第六戦隊と!   作:SEALs

70 / 83
お待たせしました。
今回もまた架空戦記並みのイベントで四苦八苦攻略中のSEALsです。史実並み、田中光二先生作品でもソロモン諸島は幾度も話の舞台にもなります故に……戦艦空母や潜水空母、橘花以上の強力なジェット戦闘機があれば楽なのですが。この場所に人喰い怪物たちなどが居て、特殊爆弾投下しないよりはマシですが。

前置きはさておき、今回は予告通り、提督たちがこの敵部隊を駆逐するという陸戦回になります。


長いようで短い回ですが、いつも通り楽しめて頂ければ幸いです!

それでは、どうぞ!


第69話:泊地炎上 後編

柱島泊地

X-Day 時刻1100

 

提督は、鹵獲した《クラーケン》の操縦桿を握る腕に改めて力を入れた。柱島泊地を奪還する為の、応援の声で勇気付けられるからだ。

泊地と言う戦場。艦隊指揮機能の中枢にして、海軍司令部を象徴するもの。そして提督たちと、全ての艦娘たちが安堵する心の居場所。微かに聞こえた空耳、もしかしたらあの観艦式襲撃事件でも体験した不思議な幻影、かつて此処にいた英霊たちのメッセージだったかもしれない。頼む。この柱島泊地を護ってくれと。

 

例え空耳や思い過ごしでも構わない。ここから自分たちは、オリンピア軍と、黒田が連れて来たプロの傭兵部隊を気取るならず者部隊、実際にはテロリスト。実戦経験に乏しいが、代わりに、数の暴力によって覆そうという無法者の彼らを全て駆逐する。

孤立無援、袋の鼠も同然に近い状況。背後にいる消化班や救護班も護らねばならないという形にもなるが。しかし、完全に活路を絶たれた訳ではない。"近い"と言うから突破口はある。それに強力な増援も得たのだから、実に心強いものだ。

では。気を改めて団体様を歓迎する。ただし瀬戸内海海域、当泊地近海で採れる自慢の新鮮な魚介類を使った御もてなしはない。銃弾の雨で歓迎する、と。

 

「俺が先頭に立つ!明石たちは側面援護を頼む!」

 

『了解しました!提督!』

 

『了解!陸戦隊が道を拓く!』

 

最前線で指揮を執り、共に銃弾が目の前で飛び交う戦場に乗り込んで、自分が陣頭指揮に当たり前と言うよりは慣れている。

彼に続き、明石・夕張が操る無人戦闘車輌《ゴライアス》と伴い、増援として来た海軍陸戦隊を援護しながら前進する。聞こえはいいが、実際には同じ海軍、警備兵、整備兵、この襲撃の最中にヘリに駆け付ける時間すらなく陸戦に参加せざるを得ないパイロット、装備妖精等までいる緊急時に編成された混合部隊。全員ここを失えば行き場もない。我が家もなくなる。そうはさせまい、と、全力で泊地を取り戻す為に前進する。

一方、甘い言葉に唆されて、雇い主であるオリンピア軍から大金を手に入れるまで死ねない。死ねば行き場もない。全てが水の泡、と、武士の魂よりも大金を、他人より自分優先という身勝手かつ、各々の目的を達成する為に死力を尽くす敵傭兵たちを捉えた。

 

「攻撃開始!撃て!撃て!撃ちまくれ!」

 

《クラーケン》の鋼鉄の触手先にあるパラボナ鏡が、敵の銃撃地点に向けられると、雷神が持つ金槌を振り落とすように迸る紅い熱戦と、機外に取り付けられた重機関銃が撃ち始めた。同じく側にいる《ゴライアス》が機銃掃射を敢行する。桁ましい金属音が鳴り響き、鋼鉄と火薬の臭いを孕んだ銃弾の雨嵐が敵部隊にお見舞いさせる。

洗礼を一身に浴びる羽目になった敵傭兵部隊は薙ぎ払う勢いで、ある者は囂々と荒れ狂う紅蓮の炎を身に纏い、その炎の衣を半狂乱となって振り払おうと暴れる。近くにある水を大量に被るものの、一度引火した高火力の焔から逃れる術もなく、即死すら出来ず、声にならない悲鳴を上げて生きながら焼け死んでいった。

