第六戦隊と!   作:SEALs

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С Новым годом(あけましておめでとうございます)、同志諸君! 今年も本作を宜しくお願いいたします。

新年の挨拶はここまでにして、お待たせして申し訳ありません。
予告通り、今回は元帥視点です。彼女が成し遂げた物は現大戦には欠かせない軍事活動の一つであり、ディープ過ぎる内容となります。
同時に裏ではまた新たに怪しい動きが起こりつつあります。
果たしてどうなるかは、本編を読んでのお楽しみ。久々に一万文字近くになりました。

では、改めて今年初の最新話です。
いつも通り、楽しめて頂ければ幸いです!どうぞ!


第65話:サイレント・インテリジェンス

観艦式襲撃事件から3日目。

約束の期限まで余裕はあるが、無論のことこちらとしては降伏せず。徹底抗戦をするまでとの方針は変わらない。

 

「ここまで上手く事が進めば良いが……」

 

重い空気が漂う執務室で、元帥は独り言を呟いた。

部屋の中では秘書艦を担う香取姉妹はおらず、隣の警備部屋で待機させている。暫くはそっとししといてくれと言わせ、退室させたのだ。その際に彼女たちなりの気遣いなのか、執務机の上には胃薬と栄養ドリンクが置かれていた。

 

そう浸す気分も無理はない。

自国の存亡と、世界の運命を左右することだから当然だ。

我が国が占領されたら、かつての白人主体主義を主張する欧米国家を模倣し、半世紀も東南アジア地域を支配し続けた植民地支配と遅れてきた現在の帝国主義を掲げ、戦狼外交を展開した中国は周囲の国を侵略して、民族浄化という仮初めの言葉を借りた大虐殺――ナチスやスターリン以上の虐殺行為を進めて、ウイグル人・チベット人・モンゴル人・満州人たちをその人種だから、生きたまま殺害して臓器売買用や人体実験用人間、ウイグルに幾度も繰り返して核実験。その場に居るだけで気に入らないという身勝手な理由による迫害・虐殺はもちろん、その恐怖支配による洗脳に加えて、普段からよく使う自国の言語・言葉・魂・自由・権利・文化が、あらゆる国が持つ全てのアイデンティティーすら奪い尽くし、その歴史の果てに消えてなくなり兼ねない出来事を平然としたように……

 

世界経済を握った日本を潰せば、世界の経済混乱が瞬く間に発生。

真の意味での経済破綻への引き金となり、石油などの急速な生活必需品の欠乏、近代化生活様式を維持継続することがほとんど不可能なほど窮地に陥り、バランスの保っていた同盟関係自体が絵に描いた餅になり、最終的には国や人種との間にある仇敵同士の経済戦争、かつての遺恨再燃のごとく宗教戦争、そして最後には世界大戦へと勃発が始まる。

その結果に生じれば人類滅亡、世界終焉を導かせるには充分なものであり、その混乱に乗じて世界制覇を果たせば、勝者による新たな世界秩序を築くには筋が通っているほど実に理にかなっていることだ。

それらを全て知らないマルクス・レーニン主導、スターリン・毛沢東主義に染まった共産・社会主義者、彼らに加担するお花畑思想者の反対派こと、デュープスたちの意見は『目には目ではなく、国際社会に訴えかけるのが自衛』と、見ただけで吐き気を催すほどのニヤニヤ気味が悪い笑み、こちらを嘲笑う笑みを浮かべながら絵空事を、机上の空論ばかりを唱えていた。

 

「……この機に乗じて抗議する連中は呑気なものだ」

 

彼女はうんざりするもの――悪いニュースばかりがある報告書を見通した。本当ならばシュレッダーに掛けて処理したいくらいだが、目を通しておく必要があるから出来ないものだ。

 

「……世の中には呆れるほど馬鹿が多過ぎて困る」

 

