第六戦隊と!   作:SEALs

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お待たせしました。
今回は本作とともに、『天空の富嶽』同時更新です。

ネタも少々、ありますのでお楽しみに。
では改めて、いつも通りの予告に伴い、楽しめて頂ければ幸いです!

どうぞ!


第36話:勘違いも、たまには……

――こんにちは。五月雨です。

今朝、古鷹さんたちが作ってくれた朝食を食べて、加賀さんの言葉を借りれば、気分が高揚しています。

久々に優雅な朝を迎えて、張り切っています。

今日は私にも初任務――任務は本土での別鎮守府の演習に伴い、会議や情報交換などを行いました。

今日の予定よりも早く終えた私たちは鎮守府帰投途中で、少しばかり寄り道を楽しんでいる最中です。では♪

 

 

本土某所

時刻 1145

 

先頭には装甲戦闘車輌――米軍が開発した対戦車地雷とIED(即席爆発装置)に対応できるよう設計されたクーガーHE装甲戦闘車輌。

本車の運転手は提督だ。彼の趣味に合わせて、米軍仕様のデジタル迷彩を施されている。

自衛火器として、OGPK――装甲銃塔キット付きM2重機が備えている。

車内は明石と夕張が改造として、空調装置と飲料水冷却供給装置の両方が取り付けられ、陸自が採用している輸送護送車こと、ブッシュマスターを参考にしている。

従来のクーガーHEよりも、強力である。

 

提督が運転するクーガー装甲戦闘車輌とともに、同車が2輌、彼らを護衛するのはM134《ミニガン》を搭載したM1151 装甲ハンヴィー1輌。

少ない護衛を補うため、車輌の周りには自由自在に飛行する機銃を装備した小型ドローン――MQ-27《ドラゴンファイア》が護衛を務めている。

 

これらの車輌などは、揚陸艦で輸送して来たものだ。

自分たちの艦船は近くの軍港に停泊し、本土での作戦会議司令部に移動する際には、ヘリや車輌などの移動が欠かせないため、常に備わっている。

なお、長距離作戦でも護衛艦と同じく『海上司令部』としても役割を担っている。

また、アングルド・デッキを模倣した艦娘発進射出用カタパルトを装備した新鋭輸送艦『艦娘母艦』と言うものも配備されている。

 

久々の、内地での快適なドライブとは言え、護衛は必要であり、左派系襲撃者たちが抗議と言う名のテロ行為をする連中がいるための用心である。

日本の左派系、自称『リベラル』は感情論且つ、非常に暴力的で、他人の話し合いなど通じないほどだ。

緒戦では自衛隊及び、米軍が配備した配給施設にある食料など日常品を確保するために、現政権の足を引っ張るための国会議員たちと結託して襲撃することが多かった。

 

しかし自衛隊などの特殊部隊による掃討及び、古鷹たちが鎮守府近海にいる海賊船と、南方に配置された深海棲艦を殲滅したおかげで、日本のシーレーンが回復している今は、大陸から物資が届くようになり、スーパーやコンビニなども潤っている。

そのおかげで提督たちは、国民たちから感謝の気持ち及び、称賛の声が高まっている。

国民たちから見返りは要らない。彼らに感謝されるだけでも、弱き者たちを労り、優しさで彼らを救うことでも護ることだな、と提督は胸の奥に呟いた。

 

「では……次の目的地に到着まで、ごゆっくり景色などをお楽しみくださいませ」

 

提督は車内にある無線機を使って、冗談交じりの車内アナウンスを言った。

 

『は〜い♡ ♡ ♡ ♡』

 

彼の言葉に釣られて、古鷹たち全員は、楽しそうに笑って答えた。

 

「今日の特別な食事会、上々でしたね」

 

「そうですね、赤城さん。思い出しただけでも、あの味を思い出しますね」

 

