ToLOVEる~守銭奴が住まう町で~   作:ド・ケチ

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 原作で追及されないだろうから、その部分にオリジナル要素を注ぎ込んでしまえ、な今回。




fragment3 地球史

 娘の説明を聞く父親は穏和を絵に描いたような人だった。

「へ~。そうなんだ」

 雛野昂音がララの事を父親に説明した時の反応がそれだった。宇宙人だと素直に話したのだが、そんな緩い反応で良いのかと父親の反応にずっこけた。

「家の家系、実は宇宙人の子孫なんだよ」

「は?」

「へ   

 開いた口が塞がらないとは今の昂音の表情を言う。ララは相づちを普通に打っている。

「戦国時代の話らしいし、実際には違う可能性もあるし、口伝が間違っている可能性もあるんだけどね」

 

 

 

 

 

fragment  地球史(History of the Earth)

 

 

 

 

「え~っと、戦国だから人世空しい、1467から1国を、1590だからえ~っと、ざっと五、六百年前ね。詳しく説明して」

 なんとか冷静な思考に戻った昂音がきく。

「まず、実際には違うかもしれないってどういうこと?」

「当時、宇宙を知らなかったんだと思うんだよ。天上人ならぬ空上人(くうじょうびと)と口伝ではなっているね。だから空の上の人だから宇宙人なんだろうなーっていう推測なんだよ」

 確かに宇宙人かもしれない。可能性は高そうだが違う可能性もある。ただ、その話が本当なら普通の人間ではない事は事実のようだ。

「簡単に話を纏めると、空上人同士で争いをしていて人界、おそらく地球という概念がなかったからこの言葉を選んだんだろうけど、人界を支配しようとする派閥と滅ぼそうという派閥があったらしい」

「じゃあ物語的に御先祖様は地球を護ろうとする変わり者だったのかな?」

「いや、支配する派閥だったらしいよ」

 よくある物語を想像したとそれを否定した父親。

「どういう意味?」

「なんでも、空の上へ渡る船が当時の英雄に壊されたらしい」

 戦国人すげー。それが娘の感想だった。

鹿島(かしま)祝いし十束(とつか)給いし担い手、(やいば)振るいて空上の民を払う。担い手倒るるも十束、新たな担い手に渡りて再び払う」

 さらさらと父親の口からでてくる言葉は娘にとっては意味がわからない。

「簡単に教えて」

「一般的な解釈になると思うから、違う解釈の可能性も忘れるなよ。それに口伝だから変質してる可能性もあるからね」

 忠告を入れてから説明を開始する。

「鹿島、つまり戦いの神様が祝福を与えた剣を人に渡し、その剣で宇宙人を追い払った。持ち主が倒れても、新たな人が剣を振るって再度宇宙人を追い払った」

 超科学に対抗する神の力。とてつもなく胡散臭い。

 なお、この事を片羽に話さなかったのは雛野の最大の失敗であった。

 

 

☆  ★  ☆

 

「……以上がギ・ブリーに関する事後報告です」

 ザスティンの拠点で彼から片羽は状況の変異を聞く。

「王から言質がとれたのは大きいですね。人質とかを禁止してくれたから、少なくとも雛野だけは危険性が大きく下がります」

 王への報告内容は2人で話し合い、盛ったり揉み消したりしながら有利なように誘導していく。やり過ぎは良くないが、ララの安全を守る事に繋がるのである程度はザスティンとしても問題ない。

「で、もう一件。地球人が今まで侵略されなかった理由ですが、わかりません。認知自体は第3次銀河大戦にはされていたようです」

「地球の時間でどのくらい前なんですか?」

「5百から6百年前くらいですね」

 だいたい大航海時代かと1人納得する。

「弱った。ますます支配されていない理由がわからない」

 原始的な武器(宇宙人視点)で同胞を殺し合う地球人を見て宇宙人は何を思ったのか。自分達で管理してやろうと思わなかったのか、それとも関わりたくないと思ったのか。

「その時の記録では接触禁止惑星に分類されてました。以来最近まで表だった記録はありませんね」

「……宇宙人でも同胞同士で殺し合いますか?その頃の地球はわりと悲惨だった時代なんですよ」

「御家騒動やクーデター、いくらでもありますから、それを忌諱して避けたという可能性はありませんね。むしろ介入するチャンスです」

「ですよねー」

 という事は片羽に考えつくのは

「なら考えられるのは宇宙人にだけ猛威を奮うウイルスが発見されたくらいですか?」

「私としましてはその可能性であって欲しいですね」

 何故ならもしこの仮定が違う時、考えられる理由が

「既に地球は何処かの宇宙人に支配されていて、しかも地球人は気がついていない。地球を丸ごと1つの実験場にしている可能性まである」

「実験は終わっていてくれたら幸いなんですが、もし続いていたなら……」

「第7次銀河大戦待ったなし。地球は確実に消え去る」

 実験するものにとってはデビルーク星の住人はさぞかし邪魔だろう。

 この会話の内容は誰にも漏らしていない。片羽の仲間達も、ザスティンの部下やデビルーク王にも。話していれば劇的に状況が変わった可能性もある。

 が、片羽はこれを拒否。まだ確定していないから、無駄な心配を与える必要がないから、万が一気取られたらまずいからという理由だが、これが裏目に出たと理解するのは当分先のことである。

 

 

 

 




 古語がおかしいと思われるが、口伝で継承している間に間違えて伝わったんだろうから仕方がないね。……すみません、古典苦手です。だれか古典教えて下さーーーい。


 真っ先に仲良くなるべきはご意見番、報告役、即ちザスティン。無関係な人質とったのがギ・ブリーだけだったところから、原作でも報告の時に人質を禁止するよう王自ら通達した可能性はある。逆に報告の仕方次第では死人が出てた可能性もある。ぶっちゃけララのいない時に毒ガス撒くなり爆殺するなりすれば、リトさんは婚約者として不適格扱いで目的は達成できるねん。ある程度ルールはあって、追加されていったのだろうとは思うが。

 そしてこの手の世界で最大の謎。何故人類は宇宙人に支配されていないのか。原作が第6次銀河大戦の後だから、それまでの大戦中に資源や労働力として支配されていた可能性もあるし、支配させるくらいなら壊してしまえという意見もあったはずなのだが。なのでテコ入れする。
 よって考えられるもの
① 当時から有名だった。
 平和な時代に発見されて調査された結果、観光地として有名になって大々的に手出しされにくい状況になった。

② 既に支配されていた。
 そして保護政策がとられていたために他の宇宙人が手出しできない。実験の下りはこれの最悪なパターン。

③ ギドの治世下で見つかった。
 書いてて思う、これは違うと考える。具体的にはハーフさんの存在からの予測だが。
④ 宇宙人にヤバい病気が蔓延していた。
 因みに今回の捏造史では大航海時代の影響で地球規模で疫病が大流行したから可能性は高い。疫病がある程度死滅したのが第二次世界大戦後だから妥当かな?
 
 ぱっと思い付くのがこのくらい。とりあえず、その辺りはオリ要素で組み立てていく予定。第5次以前の大戦は出なさそうだから捏造捏造。

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