ToLOVEる~守銭奴が住まう町で~   作:ド・ケチ

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味方を強くしたらそれ以上に敵を強くしましょう。でないとパワーバランスが……ラブコメに求めるもんじゃないが、ダークネスはバトルにしたかっとか何とか。


10エン たい焼き屋の攻防

 片羽千夜は暇になった。

 大きな学校行事は体育祭も終わり、宇宙人絡みの話は風紀委員に入って負担は減った。まあその分風紀委員の仕事は増えたものの、強請のネタ集め(新しい友人との交遊)の時間が増えたと思え問題はない。同じ意味にしか聞こえないですよ、千夜さん。

 中間テストは適度に勉強してたのでそこまで問題にならない。ただ雛野を始め生徒会の面々に抜かれて順位は大きく変動したが。具体的には生徒会1年が学年1位から4位を独占するという快挙。 (あいつ等身体能力も) (向上してるのが恐ろしい。)なお守金は5位、片羽は6位、ララは文系科目が奮わず37位、皆が忘れているであろうレン (それ酷くね?)は45位。千夜さんは覚えていたんですかね? (どうでもいいので) (忘れてた。)おい!なお、全生徒235人中118位の男は学年の5科目平均的61.9という、少数1位が普通だとあり得ない点数をとった。 (部分点で) (0.5をとらないと) (あり得ないからな。)

 それは置いといて、片羽はようやく隙になったと言ってもいい。

 なので脅迫(ネタ探し)に街中をブラブラ歩いていた。そして親友が新しいバイトをしているのを見つける。

「今度はたい焼き屋のバイトか?」

「客の入りが良くてな」

 そうこうしているうちに屋台のたい焼き屋へお婆さんがやってきた。

「値上がりした?ま いっか」

 そうしてたい焼き一つ一万円で買って帰っていった。とりあえず商売の邪魔だからあんぐり口を開けながらスルーしていたのだが、

「流石にそれはぼったくりではなかろうか?」

 誰もが思うであろう無難 (個性求めてどうしろと?)な感想だ。 (ブリキ大王が) (出てくるのとでも) (言えば良かったのか?)そっちの方がありえない。

「こっちは客を見て商売しているだけだぞ」

 そういう問題か? (絶対に違う)

「因みに人を見て売るとはどういう意味だ?」

「お前が欲しがってたら値段は……666円だな」

 そんな値段、高いし縁起も悪いし普通なら買うはずがない。

「よし、買おう」

 普通でない人発見。 (俺は何故買ったのか、)  (家に帰ると) (俺は我にかえったぞ。)

「因みに生徒会長は777円で買っていった」

「なんでそう絶妙に俺が (値段的に)買わない値段を」

「そして666円は生徒会長の買わない値段だ。縁起悪いの嫌いだし」

 そもそも値段のネタ性でで買い物するなとツッコミを入れられる人間は此処にいない。 (俺も会長も) (「面白けりゃ) (良いじゃん」) (としか言わない。)ダメだこりゃ。

「あー、あの人ならそうかも。というか、よくわかったな」

「そんな匂いがした」

 守銭奴の嗅覚恐るべし。

「ところで守金。彼方で睨み付けているお二方は幾らで買うんだ?」

 1人は黒い服の男。赤いモヒカンにサングラスと普通の人は近付きたくない。こいつはヤバい奴だ。見たもだが、それ以外の部分でも警鐘が鳴る。

 もう1人は彼と同じく黒い服の長い金髪な少女。可愛らしい見た目だが、此方も十分にヤバい。

「ありゃ買うつもりないな」

 身の危険を感じたのか損しそうな気配を感じたのか、守金は店じまいの準備をする。

 それを見ながら男は喋る。

あれが次のターゲットだとよ

 未知の言語。何を言っているかわからないはずなのに何故かわかってしまった2人は飛び退く。

 狙われているという事実、ララ絡みかそれ以外かは不明。が、この今まで合ってきた宇宙人とは違う。だからといって地球人でもない違和感。

前世界の言語とやらですが何処にも残ってないと伺ったのですが地球にも残っていたのですか彼方は理解をしているみたいですよ

まさか。魂に刻まれてただけだ。リスニングは出来てもスピーキングは出来ないだろうなそれでも大したもんだが

 2人がこの言語を使う理由は簡単。何故か機械にさえ翻訳不能な言語だからだ。故に目の前で堂々と内緒話ができる。

「じゃあ恨みはないが、死んでくれ」

 瞬間男は一気に加速急接近、黒く染まった拳を大振りで守金に殴り付けようとする。

ドゴン!!

