それでは続きの続きです、今回のタイトルは古鷹たちがするのではありません。
提督であります。
楽しめて頂ければ幸いです!
では長話はさて置き、本編であります。
どうぞ!
執務室――
時刻1500時。
昼食を取り、ひと休憩を終えた一同は執務室ないし各担当場所に戻り、執務を続けた。
特に提督と秘書艦の古鷹は多忙であり、帰投した各艦隊の遠征報告・演習成果に、そして各海域戦果などの各報告書や書類を整理して纏めている。
多忙ではあるが、誰ひとりも失うことなく我が鎮守府に全員帰投できたことに対して安堵の笑みを浮かべた。
各書類との睨み合いっこが続き、最後の書類に印鑑を押して終了した。
「よし、時間どおり終わったな」
提督は『う〜ん』と背伸びをした。
「提督、お疲れ様です♪」
「お疲れ〜♪」
「司令官、お疲れ様です♪」
「提督、お疲れ♪」
「疲れたな~」
古鷹たちが座っているソファーに腰を掛けると……
「はい、提督。第六戦隊特製のレモン入りレアチーズケーキです」
「ありがとう、古鷹」
執務室にあるテーブルには古鷹たちが作ってくれたレモン入りレアチーズケーキとともに、彼女たちが淹れてくれた紅茶は、提督の大好きな紅茶、独特な柑橘類の匂いがするアールグレイが用意されていた。
書類作業を終えた提督は、古鷹たちとともに紅茶を楽しむ。
執務室は休憩室に変わることは、どの鎮守府でも当たり前になっている。
季節によってはカニが生息する砂浜や海の家、そして旅館顔負けの露天風呂など春夏秋冬に合わせた家具を設置してこだわる提督たちもいるのも珍しくないが。
かく言う提督も趣味である小説、仮想戦記が多く収納されている。
また架空戦記だけでなく、本棚にはミリタリー雑誌、漫画などがずらりと並んでいる。
そして彼なりのこだわり、この鎮守府限定の古鷹型・青葉型重巡洋艦のプラモデルも飾っている。
これらを読み、眺めながら堪能する甘味は格別である。
余談だか提督がいま読んでいるのは『超戦艦空母出撃』と言うタイトルの小説である。
戦艦と空母を組み合わせたと言う奇妙な艦船を日本海軍が生み出し、これらを4隻建造して史実とはまた違った開戦を歩む……という架空戦記である。
また宇宙人と宇宙兵器を相手に日米英が協力し合って戦う架空戦記も最近購入したのだが、ほとんど読む時間が限られているため、まだ本棚に置いてあり手をつけていない。
現状に戻る。
「はぁ〜、このひと時も落ち着くな」
「古鷹、とても嬉しいです♡」と古鷹。
「えへへ、私たちが腕を振るって作ったからたくさん食べてね♡」と衣笠。
「次は青葉と加古がブラウニーを作りますね♡」と青葉。
「提督のためにクルミたっぷり入れるね、あたしらの愛情もね♡」と加古。
「ありがとう、みんな」
提督は微笑んだ。
間宮たちのお菓子も良いが、やはり古鷹たちの作るお菓子が食べられることが幸せである。
提督も料理は作ることもあるが、やはり古鷹たちの料理が『世界一』と親友たちに自慢している。
なお親友たちも『嫁艦の料理は世界一』と自慢しているため、語り合うとイタリア人並みに愛についての哲学を聞かされるため、周囲はいつの間にか砂糖放出ないし苦い物や激辛料理などを食べる『シュガーテロ』が頻繁に起きている。
しかしとある人物だけは抗体性があるのか、けろりとしている。
古鷹たちとお茶を楽しんでいると、端末機《スマホ》から一通のメールが来た。
送り主は明石からだ。
“提督のエグゾスーツ、整備し終えましたから工廠で待っていますね”
「早くできたな、さすが明石たちだな」
提督は読み通すと、端末機を閉まった。
「どうしたのですか、提督?」
古鷹が尋ねた。
「明石からメールが届いた、エグゾスーツの整備が完了したとのことだ」
「あ〜、提督が着用しているエグゾスーツか…… 相変わらず早いな〜」
