第六戦隊と!   作:SEALs

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お待たせしました。
予告通り前回の続き、この鎮守府に来た”悪い奴ら”の正体が分かります。
果たしてどういう連中かは、本編のお楽しみに。
今回は一部アンチ・ヘイトに伴い、気分を害する表現が含まれます。

いつも通り、最後まで楽しめて頂ければ幸いです!

では、本編であります。

どうぞ!


第21話:招かざる客人たち

睦月が報告した通り、正面前では例の連中が見事に騒ぎ立てていた。

 

「本当に遠路ご苦労だな、あいつ等も」

 

戦中にも関わらず、プラカードやら拡声器やらを持った団体と憲兵隊が揉め合っていた。

憲兵隊に至っては、どこの軍施設のMPと同じように侵入しないように喰い止めている。

必死に止めている彼らの後ろには、別の憲兵隊が睨んでいる。

ライオッドシールドを構えている部隊と、自衛のためにM500《モスバーグ》を構えている部隊は堵列を作って、いつでも対応できるように態勢を整えていた。

しかし民間人でも、デモ隊であろうと構わずに12ゲージ弾を装弾している。

実際の在日米軍基地所属のMPも同じようにしており、実際に発砲することは少ないが、いざと言うときは躊躇わずに発砲する。

だが、デモ隊にこれを見せるだけでも抑止力としても役立っている。

 

「はぁ…… 本当にあいつ等、僕たちに何の恨みがあるのだか」

 

検問所では、チラッと顔を覗かせていた初月がため息交じりに口を開いた。

 

「あの人たち…怖い……」

 

「ここに来ても関わると困るし、マジでめんどくせぇー……。」

 

「本当に困った人たちね」

 

「自由で良いわね、あの暇な連中は」

 

彼女と同じように弥生、望月、扶桑と山城が、各々と感想を述べていた。

 

「大丈夫か、みんな!?」

 

『提督(司令官)!!!』

 

「連中は何時もの奴らか?」

 

「ああ、本当に暇と言うくらいしつこい連中だよ」

 

初月もやれやれ状態で語り始めた。

鎮守府正面前にいるのは、未だ終わりなき戦いが続いているのにも関わらず『戦争反対!』と叫び続ける戦争反対派団体である。

 

「本当にあいつ等、苦手だな……」

 

提督は頭を搔いた。

日本の左翼は世界中を見ても珍しく、ろくでなし主張に相応しい。

なにしろ『戦力を持たずに、金を上げて解決すれば良い』などと言うぐらいだからだ。

戦後に、GHQ管轄に作られた某ニュース番組(実際にはプロパガンダと言っても良い)では、『海の戦犯人』などと国のために戦った英霊たちを貶しめ、我が身の可愛さのために連合国に掌を返したぐらいだ。

この自虐史観と掌返しは戦後に当たる今日まで、これらが続いた。

双方とも深海棲艦が現われた直後でも変わることはなく、懸命に戦う提督や艦娘、そして自衛官たちを『人殺し』とレッテルを貼り、そしていつもながらお得意の罵声を浴びせた。

 

また彼らの“地上の楽園”とも言える憧れ国家――― 実際にはろくでなし反日三ヶ国の中国・韓国・北朝鮮は、この地上から永久に姿を消した。

反日国家として有名だった韓国は、親北主義の無能大統領は北朝鮮と手を取り、北の指導者率いる北朝鮮はこれにより長年の夢であった南北統一を果たした。

常日頃から架空敵国は日本とアメリカの両国と決めており、さらに自らの首を絞めた。

果たしたものの束の間で、突如として現れた深海棲艦により、両者とも共闘したが何しろ指揮統一も連携も協調性もないと言うほどバラバラであり、しかも装備に関しても両者とも弾薬相互性もなければ、お粗末な旧式兵器ばかりと言う始末。

両者は中国に援助を求めたが、近年に増した無能主席率いる共産党に対する不満が積もり、さらに民衆による民主化運動と言う名の内乱が起きた。

この機会に応じて一部の人民解放軍と反共産主義たちが反旗を掲げ、自国を滅亡に追い込んだとも言える。

お得意の仲間割れや内乱で築き上げた、哀れな共産主義国家を統治した者たちのお似合いな悲惨な最期として滅んだのだった。

同時に国家転覆を計ろうとした反日野党とともに、日本国内にいた反日組織も自暴自棄になった彼らは内ゲバをして滅ぶか、自衛隊と米軍特殊部隊による掃討作戦、そしてソマリアの海賊と化して提督たちに滅ぼされると言う末路も然りである。