また銃弾の雨嵐に曝された者は、悲鳴をあげる事なく、皮膚、頭部、胴体、両腕や足の肉をズタボロに切り裂いて、全身を動かし支える骨格、そして血管を循環する全ての鮮血すらも容赦なく喰い破られた。毎分3000発に達する銃弾の雨。唸る銃声。瞬く間に、ボロ雑巾のように吹き飛ばされる敵の死体及び、鮮血に染めた肉塊へと変えていく。絶え間ない銃声が、敵の攻撃を黙らせるかと思われた。しかし、敵も馬鹿ではない。各々の歩兵部隊から施設破壊を一時中断した粉砕戦車《グラインダー》と、装甲ブルドーザーを先頭に――随伴する敵兵たちも猛射に負ける事なく、こちらに激しい銃撃で応じる。御自慢に備えた前部の巨大な破砕ローラー、ブレード(排土板)を盾に、側面を機関銃部隊による援護射撃をするのは基本的なもの。だが、臨機応変に対応しなければ、どの戦にも勝てない。

 

「どうせ奴らは最後は馬鹿みたいに『天皇万歳!』と言いながら、万歳突撃をしてくるから、弾切れまで堪えるのだ!全てのライアッドシールド及び、火炎放射器、重火器部隊前進せよ!」

 

「Come on! Punks!(かかって来い!ガキ共!)」

 

「へっへっへ、このマヌケ日本軍どもめ!抵抗は無駄だ!」

 

「ペンは剣よりも強し。市民の敵である軍国主義者らは最後は負けるのだ!それが軍国主義だから!」

 

敵中隊隊長の言葉に、敵兵部隊も楽観的に見ていたのか叫んだ。

どうやら、敵は万歳突撃しか脳がない日本軍と勘違いしている。結論から言えば、それは戦後の日本教育による妄言と妄想。特にGHQやソ連のコミンテルン、中国共産党らに寝返り、武士の魂よりも大金を優先した反日日本人たちによる自虐史観に伴い、その彼らが作った反日プロパガンダ映画やドラマ、テレビ、ゲーム、漫画の空想話にしか過ぎない。否、玄人を気取る素人の妄想と妄言に過ぎない。

彼らは知らないが、戦後ルーズベルトたちに騙されて眼を覚ました米兵たちが気づいた様に、本当の敵は日本ではなく、ソ連や支那率いる共産国家、世界を赤化する為の共産主義者たちであったこと。その為に負けたからと言って手のひらを返して、自分たちに御機嫌を取るだけでなく、国の為に戦った日本軍兵士たちを、今日まで迫害し続ける反日日本人たちに怒りを覚えたことを証言していた。

 

実際には米軍から畏れられ、『日本軍は本当に強かった』『東洋のサムライ』等と言われるほど尊敬されて、今でも戦史研究で多く語り続けている。敵司令部や夜襲、総攻撃の時には、当時連合国軍に最も恐れられた八九式重擲弾筒を初め、歩兵砲、重機関銃等による火力支援部隊が必ず援護した。その間に、銃剣付き軽機や歩兵銃を撃ちつつ携えた歩兵部隊が敵陣地を強襲、夜襲を敢行していた。また日本軍は現代の自衛隊よりも心理戦に長けており、忍者の如く、静かに敵地に忍び寄り、潜入したと同時に破壊工作、暗殺、狙撃、後方攪乱を屈指。地形を利用したゲリラ戦、嫌がらせ戦法、連合国軍の兵器及び、補給物資を利用して、味方撃ちや物資の消耗をさせてから各個撃破。終戦まで米軍を悩ませたと言われている。支那事変、南方諸島、特に各島嶼防衛で得た教訓を生かした日本軍は、敵の心理を疲労させるまで幾度も繰り返し、敵の戦意喪失、士気を徹底的に下げるという心理戦を非常に良く上手く使い熟した。

恐怖に慄いた敵兵たちは微かな物音にすら敏感に反応。体力を消耗、やがて見えない恐怖に駆られ、最後は精神的に追い込まれた米軍兵士たちは戦意意欲を失い、本国に送還される者が急増したり、現場では自殺する司令官や将校たちが続出するケースも少なくなかった。

こうした技術の進歩が早いハイブリッド化した現代戦でも、この作戦は非常に有効的なものだ。だからこそ、今でも他国は戦史研究を行い、後世に受け継ぐことを忘れていない。それを知らずにいる敵軍は改めてその恐ろしさを体験するのだった。

 

「残念だったな。火力支援を頼む」

 

提督の号令一下、陸戦隊が展開した持ち運び可能、かつ緊急時には1人で運搬・発射が可能なM224軽迫撃砲をありったけ叩き込む。

HK416の銃身の下に取り付けたM320、フレシェット状のグレネード弾を発射するTitus-6グレネードランチャー、AT-4無反動砲で火力支援。その都度にセトメ アメリ軽機関銃、M240Bなどを撃ち続けて援護射撃を行う。向こう側に眩い閃光と爆発。地形を抉られて、再び飛び交う悲鳴、断末魔を上げながら吹き飛ばされる数人の敵兵。