加古はそう言うと、レアチーズケーキを口に運んだ。
「夕張も手伝えば、鬼に金棒さ。また新しい機能が付いているかもしれないな」
「どういう風な機能なの?」
「青葉も気になります!」
「それは秘密だ」
衣笠・青葉は『教えて〜』と提督に抱き付いたが、提督はふたりの頭を撫でて答えた。
「それは工廠に着いてからのお楽しみだ。みんな準備しよう」
「はい、提督!」
「あたしもOK!」
「青葉も準備整えました〜」
「衣笠さんも準備OK!」
愛する提督のためならば『40秒でも支度できる』と豪語した古鷹たちとともに、工廠へと移動した。
工廠――
提督たちは、夕張が待っている射撃場に足を運んだ。
例のエグゾスーツは用意されてあるが、その前にお礼として二つの券を渡した。
「ふたりともお疲れ様。はい、お礼の間宮特製スペシャルパフェ券だ」
「ありがとうございます、提督」
「ありがとう、提督」
提督は彼女たちに渡すと、二人とも嬉しそうに受け取った。
後で買い物に行くから買って来て欲しいものはないかと尋ねると、夕張はこれで充分だと言った。
提督は後で何か差し入れを買っておこうと決めていた。
「それじゃあ、例のエグゾスーツを頼む」
「了解しました、提督」
明石は待っていましたと言わんばかりに、説明を始めた。
「それでは説明しますから、エグゾスーツを着用してください」
「実践することが大切だからね♪」
明石・夕張は説明通りに、提督はエグゾスーツを着用した。
「前より性能がアップされているのが分かるな」
「さすが提督、分かりましたか?」
「ああ、着用した時点で全身にビリッと伝わってきた」
「このスーツは、従来のエグゾスーツは2種類でしたが、これを全て纏めました。
つまりアサルトのブースト、暴徒鎮圧用のソニックと、スペシャリストのマグクリップと時間遅速機能のオーバードライブ、体力回復のスティムが搭載しております」
明石・夕張の説明を聞いて、提督はニンマリした。
「さすがだな、申し分ないな」
「どういたしまして。早速試してみます?」
「もちろんさ、テストしてみたいからな」
「取り扱いはスマートフォンにアップデートしておきますね」
「分かった。ありがとう。明石、夕張」
「いえいえ。遣り甲斐のある仕事でしたから♪」
「私も開発した甲斐はあったわ♪」
「すまないが、試し撃ちもしたいからピットを借りたい」
「了解しました、明石にお任せください♪」
「あとで感想聞かせて下さいね、提督♪」
「もちろん。みんな少しだけど、俺の我が儘に付き合っても良いかな?」
『はい♡ 提督(司令官)♡♡♡♡』
提督は訓練前に順番ずつ、古鷹たちにキスをした。
それを見た明石・夕張は『相変わらずラブラブだね〜』と苦笑いしていた。
提督は『照れるな』と頬を少し紅く染めていたが、提督も同じく愛されている証しであると思うと隠せずにはいられないのだ。
ピットと呼ばれる訓練場は、某FPS『CoD:MW2』に登場した市街地を模倣した機動力を伴う実弾射撃場である。
簡単に言えば敵兵に当て続けて、ゴール地点まで進んでいく。
標的となるのは様々な銃を持つKPA兵士(北朝鮮軍)と、非武装の民間人を配置している。
全員ホログラムであるものの、本物の人間と区別しにくいほど自然な動きをするから驚きである。
落ち着いて見れば標的の識別は難しくないが、学習したかのように戦法や戦術を変えたり、また敵兵の持つ武器も然り、極稀だが原始的な武器を投擲して来ることもある。
だから臨機応変も求められるため、迅速な判断と射撃が求められる。
何よりも大切な古鷹たちを護るために、設けた訓練施設である。
『では好きな装備を選んでください、提督』
明石の放送に、提督は頷いた。