あの観艦式襲撃事件以降、各鎮守府・泊地から自衛隊・在日米軍基地では当たり前のように暇な反対派集団による抗議活動(事実上『反日・反米宣伝組織』だが。)が毎日繰り広げているとの、報告が殺到すりばかりだ。潜伏工作員たちからの情報では、その内なる敵は心酔して止まない中国・韓国・北朝鮮などの工作員のように大胆にも基地に不法侵入、青春時代・若気のいたりという名の安保闘争に浸っていた反日学生運動家たちのようにビラをばら撒き、ゲバ棒を振り回しながら『造反有理』という言葉を掲げていた。

これは反乱するには理由という意味である。元々は文化大革命の紅衛兵が唱えた言葉である。つまり反日左派・過激派の大好きなカンボジアのポル・ポト率いるクメール・ルージュ(カンボジア共産党のこと)、または中国の紅衛兵を模倣しているのだ。――双方と化した市民団体の皮を被ったテロ組織が盗撮や監視、果ては警備員、自衛官たちから銃器を奪いとり、在日米軍基地に迫撃砲を撃ち込もうとするテロ未遂事件まで多発する始末だった。

 

情報戦に長け、ロシア軍にもコネがある郡司からも同じく『ソ連と中共の対日工作・浸透活動を模倣している』とのことだ。

現代戦には欠かせない情報戦。これを制する者は戦を制するとも言われるぐらい重要な諜報活動、所謂スパイ及び、インテリジェンス活動は3分類に当て嵌まる。

 

普段我々が聞き、一般的にも知られているスパイは国家機密などを盗み取る活動。

 

要人暗殺や重要施設の破壊、テロなど破壊工作を担うサボタージュ。

 

そして相手国に工作員を送りこみ、影響力のある宣伝などを通じて相手国の政策を歪める影響力工作。

 

全て厄介なものに変わりないが――特に後者、この影響力工作はその名の通り絶大な影響力を持ち、もはや絶滅危惧種と化した地上波メディアや新聞を含め、インターネットやtwitter、SNS、Facebook等の現代技術の進歩を活かし、より早く巧妙になり、そして何よりも同調者を求める声を武器に、世論調査にまで影響を与えるのだから敵にとってこれ以上にはない好都合なものである。

以前の日本は法律違反ではないので逮捕することが出来ないどころか、問題はこれ自体に対して取り締まる法律がなかったことが大問題だったため、常に『日本はスパイ天国』とも言われていた。

 

かつて日本はアジアの諜報大国とも言われており、日露戦争ではイギリスの諜報機関と協力しており、ロシアを撹乱させ、民間団体の内田良平も協力し、イスラム系グループ、反ロシア国のバルト三国などを取り組み、ロシアを弱体化させて日露戦争を勝利に導いただけでなく、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の言葉『明石一人で日本軍の20万に匹敵する戦果』と称賛された伝説のスパイの明石元二郎陸軍大将。

 

ソ連のコミンテルンやアメリカ共産党の危険を誰よりも知り、戦前に数多くの記録書、特にソ連・コミンテルンや共産党による秘密工作を詳細に纏める日本版ヴェノナ文書ともして有名な『米国共産党調書』を残し、支那事変から双方に関わる組織や個人名などを出してFBIを凌駕するほど情報を掴んでいた伝説の情報官こと在ニューヨーク総領事館総領事の若杉要。彼は自ら反日宣伝団体の会合に潜入や在米日本人を通じて情報収集、お互いに監視及び電話の盗聴をし合っていたが、つまり『敵の敵は味方。自分たちの敵はソ連やルーズベルトだろう?』と主張し、その二方三方の弁が出来るようなしたたかな面を持っていた若杉要はFBIと協力して情報交換を行っていた。そして当時の共和党議員ハミルトン・フィッシュ3世というアメリカ野党政治家と連携していたほど、対インテリジェンス活動を行っていた。

 

