第六戦隊と!   作:SEALs

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お待たせしました。
寒い日になりましたが、体調に気をつけて執筆していますSEALsです。

それでは、気分を改めて……

いつも通り、楽しめて頂ければ幸いです!どうぞ!


第41話:失敗な日でも笑顔に

提督&第六戦隊邸

時刻 0730

 

早朝。

何時も通りに過ごす朝の光景、朝食が終わった直後、それはキッチンから事件が起きたのだった――

 

「あっ……あっ……」

 

キッチンで顔を青ざめている古鷹。

彼女の目線、床下にバラバラに散らばる破片。

古鷹が過って壊したのは、提督が大切にしていたお気に入りのマグカップである。

 

「大丈夫か、古鷹」

 

「提督…ご、ごめんなさい。私……」

 

壊した罪悪感に伴い、戸惑い、泣き顔になりつつある古鷹だったが、提督は怒ることはなく、怪我をしていないか、を心配した。

 

「怒っても仕方ない。怪我はないか、古鷹?」

 

「あっ……ちょっと指を切って、血が……」

 

「そうか。青葉、救急箱を。加古と衣笠は、ほうきとちりとり、掃除機で片付けを」

 

『おまかせあれ!!!』

 

提督の指示を聞き、青葉たちは各々と行動に移った。

 

「司令官。救急箱、持ってきました」

 

「ありがとう。青葉」

 

提督は、青葉が救急箱を受け取り、古鷹の人差し指に出来た切り傷に消毒液を掛け、消毒を終え、綺麗になった切り傷に救急絆創膏を貼りつける。

加古と衣笠は、散らばったマグカップの破片を収拾、仕上げは掃除機で細かい破片を片付けいく。

なお、割れた破片はビニール袋に入れて、高速修復の文字が貼られた黄緑色のバケツの中に入れて置く。

次の粗ゴミに出すまで、管理は俺にまかせろ、とバケツが呟いたような気がするが気にしない。

 

『提督、片付けたよ』

 

「ああ、ありがとう。よし、これで大丈夫だ。一応これで大丈夫だと思うが、あとで明石に見て貰おう」

 

「あっ……はい」

 

事は済んだものの、謝っても罪悪感は消えないどころか、後ろ向きな気持ちに古鷹は陥っていた。

他人には無理はするな、と言いつつも、自分は何でも背負い過ぎることが玉に傷だな、と呟いた。

古鷹の頭の中で交錯する最悪の想像に伴い、悪い方向ばかり思考が偏り、双方の重責に押し潰され兼ねない、と、見抜いた提督が声を掛けた。

 

「気にすることはない。古鷹はわざとやったわけではないことは分かっている」

 

「で、でも……私……提督の大切なマグカップを……」

 

「怒っても元に戻らないし、それに……」

 

「それに……?」

 

「今回偶然起きたこの出来事、超常現象で新しい記念品、新しい思い出が出来るきっかけと思えば良いんだ。その方が気持ちも楽になれる」

 

提督の言葉に、古鷹は、くすりっと微笑した。

同時に、古鷹は嬉しくもなったのだ。

 

「笑うなんてひどいな。これでも精一杯考えたんだ」

 

「ごめんなさい。嬉しくて、つい……」

 

提督も冗談交じりに言い、一緒に笑い合った直後――

 

「だから、今日は午後から街で新しい記念品を一緒に買いに行こう。もちろんみんなで行こう!」

 

提督の答えに、古鷹は嬉々した。

 

「はい。提督♡」

 

「私たちも良いよ〜♡ ♡ ♡」

 

加古たちも嬉々しながら、賛同した。

 

 

本土某所

時刻1330

 

午後の任務を終わらせた提督夫婦は、久々の夫婦仲睦まじくドライブを堪能していた。

運転中は、自身の好きな音楽を掛け、時々口ずさみ、流れる風景、そよ風に当たり、そして古鷹たちと他愛のない会話をしながらの運転が心地よい。

新しいマグカップを購入とともに、色々と楽しむことに決めた。久々のデートでもあるからだ。楽しまないとな、と呟きつつ、目的地まで走り続けるのであった。

 

 

『来たのは良いけど……』

 

古鷹たちは、苦笑いした。

 

「見てみろ、スカリー!」

 

今の提督は、超常現象を追うFBI捜査官のような口調に伴い、子どものように嬉々した。

雑貨店ではあるのだが、取り扱う商品がUFOやUMAグッズなどが中心だったのだ。

なお店内に流れるBGMはむろん、『The X Files』。

数分後、第一期EDとして使われた名曲が流れて来た。

 

