加速世界に来た俺はみんなを探すためにホームから出ようとした。その時、この世界での俺とレイカーの子供、ジャックに声をかけられた。
「おとうさん、おかあさんのところに行くの?」
「ああ」
「おかあさんにも言ったけどね、英雄王に勝てないと思うよ」
「いや、勝てるよ。俺なら勝てる」
「なんで?」
「ギルガメッシュも俺と似てるからだよ」
「そんな理由なの?」
「ああ、じゃあ行ってくるよ」
「いってらっしゃい」
扉をあけて外に出ると、すでにコスモスが待っていた。俺は覚悟を決めるために両頬を叩いて気合を入れた。
「それじゃあ行きましょうか」
「ああ」
楓子side
私たちネガ・ネビュラスとアッシュ、レイン、レパードは英雄王ギルガメッシュを倒すために集まり、探索をしていた。
「英雄王って言うぐらいですから相当強いですよね。そんなエネミーに勝てるんですか?」
「珍しく弱気だなクロウ」
「先輩は怖くないんですか?」
「怖くないっていったら嘘になる。だが、みんないるんだ。絶対に勝てる」
そうよ。ここにはみんながいる。みんなでいけば勝てないわけがない!
「貴様らが探してるのは我か?」
「「「「っ!?」」」」
声がする方に振り向くと、黒いジャージを着た金髪の人が立っていた。さっきまで人のいる気配がなかったのに!?
「先生、もしかしてこの人が……」
「あなたが英雄王ギルガメッシュね」
「いかにも。さて、貴様らはあの茶色の雑種の仲間か」
もしかしてエイトのことじゃ……。やっぱりこの人がギルガメッシュ!!
「みんな!一斉にかかれ!!」
ロータスの指示で一斉に攻撃を始めた。ギルガメッシュの周りを囲んでいたから逃げ場はないわ!!
「甘いわ戯け!!」
「「「「っ!?」」」」
急に体が動かなくなった……?私は手足を見ると鎖で縛られていた。私だけじゃなく、みんなも鎖で縛られていた。でも、この鎖はどこから?
「考えが単純すぎたな。貴様らはまだまだだ」
そう言ってギルガメッシュはどこからか剣を取り出した。いったいどこから取り出してるの……。
「フレイムボルテクス!!!」
「なにっ!?」
メイデンを縛り忘れたのか、完全に不意をつかれたみたいだった。けど、惜しくもギルガメッシュは避けてメイデンに剣の雨を降らせた。
「きゃあああああ!!!」
「雑種ごときが……まあよい。貴様らにも同じ目に合わせてやろう。
「「「「うあああああああ!!!!」」」」
メイデンと同じように剣の雨が降ってきた。鎖に縛られてるせいで身動きが取れない私たちはまともに喰らい、全員瀕死状態になってしまった。
「みんな……すぐに回復させてあげる……から」
「我がさせると思うか?」
「ああああああああ!!!!」
「ベル!!」
ベルが回復させようとした瞬間をギルガメッシュは見逃さない。剣でベルの腕を強化外装ごと切り落とした。
「ここまで強いなんて……私たちはまだ何もできてないのに……」
「雑種ごときが我と同等に戦えると思っておるのか?さて、貴様らを始末すればあいつもくるだろう」
ダメ……今ここで私たちがやられたら、エイトを探すためにこの世界を壊すかもしれない。エイトはこの世界には来ないけど、世界が壊されるのは避けないと……。
「まだ……よ……。まだ……行かせない……」
「ほお?まだ起き上がるか?その根性は褒めてやろう。だが、もう終わりだ」
「誰が終わりだって?」
突然声が聞こえて、ギルガメッシュの足元に火がついた。ギルガメッシュは避けて、声のする方を見た。私もつられて見ると、そこには旗を持ったダークがいた。
「なんでここに……?」
「あれだけ派手にやってたら嫌でもわかるわよ……」
「貴様はなんだ?」
「何って知り合いだけど?この状況でそんなこともわからないの?馬鹿なの?」
「貴様……我を怒らせたな!!」
「ダーク!!逃げて!!」
束になっても勝てなかった相手にダーク1人だけで勝てるわけがない!このままじゃ……!
「舐めないでよね!!」
「ほお……、なかなかやるではないか」
「これならどう!」
ダークは剣を操り、ギルガメッシュの上に黒い槍を作り出し、そのまま降らせた。ギルガメッシュはそれに気づき、また剣を出現させて、全て弾いた。
「ちっ!厄介な力ね。宝物庫みたいにバンバンと取り出して!」
「貴様鋭いではないか。そうだ。我は宝物庫に無数の武器を内包しておる。さて、褒美をやろう」
ギルガメッシュは宝物庫から私たちを縛った鎖を出して、ダークの手足を縛った。ダークは必死に抜け出そうとしているけど、できないみたいだった。
「我の手で始末してやろう」
少しずつダークに近づき、剣を突き出すギルガメッシュ。私は止めるために立ち上がったけど、痛みが襲い、バランスを崩して倒れた。このままじゃダークがやられる!?
「ダメエエエ!!!」
「ベネディクト!!」
「ちっ!さっきからどいつもこいつもトドメの瞬間で邪魔しよって!!」
この技って……コスモス?それと後ろにいるのは…………。
「エイト…………?」
「巻き込んでしまってごめんな。ここからは俺の戦いだ」
「なんで?きちゃダメって言ったのに……なんで!!」
「あとで罰でもなんでも受ける。だから今はそこでジッとしていてくれ」
エイト……。あなたはなんでいつも……自分から危ない目に……。
「きたか……雑種」
「お前の目的は俺だろ。今すぐダークを離せ」
「貴様がきたからもうこいつには用はない」
ギルガメッシュは鎖を宝物庫にしまい、解放されたダークはその場に倒れた。
「ギルガメッシュ、アーチャーとパペットはどうした?」
「ふん、あいつらは死んださ。糸を使う雑種は生きてるかもしれないがな」
「そうか……。ギルガメッシュ……俺を本気で怒らせたな」
アーチャーが死んだと言われて、エイトの怒りが溜まっていっていた。それは激しい怒りとは違い、静かな怒りだった。そして2人は向かい合い、静かに構えた。