第六戦隊と!   作:SEALs

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お待たせしました。
タイム・リンク作戦編の続きであります。
なお微糖付きでもありますが……フフフ(不知火ふうに)

いつも通り、最後まで楽しめて頂ければ幸いです!

では、本編であります。どうぞ!


第23話:タイム・リンク作戦 中編 part1

作戦会議終了後、一同は各自必要な装備を整えた。

提督の通達により、明石たちの熟練した整備のおかげで手短に済むことが出来た。

エンジニア提督たちも然り、提督たちの支援艦隊として参加する。

そして新しく着任した大鷹、龍鳳、阿武隈も本作戦に参加することになっている。

三人とも元帥の鎮守府で行われる訓練と、鎮守府近海での実戦経験もきちんと積んでいる。

元帥と提督たちなどは、実戦の前には必ず実戦さながらの演習と鎮守府海域による練習航海から観艦式まで熟知させている。

 

元帥が視察に訪れた某鎮守府では―――

艦娘の基礎訓練はおろか、実戦経験なしの状態でいきなり実戦に挑ませた無能提督がいた模様。

これを見た彼女は激怒して、すぐさまこの無能な提督を解任させて更迭した。

彼女は英米海軍のように適材適所主義、且つ信賞必罰に厳しいところもあれば、日本海軍のように擁護して助けることがある。謂わば『飴と鞭』を上手く使い分けている。

史実の両者の長所を使い分ければ、必ず勝てると豪語するほどの鬼才の持ち主であり、戦略家でもある。

 

ただし、今回の作戦では彼女は不参加である。

様々な作戦会議や書類審査、そして後方支援などで多忙だからである。

元帥が出撃する際は、緊急時のみである。

もしも最前線で艦隊指揮の際に自分が戦死したら、元も子もないことを理解している。

史実ではニミッツ提督も『東郷の子孫たちと戦いたい』と宣言したが、部下たちから止められてハワイで大平洋艦隊指揮官として留任された。

しかし最善を尽くし、勝利へと導いた名将として受け継がれている。

山本五十六は最前線に出てはいたが、ミッドウェー海戦時では空母機動部隊が被弾した際に後方で将棋を打っていた。

その際に『またやられたか』とただ一言を呟き、何事もなかったかのように将棋を続けたため、凡将説が取り上げられている。

 

古鷹たちが作戦準備をしている最中―――

 

「古鷹たちが準備している間、俺たちも準備するぞ!」

 

「提督、まかせてくださいね♪」

 

「伊良湖も腕がなりますね♪」

 

「瑞穂もがんばります!」

 

間宮、伊良湖、瑞穂たち筆頭に、タ級がハルナたちにプレゼントしてくれた『ビラ星人』こと、ウチワエビなどを使った会席料理を作ることにした。

なおウチワエビに伴い、おまけとして付けていたものはーーー“萩沖日本海のルビー”と呼ばれ、鮮やかな彩りと独特な風味が抜群の『あかえび』である。

あかえびは体長10cm程度の朱色の美しいエビで、5月頃の旬の時期を迎えると、瀬戸内側で小型底びき網漁業により多く漁獲される大変美味しいエビである。

 

「量は多いが、睦月とヒトミたちもあかえびの殻むきなどの手伝いを頼む!」

 

「睦月たちにまかせるにゃし!」

 

「はい、提督……」

 

『おっーーー!!!』

 

殻むき作業など、ほかの手伝いは睦月とヒトミたちが担当する。

なにしろ40人分近くの料理を作らなければならない。

だが、ベテランの間宮たちがいるから心強い。

一部手間の掛かる料理は、昼の下ごしらえもきちんとこなしているため、あとは調理するだけである。

空自・海自の調理専門職種『給養員』と呼ばれる彼らのように、提督は食事を大切にする。

例え戦中でも食事を大切にしなければ、敵にも勝てないゆえに士気に影響することがある。

これは世界中の軍でも共通と言っても良い。

 

「よし、あとは調理するから頑張ろうな!」

 

『おっーーーーーー!!!』

 

提督と、彼女たちの絆も日々強くなることも―――

 

『提督(司令官)、手伝いに来ました〜♡ ♡ ♡ ♡』

 

