた。
「んん……アスナ?どうしたの?」
「ご、ごめんね!なんでもないわ」
ストレア自身は何も覚えてないみたいね。黒雪ちゃんの方を見ると、頭を抑えて膝をついていた。
「黒雪!大丈夫か!」
「あ、ああ」
よかった。黒雪ちゃんも怪我はないようね。その時、私は微かな殺気を感じ、後ろを振り向く。そこには銀色の人がビルの上に立っていた。
「先輩を傷つける奴は!!俺が許さない!!」
銀色の羽を生やして、私たちに突っ込んでくる。キリトくんが私たちの前に出て、銀色の人の攻撃を防ぐ。
「アスナ!後ろで黒雪たちを頼む!!」
「わかったわ!!」
アスナside out
キリトside
くそっ!なんだこいつ!!細身の割に力はあるのか!!
「おおおお!!!」
「はあああああ!!!」
パンチとキックをうまく使って俺にダメージを与えにくる。俺はそれを全て避けたり、剣で弾いたりする。
「先輩を返せ!!」
「話を聞いてくれ!!」
「うるさい!!よくも先輩を傷つけやがって!!」
「くっ!こうなったら手荒になるが大人しくしてもらうぞ!!」
「エアリアルコンボ!!」
「スターバーストストリーム!!!」
拳と剣が激しくぶつかり合う。まさか俺のスターバーストストリームについてくるとはな。そして最後の一撃を放つと、一度後ろに後退する。
「まだまだ!うおおおお!!!」
「クロウ!!やめるんだ!!」
「クロウ君!!ストップ!!」
「「っ!?」」
黒雪とジャンヌは叫ぶと、銀色は止まる。クロウ、それがこいつの名前か?というかなんで黒雪たちは知ってるんだ?
「せ、先輩……ジャンヌさん……」
「彼らは仲間だ」
「お互いの仲間探しとある敵を倒すために共に行動してるのです」
「そ、そうだったんですか……。すみません、つい攻撃してしまって」
「いや、気にしなくていい。びっくりしただけだからな」
「周りには何もいないし、クロウもダミーアバターになるといい」
俺は周りを見渡すと、たしかにエネミーはいなかった。
「ダミーアバター?」
「ここをこうして……」
黒雪はクロウにやり方を教えると、ダミーアバターに姿を変える。クロウのダミーアバターは驚きを隠せなかった。
「え、ええ!?」
「ピンクの豚ね」
「デュエルアバターとは全然違うな」
「よし、まずはクロウの自己紹介と情報交換だな」
クロウは俺たちに自己紹介をし、俺たちも自己紹介をする。クロウ…ハルユキはここに黒雪と逸れてから探索をしたらしいが、特に何もなかったらしい。
「ジャンヌさんがいるということは、もちろん師匠や奨真さんもきてるんですね」
「その可能性は高いな。よし、まずはここから出るとしよう」
「そうだな」
俺たちはゲートをくぐり、草原エリアに戻ってきた。地上は探索したから、次は上だな。
「上に上がろうか」
「そうだな。ハルユキ君、いつものを頼む」
「はい!」
「ジャンヌちゃんは私の後ろに乗って」
「ありがとうございます!」
俺たちは上に上がって、空中に浮かぶ島に着陸をする。すると、そこにはリーファとシノンが見知らぬ人を連れていた。
「リーファちゃーん!!」
「シノーン!!」
アスナとリズが大声を上げると、2人は気づき、走ってこっちまでやってくる。
「お兄ちゃん!みんな!」
見知らぬ2人もこっちにやってきて、黒雪たちのところに行った。
「サッちゃん!!」
「サッチん!!」
「楓子!ういうい!!」
お互いの名前を知ってるということは、この人たちも仲間なんだろうな。これだけでかなりの人数が集まってきたな。
「よし、一旦街へ戻ろう」
「そうだな。楓子、街についたら自己紹介と情報交換をしてほしい」
「わかったわ」
俺たちは下に下がり、転移ポータルに向かって街に戻る。エギルの店に入り、情報交換を始めることにした。
キリトside out
楓子side
街に戻り、私たちはお店の中に入って一息つく。そして情報交換を始める。
「私たち4人は上空で神殿のような場所を見つけました」
「神殿?」
サッちゃんが疑問に思ってるみたいだから、私は説明を続ける。
「中に入ってみたら、コンソールのようなものがあり、そこに何かをはめ込むようなくぼみがあったの」
「そんな神殿は初めて聞くな」
「アタシたちも初めてみたよ」
「今までのALOにはなかったものね。アップデートかしら?」
「いや、私たちの世界が侵食しているのだ。たぶんその影響で生まれたものなんだろう」
そういえば、風化ステージにありそうなビルがたくさんあったわね。
「とりあえずもう一度草原エリアを探索しましょう。他のエリアに行きたいけど、なぜか草原エリアしかいけないみたいだし」
それならもう一度探索しなければいけないわ。もしかしたら他のエリアに移動できるきっかけを作れるかもしれない。そう思い、私たちは草原エリアに移動をし始める。
そういえばアスナって名前、どこかで聞いたような……。