俺と楓子、ジャンヌはいつものように学校で話してると、同じクラスの男子、『高橋』が急に話しかけてきた。
「なあ橘。明日奈先生ってどんなところに住んでんだろうな?」
明日奈さんの家か……。今までは全く気にしてなかったけど、ちょっと興味があるかも。
「この学校に来てるってことは遠くはないんじゃないか?でも急にどうした?」
「いやー遊びに行ってみたいなーと思って」
「私も行ってみたい!!」
「私も!!」
俺と高橋の会話を聞いた女子『上野』と『相葉』が急に出てきてそう言ってきた。
「でも、行きたいって言っても明日奈先生の許可を貰わなきゃいけないんじゃない?」
楓子の言う通り、いくら行きたくても本人から許可を得ないと行くことはできない。それに場所も知らないし。
「あ、じゃあ明日奈先生が来たら聞いてみたらどうでしょうか?」
ジャンヌが提案を出すと、みんなそれに同意する。もし行けたら白雪とオルタも誘うとしよう。
「みんな席につけー、出席を取るぞー」
担任の先生がそう言いながら入ってきて、その後ろから明日奈先生も入ってくる。今からホームルームだし、終わったら聞いてみるか。
「突然だが、席替えをしまーす」
「「「「ええっ!?」」」」
急だな……。席替えだったら隣にいる楓子とは離れ離れになるかもしれない……か。それは嫌だなぁ。
「文句は無しだぞー。席はくじ引きだー」
一人一人くじを引いていき、俺の番が来た。箱から紙を一枚取り出し、担任に渡す。席は……窓側か……。俺の2つ後ろがジャンヌか。
「奨真君の隣がいい」
楓子はそう言ってくじを引く。俺も楓子と隣がいい。担任は楓子に席を言うと、楓子は大喜びしながら俺のところに来た。
「やった!!奨真君の隣!!」
「また宜しく頼むよ」
「ええ!」
そして1時間目は席替えだけで終わってしまった。明日奈さんが教室を出ようとするところを見た俺は、朝みんなで話してたことを思い出して、呼び止めた。
「明日奈さん!」
「奨真君?どうしたの?」
「あ、実は高橋や上野たちが明日奈さんの家に遊びに行ってみたいって言ってたから。明日奈さんさえよければ行ってもいいですか?」
「もちろん!今度ユイちゃんを紹介するって奨真君と楓子ちゃんには言ってたし、家を教えるから今度の土曜日是非遊びに来てね!」
「わかりました!」
明日奈さんの許可を得た俺は楓子たちに伝えてきた。もちろんみんな大喜びだった。放課後、白雪たちを誘いに行くか。
土曜日……
近くの公園で待ち合わせをした俺たちは全員集合して、明日奈さんに教えてもらった家に向かって行く。
「なあ橘」
「んー?」
「お前ってさー。倉崎さんっていう超絶美人の彼女がいるのに、なんで周りに可愛い女の子がいっぱいいるんだよ!!」
「は?」
「えっ?」
「か、可愛い!?」
高橋がそう言うと、オルタ、ジャンヌ、白雪の順番で三人は言った。
「そんなこと言われても……」
「ていうか白雪ちゃんなんか俺のドストライクゾーンだし!!なんで早く紹介してくれなかったんだよ!!」
「お前のストライクゾーンが白雪とか初耳だ!!」
「全く……高橋は昔から変わらないわね」
「上野さんは高橋君とは昔からの知り合いなの?」
「そうよ!小学校の頃からの腐れ縁ね。ちなみに相葉とは中学の頃からの親友ね」
それも初耳だな。おっ?そろそろ着きそうだな。
「ちょっと奨真。まだなの?」
「もうすぐだ」
ニューロリンカーの地図を見ながら歩き続け、目的地に到着した俺たちは、明日奈さんの家を見た瞬間黙り込んだ。
「「「「で、でかい……」」」」
あの人ってこんな大きい家に住んでるのか?相当金持ちなんだな……。
「と、とりあえずベルを押そう」
扉の前に近づくと、ベルのマークが描かれた画面が表示される。俺はそれを押し、しばらくすると中からエプロンを着用した明日奈さんが出てきた。その姿を見た俺たちは思わず見惚れてしまう。
「いらっしゃい!どうぞ上がって!」
「「「「お邪魔します!」」」」
中に入り、明日奈さんにリビングに案内される。リビングもすごく広くて大人数でもくつろげるくらい広かった。
「す、すごく広いわね」
「そうだな……」
楓子もびっくりしてる。もちろん俺もびっくりしてる。
「明日奈先生、旦那さんは仕事なんですか?」
「ええ、今日は仕事だから夜にしか返ってこないわ」
明日奈さんの旦那さんか……。いったいどんな人なんだろ……。
「あ、奨真君これ」
「何かあったのか?」
「この写真立てに入ってる写真」
俺はそれを見ると、そこには明日奈さんと一人の男性、一人の女の子が写った写真があった。これは明日奈さんが若い頃の写真なんだろう。
「せっかくだから昼食も食べていってね!」
そういえば明日奈さんはずっと台所からは離れていなかった。
「明日奈、誰か帰ってきたんじゃない?」
「こらっ!オルタ!呼び捨てなんて失礼でしょ!」
「いいのよジャンヌちゃん。それより、オルタちゃんよく気づいたね」
「まあねー」
「ただいま戻りましたー!」
「お帰りユイちゃん!」
扉が開かれて、リビングに黒髪ロングの女性が入ってきた。年もきっと俺たちよりも上だろう。それに明日奈さんはユイちゃんって言っていた。ってことはこの人が……。
「「綺麗な人!!」」
「俺好み!!」
上野と相葉、高橋はそう言った。うん、高橋。お前の好みの女性はなんなんだ?