「みんな、ありがとう。それじゃあ、頼むよ!」

 

『はい、提督(司令官)!♡ ♡ ♡ ♡』

 

そして夫婦愛と、甘さも然り。

 

 

 

時刻 2000時

場所 特別会場

 

一同は会場に集まり、各自グラスを持って、全員がそのステージに注目した。

今回の主役である大鷹、龍鳳、阿武隈、そしてハルナたちがステージに立っている。

彼女たちは緊張に伴って、嬉しさがあって照れている様子でもあった。

 

「それじゃあ、みんな行くぞ」

 

『はい、提督(司令官)♪♡ ♡ ♡ ♡』

 

ステージに上がる前は、緊張を解すために提督は古鷹たちと短いキスを交わした。

今回は提督が直々に、司会を務める。

彼とともに、古鷹たちも同じく司会を務めている。

だからこそ彼女たちを温かく迎え、今日と言う日を特別な思い出として刻み、笑顔で迎える、と提督と古鷹たちのおもてなしでもある。

 

「今日は新しい仲間……大鷹、龍鳳、阿武隈の着任祝いとともに、明日行われる『タイム・リンク作戦』の成功と……」

 

仲睦まじい夫婦に元帥はむろん、大鷹とハルナたち全員が微笑みを浮かべた。

 

「そして、ハルナたちの友情に……」

 

ブルードレスA姿の提督がグラスを掲げ、全員も同じくグラスを掲げた。

 

『乾杯!!!!』

 

『乾杯〜〜〜!!!』

 

古鷹たちの乾杯のひと言に、全員による祝杯の喝采が響いた。

 

「さあ、みんなで楽しく騒ごうな!」

 

『おっーーー!!!』

 

提督の言葉に、一同は盛り上げるぞと言わんばかりにどんちゃん騒ぎをする。

テーブルに並べられた会席料理に手を延ばした。

小鉢物から焼き物、揚げ物、向付(むこうづけ)、鉢肴、椀物、御飯物と並べられている。

小鉢物は、みぞれ雪を模した赤貝の名残雪和え。

焼き物は、和紙で芳醇な香りを閉じ込めた甘鯛の紙包み焼き。

揚げ物は上品な黄金色を演出に伴い、パリッと揚がったあかえびの春巻き揚げと、あかえびのかき揚げ。

向付は、色彩を彩り、視覚も虜にする鯛や烏賊、ウチワエビの刺身が添えられている。

鉢肴は湯気が立ち籠り、絹さやとゆずの皮が彩りを添える大根のそぼろあん。

椀物はウチワエビを豪快に入れた味噌汁。

そして御飯物はアサリを贅沢に使った炊き込み御飯と言った瀬戸内海の会席料理と言っても良いだろう。

 

「このエビ甘くて美味しいです!」

 

「ビラ星人って言うらしい」

 

「ビラ星人?」

 

「ウルトラセブンに出た宇宙人だ」

 

ハルナとキリシマの言葉に、阿武隈は首を傾げた。

 

「ハルハル、ヨタロウ。ウチワエビだよ」

 

「あっ、そうだった。うっかり」

 

「あまりにも似てたからつい」

 

「似てるもんね〜、ビラ星人に♪」

 

阿武隈とハルナたちは、顔を見合わせて笑い合った。

 

「えへへ、とっても面白いね♪」

 

「うん、面白いね!」

 

会席料理を舌鼓を打つ阿武隈に、ハルナと蒔、マヤ、キリシマは楽しそうに会話する光景に―――

 

「夕張、……阿武隈にウルトラセブン勧めたの?」

 

「うん。ハルナさんたちに勧めたよ♪」

 

由良の問いに、夕張はウキウキに答えた。

さすが他人に影響力を与えるだけはあるわねと、由良は頷いた。

 

「マジでパナイ影響力を与えたのは確かだよね♪」

 

「まぁ、分からないこともないけどね♪」

 

(これからは私も阿武隈を鍛える訓練を考えないとね)

 

彼女たちの傍で各料理を手にした由良と夕張、鬼怒の会話を聞きつつ、川内は今後の訓練を考えていた。

 

「ウチワエビのお味噌汁もですが、このあかえびのかき揚げも美味しいですね。大根おろし入りの天つゆと相性がぴったりです!」

 