「どう?僕たちの取り扱う商品は?」

 

この雑貨店を営む店長こと、レ級が問いかけた。

彼女は自由気儘且つ、度重なる戦いに、嫌気が差し、一部の穏健派たちとともに、このように店舗を営みながらのんびりと平和に暮らしている。なお『レキュルート』もこの雑貨店で経営し、穏健派たちの職業紹介も行っている。

 

「ああ、最高だ」

 

提督は、満足そうに答えた。

 

「我々の知っている提督たちにしては珍しい。我々が研究しているオカルト、UFOやUMAなどを馬鹿する者たちは多いが、子どものように興味津々とは」

 

「きゅう!」

 

提督の反応に対し、珍しげに答えるル級と、彼女の膝で猫のように寛ぐくちくいきゅうがご機嫌よく鳴いた。

 

「そこが彼の良いところだからね」

 

ル級の言葉を繋ぐように答えるのは、提督たちの鎮守府に荷物を届けるお馴染みのタ級。

宅配便もだが、非番時はこの店の手伝いもしている。

 

「君たちも何か見て、欲しいものがあったらサービスするから!」

 

「じゃあ……私たちも何か見て見ようか?」

 

『うん。そうだね』

 

レ級の言葉に、古鷹たちも御言葉に甘え、提督と同じように、自由に店内に置いてある商品を見始めた。

有名な宇宙人やUMAなどが描かれたTシャツから、キーホルダーなどはむろん、普段見慣れない様々な種類の宇宙食、そして不思議なことに有名な食用深海魚を使ったレトルト食品が置かれていた。

古鷹たちは訊ねると、レ級たち曰く『深海も宇宙と同じ神秘に満ち溢れている』とのことだ。

古鷹たちは思わず『自分たちの故郷なのに?』と、突っ込みたくなったが、敢えて言わないことにした。

 

――提督の新しいマグカップに出会えるかな。

 

古鷹がそう呟いていると、棚に置かれている商品に目が止まった。

 

――あっ、これ……

 

古鷹が手にしたのはUFOやUMAではなく、翼型エンブレムに施され、その真ん中にはエメラルドのように淡く緑色に輝く水晶球が埋め込まれたネックレスだった。

 

――綺麗。

 

水晶が持つ独特な魅力的な光源。

自分や加古の艤装に刻まれたエンブレム、なお且つ、自分の好きな色だから惹かれていたが、数秒後、我に帰った古鷹は目的を思い出した。

 

――わ、私、提督の新しいマグカップを見つけるために来たのに!目的を忘れちゃうなんて!

 

そっと、ネックレスを戻しつつ、もう一度、探してみると――

 

「古鷹、どうした?」

 

「ふえっ、提督!」

 

ひょい、と顔を覗かせる提督に、古鷹は驚いた。

 

「なにか欲しいものでもあったのかい?」

 

「いいえ。なにもないですよ。それよりも提督の新しいマグカップが……」

 

「大丈夫だ、見つかった」

 

提督が手にしたマグカップには、かつて海が比較的に暖かかった時代、新生代第三紀中新世半ばから鮮新世に生息していたと言われる、世界最大の巨大鮫『メガロドン』を可愛らしくちみキャラにデザインされたイラストが描かれていたものだった。

 

「良かったですね。提督の新しいマグカップが見つかって♪」

 

古鷹が言った。

本当は自分が見つけたかったのが本心だったが、愛する提督とこうして楽しく買い物することも嬉しいのだ。

 

「ああ、会計も済ましてのんびりデートしよう」

 

「はい。提督♡」

 

提督は新しいマグカップとともに、加古たちが見つけた某『I WANT TO BELIEVE』と言う言葉が刻まれたUFOポスターや宇宙食などを購入し、レ級たちに礼の言葉に伴い、別れの言葉を掛けて、店を後にした。

 

 

3時間後――

 

「いろいろと歩いて見たが……」

 

「占い師のおばさんが歌いながらのタロットカード占い屋は強烈的だったよな〜。『占いは裏だよ〜 表だよ〜そんな事関係ないんだよ』って歌は」

 

「しかも声もですが、歌声もダミ声でしたから余計に印象強かったですね。なんだか花沢さんのような声でした」

 

「踊りながらタロットカードを、面子のようにポンポンと叩いていたね。しかも綺麗に陳列してたけど……」

 

「でも、提督と私たちの相性と夫婦愛はこれからも良好だって結果が出たから良かったね!」

 

『ねぇ〜♡ ♡ ♡ ♡ 』

 