「ママ、こちらの人たちはお客さんですか?」
「そうよ!ちゃんと挨拶してね」
「はい!初めまして皆さん!桐ヶ谷ユイと申します!」
ユイさんが自己紹介をして、俺たちも自己紹介をする。そうしてると、明日奈さんは昼食をテーブルに持ってきた。全員椅子に座り、手を合わせる。
「「「「いただきます!」」」」
明日奈さんが作った料理を口に運ぶ。すると、頰が落ちそうになるくらいの感覚に襲われる。一言で言うと美味しいしか出てこない。楓子の料理もかなり美味しいけど、それ以上に美味しい料理なんて初めて食べる。
「私……明日奈先生に負けたかも……」
ちょっと落ち込んでるな……。
「あの!ユイさんは今大学生なんですか?」
「はい!将来のために勉強中です!」
「将来ねぇ……考えたこともなかったわね……」
たしかにオルタはあまり考えなさそうだもんな。ジャンヌも何になりたいのかわからないし。
「ごちそうさまでした!」
早っ!?食べるの早すぎだろ……。
「ママ、私は上で勉強してますので、何かあれば呼んでください!」
「頑張ってねー!」
ユイさんは上に勉強しに行った。俺たちは昼食を食べ終えると、庭で遊んだり、リビングでゆっくりしたりした。その時、玄関の扉が開かれた音がすると、リビングの扉が開く。
「たっだいまー!」
「おかえりストレア!今日はもう終わりなの?」
「うん!二教科だけだからねー!」
「明日奈先生、こちらの人は?」
「おお!お客さんがいっぱいだね!初めまして!私はストレア。今はこの家の居候ね!」
「すっげえ美人。あと凄い胸」
高橋の言う通り、ストレアさんは楓子と同じくらい大きな胸を持っていた。しかも胸元は開かれてるせいで目のやり場に困る。
「美人さんがこんなにいたら私がしょぼく感じるわ……」
相葉、お前そんなこと言ってるけど、結構人気あるの俺と楓子は知ってるぞ?
「相葉さんと上野さんもモテてるの私は知ってるよ?だから自信持って!ね?」
「「倉崎さーん……」」
「あ、ねえねえ聞いてよ明日奈ー!今日またおっぱい触られたんだよー!」
「またー?」
またって……どれだけ変態の生徒なんだよ……。まるでマシュの胸を懲りずに揉み続ける寿也みたいだな。
「まあそこが寿也の可愛いところなんだけどねー!」
…………ん?
「ね、ねえ奨真君。寿也ってあの寿也君だよね?」
「俺はあの寿也しか思い浮かばない。ストレアさん、その寿也って子はもしかして……」
「雪ノ下寿也だよー!もしかして知り合い?」
やっぱり……寿也は胸の大きい女性には目がないからな……。マシュはもちろんだけど、楓子とジャンヌも揉まれてるわけだし、ストレアさんが揉まれてもおかしくないな。
「まあ……はい」
「もしかして……君もお姉さんのおっぱい触ってみたいの?」
「は、はいいぃ!?」
「ダメよ奨真君!!触るんだったら私のを触らせてあげるから!!」
「とりあえず楓子も落ち着け!!」
「あはは!やっぱり君みたいな子をからかうのは面白いね!」
「ストレアさん!是非触らせてください!」
「君はダメー」
「なんで!?」
「くだらないわ……」
「今思ったんですけど、私がこの中で一番小さい気が……」
白雪は自分の胸をペタペタと触り始めた。いや、白雪は平均サイズだと思うんだけど……。
「さーて、久しぶりにALOでもやろっかなー」
ALOって……昔大ヒットしたVRMMOだよな?アミュスフィアというハードを使ったゲーム。それの元となったのがナーヴギアを使ったVRMMO『ソードアートオンライン』俺たちが生まれる前に起きたSAO事件は今でも有名なのである。
「ほどほどにねー」
「わかってるよー!」
それから俺たちは明日奈さんと話したりしてると、時間が過ぎていた。俺たちが帰る頃に明日奈さんの子供たちが帰ってきた。
「あれ?お客さんですか?」
中学生くらいの子が俺に話しかけてきた。その後ろには小学校中学年の子が二人いた。その時、高橋が前に来て俺の代わりに答えた。
「そうだよ!けど時間だから帰るよ!」
「は、はあ……お気をつけて」
「「「「お邪魔しました!」」」」
俺たちは礼を言って明日奈さんの家を出て、それぞれの家に帰っていった。
明日奈side
「母さん、ストレアさんとユイねぇは?」
「ユイちゃんは勉強、ストレアはゲーム中よ」
長男の和樹が私に聞いてきたから、私は答える。さて、晩御飯を作らなきゃだし、奈々と健の遊び相手をしてもらおうかな?
「和樹ー、奈々と健と遊んであげてー!」
「はーい!」
私は晩御飯を作るために食材を冷蔵庫から出すと、ゲームをやり終えたストレアがキッチンにきた。
「手伝おうか?」
「じゃあお願いね」
私とストレアで晩御飯の支度を始める。すると、ストレアが話しかけてきた。
「奨真や楓子だっけ?」
「えっ?」
「不思議な感覚なんだ。今日初めて会ったのに、前にどこかで会った記憶があるの。私だけじゃない。ユイだってそう思ってる。ここにはいないけど、キリトやみんなも、あの子たちにあったらきっとどこかでそう思ってるはずだよ」
「……私もそんな感じがするかな。でもそのことについては思い出せない。それが何よりも辛いかな」
「きっと……思い出せるよ。何があったのか」
「そうね……」
私とストレアは微笑み、晩御飯の準備を再開した。