先頭を行く者が撃ち倒され、後に続く者も同じく銃弾を喰らってひっくり返っていく。それでも数に勝る敵兵は、仲間がいくら死のうが勢いは衰えることなく、車輌を盾にして前進する。

 

「続いて、航空支援開始」

 

更には幸いにも1機だけ残っていたUCAV――《ロードスター》無人攻撃機を展開。上空から獲物を探し求める鋼鉄の猛禽類が、地上から遠隔操作端末を携えた隊員が操り、航空支援を開始する。全翼機の両翼下に抱える誘導空対地ミサイル――AGM-114R《ヘルファイアⅡ》が撃ち放たれた。レーダー補足。標的から出る眼には見えない反射波放射源を追跡した誘導式噴進弾が殺到した。白煙の尾を吐き出し、この降り注ぐ地獄の劫火、死の贈り物は避けようがなかった。

音速突破を超えた黒き鋼鉄の矢が、粉砕戦車《グラインダー》及び、サンドイッチ装甲車に直撃。頑丈さを誇る特殊車輌の天蓋を貫き、炸裂。高性能炸薬が混じった想像を絶する火焔地獄が内部まで隅々に浸透して、乗組員たちごと生きたまま焼き尽くした。車内では金属の叫喚が交錯し、やがて破裂に耐え切れなくなったオレンジ色の地獄の劫火を吐き出し、側にいた敵兵たちを吞み込み、死の底へと導いた。

車輌を全て失い、その庇護を得て前進したフラック・トルーパー、火炎放射器、重火器部隊は壊滅状態。無計画にも前進をしたが為に、いたずらに損害を被る結果に陥ってしまった。だが、負傷し悲痛な叫びを上げる敵傭兵、生き残った者たちにも容赦なく襲い掛かる。

絶えない激しい集中砲火。豪雨を模した砲弾の大瀑布と、機関銃の弾幕が、無数の銃弾が飛び交い、耳を劈く爆音と、空気を揺さぶる爆発と爆風による戦場の交響曲は止むことはなかった。

 

「か……海上にいる、味方の火力支援を要請しろ!」

 

士気沮喪、混乱に極めたオリンピア傭兵部隊の女性指揮官、ヒルデ・ハリス中将は悲鳴にも似た声で叫んだ。

 

「だ、ダメです!指揮官!軍国主義者の艦娘どもの迎撃によってそれどころでない。支援不可能だから持ち堪えろとの連絡です!」

 

彼女の側にいた通信兵が叫び返し、ヒルデは立ち竦む。

ある指揮官曰く、戦争では、勝つも負けるも、生きるも死ぬも、その差は紙一重。この言葉を表すかの如く、己の意に反しても一度始まった鮮血の宴は続く。立ち竦むだけでは何ら変わるところはない。

 

「悪いな。これも戦場での礼儀だからな」

 

躊躇なく引き金を引き、熱線を断続的に焔を発し、それが敵指揮官に達するなり、凄まじい雷鳴とともに身体中が発火し、真紅の血液すら蒸発する勢いを上げながら激しく燃え上がった。体を掻き毟るなり、だらだらと流れ出た水分が全て抜かれ、口を開いたまま固まり、糸を断ち切られた操り人形よろしく、その場に崩れる。地面に激突した黒焦げの死体は、より敵を狼狽、士気崩壊をするには充分だった。血相を変えた敵兵たちが慌ただしくなり、混乱を極める。これ以上は命がいくらあっても足りない。撤退しかないと喚いていた。

 

提督は躊躇うことはなかった。崩れたビルの破片、敵兵の亡骸を、擱座して鉄屑と化した敵車輌の残骸を器用に乗り越えながら前進する。

今頃、敵兵から見たら、地響きを上げて近づいてくる巨大な異形の戦車――味方だった筈の鋼鉄の櫓、竹馬に乗ったボイラー姿の戦車が、まさか敵となり、自分たちに襲い掛かって来るとは予想外だったのだろう。恐怖に慄いた奇怪な姿を目にしたのか、政治将校の制止を振り切って撃ち殺されようが、各々と必死の形相で蜘蛛の子を散らすように逃げ出して行った。大半が自称『プロの傭兵』部隊。その多くがペテン師、泥棒、人間のクズ、チンピラ、ゴロツキ、犯罪者たち。

大金を貰うオリンピア側に付いているだけで忠誠心も微塵もなければ、本気で戦争に行きたがる者は、大抵それを経験したことがない。

ゲーム感覚と勘違いしている連中なのだから言えるのだろう。勢いに乗って身を任せ、銃を携えただけならば誰でも小学生でも出来る。

 