レ級たちの雑貨店から出店後、提督たちはいろいろな他の店に訪れ、買い物や散歩などを楽しみながら過ごしていたが、今は噴水公園にいる。

鎮守府から眺める自然豊かな海の景色も良いが、たまに来る文化が溢れる街や公園、双方にあるたくさんの樹木が芽生えている緑の景色が眩しい。

提督たちはベンチに腰を掛け、この園内に偶然に出店していた屋台のホットドッグを人数分ずつ購入、のどかな風景を眺めながら食べ始めた。

因みに提督たちが食べているホットドッグは、スペシャルドッグと言うものだ。

普通のホットドッグに使用するパン、縦割りのコッペパンではなく、ハンバーガーに使用するバンズを縦割りにし、パンの2倍はありそうなソーセージをメインに、輪切りにしたゆで卵、レタスに千切りキャベツなどが多くの具材を挟んでいる。

 

香ばしく焼きたてのソーセージから出る肉汁が各野菜とゆでたまごが持つ独特の旨味が見事に絡み合い、それらを受ける歯ごたえのあるバンズが、より全ての旨味を引き立ててくれる。同時に、バンズに塗られた甘酸っぱいケチャップ、程好い辛さのマスタードが余韻に浸してくれるため味も格別である。

武士は食わねどなんとやら、と呟いた提督は、古鷹たちより、先に完食したときだ。

 

「あっ、しまった。水がなくなってしまった」

 

先ほど飲みかけの水を飲み干してしまった。

提督は園内を見渡したものの、不運にも自動販売機はなかった。

 

――食後の運動も兼ねて、買いに行くか。

 

「飲み物買ってくるが、何がいい?」

 

提督は立ち上がり、古鷹たちに訊いた。

 

「私はお茶をお願いします」

 

「あたし、サイダーで」

 

「青葉は、メロンソーダをお願いします」

 

「衣笠さんは、ミルクティーで」

 

古鷹たちが言った。

提督は、映画のときを思い出すな、と呟きつつ、頼まれたものを買いに行くのだった。

 

 

15分後――

 

「提督、遅いね」

 

『ね〜〜〜』

 

古鷹が言うと、加古たちも退屈そうに答えた。

買うのに何処まで行ったか、また帰りに何処か寄り道をしているのかな、と各々と考えていたときだった。

 

「おいおい。姉ちゃんたち」

 

聞き慣れない声に、古鷹たちは、その声の持ち主がいる方向に視線を移した。

 

「四人かい。俺たちと一緒に遊ばねーかい?」

 

その声の持ち主は、古鷹たちの前にいた。

しかも、ひとりではなく、五人連れの革ジャン男たちだった。外見から全員とも悪趣味だった。

真ん中にいたスキンヘッドの男は、眼鏡を掛け、気味の悪い細くつり上がった両目や潰れ気味の鼻、両頬にはイボのようなそばかす、醜いゴリラのような男だった。

その男の側にいた男は、まるでイノブタ(イノシシ)に似た鼻を持ち、サングラスを掛けた男。

袖のない革ジャン、そこから露出している両腕の肩口からはタトゥーで覆われていた。

そして最後に荒くれ風の人相の二人は、黒の革ジャンであり、サングラス男と同じように世紀末に似たせ、みんな袖を全て切り捨てている。ニヤニヤ、と嫌な笑みを浮かべていた。

 

『ごめんなさい。私たち夫を待っているので』

 

古鷹たちが、声を揃えて言ったが――

 

「おいおい。人妻たちだぜ。よく見たらなかなかの上玉たちじゃねーか!」

 

スキンヘッドが言うと、サングラス男率いる連れたちも気味の悪い笑みをより強く浮かべ、高笑いした。

 

「こいつぁ、さぞかし幸せな奴だろうな。そんな妻たちを待たせるだらしねぇ旦那ども捨てちまって、この中岡二郎様たちと一緒にきな。もっといい目をみせてやるぜ!」

 

「こいつらの旦那どもは、さぞデリカシーないでしょうな!」

 

『間違いねぇな!ひゃははは!!!』

 

スキンヘッド男こと中岡二郎たちは、本当に古鷹たちがジュウコンしていることも知らず、提督のことを不毛した。

 

――こいつら。

 

古鷹たちは、いらっとしたが堪えた。

 

「何も言わないってことは嫌か?じゃあ……」

 

中岡はサングラス男へ目をやり、顎で指示した。

 

「俺たちと付き合わないだったら、こうだ!」

 

安い恫喝。男は隠し持っていたナイフを突きつけた。

 

「いいから、俺たちと一緒に付き合えよ!」

 