古鷹たちだけでなく、赤城と加賀なども気分が高揚している。

提督は普段の労いと感謝の気持ちを込めて、この森林奥地に隠れている絵に描いたような古き良き自然のなかにある牧場『岡梶牧場』で食事を振る舞ったのだ。

岡梶牧場は、牧場経営に伴い、国産牛を使ったバーベキューと、ステーキレストラン、ワイン蔵、自家菜園で育てた野菜やハーブ園、野外ステージや多目的ホールでのイベント、そして乗馬クラブに、たくさんの小動物たちと触れ合うことが出来る有名な牧場だ。

県内はむろん、この牧場で育った国産牛肉を欲しい、と県外から来客が苦労してでも足を運ぶほど、ガイドブックでも紹介されている。

 

なお帰る前に牧場の経営者たちは、提督たちにお土産として、サーロイン、フィレ、ランプと言ったステーキ肉とともに、自家用ソーセージや野菜などが入ったクーラーボックスをたくさん用意してくれた。

地域住民に故意にしてもらうのはありがたいが、こういう贈り物は賄賂扱いされるか、心配したが、ちゃんと食べてお礼を言うべきだろう。それがせめてもの礼儀だ、と言うことで感謝の気持ちを無駄にせず、鎮守府にいるみんなのお土産として受け取った。

 

全員満足できて良かったならば良いかな、と提督は運転しながら、チラッとバックミラーを見た。

 

古鷹たちは、みんなで撮影した写真を、青葉が持参してきたノートパソコンに、デジカメに内蔵されている写真データを読み込み、観賞していた。

食事風景はもちろん、小動物と触れ合い、乗馬体験などを楽しむ写真を見ていた。

赤城・加賀、そして五月雨も同じく、古鷹たちとともに写真観賞を楽しんでいた。

 

「司令官の乗馬姿、カッコいいです〜♡」

 

「うん、そうだね♡」

 

「あたしらの王子様であり……♡」

 

「自慢の夫だもの〜♡」

 

恍惚な表情を浮かべる青葉に、古鷹・加古・衣笠も賛同して頷く。

 

――古鷹さんたちの気持ちは分かるけど……私たちから見れば提督は、アフガン戦線にいる米軍特殊部隊隊員ね。

 

赤城・加賀は、アフガン戦線にいても違和感がない、と内心に呟いた。

五月雨は、騎士でカッコいいと思っていた。

 

「この二枚の写真も中々ですね」

 

青葉はマウスを動かして、2枚の写真を表示した。

1枚目は単縦陣を組み、乗馬する赤城・加賀の姿は日本の伝統的な騎射の技術・稽古・儀式として有名な流鏑馬の如し、美しき女性射手であり、古き良き大和撫子として写っていた。

 

「良い写真ですね」

 

「ええ。流石に気分が高揚します」

 

ふたりとも、照れた表情を浮かべていたが、ニッコリと微笑んでいた。

 

「この写真も中々ですね」

 

2枚目は、乗馬している提督と一緒に写っているのは五月雨である。

五月雨は初めての乗馬なので、危険だと感じた提督は一緒に乗馬したのだ。

おとぎ話のように、『乙女の永遠の憧れ』の代名詞のような存在とも言える白馬の王子様を思わせる写真でもあった。

 

「思い出しただけでも恥ずかしいです〜」

 

「良い写真ですから、撮った写真は全部プリンターで印刷しておきますね」

 

「あ、お願いします」

 

五月雨は、はにかみながらも満更でもなかった。

 

「青葉さん、私たちの写真もお願いしますね」と赤城。

 

「私もアルバムお願いしますね」と加賀。

 

「はいはい、おまかせください♪」

 

古鷹たちは会話の花を咲かせながら、楽しんでいる様子を見た提督は、笑みを浮かべた。

 

――みんなの喜んで良かった、今夜も忙しくなるな。

 

と呟き、名曲『Danger Zone』を聴きながら、次の目的地までドライブを満喫した。

 

 

 

そして、1時間後――

 

「御乗車ありがとうございます。次は映画鑑賞を心ゆくまでお楽しみください」

 

五月雨の要望で、映画館に立ち寄ることにした。

提督たちも休日、食後には映画鑑賞(主に戦争映画が多いが)を楽しむことが多く、何よりも大画面で大勢で観るのも映画ならではの楽しみだな、と全員賛同した。

様々な映画情報に伴い、買い物も出来ると言う楽しさもあるからな、と提督は呟いた。

 

