何があったの……?どうしてギルガメッシュが膝をついてるの?もしかして…………エイトが勝ったの?
「我は舐めすぎていたのかもな……。がはっ…………」
「そうだ。それがお前の敗因だ」
「ふっ…………我の負けだ…」
ギルガメッシュはそのまま倒れて動かなくなった。消滅しないということは死んではいないのね。今のうちにとどめをしたほうが……。
「まてレイカー」
「今のうちにとどめをしたほうが」
「いや、こいつはもうそんなことをしないだろう」
「どうして?」
「…………勘かな?」
「…………はあ。きちゃダメって言ったのにここに来て……」
「それでも…………それでも俺はここに来なきゃダメだったんだ」
「ばか……心配したんだよ……。もしギルガメッシュに負けたらどうしようって……」
「…………」
「帰ったらお説教だからね……」
「覚悟しておくよ……」
私はエイトに抱きつき、静かに涙を流した。顔を上げてエイトを見つめ、少しずつ顔を近づけた。エイトも顔を近づけて、もう少しで当たるというところで……。
「コホンッ……。私たちを忘れているぞ?」
「「うえええ!?」」
「あんたらの行動は見てられないわ」
「先生らしいですね。エイトさんはとりあえず吹っ飛べ」
「ラブラブなのです!」
「あはは……なんか邪魔しちゃってすみません師匠」
「熱々ですなあ!!さすがアニキ!!最高にシビレルゥゥゥ!!」
「でもすげえな。束になっても勝てなかったやつ相手に1人で勝つなんてなぁ」
「凄かったの」
いつのまにか周りにはみんなが集まっていた。ダーク、アンクル、メイデン、鴉さん、アッシュ、ルーク、カレンはエイトに声をかけていく。
「アンクル、あとで覚えておけよ……」
「ギクッ……」
「ははは、いつも通り賑やかだな」
「えっ?」
私たちは声のする方に振り向くと、死んだと言われていたアーチャーが立っていた。その横にはパペットも一緒にいた。
「アー………チャー……?なんで……」
「奇跡的に生き残れたという感じかな。心配かけてすまない」
「ったく……生きてるならもっと早く来いよ」
「すまなかった、今まで気を失っていたのでな」
「お嬢……心配をおかけしました」
「お、お嬢?」
「あっ!?し、しまっ!?」
お嬢?なんでパペットがコスモスのことを……?いつもコスモスのそばについているからそう呼ぶようになったとか。
「姉さんのことをお嬢と呼ぶ……。もしかして…」
「ロータス!ちょっとこっちに来い!!」
パペットはロータスの手を引いてみんなから離れていく。でもすぐに戻って来た。
「リアル割れになるところだったぞ」
「す、すまない。とにかく姉さんもよく知る人物だ」
「あっ!?もしかして」
「お嬢!!」
「えっ!?ちょっ、ちょっ!?」
今度はコスモスの手を引いて離れていく。姉妹だからなのか、行動が一緒だわ……。パペットもまたお嬢って呼んでしまってるし……。そして戻って来た。
「もう隠しても仕方ないか。俺はロータスとコスモスの友人だ。また今度リアルで会いにいくから」
「へ、へえ……先輩の友人……。今まで友人らしい人は聞いてなかったからなんか新鮮だなぁ」
「クロウ?どういう意味かな?」
「へっ!?い、いや変な意味じゃないです!」
「やはり賑やかだな。さて、こいつは私がなんとかしておこう」
アーチャーは気を失ったギルガメッシュを抱えると、その場を後にしようとした。けど、何か思い出したのか、こっちをみた。
「そうだ、そろそろ私の本当の名を教えておこう」
そういえばアーチャーの本当の名前は誰も知らなかったわね。
「私の真名は」
ギルガメッシュとの死闘の次の日、私は奨真君と一緒に校舎の屋上でお昼ご飯を食べて、風にあたりながらゆっくりと過ごしていた。
「エミヤ……か」
「まさか衛宮君と同じ名前だったなんてね……」
「まあ偶然だろう……」
「どうかしたの?」
「いや……昨日の楓子の説教が……」
そういえば昨日は奨真君が帰ってきた後、すぐに説教をしたわね。数時間説教をしたせいか、奨真君は今日も疲れが取れてなかった。
「ご、ごめんなさいね。私もそこまでする気は無かったの」
「気にするな。悪いのは俺だからな」
「次の授業まで時間があるから、膝枕してあげるね」
私は正座して、奨真君の頭を膝の上に乗せた。奨真君の頭をそっと撫でると、奨真君は少しずつ瞼を閉じていった。
「疲れてるもんね。ゆっくり休んで」
私はゆっくりと顔を近づけて頰にそっとキスをした。
「ありがとう、大好きな奨真君」