中岡たちは、古鷹たちが何も抵抗しないこと、これだけの美女たちと遊べることに対し、ラッキーだと心の底から思っていたが――

 

その逆であったことを思い知らされる瞬間が起きたのであった。

 

「ナイフを見て――」

 

すると、古鷹たちに恫喝したサングラス男が目の前から消えた直後――悲鳴にも似つかない軋む音が響いた。

サングラス男は不運にも、地面に跪くように倒れ、その彼を倒した人物が姿を現した。

 

『提督(司令官)!♡ ♡ ♡ ♡』

 

古鷹たちが声を揃えて言った。

提督はいつも通りのエグゾスーツ・カスタムを着用しており、右手から黒い細長いものをシュルシュルと収納した。

 

「さっそく、明石たちが装備してくれたワイヤーが役に立ったな」

 

「おいおい。俺たちは仲良く会話していただけなのに暴力振るうとかないわ!」

 

提督が素直な感想を述べるのに対し、中岡は睨みながら言った。

 

「……悪いな。お前たちのようなテロリストたちと仲良く会話する気は毛頭ない主義でな」

 

「っち。おい、友愛してやれ!」

 

提督の言葉に、中岡は舌打ちをし、三人の部下たちに指示した。

 

『馬鹿な男だ!大人しく友愛しろ!!!』

 

中岡の指示通り男たちは、一斉に懐からナイフや折り畳み式警棒を取り出し、提督に襲い掛かって来た。

しかし、エグゾスーツ・カスタムは、常人の走力よりも敏捷な動きが可能なため、蝶のように舞い、蜂のように相手を刺すことが出来る。

ブーストジャンプで躱し、後部に回り込む。

もう一度ワイヤーを発射、いとも容易く蝿を捕らえるカメレオンのように、ひとり目の男を捕らえた。

 

「悪いが、お前を武器にする!」

 

『俺たちの出番、これだけなんてひでぇ!!』

 

――K.O.!

 

提督がそう呟くと、捕らえた男を回し、さながらヨーヨーを扱うように側にいた男たちにぶつけた。

この予想外な攻撃に男たち対処しきれず、三人とも呆気なく倒されたのだった。

 

「なにっ!?」

 

自分の部下たちが瞬く間に倒されたことに、中岡は驚きを隠せなかった。

 

「次はお前の番だ。ブタゴリラ」

 

提督の言葉を再び聞いた中岡は、顔を真っ赤に紅潮させて、ゴリラのような雄叫びを上げた。

 

「よくもイケメンな俺様を侮辱したな!絶対に許さん!絶対にだ!」

 

中岡は襲い掛かる、と思い、提督は身構えた。

しかし、中岡は襲い掛かると思いきや、後ろを振り返り、提督たちが利用した屋台のホットドッグ店に向かうと、店員を殴り飛ばした。

直後、移動式のホットドッグ屋台店を思いっきり、両手に持ち上げたのだった。

文字通り、火事場の馬鹿力である。

 

「人間には限界はないんだ。侮辱してくれた礼に、てめぇの妻どもをぺしゃんこにし終わってから、じわじわと殺してやら!」

 

中岡は、己の腕力を思いっきり活かし、ハンマーで卵を割るような勢いで古鷹たちに目掛けて振り落とした。

提督が駆けようとすると、古鷹たちが『ここは任せて』と、可愛らしくウインクをした。

 

「大人しく道端で車に引き殺される哀れなカエルのようになれ!」

 

中岡は勝ち誇ったように宣言したが、次の瞬間、予想外な展開を迎えた。

 

「あっ、あの……私たちこう見えて力持ちなんですよ。なんちゃって」

 

苦笑いしながら古鷹が片手で、ホットドッグ屋台店を受け止めた。

これを見た中岡は、もう一度、力任せに振り落とそうとしたが、びくともしなかった。

 

「嘘だろう!?おいおい!?」

 

驚くのも束の間――

 

「では……」

 

『私たちの夫を馬鹿にした報い、その制裁を喰らって貰いますね?』

 

ホットドッグ屋台店をそっと置いた古鷹の言葉を続き、加古たちも声を揃えて言った。

表情は笑っているも、後ろからは黒く禍々しい雰囲気を越えて、紅く燃える地獄の入り口を開けたかのように静かに怒っていた。

 

――終わったな。あのブタゴリラ男は。

 

提督は、可愛そうだと思わない。

寧ろ因果応報、自業自得だなと呟き、両手を合わせたのだった。

 

「青葉フラッシュ!」

 

「目がぁ〜 目がぁ〜」

 