大東亜戦争を煽り、戦後は掌を返して連合国の犬となったマスコミやジャーナリスト、そして文化人たちに、戦前から戦後まで反日をモットーに反日ビジネスで儲け、偽りの大富豪を気取って、人生を謳歌した者たちのピッタリな終幕であることは言うまでもない。

しかし、未だに憲法9条と言う名の戯言を崇拝しており、自衛隊と米軍に続き、今度は艦娘たちに対して、平和デモと言う名を借りた罵声デモをするから呆れさせる。

だが、幸運なのかそういう輩――― 自称『リベラル主義』や『反戦主義』に、何ひとつも役立たず且つ横暴な連中の集まりでもある国連をありがたがる連中は、哀れにも深海棲艦の餌食になっているが……

 

「初月たちも弥生たちを連れて、寮に避難しておくように」

 

「うん、分かった!」

 

初月はニッコリと微笑した。

 

「それから川内と、鬼怒。何かあった時のためにいつでも狙撃できるようにしておけ!」

 

提督はイヤマフで、川内・鬼怒に問いかけた。

 

『提督、分かった?』

 

『提督、ここから鬼怒たちを見つけるなんてマジパナイね!』

 

「ああ。大鷹たちは寮に避難したのか、ここに来るまで見かけてないが?」

 

提督の問いに、鬼怒は答えた。

 

『阿武隈は由良姉と明石さんたちがいる酒保に、大鷹さんと龍鳳さんは、赤城さんたちなどと一緒に寮まで避難したから大丈夫だよ!』

 

彼女たちのことを聞いて、提督はひと安心した。

 

「そうか、無事ならば良かった…… 連中は何して来るか分からないから、ふたりはそのまま様子見を頼む。オーバー」

 

川内・鬼怒は『了解(コピー)』と、短く返答した。

川内は両手に携えていたM14 EBR狙撃銃を構えて、狙撃スコープを覗き込む。

 

「鬼怒も何時でも撃てるようにね!」

 

「うん、分かっているよ!」

 

鬼怒も同じくM14 EBRを構えて、狙撃スコープを覗き込む。

見晴らしの良いこの屋根裏から、ふたりはデモ隊の様子を窺い、常に狙撃ができるように安全装置を解除して、狙撃態勢で待機するのであった……

 

 

 

『憲法9条、今すぐ守れ!』

『日本は常に話し合いを!』

『戦争する軍隊と艦娘は、人殺しだ!』

『全提督と艦娘たちは、我々国民に謝罪しろ!』

 

拡声器を持つ扇動者の言葉に、数人のデモ隊が声を張り上げて復唱する。

提督たちからすれば、壊れたラジオが何度も同じことを繰り返し復唱しているように聞こえ、『また何時もの訳の分からぬ主張か』と聞き慣れている。

誰でも戦争を反対する、したくない気持ちは理解できる。

多くの提督や艦娘たちも、本当ならば今すぐにこの戦争を止めたいと言う気持ちはある。

世界中の軍隊も戦争をしたくない気持ちは、世界共通と言っても良い。

 

「あいつ等、何かしなければ良いがな……」

 

提督が懸念するのは、連中がテロ行為をしないことだ。

国内の鎮守府と、自衛隊や米軍基地で出現するデモ隊は攻撃することも珍しくない。

彼ら左翼の主張は、かつての反日三ヶ国と同じであり、恫喝手段と変わらない。

民主主義を唱えながら、これを否定し、デモの際は日の丸を掲げないどころか引き裂く、またはライターで燃やす行為をする大罪を行なう。

そして自分たちの主張を受け入れない者たちは『レイシスト』と決めつけ、相手を殴るなどと言う暴力行為はむろん、必要とあれば人殺しを平然とする幼稚園児にも劣る思考を持つ連中である。

提督が古鷹たちはむろん、この場にいた初月たちを避難させたのはこのためである。

 

「……一応、コイツを使うこともありそうだな」

 