もたもたはしていられないなと、提督は各装備が置かれているテーブルからARX-160をメインに、サイドアームはAtlas 45を選択した。
前者はイタリア老舗銃器会社・ベレッタ社製造のモジュラーアサルトライフル。
高い威力を誇り、M16同様に3点バースト機能を搭載している。
アタッチメントはハイブリット・サイトを装着させている。
後者はTDI クリス スーパーV短機関銃に似ている最新鋭自動拳銃である。
サイドアームとしてはポピュラーなハンドガンであり、45口径でありながらも反動は少なく、撃ちやすいのが魅力である。
「準備OKだ!」
夕張・古鷹たちにそう伝えると、彼はスタート地点にいた。
訓練場を一望できる高いところに、古鷹たちがいた。
提督は手を一振りすると、某恍惚ポーズを取っていたのは言うまでもない。
『始めますね』
「了解」
明石の問いに、気持ち切り替えだと真剣な表情になる。
コッキングレバーを引いて、安全装置解除良し、ARX-160のグリップを握り直して突入態勢に入った。
準備を整えると、次の瞬間――
『市街戦テストを開始します』
コンピューターの掛け声とともに、脱兎のごとく駆け出した。
直後、鎮守府内で見つけたガラクタによって構成された障害物が存在し、銃撃する敵兵と逃げ惑う民間人が入り混じるように動き出した。
物陰に隠れた標的に向かって、素早く正確に照準し、引き金を短く引く。
ARX-160の鳴り響く銃声、輝くマズルフラッシュ、肩に当てた銃床が小刻みに揺れて銃撃の振動を伝えてくる。1人目を倒し、2人目、3人目など次々に照準をして撃つなどを繰り返す。
ピットは三つのエリアに分かれており、最初は落ち着いて対処すれば大丈夫である。
問題の第二エリアは室内戦(CQB)なので、突然の奇襲もあり得るから気を付けなければならない。
第1エリアクリア、次の第2エリアは例の屋内戦だ。
人質を、子どもを模した標的を盾にするKPAの頭部を狙い、射撃する。
残りのKPA兵士も排除した洗練されたプロの動き、戦い慣れた提督の射撃術は水を得た魚のように華麗な動きだった。
古鷹たちは見惚れてしまい、時間が止まっているようにも思えた。
特に青葉は愛する提督のカッコいいところを写真に収めることを忘れるほどだった。
そうしているうちに提督は、屋内の標的を片づけた。
階段を上り、第三エリアはこの先、屋上から地面に飛び降りた屋上の向こうにある。
だが、階段を上りきろうとしたところで、目の前に突如阻もうと今にでも殴り掛かりそうなKPA兵士が出現した。
しかし咄嗟に左手を強く握り締めて、その拳を敵兵の顔面に喰らわせた。
通常のストレートよりも威力が高いソニックパンチにより、グニャッと哀れな敵兵の顔面にのめり込んだ。
悲鳴を上げる暇もなかったKPA兵士は、呆気なく倒れた。
提督はそんな倒れて気絶したKPA兵士など目もくれず、次なる標的に照準を合わせる。
屋上で待ち構えていたKPA兵士をこれまた素早く排除した提督は、第二エリア制圧した。
飛び降りて第三エリアへ、最後の砦とも言える場所にも何故かKPA兵士ではなく、なぜか不気味なウサギのマスコットが民間人たちとともに混じって、銃撃をしていた。
ほとんどが連射に不向きな狩猟用ボルトアクション・ライフルばかりで、アサルトライフルやサブマシンガンなど所持してない。
何か隠し持っているなと提督は、察知したときだ。
次の瞬間、狂っているかの如く甲高い笑い声を挙げながら集団で斧を取り出して、一斉に提督に向かって投擲した。
しかし提督は明石たちの言っていた、オーバードライブを使用した。
他人から見れば投擲されている斧から敵兵の動きなどは通常な動きだが、提督視点からは全てがスローモーションのように、ゆっくりと動いている。