「このあかえびの春巻き揚げもエビのすり身をパリッと揚がった春巻きの皮に包まれて美味しいわよ、食べてみなさい」

 

「ありがとうございます、加賀さん!」

 

「どれも美味しくて、もったいないです」

 

「全て提督と間宮さんたちが作った料理は美味しくて最高でしょう?」

 

「はい、もう最高です!」

 

加賀と大鷹、赤城と龍鳳はまるで本当の姉妹のように会話と食事の両方を重ねて楽しんでいる。

なおお互いに御酌し合い、会話も弾んで行き親交を深め合って行く。

 

「えへへ、睦月たちをもっと褒めるが良いにゃし♪」

 

「みんなで張り切った甲斐があったわね♪」

 

「うむ、提督から聞いたぞ。偉い偉い♪」

 

睦月と如月は、元帥の両膝の上に鎮座して撫でられている。

 

「本当に良い塩梅だ、提督」

 

元帥は甘鯛の紙包み焼きを味わい、素直な感想を述べた。

 

「いえいえ、趣味程度ですから」

 

『ふわぁ……落ち着く////』

 

なお、提督も同じく手伝いの御褒美として元帥とともに睦月型全員と、ヒトミたちを交代ずつ撫でている。

今は弥生と望月であり、ふたりとも撫でられて今にでも眠たそうな表情をしている。

余談だが、駆逐艦と潜水艦の娘たちは元帥と提督にとっては可愛い娘たちとして、大切に育てている。

史実では奇妙なことに日本海軍において、駆逐艦と潜水艦には大型艦船にはあった菊の紋章がなかった。

つまり、正規の軍艦扱いを受けていないことを示している。

したがって、指揮官も何隻か纏まって司令官と言うポジションであり、大佐が艦長として務める。

諸事万端礼式などに厳しい大型艦船とは違って、独特な気風やぞんざいなど様々だが、乗員同士の絆は極めて強かった。

だからこそ、駆逐艦と潜水艦は重要不可欠でもあることを知る元帥はむろん、提督と戦友たち、そして古鷹たちとともに我が娘のように可愛がっているのだ。

 

「あの……司令官……そろそろ……」と弥生。

 

「交代だよ…ふわぁ〜」と望月。

 

指をくわえている長月たちとヒトミたちが待機していた。

 

「すまない、よしよし。ほらおいで」

 

「ほら、私も準備出来たぞ」

 

提督たちの言葉に、彼女たちも撫でて貰う。

なお睦月型とヒトミたち全員は『魔性の撫で撫で攻撃』と内心に呟いたのだった。

 

「ほら、あ〜んしなさい!////」

 

視線を逸らして、照れ顔でファーストバイト(通称『あ〜ん』)をする霞とともに―――

 

「霞もだけど、あたしのも食べなさいよ!////」

 

叢雲も同じくファーストバイトする。

 

「ほいほい」

 

エンジニア提督は両手に花束且つ、夫婦で漫喫しているのだった。

 

「たまには羽目を外して、どんちゃん騒ぎも良いわね♪」

 

熱燗を手にして、ほろ酔い気分で雰囲気を楽しむのは妙高型3番艦・足柄。

霞と同じく、エンジニア提督の主力艦隊『礼号艦隊』メンバーの一員。

好戦的な性格の持ち主に伴い、仲間を助けるならば自分を盾にしてでも庇うことも辞さない仲間思いの姉御肌である。

 

「そうですね、足柄さん」

 

足柄の隣で同じく、ほろ酔い気分を楽しんでいるのは大淀型1番艦・大淀。

彼女も同じく『礼号艦隊』メンバーの一員。

物腰は柔らかく、言葉づかいも丁寧な性格の持ち主だが、戦闘時は参謀的な役割に伴い、支援攻撃を得意とする。

 

「まあ、あたいは明日に備えての活力だかんなぁ!」

 

遠慮なんて気にせずに料理と酒を楽しんでいるのは夕雲型16番艦・朝霜。

同じく『礼号艦隊』メンバーの一員であり、メンバーのなかではかくやの切り込み隊長な性格の持ち主に伴い、歴戦の勇士とも言うほど自信家でもある。

 

