ToLOVEる~守銭奴が住まう町で~ 作:ド・ケチ
守金のバイトの中には犬の散歩がある。ただの散歩と侮るなかれ、犬の散歩不足は深刻なストレスであり、犬種によっては十キロ以上走るものもいる。自転車を使ってもいいのだが、きちんと犬を見ていないと運動のし過ぎで犬が壊れるのでお勧めされない。4つ脚の動物は2本脚の人間よりも疲れやすいのだ。なので普通に歩ける守金は重宝するし、犬のトレーニングとして坂道ダッシュ等も組み込めて便利である。1回千円を高いと思う者もいるだろうが。
彼は夕方の何時もの散歩コースで変わった人を見る。
「転校生?」
なんとなくこっそりよってみた。
「まさかララちゃんが僕の事忘れているなんて考えもしなかったな……」
これはストーカー予備軍だろうか?そんな
「突撃、シュワルツ、ランツェンレイター!」
突っ込みたくなる名前の犬をけしかける。《/s》
ともかく、そんな犬2匹かレンの元に飛び付いた。
「う……わわわっ
な……なんだこの生物はっ⁉」
「犬というこの星ではわりとポピュラーな愛玩動物だ」
守金は親切に説明する。
「守金長太⁉」
「フルネームで呼ぶなよレン・エルシ・ジュエリア」
「お前こそフルネームで呼んでるじゃないか」
「お前らの星ではそういう風習なのかと思ってな。とりあえず日本では基本的に名字に敬称等を付けて呼ぶのが基本で、親しくなったしたの名前で呼ぶようになる。だからララさんについてはデビルークさんと呼ぶのが一般的なのだが、本人の希望でララさんと名前で呼んでいる」
まあそこに侮蔑の意味がないのなら上下どちらで呼ばれてもいい、という日本人は大勢いるが。
「それとうちの男子クラス委員長だけはフルネームで呼ぶなよ」
「何でだ?」
「平均値という意味の言葉になるから。本人、比較的無個性なのを気にしてるんだよ」
「わかった。気をつけよう」
とりあえずこれで話は区切りがついた。
「ところで、ララさんがなんで地球に来たか知っているか?」
「異文化交流だろ?宇宙人と接触してない、つまりデビルークの権威を知らない世界で多元的な視点を得るとかそういう理由だったはずだ」
流石に家出ですとは公表できないため、雛野兄がでっち上げたそれっぽい話をララ、ザスティン経由で王が聞き入れ、公表された真実になった一例である。この件に関しては片羽の管轄外なのでノータッチ
「そんな事になってるんだ」
背後の事情は知らないものの、流石に家出ですと公表は無いだろうと守金は思っていたため、こんな事になってたのかと感心した。
そしてここに片羽がいれば責任をぶん投げて他人事にしようとするのだが、
「因みにそれ、嘘だぞ」
「どういう意味だ」
「俺とララさんが初めて合ったのは、家出して地球に逃げてきたララさんが、捕まって送還される寸前だった」
そこから色々あったのだが、大筋を説明すると
「で、デビルークに帰りたくないララさんが俺を無理やり婚約者候補にして、片羽なんかも送還されないように協力しているという事だな」
これが事実なのだから仕方がない。
「さて、ここで問題。仮にレン君がララさんと恋仲になったら、デビルーク王はどう動くかな?」
学校帰り、晩御飯の買い物をした雛野とララは珍しい人を見た。
「あれは守金君と転校生?」
「長……⁉
ララの口を片手で抑え、もう片手で静にするジェスチャーをする。ララはコクりと頷いて解放される。
「なんの話をしているか気になるからこっそり行きましょ」
「うん!」
「だから声が大きい」
距離がまだ十分にあったため
「さて、ここで問題。仮にレン君がララさんと恋仲になったら、デビルーク王はどう動くかな?」
聞こえた声の第一声だった。レンは返答に詰まったので、守金は回答を述べる。
「おそらく、デビルーク星に連れ戻すだろう。で、お前にとっては幸せで、ララさんにとっては幸福か?」
やはりレンには答えられない。
「因みにその答えはわからないだ。そしてお前が悩むであろう、ララさんのために自分は彼女を諦めるべきかどうか。この答えもわからないだ」
多分、こんな親切を片羽は絶対にしないだろうなと思いつつ
「誰が誰を好きになって、付き合えとか結婚しろとか、外野がどうこう言うものじゃないだろ。好きになったんなら仕方がないし、好きになれなくても仕方がない」
そこで一息入れた。
「俺達にできるのはララさんを限られた期間だけ自由にさるだけだ。ここから戻ればまた不自由で決められた婚約者と運命を委ねる、たまったもんじゃないだろ。そしてそれを良しとするようなら、そもそも家出なんてしない。
もっとも、片羽なら別の事を言ってたが、基本的な方針は同じだ」
千夜さん、マジでそれを言ってますか?
「例え地球にきた結果不幸になったとしても、それこそ自分で選んだ自由の代償だ。それで我が儘捏ねる子供なら、俺も片羽も全力で親元へ追い返している。逆に2人ともそうは思っていないから、ララさんがまだ地球にいる訳だが」
そこは3人の間違いよと雛野はボソッと訂正した。
「みんなそこまで私の気持ちを理解してくれたんだ」
「そりゃあたしにとっては家族みたいなもので、守金にとっては仲間だからね。片羽君はちょっと違うと思うけど」
因みにどう思ってますか?
「じゃあ僕はどうするべきなのさ?」
情けない事をレンは言うが、
「知らんよそんなの。ララさんもお前も俺も、片羽や雛野も全員含めて、自分で好きな様に生きて、自分でしたことに対して責任をとればいいだけだろ」
「自由に責任は付き物か」
「幸い、うちの学校の校訓は【自由】【責任】【対等】だ。どうするかしっかり考えればいいさ」
「とまあ、雑談はこのくらいで俺は帰るぞ。次のバイトが待っている」
そう言って守金はジョギングしながら帰っていった。
一方で影から見ていたララは顔を赤らめて
「私……長太となら本当に結婚してもいいと思う」
チョロくない?雛野は心配になったが、守金と誰かをくっ付けるという意味で都合がいいので、
「じゃあ、好きになって貰えるように頑張りなさいよ」
そう言いながら2人は帰っていった。
ラブコメを始めよう多分次から……。で、次回の予定は球技大会、女性陣ほとんどでない……というか、オリキャラしかでんやんけ!
その次が金色の闇で、体育祭いれて2学期終了……何かネタをぶち込まなければ。セリーヌちゃんとか。
次回予告できてません……