ToLOVEる~守銭奴が住まう町で~   作:ド・ケチ

1 / 25
Attention Please



 この小説は原作の彩南高校の面々がリストラされております。また、原作の雰囲気がオリキャラの濃さにより別種のラブコメに変化しております。それでもよいという方だけお読み下さい。

 それではオリキャラの日常、始まり始まり


1年1学期
1エン その男、守銭奴なり


 馬の鼻先に人参をぶら下げると言う言葉をご存知だろうか?

 馬の鼻の先に人参をぶら下げると、馬は大好きな人参を食べようとやる気を出して前に進む。しかし人参は常に馬の前にあり続けるために馬は常にやる気を出して走り続けなければならない。実にマンガ的なイメージである。転じてやる気を出させると言った意味にも使われる。

 別にやる気を出させる為なので道具は何でもいい。例えば

「お金お金お金お金!!!」

 目を¥にして涎を滴ながら制服を着て走るこれでいいのか主人公、名前を守金(もりかね) 長太(ちょうた)という高校生である。そしてこれまでの説明で予測できるだろうが、手がギリギリ届かない場所にお金をぶら下げられて出鱈目なフォームの癖に恐ろしいスピードで走っている。具体的に説明すると、高速道路で車を追い越すスピードで。できないと思うけど良い子は真似しないで下さい。しかも、ただ走っているわけではなく荷車を牽きながらだ。悪い子も真似しないで下さい。

 荷車の上にはもう1人の主人公である男子高校生が1人、荷車に必死でしがみ付きながらも一万円札をぶら下げた釣竿で守金を誘導する。彼の名は片羽(かたはね) 千夜(せんや)、友人達曰く頭のいいバカ(ナイスガイ)である。

 ……ちょっと千夜さん、勝手に修正しないで

 話は戻すが片羽は特に守金のお金を絡めた利用の仕方(誘導の仕方)においてはとても下衆い(上手い)。……だから勝手に修正しないで(いやだよ)

 この物語は金の為なら常識を無視する守銭奴と、その彼をいいように利用する(素晴らしい)友人達が金の為に介入す(巻き込まれ)青春コメディー(愛と勇気の物語)である。……流石に愛と勇気の物語は嘘が在り過ぎ(やり過ぎたと俺も思う)ですよ千夜さん。

 なお完全な余談だが、実際に馬の鼻先に人参をぶら下げると遅くなるらしい。集中力が乱されるとかいう理由で。   (なお、鞭なら加速する)飴より鞭の方が働く、知りたくなかったそんな情報。

 

1エン  その男(The man)守銭奴なり(is Miser)

 

 学校で諭吉に頬擦りする守金、何時ものことである。これで良いのか主人公と思うが、平常運転だ。両親は泣いていい。

 対して片羽は友人達にお土産を配っている。守金に牽かれていった場所で買ったものだ。帰りは普通に新幹線で帰っている。

 因みに守金はお金が勿体ないと歩いて帰っている。鈍行なら手に入れた一万円でお釣がくるし、一万で足りない新幹線代分は片羽が払うと言ってたのにだ。そして学校に遅刻したら授業料が勿体ないと言ってチャイムがなる寸前まで夜通しで歩いたそうな。

「帰りも守銭奴に運んでもらえば良かったんじゃないの?」

 そう質問してきたのは守銭奴の幼馴染、雛野(ひなの) 昂音(たかね)だ。ふんわりショートでウェーブのかかった髪でどこかポヤヤンとした(トロそうな)雰囲気だが、こと幼馴染(守銭奴)誘導(利用)する点ではベテランだ。……千夜さん、人の事を悪く言うの止めようよ(楽しいじゃん)最悪だ。(俺サイコー)

「あれ、安いけど凄いしんどいんだぞ。だから楽っていいよね新幹線。揺れないし」

 揺れを思い出したのか、青白い顔で片羽は沁々(しみじみ)語った。

「じゃあどうしてあんなことをしたの?」

「何処まで加速するのか気になって」

 そりゃ気になるが普通は検証しない。下手したら自分の身が危ない。高速で荷車が壊れたら死んでいたかもしれない。

「だからってお金が勿体なくない?」

 雛野は守金に染まってケチだと思ってはいけない。普通の高校生にとって一万は大金だし、土産交通費含めて片羽は三万近く使えた計算になる。

「親が買った宝くじが当たってな。臨時の小遣いとしてパーっと使ったわけだ。所詮は泡銭、さっさと使うに限る」

「学年2位の秀才がこれでいいのかなぁ?」

 納得いかないものを感じたが、それが悪いものではないので無視する事にした。

 なお、学年1位は守金である。金をちらつかせれば1位を取るなんて守銭奴には余裕である。実際には特待生枠の授業料免除だが、他の生徒達は金銭欲に負けないよう頑張って欲しい。