「もうあまり羽目を外したら……あれ、清霜さんは……?」

 

「あれ、さっきまで朝霜の隣にいたのに」

 

彼女に注意を促そうとした大淀に、足柄は同じメンバーの清霜がいないことに気づいた。

 

「ああ、清霜ならあっちにいるよ」

 

朝霜が親指を差す方向を見ると、扶桑と山城のところで話しをしていた。

 

『ああ、なるほどね』

 

ふたりが見るのには納得の御様子でもあった。

 

「清霜、扶桑お姉様と山城お姉様みたいに強くなりたいな」

 

扶桑と山城に対して、憧れと尊敬と眼差しで尋ねたのは夕雲型19番艦・清霜。

同じく『礼号艦隊』メンバーの一員であり、竹を割ったようなカラっとして気持ちのいい元気娘でもある。

戦艦に伴い、足柄に強い憧れを抱いており、自分も強くなるため精進している。

 

「うふふ、清霜ちゃんならば絶対に強くなれるわよ」

 

「いつでも大切な人を思い続ければ、大丈夫よ」

 

「うん、分かった!」

 

扶桑と山城はアドバイスを言いながら、清霜の頭を優しく撫でたのだった。

 

「微笑ましい光景ですが……」と大淀。

 

「あっちはもっとスゴい光景よね〜♪」と足柄。

 

「あたいも司令と霞、叢雲の光景でお腹いっぱいだけどな……」と朝霜。

 

同じく―――

 

「由良お姉ちゃん、鬼怒お姉ちゃん……なんだかご飯が甘いよ……」

 

「初めはそうだけど、徐々に慣れて来るから大丈夫よ」

 

「あれでもまだ序の口だよ」

 

阿武隈は初めてだが、由良と鬼怒は慣れている。

 

「元帥にお聞きしましたが……実際にお目にかかると恥ずかしいです////」

 

「〜////」

 

大鷹も顔を真っ赤にして照れており、龍鳳は両手で顔を覆って照れ顔を隠した。

 

「鎧袖一触よ、心配いらないわ。瑞穂さんお代わりください」

 

「うふふ、すぐに慣れますよ♪あ、瑞穂さん。私もお代わりください」

 

「あ、はい。わ、分かりまひぃた////」

 

赤城と加賀はご飯のお代わりをするほど余裕はあるが、我に帰り思わず舌を噛んでしまった瑞穂は未だに夫婦のこの甘い光景に慣れていない。

大鷹と龍鳳、阿武隈は内心に『説得力が欠けます』と苦笑いを浮かべながら呟いたのだった。

 

彼女たちの視点先には―――

 

「古鷹〜、そろそろ提督とのハグ変わってよ〜」

 

「加古は今日ずっと昼からイチャイチャしていたでしょう〜」

 

「ガサ〜、司令官が困ってますよ〜」

 

「私は今提督にキスマークつけてるの、邪魔しないでよ〜」

 

提督「あはは……まあまあ、落ち着いてくれよ////」

 

提督は、ほろ酔い気分に帯びた古鷹たちに囲まれていた。

 

「提督〜」

 

「司令官〜」

 

加古と青葉のうるうるとした瞳と上目遣いで、可愛らしくおねだりをした。

 

「二人にもちゃんとハグするし、キスマークもつけていいから////」

 

同じように―――

 

「私に膝枕は〜?」

 

「私はキスマークつけていませんよ?」

 

衣笠と古鷹も同じく、うるうるとした瞳で上目遣い攻撃でおねだりする。

 

「みんな順番な////」

 

『提督(司令官)〜♡ ♡ ♡ ♡』

 

夫婦はその後も周りに砂糖を振り撒いたとともに―――ハルナたちとの思い出作り、明日に開始されるタイム・リンク作戦の成功、そして艦隊の鋭気を養うのであった。

 




今回はネタに伴い、微糖付きと言う回でもありました。
微糖ってなんなんだ……
ほろ酔いのお嫁さんに敵うものはありませんよね、ね?(由良ふうに)

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
では次回も風変わりとして、第三者視点から始まります。
第三者は実は依然出たあの人物でもあります。

それでは第24話まで…… До свидания((響ふうに)

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