ToLOVEる~守銭奴が住まう町で~ 作:ド・ケチ
「長太君程では無いけど、僕はケチな分類らしいからね。何で必要なのか聞いていいかな?」
土曜日の朝、いきなりお金を貸して欲しいと言ってきた妹に兄は理由を聞く。
「ララさんの生活に必要な物とか買いたいかな~っと」
しかし高校生、バイトもしていない身でのお小遣いだけでは足りない。そこで兄から借りようとしたのだが、
「それこそ千夜君から取り立てればいいのでは?押し付けた分は払って貰ってもバチは当たらないよ」
長太君程ではないが勇悟君もそれなりにケチな模様。
「片羽君が払ってくれると思う?アレはアレでケチだと思うよ。なんだかんだ言い訳するし」
「それは違うよ」
妹の評価に兄は修正を入れる。
「アレは言い争いを楽しんでるんだよ。粗があって自分が悪いのに
「それって難易度高過ぎない?」
「勝とうとするなら高いよ」
「それって無理ゲーよね?」
肯定的な笑みを向けた。しかし雛野勇悟は知っている。アレでなんだかんだ律儀な男は「自分の敗けはわかったから金を払ってくれ」とか言えば、ある程度は払ってくれることを。無理ゲーをして、交渉は別口でならいいという事に妹が気づかないようなら、こっそりと回収しとこうと心の中で決めた。
「どうしてペケを使ったらダメなの?」
なんだかんだありつつ結局臨時のお小遣いを貰って出掛けた一向だが、出かけるための条件として勇悟が指定したものがそれだった。そんな訳で、今ララが着ているものは昂音の服である。
言われた当初は兄が言った理由がわからなかったものの、歩きながら考えているうちに昂音はその理由に思い至った。
「多分だけど、ペケが故障とかした時に備えてじゃないかな?」
『私がですか?』
「日本では街中で裸の人がいたらアウトだからね。何かの理由で外れたとか、変身できなくなったとか、そういった危険を考えたら妥当だと思うわ」
ひょっとしたら別の理由があるのかもしれないが、そこまではわからない。
「裸だとダメなの?」
「郷に入っては郷に従えってね。デビルークの
中学のころやってきた留学生に対して、自国のルールを優先させる傲慢さにキレた2人が率先して排斥したのを昂音は思い出した。なので敵に廻らないだけならまだ優しいのかもしれない。
「特に片羽君の方は下手すると強制的にデビルーク星に帰させそうなのよね」
『そこまでやりますか?』
「やる。片羽君なら絶対にやるわ。
ある程度までは穏やかなんだけど、デッドラインを超えたら誰に対しても容赦ないもの」
守金を巻き込んで一緒にデビルーク星に行って貰うくらいはやりかねない。守金にとってはとばっちりだが。
「極端に萎縮する必要はないわよ。ダメならダメって警告するから」
少なくとも昂音はそんなところを見ていないし、教育役を任せられているからには何かあれば苦情は彼女の方にもいくだろう。
「日常を壊すのは許さないけど、日常にアクセントを加えるのは喜ぶからねぇ。むしろ、自分が率先してるし」
普段から違法すれすれまでなら平気でやるし、相手が違法なら違法で以て対処する。なお、街中での全裸は違法である。
エロい要素が絡む前に徹底的に潰していく普通の人達。彼等に原作知識のような便利なものはない。ある意味全員転生者だが。
しかし5エンどうしよう。