 2位の片羽は試験官にバレないように小銭を撒くと飛び付いた守金がカンニング扱いされ、自分が1位になれるなと悪どい事を考えているが(やらないよ)。こんな弱点があるので守金は活躍するとわかっても八百長を恐れて部活には入っていない。

 そして3位は雛野。守金に家庭教師をさせて雛野の出来しだいで給料アップという条件にすると、守銭奴は物凄く優秀な家庭教師に早変わりした。

 4位以下の真面目に勉強する人達は泣いていいと思う(努力が足りない)。……千夜さん、それ酷くない?(なんで?)

 意外と万能な(金次第で何でもする)守金だが……千夜さん、文字通りなのに間違っていそうな言葉をチョイスした理由はなんですか?(何か問題が?)

 こんな守金だが、授業が終わると速攻でバイトへ向かう。考えてみれば当然なのだが。

 むしろ何で学校に来ているのかの方が疑問かもしれないが、中卒で仕事をするよりも大学を卒業していい企業に入った方が生涯賃金は大きいと彼は考えたからだ。完全な蛇足だが、食費をケチって自炊している。趣味は山菜採りと釣り(金稼ぎ)である。……面接ではこう答えているんですよ。

「片羽君もバイト?」

「うんにゃ。今日は休み」

 だからのんびり本読んでゲームすると言って帰っていく。

 そして宣言通り、家に帰ったらラノベのページを足で捲りながら両手でファ○コンという白と赤の恐ろしくレトロなゲームを始めた。余談だが、勉強するときもこのスタイルでゲームをしているので、真面目に勉強している人は怒っていい(真似すればいいじゃん)。……無理です。

 そんなダラダラした時間を終わらせ、片羽は風呂に入る。のんびり入る。長々入る。かれこれ一時間以上入っている。流石に長すぎ。(普通でしょ?)

 その時、浴槽からプクプクと気泡が出てくる。……臭いですよ千夜さん。(こいてねーよ!)

 そして何故か浴槽は輝き、そして

 

ボッ

爆ぜた。

「ん  

 脱出成功っ!」

 そこに現れたのはピンクのロングヘアーのスタイル抜群の少女、それも裸体。

逆上(のぼ)せたかな?」

 それだけ言うとゆっくり上がった。現実逃避とも言うが。 (当然だろ!)

 ゆっくりとパジャマ代わりのジャージに着替えると部屋に帰って今日はもう寝よう疲れてるんだと逃避を重ねる。

 しかし1日は終われない。

「あ タオル借りてるよー」

 よく喋る幻覚だなー幻覚だよなー。頭でそう理解しようとするが、現実なんだと脳から返答が返る。

「どちら様が何様で何処から如何にして風呂場に全裸で現れた?」

 知りたい事を一括で聞く。会話が下手そうな質問の仕方なのは片羽も多少混乱している (そりゃそうだ)からなのだが、それでも聞きたい事を全て聞くのは流石ともいえる。

「私?

 私 ララ。デビルーク星からきたの。風呂場に現れたのはこれを使ったから」

 そう言って少女はブレスレットを見せる。

「私が作ったぴょんぴょんワープくん‼」

 紫色をしたウサギの様なブレスレットだ。

「行き先の指定はできないけど生体単体での短距離ワープが可能になるの!」

「ふむ」

 何かに納得して片羽は部屋の中なのに靴を履く。

「態々裸でワープ装置を使うってどういう状況だったんですかね?」

 絶対にまともな状況じゃない。追われていたか捕まったか、どちらにしろこの少女は狙われている。財布を確認して窓を開け、逃げる準備はしておく。なお、服はワープしないので思考過程はおかしいのだが、結論はだいたい合っていたという例である。

   (裸体のみワープが可能)  (なんてわかるか)