回転しながらこちらに向かってくる斧に対し、ARX-160に装着しているハイブリット・サイトを覗き見すると銃声が唸った。
タタタッと金切り声を上げる銃声に伴い、排出する薬莢ですらもゆっくりと排出される。
狙い定めた銃弾は、飛翔しながら向かってくる斧を撃ち落していく。
斧を撃ち落されたのを見て、ウサギのマスコットたちは一斉に逃げ出したが、提督は容赦なくひとり、ひとりと倒していく。
その最中にARX-160がカチッと弾切れを知らせたため、残りはAtlas 45に切り替えてダブルタップで仕留めていく。
精密機械さながらにマスコットと民間人たちを見分けて、前者らの頭部を撃ち抜く。
即座に撃ち倒して進み、最後に全力疾走でゴール地点へ滑り込んだ。
「スゴい、川内さんと同じ30秒です!」と明石。
「本当にスゴいわね!」と夕張。
「本当か、今日は運が良いな」
「提督、エグゾスーツ・カスタムのご感想は?」
「申し分ないぐらい性能が良い」
「ありがとうございます、張り切って改造した甲斐がありました!」
「良い感想が聞けて、職人冥利につくわ!」
「ああ。ありがとう、二人とも」
ひと息ついた提督は、汗を指先で拭うとしたが……
『提督(司令官)、お疲れ様です!♡♡♡♡』
提督に、古鷹たちはタオルとスポーツドリンクを持ってきてくれた。
提督は『ありがとう』と礼を言い、額に浮かんでいた汗をタオルで拭き取る。
そして喉の渇きを潤すため、スポーツドリンクを体内に流し込む。
「提督、カッコ良かったです♡」
「あたしも眠気が覚めるほどカッコいいよ♡」
「青葉も司令官を撮影することを忘れてしまうほどカッコ良かったです♡」
「衣笠さんも提督のカッコいいところ、時間を忘れちゃうぐらい見惚れちゃったよ♡」
「そうかい、ありがとう////」
結果は上々かもしれないが、それでもまだまだであると決して慢心しない。
後はシャワー室に行って、ひと汗流そうした後は、また古鷹たちと第六戦隊邸でのんびりしようと考えたときだ。
先ほどの訓練の影響なのか腹の虫がなった。
これを聞いた提督もだが、古鷹たちも笑い合った。
「提督、今日は何が食べたいですか?」
「スタミナ料理で頼む、無性にお腹が空いたから////」
照れた表情をした提督は、笑みを浮かべた。
彼の笑みを見た古鷹たちは、胸がキュンッとし、もう一度全員順番ずつキスをしたのだった。
「おうふ、予想していたけど……」
「はい、夕張。バケツに吐きなさい」
「ありがとう、明石」
夕張は口から砂糖を放出していたが、隣にいた明石も同じく砂糖放出をしていた。
その後、提督たちに激辛せんべいと苦い抹茶を頼んだのだった。
今回は私なりのオリジナル家具に伴い、架空戦記ネタも入れました。
少しだけですが某FPS『CoD AW』に登場したエグゾスーツを明石・夕張が改良した『エグゾスーツ・カスタム』を登場させました。後々にまた活躍します!
あの二人ならば、魔改造並みに色々と改装するかなと思います。
一部ですが、MW2で登場した訓練場も然りです。
ピットに登場した敵は某『HOMEFRONT the Revolution』のKPA平和維持員です。
とは言っても、実際には敵兵であります。
そして最後に登場したウサギは某『サイレントヒル・アーケード』に登場したあのウサギです。
友人と昔プレイしました、その時にトラウマになりました。
一番カオスだったのは言わずともあのエンディングです、一緒にどうしてこうなったと呟きました……
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
では次回も古鷹たち第六戦隊の魅力とともに、シュガーテロもお楽しみに!
それでは第4話まで…… До свидания((響ふうに)