真実のひとつとして――アメリカの陸軍情報部が戦中時から、戦後のソ連の暗号を傍受して解読した記録『ヴェノナ文書』でも、若杉要が残した『米国共産党調書』にも当初のアメリカ共産党は『ルーズベルトは資本主義政権だから打倒するべきだ』と反対はしていたが――1935年にソ連・コミンテルンたちが統一戦線工作を取り組み、ルーズベルト政権を上手く取り込み、政府の金回りをとりわけ芸術系に利用、不況に困った芸術家たち、そこに補助金を出す団体をアメリカ共産党が作り、補助金を回すように各劇場に配るように促し、ハリウッドでこの浸透工作を巻き込んでいたその中心を担っていたのがアメリカ共産党だったことが記録に残されている事が同じように、ヴェノナ文書にも若杉要が書き残した記録がそっくりそのまま載っている。

 

さらに新たに公開されたソ連の共産主義工作の秘密を暴き日本国内の工作も多数記載し、さらに前者よりもコミンテルンが活動した1917年から冷戦時代の1978年くらいまで記録されているものを半世紀以上に掛けて全て英国に持ってきたKGB文章管理責任者のワシリー・ミトロヒンの『ミトロヒン文書』。ワシリー氏は命懸けで本文書のコピーを12年間も続け、イギリス亡命時までにはこの10万ページにものぼる文書を書き残したのである。因みにヴェノナ文書は3000、または4000ページ、米国共産党調書は3286ページほどである。

 

かつて《ベトナムに平和を!市民連合》、通称《べ平連》という市民団体はソ連崩壊後に公開された機密文書により、KGBを経由してソ連から資金・支援を受けていた市民団体の皮を被ったテロ組織に加えて――1965年10月にはベトナム反戦デモと同時に、日本人男性をKGBがスカウトした男性、コードネーム《ノモト》を使い、東京のアメリカ文化センター内図書館を本型・米国製煙草の箱に仕込んだ起爆装置を本棚に仕掛けて仕掛け爆弾を設置、爆破させる作戦『ヴァルカン作戦』という爆弾テロ事件を計画していた。

――しかし、この作戦が実行されたかはミトロヒン文書のなかには書かれておらず、作戦計画のみとも言われ、さらにこのノモトたる人物の本名は不明。つまり分からないままと言う。

但しその計画があり、その後には似たような事件は起こったらしく、月日が経ち4年後の――1969年11月1日にてアメリカ文化センターピース缶爆弾事件及び、これを模倣した4件の作戦が行われた。近年では専門家の間では『これら全てKGBの『ヴァルカン作戦』であっただろう』と推測されている。

 

また計画のみで終わったが、1969年には東京湾に放射能物質を撒き散らす作戦をソ連は計画を立てていた。つまり米軍横須賀基地の原子力潜水艦に対する全国的な非難を巻き起こすプロパガンダを起こし、反核運動、反原発運動を煽って『アメリカと付き合っていると、核物質が日本を汚染するぞ、と米軍基地を無くせ!』を言わせ、ソ連・中国の味方になるように世論誘導を企てたが、米国製の放射能物質を調達する必要があったが難しく、かと言ってソ連製の放射能物質だと足がつく恐れがあるため、KGB本部はこれを却下した。

しかし、火のないところに煙を立てるという諺、従軍慰安婦・南京虐殺という捏造記事で日本を貶めることが得意な某反日新聞が『アメリカの原子力潜水艦が放射能物質を漏らしたんじゃないか』とニュースを流し焚き付け、さらに同年に起きた佐世保市のエンタープライズ寄港阻止闘争で、『ビルマの竪琴』の作者である竹山道雄が入港容認をする発言をした際は反米工作として都合が悪いと知った激怒。鬼の首を取ったようかのように彼を袋叩きにして竹山道雄を社会的に抹殺、ひとりの偉大なる作家を葬ったのは言うまでもない。

 