提督が背負ってきたのは、明石と夕張が共同開発したIMRと言うアサルトライフルだ。

4点バースト機能を搭載した、新型アサルトライフルと説明してくれた。

本銃の特徴は銃としては珍しく、リロードが不要と言う。

装填時は左コッキングレバーを引くことにより、銃本体に内蔵されている3Dプリンタで常時弾を生成することが出来ると言う画期的なライフルである。

 

「どうだ、今回のアイツらは?」

 

提督は、傍にいた現場指揮を務める憲兵隊隊長に問いかけた。

 

「揉め事が先ほど済んで大丈夫ですが、今回は特に攻撃的な扇動者がいまして……」

 

提督は、その扇動者を見た。

扇動者は老年だが、屈強な肉体の持ち主だなと提督は呟いた。

昔はスポーツ選手か、またはトレーニングを趣味にしているのかなと推測した。

 

「オイッ、コラァ!お前ら!まぁだ人殺してんのか!?」

 

老人が、提督たちに罵声を浴びせる。

提督は『いざとなったら、ストライカーも出すように』と、耳元で相手に聞こえないように小声で指示を出す。

 

「何か言ってみろ、人殺し!! お前らのせいで俺たち漁師は魚が獲れないんだ!

海ってのは俺たち善良な平和主義者たち全生命の源で神聖な場所なんだよ!そんなところでましてやお前ら人殺しがしゃしゃり出てくんじゃねぇよ!!」

 

提督は『戯言を』と内心に呟いた。

海洋進出を繰り返し、尖閣諸島を『自国の領土』と言い、赤珊瑚を密漁した中国には見て見ぬ振りしてなにひとつ言わずに、海自などには『侵略行為』としか言わない連中の戯言に等しい。

 

「だから、俺たちに謝罪と賠償金を用意して、さっさとこの場所から消え失せろ!」

 

老人の答えに、提督はただ一言で答えた―――

 

「断る!」

 

彼の答えにイラついたのか、老人は叫ぶ。

 

「何だと若造がっ!俺たち平和主義者たちの言うこと聞かないことに対して、覚悟しろ!

俺が昔から鍛え上げたこの肉体でお前ら人殺しを粛清して、この殺人教養施設も二度と運用できないように潰してやるッ!!!」

 

老人はオレンジラインを踏み越えた瞬間、ひとりの憲兵が止めようとした。

それを見た老人は制止しようとした憲兵に思いっ切り顔面を拳で殴り、さらに蹴り飛ばした後は、ライオッドシールドを持った憲兵隊まで投げ飛ばした。

憲兵隊は仲間が怪我しないように、受け身で受け止める。

 

「……ッ! これ以上、進むと発砲するぞ!」

 

提督の号令で、各憲兵と、屋根上で待機していた川内と鬼怒も何時でも引き金が引けるように指を掛けた。

最初は空に向けて、次は足元に、そして最後の手段として射殺することが前提である。

しかし、ここまですれば射殺されても文句はないゆえに正当防衛として当然である。

 

「俺は話し合いに来たのにお前らは非武装の俺たちに銃口を向けるのか!? くだらねぇこと言っていると俺たちの熱い思いを乗っけて、全員ぶん殴らせてやる!」

 

老人に続き、デモ隊が押し寄せようと襲い掛かろうとしたが―――

 

「くだらないこと言っているの、どっちかなぁ?いい大人がみっともない!」

 

全員声が聞こえる方向に振り返る。

 

「蒔絵、どうしてここに?」

 

提督は問いかけた。

 

「お腹空いたから、ハルハルとみんなと一緒に酒保でお菓子買っていたから!」

 

要は帰り道に立ち寄ったのか、と提督は呟いた。

蒔絵の隣ではキリシマが、のんびりとボリボリと菓子を喰っていた。

彼女たちの後ろにいるハルナと、マヤも同じく買ってきた菓子類を食べている。

 

「オイ、ガキ!いまなんつった?」

 

老人は、菓子を喰っていたキリシマを掴むとあさっての方向に投げ飛ばした。

彼は蒔絵を恫喝しているが、彼女のメンタルは鋼のように強く動揺しない。

 

「お前らを人殺しの手から守るために話し合いに来たんだから、ナメた口を訊くとガキでも容赦し……」

 

老人の恫喝は続こうとする前に、蒔絵とハルナ、そしてマヤは、ササッと後ろに下がる。

 