 間一髪回避。拳は地面に触れてはいないが、その音速を超えた一撃は衝撃だけでアスファルトを砕いた。

「成る程成る程、避けれたか。テレフォン(見え見えの)パンチだから当然と言えば当然、逆に避けられねば萎えるところだが衝撃波まで避けたか」

 これで死ねばそれまで、生き残るなら少しは楽しめる。そう思った男は獰猛な笑みを浮かべる。

「守金!」

「貴方の相手は私です」

 守金の元に駆け寄ろうとする片羽の行く手を遮ろうとする少女。金の髪は変化して十のナイフとなり、その全てが片羽に向けられている。

「片羽!」

 守金は敵に背を向けて片羽の方へ向かう。

「おいおい、それは悪手だろ」

 男は守金に向かって飛び掛かるが、

プシュ~~~~

 守金の両手から吹き出す煙。 (デダイヤル二刀流、) (煙幕バージョン)

 パパパパパパ!!!!

 連続する破裂音には身を伏せながら煙から距離をとり、少女は盾を構えて煙から離脱する。

 パパパパパパ!!!!

 なおも続く破裂音。

 おかしいと2人は思う。1発たりとも被弾をしてない。牽制にしては長すぎる。

「成る程成る程、そういうことか。団扇を作って煙を吹き飛ばせ」

「わかりました」

 少女は髪をナイフから団扇に変え、煙を吹き飛ばした。

 パパパパパパ!!!!

「これは」

「銃の音を再生させているだけだ」

 地面に転がっているのはウォークマン。 (なお音源は紙鉄砲)

「煙幕だけじゃあ止められないと思ったんだろ。そしてそれは正解だ。お前なら適当な武器を振り回せば事足りる」

 それらを踏まえて男による敵の評価は

「成る程成る程、やるねぇ」

 となる。

「ええ。彼処まで見事に逃げられるとは思いませんでした」

「違う」

 男は少女を否定する。

「着眼が違う。一番厄介なのは名前を呼んだだけで意志疎通できたところだ」

 アイコンタクトすら必要のないただの一声による作戦の伝達か、それとも予め想定してた打ち合わせの1つ、どちらであっても厄介だ。

「よし、攻めにいくぞ。多分籠城戦と追撃戦の連続になるが」

「籠城から出てくるのを待ち伏せすればいいのでは?彼等にも普通の生活があるはずですが」

「あー、今回は時間経過は相手に有利なんだよ。不完全燃焼になる」

 (やだコイツ賢い) ?

 

 

『プルルルルプルルルル』

 雛野家でのんびり会話をしていたララとザスティン。

「ララ様すみません、片羽殿からメールがきました」

 真剣な表情でメールを開く。傍受を恐れて大事な事は直接会話しているのだが、携帯を使うのは基本的に至急な時だ。

『ピルルル ピルルル』

「私の研究室(ラボ)からだ」

 言ってララは研究室に向かい、ザスティンもそれについていく。

『やっほー

 ララたーん♥』

 ラボにあるディスプレイに映るのは成人地球人の3~4分の1程度の身長の緑色の皮膚をした宇宙人。

『ボクだよ

 もちろん覚えているよねぇ』

「げっ

 ラコスポ⁉」

  (レン君どれだけ) (忘れられ易いの?)無関心だからレン君は覚えられないだけでは?他の宇宙人は嫌いだから覚えているだけで。

『そう‼ガーマ星の王子にしてキミの婚約者候補No.1‼

ラコスポだよ―――!!!』

 片羽がいたら確実に毒づく。格上の一族から嫁を貰おうとする男がハーレム見せるって何考えてんの? (いや、王に密告して) (制裁させる。) (ザスティン仕事しろ。)

 なお、この後の会話の前半はララへの求婚という、ザスティンが仕事をしてない事の証明だったりする。

「べ―――っ お断り!