ミトロヒン文書に書かれているKGBに協力していた日本の工作員たちも多く、有名な政治家として、1959年の石橋湛山内閣時代の官房長官として入閣、のちに日ソ友好議員連盟の会長を勤めた石田博英が有名だった。

彼の工作員名《フーヴァー》と言われ、1973年2月に日ソ友好議員連盟結成して会長になり、同年8月にソ連に訪問。それをきっかけに1974年にソ連の工作員となった、とミトロヒン文書に書かれている。またアメリカに亡命した元ソ連国家保安委員会(KGB)将校のスタニス・レフチェンコも、フーヴァーという工作員名で活動した石田博英の存在を認めていた。――日本の警察は調査はしようとしたが、石田博英は死去して真相は闇に葬られた。一説では石田博英がソ連工作員になったと同時に――石田直系の弟子であり、のちに警察のドンと恐れられた警察官房長官のトップでありながらも、隠蔽工作を行った後藤田正晴の妨害もあり出来なかったと言われている。

 

「私だけでも大変だったが……」

 

先人たちの教えを蔑ろにし、教訓を生かさなかったツケ、数え切れないほど真実を知った彼女はまず初めの一歩として、我が国の全ての水源管理・基地など管理を要する重要施設に隣接する土地の売買禁止、その周辺の立ち入り禁止・写真撮影禁止などと言った間諜活動、そういう形で陸海軍が軍事基地周辺のところを所管して警備をするとした法律、要塞地帯法を復活させた。

これにより外国人土地購入を禁止、同時に強制的に白紙および、撤去させて、拒否した場合は逮捕などを施した。かつて明治37年に出来た法制であり、軍事基地及びその周辺の土地に関しては全部軍が管理していく法律だったが、敗戦後にこれを廃止したのが悪しきGHQであり、逆に中国はこれを利用して北海道などの土地を買い続けた。

孫子の兵法を生み出した敵ながら天晴れ。中国は要塞地帯法廃止を含めて、そういうところは漬け込む余地があることの研究を軍法が無くなって軍の法律が廃止されて、どういうところを漬け込む余地があるかという研究もしていた。それは1937年代の段階からこの研究を始めていた一方、以前の日本側はこういう法律があったことを知らない醜態かつ過去を知らないと立て直しがないほど情けない有様だった。

しかも安全保障上、重要な沿岸地域を軍が管理することを定めた法律である要塞地帯法が廃止された結果――沿岸地域を警察・海上保安庁・自衛隊のうち、どこが守るのかという責任の所在が曖昧なまま現在に放棄し続けていた。その挙げ句、出世にしか興味がない自称エリート自衛隊上層部連中は『陸軍中野学校?F機関って何?』や『スパイなんて都市伝説』と呆れ果てたことを言い、自分を含めて黒木首相たちを激怒させたぐらいだった。

 

だからこそ、ヴェノナ文書やミトロヒン文書などで戦略が変わることを知っていた元帥や良識派たちは日本に対するソ連のスパイ・工作員活動の記録から戦後日本の政治家・官僚・新聞記者たちなどの国内で知られていない工作活動の具体例を学ばせて、米英豪などの対インテリジェンス活動、中国の兵法三十六計なども参考及び、同盟国との情報交換・共通・連携を強化――さらに現代版陸軍中野学校や対インテリジェンス組織を創設しては中国・韓国・北朝鮮などのスパイはもちろん、国内にいる反日宣伝団体や市民団体(事実上の反日・反米テロ組織)、影響力工作を持つ反日放送局などを徹底的に根絶やした。

国民にも関心が持てるように専門知識を知るには対インテリジェンス知識に伴い、民間人も民間防衛が必要などを促した《日本民間防衛》という、スイスの国民が一家に必ず一冊はあるという《民間防衛》という本を模倣したり、より親しくなるために漫画版も発行させた。

これが機を生じて関心度も向上する様になった。つまり国民が政治家たちを監視、きちんとした愛国心を持つ日本派が対策を取ることで、こういう事件を防ぐことが出来るというのが元帥たちの狙いだった。