「五月雨は、何が観たい。好きな映画を選んで良いぞ?」

 

提督が、五月雨に訊いた。

何でも良いの、と両目を輝かせる彼女に、彼は穏やかな笑みを浮かべて頷いた。

 

「えっと……五月雨、この映画が観たいです!」

 

五月雨が観たい映画を、提督たちは確認した。

映画のタイトルは『電光戦艦ナガトラマン 戦艦水鬼の逆襲』だった。

内容は、戦艦棲鬼の姉、戦艦水鬼が妹の復讐のために現れ、それを阻止するナガトラマンとともに現れた謎のヒーローとともに、戦艦水鬼と戦うと言うストーリーだった。

 

これを見た提督は頷いた。

 

「よし、分かった。みんなのチケットを購入しよう!」

 

提督は、古鷹たち全員分のチケットを購入した。

大量の映画チケット購入時に、店員から『赤穂浪士かな?』と言われたのは、さほど気にしない。

 

「チケットは購入した。飲み物はどうする?」

 

提督は、古鷹たちに訊いた。

 

「五月雨は、メロンソーダでお願いします!」

 

「私は烏龍茶でお願いします♪」

 

「あたし、コーラとポップコーン♪」

 

「青葉は、カフェラテとキャラメルポップコーン♪」

 

「衣笠さんは、カルピスとフライドポテト♪」

 

提督は、俺はコーヒーにするか、と古鷹たちが割り勘で出してくれた料金を含めて、支払う彼の隣には――

 

「ふたりとも、相変わらずスゴい量だな」

 

「いいえ、このくらいは……」

 

「大丈夫ですから……」

 

『寧ろ軽食ですから♪』

 

阿吽の呼吸で答えた赤城・加賀の両手には、特大サイズの飲み物とポップコーン、ホットドッグやフライドポテトを持っていた。

 

「それなら良いが……それじゃあ、もうすぐ上映されるから行くぞ、みんな」

 

提督を筆頭に単縦陣を組んだ古鷹たちとともに、館内に移動して映画を楽しむのだった。

なぜか提督たちの周囲は、コーヒーや激辛御菓子などを頼む来客たちが殺到したのは言うまでもなかった。

 

 

 

2時間後――

 

「面白かったですね!提督!」

 

「ああ、大人になっても特撮ものやロボットアニメは燃えるな」

 

「私も子どものように、夢中になっちゃいました♪」

 

提督と古鷹は、五月雨の両手を、繋いで歩いている。

映画館を見終えた一同は、広場で散歩していた。

数歩ずつ歩いたら、加古から青葉、衣笠と交代ずつ手を繋ぎながら会話を楽しむ。

因みに手を繋ぐと言うスキンシップは、お互いの好意を表すことが出来る愛情表現であり、心と心を引き寄せる力もある。

 

今日の朝食のように、また少しでも距離が近づけ、古鷹たちと仲良くなれたら良いな、と提督は呟きながら、歩き続けたときだ。

 

「アイスクリームはいかがかね?アイスクリーム!」

 

見知らぬ声を耳にした提督たちは、声の主がいる方向に視線を移した。

 

その声の主は、広場の近くに駐車しているアイスクリーム移動販売車だった。

深海棲艦出現後は減少していたが、シーレーンが回復して、日常品が潤っている今は元に戻りつつもある。

近年では本格的な味を出している移動販売も多く、人気も高まっている。

 

「懐かしいな。アイス食べる?」

 

「はい!」と五月雨。

 

「古鷹たちはどうする?」

 

『もちろん、食べます!』

 

全員賛成。提督たちはアイスクリームバンで人数分を購入する。まずは五月雨ちゃんに手渡されると――

 

「お嬢ちゃん、いいね。パパとママ、お姉ちゃんたちと一緒で」

 

「仲良し夫婦で羨ましいな♪」

 

店員たちは、提督と古鷹たちを家族と勘違いしていた。

思わず提督たちは、頬を赤く染めていた。

夫婦と言っても過言ではないが、と呟いた。

 

――こういう勘違いも、たまには良いな。

 

と、アイスクリームを食べていた提督と古鷹たちは、顔を見合わせながら頷いた。

 

――提督と古鷹さんたち、どうしたのだろう?