 知らないの⁉ 私 地球で すっごくいい人見つけたんだから!!」

『…守金長太の事かい?

 でももう彼はこの世にいないかもしれないよ~

 ぷぷぷっ』

「どーゆーこと⁉長太に何かしたの⁉」

『終わりの空、金色の闇、この2人を知っている?』

 ぴくっとザスティンの頬が動いた。

「ソラ?ヤミ?」

 ララは知らない。

『2人とも伝説の暗殺者さ!!!』

 それを聞いてザスティンは片羽にメールを打ち始める。

『2人に守金長太の暗殺を依頼したんだぁ!

 もう彼の事はあきらめた方がいいよ~ん♪』

 そして近い内に迎えに行くからと画面は切れた。ザスティンも送信を完了する。

「長太‼」

 慌ててララは飛び出そうとする。

「ララ様待ってください!慌てて行動しますと助かる人も助かりません!」

 ザスティンはそれを止める。

「けどっ!!」

「先程片羽殿からメールがありました!2人は無事です!」

「よかった~~」

 ララはヘロヘロと腰を落とした。 (ザスティン仕事した。)

「それでは冷静になって反撃を始めましょう。助かるべき人が助かるように」

 

 

『なーんでーやねーん

 なーんでーやねーん』

 気が抜ける着信音で片羽はメールが届いたのを知る。

「早かったなぁ」

「何かわかったのか?」

 拠点で一息ついてた守金が聞く。

「今回、暗殺を依頼してきた男について。加えて暗殺者についてもな」

 守金がターゲットらしいから十中八九暗殺者、それを雇うのは金持ちの宇宙人で婚約者候補、それも上位の候補だ。下位の候補だと守金から上位の候補に移るだけなので旨味はない。一体何人殺すのか?そういった思考からラコスポが今回の黒幕と考え、証拠を得るように動いて貰う。これが第一段階。ラコスポに罪を擦り付けようとする者もいるかもしれないからだ。

「じゃあ俺等は逃げ切れば勝ちか?」

「まあね。暗殺者を追い払ったところで、別の暗殺者を雇われたらいたちごっこだし。大本を叩いて依頼を取り下げるのが最適なんだよ。まあ大本と暗殺者両方同時に叩く分には問題ないけど」

 最悪なのは暗殺者だけ叩いた時に、次の暗殺者の戦力を増やされる事だし。しかしと呟く。

「ここまで早く依頼者が確定するとは思わなかった。流石に優秀だなぁ。というかおかしいだろ」

 流石に片羽も暗殺者に依頼したというバカが出てくるとは思ってもいない。 (王に卑怯者と切られる) (とか、) (逆に暗殺者を向けられる) (とか、) (危機感が足りなさすぎる)

 とりあえず現状を纏めると、ラコスポ陣営は暗殺が達成するまでララ達から逃げ切る事、守金陣営はラコスポが依頼を取り下げるまで逃げる事でそのためにララとザスティンが行動する。

『なーんでーやねーん

 なーんでーやねーん』

 届いたメールを見て片羽は頭痛に悩まされる。これはない。相手は想像できないバカだ。

「作戦変更、ララと合流する」

 時間稼ぎの意味が無くなった。

 




 たい焼き屋(で)の攻防終了。次の戦場へ。

 たい焼きで真っ先に思いつくのがライブアライブのたい焼き屋だったりする。ぼったくりよりも店主の熱血ぶりが。
 それと冷静に考えれば考えるほどラコスポってあり得ないよね、となる。まあ原作でそれをやらないとリトさんはララの助けが間に合わず死んでいるのだろうけど。
 ザスティンは片羽に汚染されて賢さが上がったのです。そうでなければラコスポに片羽が無事だということとか、お前が黒幕だと目星をつけられていることとか漏らして状況が悪化して……悪化するかな?ヤバいと思って引っ込む頭をラコスポが持ってるとは思えないのだが。また報連相がきちんとできてるため、ラコスポ接近を片羽に伝えています。

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