「ふふ…あははは……!終わり、終わりだ!何もかもだ!ひゃあーははは!」

 

「た、助けて!我が救世主様!メシアアアッ!」

 

「お願い!見捨てないでえぇぇぇぇぇ…!」

 

「なんだよ、アニメや漫画みたいに軍は主人公たちや市民よりも弱い筈だ!話が違うぞ!」

 

「どうやっても勝てる訳がない!俺は逃げるぞ!」

 

恐怖に耐え切れず笑いながら、歌い発狂する者。何処かのインチキ宗教の神に縋る者。仲間に見捨てられて助けを求める者。その他にも飛び交う悲鳴が様々だった。だが、その姿を見た提督は、動揺せずひたすら前進して攻撃し続けた。敢えて助言を言うならばこう言おう。

 

ここは戦場だ。運命は自ら切り開け、と。

 

慈悲はない。その言葉を表すかの様に頭上から降りてくる鋼鉄の脚が躊躇なく踏み潰し、我先に敗走する敵兵たちに恐怖が浸透して、神経を麻痺するほど火薬や血の臭いが、ツンと鼻の奥を刺す戦いは続く。戦場を駆け抜けて、また残党兵を屠る。この過程を何度も繰り返して行く戦いは、やがて終焉を迎えつつある。だが、戦いの終わりはまた新たな戦いが向こうからやって来るのだから。

 

 

 

 

 

 

「ひ゛い゛く゛しょ゛う゛……つ゛へ゛め゛よ゛ふぅ゛も゛……!(ちくしょう……柘植め、よくも……!)」

 

提督率いる陸戦部隊が優勢の最中――最初は有利だったが、突如の出来事で形成逆転されてしまい、挙げ句、提督に捕まれて高所から投げ飛ばされた黒田。

 

「こ゛の゛ま゛ま゛た゛ら゛れ゛す゛む゛と゛お゛も゛う゛ら゛よ゛ぼ…れ゛に゛は゛ま゛りゃ゛ひ゛み゛つ゛へ゛い゛き゛がぁ゛あ゛りゅ゛!(このままタダで済むと思うな。俺にはまだ秘密兵器がある!)」

 

もはや虫の息かと思いきや、未だに生きていた。

頭部や顔、唇の端から赤々とした血を流し、服にはジワッと鮮血が滲む程の深い傷に伴い、肋骨を幾つか折り、呼吸する度に胸に焼けるような鋭い痛みが走るなどと、誰もが眼を背けたくなる様な重傷にも関わらず、必死に両腕を使い、見えない何かを掴むように手を伸ばして這いずりながら匍匐前進。喋ることは勿論、ここまで生きて動いていることすら奇跡に近いものであった。

 

「そ゛れ゛を゛づ が って゛ほ゛ ろ゛ し゛ て゛ や゛ る゛!(それを使って殺してやる!)」

 

人に戻れるかは怪しいが、目的を果たして、元の身体に戻せる様に深海棲艦とオリンピア軍による共同技術により施された医療技術で治して貰い、大金を貰えれば結果オーライ、と。何処までも底なし沼の様に欲深いさと野望を捨てる事はない。因果応報にも関わらず、転嫁する卑しい心、下らないプライドがそうさせているのか。果ては怨恨という物がそうしているのかもしれない……




今回もまたちょくちょくネタを入れつつ、激戦回という回にもなりました。好きな作品ネタを挟まないと死んでしまうような気がしませんが、気づいたらあると言うのは仕方ないねぇ♂(兄貴ふうに)

前回にも述べたように《クラーケン》の元になった多脚戦車、『第二次宇宙戦争 マルス1938』では特型戦車と言われて、圧倒的な強さを誇り作中では活躍しています。因みに米軍ではパットン将軍がこれに搭乗して、後世に残るぐらい大活躍しています。
さすが猛将、皆からは親父として尊敬されています故に、私の尊敬する指揮官でもあります。今回は抑えていますが、多少なりに同じように見習っています。

今回早々投稿したかったのですが、事情などもあり、イベントも重なったので遅れました。今回はフレッチャーちゃんや速吸さんなどが来たので嬉しかったですが。今回はE-4で断念しました、次の海域があの場所ですから、私なりの理由もある故に古鷹たちは連れて行けないものなので断念しました。

では、あまり話してしまうと長くなり兼ねませんので、そろそろ次回予告に移りますね。

次回は最後の部分でお分かりですが、この悪人との戦いになります。どの様な戦いになるかはお楽しみに。お察しの方々には分かりますが、レッドアラート3 アップライジングに登場したあるユニットになる為でもありますのでお楽しみを。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。次回もお楽しみくださいませ。

それでは、第70話まで…… До свидания(響ふうに)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。