「そうなの。追われているんだ…………私」

 そして彼女は語る。地球まできたが追手がきてもう少しで彼等の宇宙船に乗せられるところだった、と。

『ララ様   

 寸胴、3頭身、コウモリをイメージする翼を生やしたネクタイをした人形。窓から声を出して入ってきた人形の外見的な表現をするならそんなところか。

『ご無事でしたかララ様  っ‼』

「ペケ!」

 彼女は人形と抱きつき、

「よかった  ‼ペケも無事に脱出できたのね!」

『ハイ!船がまだ地球の大気圏を出ていなくて幸いでした!』

 屈伸して体を暖める。そんな彼に気がついたペケは

「ララ様、あの何も考えてなさそうな顔の地球人は?」

  (考えてる考えてる、)  (片羽君超考えてる)

 かなり酷い事を言われるが、よく言われる事でもある。

「この家の住人だよ」

「考えてなさそうは否定せんのんかい」

 かなり気にしていた模様。  (片羽君超考えてる)わかったから。

「そう言えばまだ名前聞いていないね」

「片羽だ」

「ふーん。この子はペケ」

『ハジメマシテ』

「私が作った『万能コスチュームロボット』なの」

 片羽は回れ右して後ろを向く。

「じゃ、ペケ、ヨロシク」

『了解』

 着替えるんだろうなーと思って予め後ろを向く辺り、ラブコメを徹底的に回避しようとしている様にしか見えない。部屋を出ない辺り、のんびりするのは不味いと思っているからだが。

「ジャ  ン」

「ん?着替えたか?」

 しかしまだ振り向かない。

『キツくありませんかララ様』

「ん、バッチリ」

 このタイミングでようやく振り向く。

「どう?素敵でしょカタハネ」

 露出が少ない癖にやたらと体のメリハリを強調するレオタードの様な何か。とりあえず

「地球だと浮くな」

 歯に衣着せぬ感想だった。女心がわかっていない(エロいが言えない本音)

『ときにララ様、これからどうなさるおつもりで?』

「それなんだけど、私ちょっと考えあるんだ」

「どうでも良いが、早く出ていった方がいいぞ」

「『?』」

 この忠告はもっと早くするべきだった。何故なら

 シュタっ!

 黒服の厳つい男が2人、窓から入ってきた。悪魔の様な尻尾を生やしているところから、2人とも宇宙人。

「やっぱり尾行されてたか」

 追う側としてはペケ位しか手がかりが無い。となると(わざ)と逃がして行方を追う。だから確実に追手はついてくる。

 そしてララが風呂に現れた時間からここまでやって来た時間に十分な時間差がない、つまりペケは撒くために寄り道等をしていない。そりゃやって来ますわ。

「このマヌケロボ‼」

 呑気に会話してたお前もなー。心の中だけで突っ込んでおく。

「絶対に俺よりお前らの方が考えてないだろ」

 まだ根に持っていた(事実を口に出した)

 呆れているだけでは事態は好転しない。片羽はどちらに付くべきか考える。男につけば直ぐに終わりそうだが、捕まえたら殺される可能性を考える。

 地球が宇宙人と大々的にコミュニケーションをとっているなら未だしも、特に影響力がない。宇宙人の誘拐事件を他の宇宙人に報せる手段がない、即ち放って置けばいい。気にするべきは技術力の割りに揃いも揃って考えが浅い様に感じたから、例えば『目撃者は殺せ』といった命令が出てた場合、盲目的に殺す可能性があるところか。

 対してララの方はどうかといったら、此方は勝利条件がわからない。逃げるだけだと何時かは行き詰まる。考えはちょっとあるみたいだが、そこまで考えて無いのだろうな。

 冷静に考えたらこの状況はおかしいのだが、理由がわからない甘い推測はこの際除外する。

 それら全てをペケ曰く何も考えてなさそうな顔でしっかり考えてた。

「仕方がない。援軍を呼ぶか」

 片羽はため息を1つつくと、大きく息を吸い込み

「守金ー!お金の匂いだよ  !」

「お・か・  !」

 ズバーンと (我らがヒーロー)守金登場。なんなんだこいつはといった目で宇宙人達から注目を浴びる。

「説明しよう!守金長太はお金好きで、金儲けのチャンスだと叫べば何処からともなくやってくるぞ‼本当に何処からくるんだろ?」

 説明してて目頭をそっと抑えるのは、言っていて悲しいから。  (なんで親友なんだろ?)本当になんでだろ?

「片羽、お金の匂いとはどういう意味だ?」

「宇宙人の男達に追われる宇宙人の少女。しかも未知の技術を持っている。お金の匂いがしないか?」

「はっは !お嬢様、私が来たからもう大丈夫!