 

アイスに舌鼓を打っている五月雨は首を傾げた。

しかし、よそ見をしていた彼女は、足元にある小石に気づかずにつまづいた。

五月雨が持っていたアイスクリームは、空中の風に舞い、そして見事に提督のズボンに着弾したのだった。

 

「………」

 

しばしの沈黙が続いた。

五月雨は、これは怒られると思い、怖くなった。

いくら優しい提督でも起こるときは、さぞ怖いだろうと思うと、うるうると涙目になり、ガクガクと全身が震えた。

 

「あっ、あの……」

 

提督が五月雨の前に近づいた。

彼女は怖くなって瞼を閉じて、怒られる覚悟を決めていたが―――

 

「おっと、すまないな。五月雨」

 

「ふぇ……?」

 

提督の意外な答えに五月雨は、素っ頓狂な声を出した。

彼は、五月雨の頭を優しく撫でて笑顔を返した。

 

「俺のズボンが五月雨のアイスが美味しそうだったから、つい食べてしまって。食いしん坊な俺に似たズボンでごめんな。ほら……今度は食べられないように大きめのアイスを買いに行って来い」

 

「はい!でも……」

 

「でも……?」

 

「提督と古鷹さんたちと……もう一度、一緒に買いに行きたいですけど良いですか?」

 

「ああ、もちろんだ」

 

『もちろん、いいよ♪』

 

提督たちの言葉に、五月雨は唇を矢型に変えて微笑した。

 

「それと古鷹、ありがとう。拭き取ってくれて」

 

「いえいえ♡ 帰ったら洗濯しましょうね」

 

「今日は不思議な日だね♡」と衣笠。

 

「うん。こういう日と♡」と加古。

 

「良い勘違いも良いですね♡」と青葉。

 

ああ、と提督と古鷹たちは頷き、もう一度五月雨と一緒にアイスを買いに行った。

 

「うふふ。私たちも良い雰囲気を味わえましたね♪」

 

「ええ。本当にあの店員さんたちの言う通りですね」

 

ふたりの言う通り、一同はもう一度買ってきたアイスを楽しみつつ、夕方になるまで優雅な寄り道を堪能したのだった。

 

 

 

アイスクリームバン車内。

 

「ふっ……同志たちも上手く距離を近づけたな」

 

「ああ。共同作戦も成功だな」

 

アイスクリーム販売員の正体は、郡司と木曾だった。

今回の寄り道も元帥や提督たち、ふたりの共同作戦でもあったのだ。

五月雨も前提督のせいで距離も近づけず、なお遠慮しがちでもあったことを懸念した元帥は、提督と郡司たちに今回の合同作戦を提案して、ふたりは実行したまでもあり、無事に成功した。

 

「今後も同志たちならば上手くいく。躓いたら僕たちが支える。それが元帥の願いであり、幸せなのだからな」

 

郡司の言葉に、木曾は微笑する。

 

「ああ。そうだな」

 

「それじゃあ、僕たちも余ったアイス食べよう」

 

「ああ。もちろん、その前に……♡」

 

木曾は、郡司の頬に手を添えて、口付けを交わした。

郡司も人目を気にせず、彼女と唇を重ねた。

 

「怖いわ。シュガリストよ〜」

 

提督たちとは違って、別の甘さを披露したのは別の話である。




今回はドライブをしつつ、寄り道回でもありました。
車輌はCoD:Bo2のストライクミッション『I.E.D』を参考にしています。備えあれば憂いなしですからね。

映画のタイトルネタは、早すぎた名作『電光超人グリッドマン』からです。
グリッドマン、ご存じの方いれば幸いです。
今年の秋には、アニメ版のグリッドマンが放送されますから、楽しみでもあります。

五月雨ちゃん編は、無事終了です。
次回は、また古鷹たちと甘い話に戻りますのでお楽しみに。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは、第37話まで…… До свидания((響ふうに)

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