 

権力を取られ、特に政治・軍・警察トップなどを敵(中国・韓国・北朝鮮)に握られたらどんなにスパイ防止法などがあったとしても負けたも同然だったが、元帥たちの対インテリジェンス活動などが功を奏して数多くの戦果を残した。

特に国内にいた中国共産党や朝鮮総連、その下部組織でもある孔子学院や朝鮮学校などの大学・学校施設、1970年代から中国・北朝鮮と関わり深いを持つ偽りの自虐反日歴史を主張、北朝鮮のチュチェ思想(主体思想とも言われる)を心酔し、更に反ファシズム運動を装い、略奪・放火・襲撃などのテロ活動を行う極左暴力テロ組織《ANTFA》と蜜月な関係を持つアイヌ協会とその利権団体。

アイヌを利用して中国人・朝鮮人・反日日本人を中心とした似非アイヌ集団による反日プロパガンダ施設の代表である博物館ウソポイや娯楽資料館、そして反日左派が運営する全ての平和記念館等を含めて彼らの口座凍結・資金援助停止、捜査を加えて強制退去や逮捕。同時に彼らに協力した有名な大手企業、NPO組織も例外なく厳罰。警告を無視して刃向かった場合は特殊部隊を派遣して、そこに潜伏していたあらゆる極左反日テロ組織の武装工作員や彼らの協力者たちを殲滅及び拘束した。

 

欲に目がくらみ、GHQの呪縛に伴い、1950年4月28日の声明に『戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない』からと宣言しながらも国に貢献はせず私腹を肥やして日本解体、日本の内部から破壊工作をするだけでなく、天皇や皇族抹殺、皇室解体を企て、さらに元号廃止を唱えたほどの反日思想を持ち、中国は友好国や地上の楽園と発言して、中国の《千人計画》に深く関与、日本政府からの科研費を横領しながら敵国である中国が得するような研究活動・技術流出を行い、平和を唱えれば平和になるという平和ボケのお花畑思想及び、夢見る様なドリーマーな日本学術議会の前会長や科学者たち。

その彼らに大きな影響を与え続けた公安監視対象の共産党と民主主義科学者協会(略称『民科』)というその下部組織とともに、日本人や米国人などを皆殺しにしたいために中国共産党にあらゆる軍事技術・機微技術を横流し続けたその売国奴たちによる日本破壊計画を辛うじて阻止したのである。元帥たちは諜報員を動員させて監視や盗聴、ハッキング、ハニトラ等を繰り返し、敵の背後関係を知るために泳がせてから狩り、同盟国の諜報組織と連携しながら裏で活躍することも努力したぐらいだった。 今でも残党を狩り続けているのが現状だが。

 

「全ての各省庁に全て説得したから良かったが……」

 

彼女は軍事面だけでなく、産業・投資・インフラなどあらゆる面でも安全保障・対インテリジェンス活動にも無論のこと力を入れた。

国内の経済を回復するため減税を実施、さらに仮想敵国である中国にも関税を掛け、経済制裁、軍事技術に転用させないように輸入・輸出制限。不正競争防止法と外為法というものを改正して日本の機微技術を持っている会社を守るため、外国企業が投資をすることに事前に審査をして場合によっては投資をしたり、協定を結ぶことは拒否すると言う仕組みを徹底的に施した。

産業スパイと成り得る留学生たち、外国研究者たちも例外なくビザ発給は厳重に行い、帰国時にはパソコンやUSBを持ち帰らせない為に、その代わりに代金を支払い没収して持ち帰らせない。特に中国軍等に所属しながら身分を偽って研究者などとしてスパイ活動した場合は逮捕。パソコンを押収してから強制的に本国送還。顔認証システムを施し、さらに二度と来日させないようにビザ発給拒否を行うなど徹底した。国内外関係なくインターネットサイバーや海外で自国の技術を盗んだ産業・経済スパイは取り締まることにも然りだった。