 豪華客船に乗ったつもりで寛いでいるといい。あとお礼はお忘れなく」

「その豪華客船はタイタニックじゃないだろうな?」

「雪風に乗ったと思って寛いでいるといい!」

「台風には勝てなかったよ」

「宗谷?」

「なんでチョイスが古い上に片寄ってるんだ?」

 いつの間にか漫才になっている。

「っと、漫才は終わりにして、守金はお金をあげるとパワーアップする。当然地球のお金は持ってないはずだからお金になりそうな物なんかでもいいし、後で払うという契約でもいい」

「例えば、今後手に入る全財産の半分とかでも?」

『正気ですかララ様⁉』

「ん?」

 言葉の意味に驚愕するペケ、裏に思い当たった片羽、

「やるぞ  !」

 額面通りに受け取った守金。目を¥にして全身から ()金色の闘気が吹き出している。……おかねいろの闘気ってなんですか千夜さん。こんじきです(間違いではない)

「ひょっとして、お見合いが嫌で逃げてきた良家のお嬢様?」

 何処をどういう思考過程をすれば辿り着くのか、一連の騒動の発端に片羽は行き着いた。

「すご  い!どうしてわかったの⁉」

「穴だらけの推理でいいなら説明するよ」

 そう一置きして説明を開始する。

「まず、彼方さんに害意がなかったこと。銃なりガスなり、やるなら問答無用でやってるだろ」

 無茶苦茶えげつなかった。身体能力はともかく、この中で一番敵に回すと恐ろしい(考えてる)のは彼である。

「なんで身内かそれに近い人。良家のお嬢様はここから考えた」

『お見合いは何処から出てきたのですか?』

「報酬からだ。だから婚約者かお見合いか其処らから逃げる口実だと思った。アレで良いのか甚だ疑問だが」

『何も考えてなさそうな顔でしっかり考えていらしたんですね』

「お前、俺の事が嫌いだろ」

 そんな会話を他所に守金は男達の関節を外して無力化していた。

『デビルークの人達は地球人に比べて遥かに身体能力が高いのですが』

「守金は金が絡むと人間の限界を余裕で越えるからな。しかも金を乗せれば乗せる程に強くなる。知り合いはその現象を【大欲界(たいよくかい) 守銭道(しゅせんどう)】と呼んでいる」

 正直、アレを同じ地球人扱いして欲しくない。

「ハ  ッハッハッハッハ  !報酬はお忘れなく」

「じゃあ結婚しよ、モリカネ!」

「どうしてそうなる⁉」

 話が通じないと判断した守金は片羽に説明を求む。

「何を言っている?これから得る全財産の半分ということはプロポーズという側面もあるだろうが」

 喜びも悲しみも2人で全て分け合おう。そういう意味がある。

「あと長太と呼んでやれ。身内からはそう呼ばれている。家族となるならその方が良いだろ」

「よろしくね、長太!」

「た、只働き」

 気づいてがっかり肩を落とした守金だった。

 

 

 

   次回予告   

 

 

 

守金「お前絶対オレの敵だろ!」

片羽「サラマンダーより、ずっとはやい‼」

雛野「あたしも呼んでるよ」

守金「いいやいい」

ララ「凄いよ長太!」

ペケ『貴方様がそれを仰いますか?』

守金「人をなんだと思っているんだ?」

雛野「締める?」

片羽「え?超えられないの?」

??「ララ様を頼みましたよ」

雛野「止めな」

片羽「手加減はしない」

守金「何処に金の匂いがあるんだよ⁉」

 

 

  次回

2エン 守護者

 




原作1話分(前半オリキャラの日常だが)

キャラクター設計等(初伝)

守金 長太
 本編の主人公にしてドケチ。それ以外の説明はいらない。
 まず能力、大欲界守銭道ありきで設定して、バトルに組み込むと常に無双するからギャグに放り困れた人。仮にドラゴンボールに放りこんだら金次第でピッコロ大魔王から金ぴかフリーザ様までなんでも倒せる普通の人に。積んだ金額が戦闘力に比例するという分かりやすい構図になるが、どうやってそれだけの金を稼ぐかという別の話になる。

片羽 千夜
 狂言回しとトリックスターを兼任する演出家。特技として地の文を改竄する程度の能力がある。なお、本編では知らない事を知ってたりするので、未来から改竄してるっぽい。





▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。