「提督たちも少し下がった方が良いよ」

 

蒔絵は、提督に忠告する。

提督は何かするのかと察して、ハンドサインで全憲兵隊を少し下がらせた。

 

「オイッ、お前ら逃げん―――な〝っ〝!」

 

後頭部から凄まじい激痛が走ると伴い、反撃する暇もなく気絶した。

これを見た提督たちは、合掌と手を合わせた。

 

「フンッ!」

 

他愛無いと言う勢いで、老人を倒したのはキリシマだった。

 

「人間は食事とおやつを邪魔されると、キレるのだろう?」

 

「流石、キリシマ」

 

「なんだありゃ……」

 

提督たちは大丈夫だが、初対面で見るデモ隊は呆気に取られていた。

数秒後。ようやく正常に戻ったデモ隊は懐から何かを取り出そうとしていた。

 

「あぶないよ」

 

蒔絵の忠告を聞いて、彼らはまたしても凍結されたように動かなくなった。

そのチャンスを逃して堪るか、とキリシマは四方八方から目にも見えぬ速さで相手を倒していく。

 

「蝶のように舞い、蜂のように刺す!」

 

時代劇の殺陣を極める侍の如く、刀を納める代わりに彼女が着地するとデモ隊全員が前のめりで倒れていく。

 

「ふん、他愛ない奴らだったな」

 

一言で呟き、キリシマは首をポキポキとリズムの良い音を鳴らして事を済ませた。

 

「提督、こいつらはどうするんだ?」

 

キリシマは訊ねた。

 

「あいつ等は全員拘束して、あとは警察がヘリまで本土まで運ぶ」

 

彼女は、なるほどと頷いた矢先ーーー

 

「んもぉ! ヨタロウ、やり過ぎだよ!」

 

「しかしだな、蒔絵」

 

蒔絵に注意されるのは言うまでもなかった。

キリシマは反省はしているが、売られた喧嘩は買うのだろうと提督は呟く。

 

「ともあれ、少しは連中も御灸を据えさせれば懲りるだろう」

 

元帥との話し合いだけで済むかと思いきや、招かざる来客たちのせいで疲れたなと頭を抱えた。

 

『提督(司令官)〜!!!!』

 

「みんな!」

 

古鷹たちも心配して駆け付け、提督に抱き付いた。

提督は彼女たちを抱き締めて、頭を優しく撫でた。

 

「気に入らない連中でも気絶させるだけとは流石だな、提督」

 

元帥も同じく心配して駆け付けた。

 

「いえ、キリシマのおかげで無事に済みました」

 

提督は言った。

 

「キミも最善を努めることが出来たんだ、自信を持てば良いさ」

 

彼女の言葉に、提督は微笑した。

 

「みんなにも感謝していますから」

 

元帥は、そうかと頷いた。

 

「お〜い、提督!」

 

「提督、お疲れ様です〜」

 

「天龍、龍田。どうした?」

 

提督の問いに、ふたりは答えた。

 

「エンジニア提督の艦隊が見えて来たぜ!」

 

「それに重要な情報も入手したとの報告よ〜」

 

どうやら、戦果は上々のようだな、と提督は悟った。

 

「そうか、ありがとう!それじゃあ、あとは憲兵部隊に任せて迎えよう!」

 

『はい、提督(司令官)!!!』

 

よし、良いぞと提督も微笑する。

 

「明日から忙しくなりそうだな、提督」

 

「いいえ、古鷹たちと一緒ならば大丈夫ですから!」

 

彼の答えにーーー

 

『提督(司令官)……嬉しいです!!!!♡ ♡ ♡ ♡』

 

古鷹たちは余りにも嬉しく、再び提督に抱き付くのであった。

 

『ごちそうさまです♪』

 

周囲は夫婦の仲睦まじさに慣れており、全員合唱をするのであった……




今回はシリアスでしたが、最後はみんなで無事笑顔に終わる回でありました。
スカッと爽快的なケリでもありましたが、あれでもまだまだ甘い対処法でもありますが。

なおキリシマに倒された悪い奴らですが、またとある回に登場します。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

では次回も古鷹たち第六戦隊の魅力とともに、シュガーテロもお楽しみに!

それでは第22話まで…… До свидания((響ふうに)

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