尚且つ《セキュリティ・クリアランス》という国家機密や機微技術に関与出来る人たちに関する資格を作り、資格を作って、資格を持っている人しか例え民間人であっても機微技術に関与出来ない・研究も出来ないという資格制度を作ることによって、疑わしい人物はそこに関与出来ない制度を実現させた暁には、科学者・研究者・技術者たちに優遇な待遇や飛び級階級、各々の研究を没頭するために数多くの支援制度を導入すら惜しまなかった。そして米英豪印による中国企業を上場廃止可能な監査強化に著名をし、ある歴代首相が行った『二つの海の交わり』並みの感動的な演説を黒木首相とともに披露して、連携を強化しつつ人心掌握にも力を入れた。

 

その間に日本を恨み、下らない理由で日本の全てを破壊するためにグローバル化、インバウンドを推進する政界・官界・経済界・マスコミの親中・親北・親韓勢力が駆使し、罵声を込めたポリコレ、お決まりの台詞『外国人差別!ファシスト!レイシズム!』と言われても彼女は膝を屈することなかった。

寧ろ『差別ではない。区別だ!あらゆる被害は出るが、目先の利益のために国民や子孫の命を蔑ろにするあなた方より、同盟国や親日国とともに自由と民主主義を護り、我が国の未来と国民、子孫たちの命を護るのが最優先だ!』と言い返し、刃を向いてきた連中の確たる証拠や背後関係を暴いては社会的に抹殺した。

――その復讐者たちは『貴様を殺してやる!この軍国主義が!』と吐き捨て、自身の暗殺を企てた輩には提督たちの幽霊組織《ゴースト》が悉く殲滅したのは言うまでもない。

 

そのおかげで未来を掴み、その意志を後世に継ぐ国防意識、現代によみがえった陸軍中野学校などと同じ諜報部隊の意志を受け継いだ隊員たちのおかげにより、歴史の裏で暗躍出来る諜報活動を取り戻した。

今でも遅いくらいだが、漸くインテリジェンス・ヒストリー学部や対外インテリジェンス機関の設立、同時にデジタル庁を含めてサイバー専門家たちを民間からも雇い人材確保と捜査官の増員。そして彼らを優秀な捜査官やホワイトハッカーに育てるために必要な総予算――約数兆円を確保するという様々な功績を積み重ねて来たのだが……

 

如何なる時でも冷静な元帥の心は決して晴れることはなかった。

 

「……それでも遅すぎたのは痛いが、私たちが取り返すまで三年も施したな。もっとも十年前の政府が、戦後にまだ旧軍たちがいた頃に今ある兵器や組織が保有・存在していれば……」

 

そう呟いた元帥は、栄養ドリンクを一口飲んだ。

もう少し早くしていれば、軍事力や情報戦、様々な軍事研究などにも長け、愛国心を持つ強い日本を取り戻せた。同時にGHQやソ連・コミンテルンらの呪縛・亡霊から解き放たれ、より良い日本を築けたのだと思うぐらい遅かったのだからだ。

 

「……何だか胸騒ぎがするな。彼らに……柘植提督たちにも何か良からぬ事が起きなければ良いが……」

 

提督こと柘植崇幸たちに続き、彼のところに新しく配属したあの二人にも大きな災厄が降りかからなければ良いが、と心配する彼女はただ外を眺めたのであった。

 

 

 

 

 

 

柱島某所

時刻 1000

 

そんな憂鬱に浸る元帥の独り言――何気ないその不吉な予言が、ここ柱島某所でも起ころうとしていた……

 

「だから先ほど言ったのに。何も取って喰おうなんて野蛮なことはしない私たちはある目的の為に服装を借りたいだけで、穏便かつ何も成りすまして悪さをして、全ての罪を持ち主に着せるなんてなかったのに……なんて馬鹿な選択肢を選んだのやら」