青葉はカメラを取りだし、フラッシュ攻撃を――

 

「加古スペシャルキッーーーク!」

 

「ぐはぁ!」

 

加古は特撮ヒーローの必殺技を繰り出し――

 

「……これが、これが私の返事よ!」

 

「ぎゃあああ!」

 

衣笠は某台詞に伴い、有名な技を――

 

「重巡パンチ!」

 

「ひでぶ!」

 

そして最後に古鷹が止めを刺し、中岡の腹を殴り気絶させたのであった。

目にも見えない早業で、どんな敵でもイチコロさ、と言う勢いを出した古鷹たちの鉄槌は恐ろしいな、と、提督は素振りをしつつ、駆け寄った。

 

「大丈夫か、みんな?」

 

「大丈夫ですよ」

 

「こんなブタゴリラども……」

 

「深海棲艦に比べたら……」

 

「私たちの敵じゃないから」

 

「……取り敢えず、警察に連絡しないとな。あとホットドッグ屋台店の店員に応急処置もな」

 

『はい!!!!』

 

古鷹たちの返事を聞き、提督は安堵の笑みを浮かべ、警察に連絡したのだった。

 

 

15分後――

 

「御協力感謝いたします。お手数掛けますが、身分証を確認するためスキャンいたします」

 

警察官が感謝の言葉を述べた。

同時に、中岡に殴り飛ばされたホットドッグ店員は、古鷹たちの応急処置で軽傷で済んだことも幸いだった。

店員は、警察官たちが保護することになっている。

そして警察官のひとりが、提督の身分証を確認するためにホログラム端末機でスキャン、提督たちが柱島泊地所属であることを確認した。

 

「鎮守府所属の提督と艦娘たちでしたか。お手数掛けて申し訳ありません。後の処理は我々にお任せくださいませ!」

 

提督たちは『よろしくお願いします』と、言い、警察官たちは中岡たちを連行し、パトカーを発進させた。

警察官たちを見送った提督たちは、ほっと胸を撫で下ろした。

 

「いろいろあったが、デートの続きしようか?」

 

『はい、提督(司令官)♡ ♡ ♡ ♡』

 

気持ちを切り替え、提督たちはデートを再開した。

 

 

夕刻――

 

提督たちは、迎えのヘリが到着を待っていた。

今日のデートでいろいろと歩み、楽しめたことに満足した。

 

「今日はいろいろあったが、楽しかったな」

 

提督が言うと、古鷹たちは嬉々した。

 

「はい。提督の新しいマグカップも見つかって良かったですね」

 

「ああ。明日からはこいつでコーヒーを飲もう」

 

「私、淹れますね!」

 

「明日はあたしと青葉だぞ。古鷹」

 

「青葉が淹れますね」

 

「帰ったら、私が淹れるね」

 

賑やかな雰囲気になる前に、提督は両手を軽く合わせてお開きにした。

 

「はいはい。順番ずつだからな。それと……」

 

提督は両懐から二つずつ、細長い箱を取り出した。

合計四つの箱を、古鷹たちに一つずつ手渡した。

 

「提督、これ……」

 

「プレゼントだ。開けてみろ」

 

「はい。みんな開けようか」

 

「うん!!!」

 

古鷹たちは、ゆっくりと箱を開けた。

すると、中身に入っていたのは――

 

「これ……レ級さんたちのお店の……」

 

古鷹の言う通り、レ級たちの店にあったあのネックレスだった。

 

「今日は不思議な一日だったからな」

 

提督は、真実を追い続けるモルダーのように呟いた。

彼なりの下手な演技、それを見た古鷹たちは唇を矢型に変えて喜んだ。

 

「帰ろうか。我が家に」

 

『はい。提督(司令官)♡ ♡ ♡ ♡』

 

夕暮れのひととき、提督夫婦は愛しい我が家である鎮守府をゆっくりと帰るのであった……




今回は日常的な出来事に伴い、こういう展開もありかなと言う回でもありました。
ネタもいくつかありましたが。

因みにこの中岡は、別世界では連邦大統領になっている所以、この世界同様に痛い目に遭うと言う……
本編に登場した世紀末、彼らのモデルは小説版HOMEFRONT『米本土占領さる!』に登場しています。どの世界でも北斗の拳やマッドマックスなどに出る世紀末に似ていますね。

では、次回からは架空戦記、元よりCoDシリーズのような展開などにより、新たな不吉な前兆の前触れが始まりますのでお楽しみくださいませ。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。次回もお楽しみに。

それでは、第42話まで…… До свидания((響ふうに)

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