 

丁寧に説明してくれるわりには、通りすがりの大型トラックを運転していた元の持ち主たる配達員は殴り倒されていたから肝心な目的は聞こえなかった。仮に起きれたとしても口には猿轡を噛ませ、さらに念入りに身体をロープで縛り、近くにある木に括り付けて為にそう簡単に身動きが取れないように施してある。

 

「準備は出来たか諸君? これは極めて困難かつ重要な任務だ。我々はこの鎮守府を壊滅させるのだからな。奴らは生真面目かつ勤勉家だからな。奴らは我が家同然の鎮守府に居て恐らくは緩んでいるはずだ。そこを突いて攻撃するのだ」

 

ふぅ……と落ち着きを払った女性は切り出した。傍らには副官と護衛兵が佇立している。

 

『イエス!マザー!!!』

 

これに対して、配達員に装った女性指揮官を筆頭にした集団がその期待に応えるかのように腹の底から勢いをつけた声を張り上げた。

これから始まる劇場を楽しむだけでなく、自分たちは名誉ある地位以上に選ばれた特別部隊だと思うと高まりが止まらないほど、かつて与えられたことのない最高の指令だと。

 

「大変素晴らしい作戦ですが、彼らは言われる通りに気が緩んでいるのでしょうか?」

 

実行部隊のうち、最も勇気の特殊部隊隊員が発言した。まだ配属されてままならない故に、不安がある為に思わず本音を洩らしたのだ。

 

「大丈夫だ。私の首、いや、命を賭けてもいい。奴らは必ず私の言った通りの行動をしている筈だ。ともに戦う我が戦友や遠くにいる同志たちも見守っているわよ……さぁ、頑張りなさい」

 

そんな不安に駆られる隊員に対し、その女性は我が子のように接し、気に掛ける様子はまさに母親の姿でもあった。

 

「必ず成功させます。……グランド・マザー!」

 

グランド・マザーの予知能力は驚くべきものだったとは、一同はまだ知らなかったのである……




今回は現代戦でも欠かせない勝敗を分け、秘密裏に行われている内容、インテリジェンス活動となりました。
CoD:Boシリーズの如く、見えない戦争は当たり前であり、インテリジェンス活動を調べると本当に奥深いゆえ黒い作戦、一部の者たちしか刻まれない歴史という非常に濃い内容と興味が湧きました。ソ連のコミンテルンがあの戦争を仕組んだ工作、冷戦時代を超えて後世に伝える記録書、ヴェノナ文書、ミトロヒン文書、米国共産党調書などと語り尽くせないほどインテリジェンスは濃いものです。
架空戦記ではあまり語られないんですよね、当時はコミンテルンなどは知られてなく、漸く現代で明らかになったものですから致し方ありませんが。其れに今でも陸軍中野学校、明石陸軍大将や若杉要たちが居たら……などが残っていたら、とifが足りないくらいです。
この世界では元帥・提督たちの努力などがあり、取り戻すことが出来た一つの世界だと思って頂ければ幸いです。
某提督たちの憂鬱に出る嶋田首相みたいになり兼ねませんが。大蔵省のつじーんがいれば尚更ですが。

レッドアラート3の旭日帝国並みの技術力があればな……とも。
あそこまで高精度なアンドロイドを造るこの世界の日本も凄いですが、キングオニや将軍EX、メカテング、ツナミタンクなどオーバーテクノロジーで世界制覇も中々ですがw

あまり後書きで語り続けるといけませんので、次回予告に移ります。
次回は提督たちがいる柱島泊地に、災厄が襲い掛かります。
その災厄はネタバレしていますが、また新たに戦いの火蓋、同時に新たなる展開もあります。おそらく長くなりますので前編・後編、または前編・中編・後編と分けます。おほほほほ(おばけギャルソンふうに)

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。次回もお楽しみくださいませ。

それでは、第66話まで…… До свидания(響ふうに)

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