第六戦隊と!   作:SEALs

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お待たせしました。
予告通り、新しく着任する娘たちをご紹介しますのでします。
果たして誰なのかは、本編のお楽しみに。

いつも通り、最後まで楽しめて頂ければ幸いです!

では、本編であります。

どうぞ!


第20話:再会のひと時。 後編

執務室―――

 

「今日から我が柱島泊地に転属することになった彼女たちを紹介しよう」

 

提督の一声で三人は一歩前に出て、自己紹介をし始めた。

まずはヘーゼルの瞳に、黒髪を青緑のリボンを後ろで束ねた髪型の少女から始まった。

服装は白の七分丈の和服に赤の袴姿、彼女の右型には赤城や加賀と同じく肩盾を模倣した飛行甲板を付けている。

 

「航空母艦、大鷹です。戦力として艦隊のお役に立てるよう、努めます!」

 

大鷹が自己紹介を終えると、次の少女に移る。

癖のある紺のセミロングに赤い瞳の垂れ目が特徴的だ。

その服装は紅色のセーラー服と赤地に白のラインが入ったネクタイと、その上から振り袖のついた和服風の上着を着用し、胸には赤城たちと同じ胸当てが付いている。

 

「潜水母艦改装空母の龍鳳です。航空母艦として、私、頑張ります!」

 

そして龍鳳の自己紹介から、最後の大人しい少女に移った。

明るい茶髪にスカイブルーの瞳且つ、ツインテールが特徴的だ。

そして服装は提督たちの艦隊に所属する由良や鬼怒と同じく薄緑と白のセーラー服を着用している。

 

「長良型軽巡洋艦の阿武隈です。よろしくお願いします!」

 

全員の自己紹介が終えると、提督が口を開いた。

 

「以上が、俺たちの艦隊の一員として頑張る。みんな仲良くやってくれたまえ!」

 

『はい!!!』

 

全員良い返事で答えた。

全員家族のように温かく迎えて、色々と質問を問いかけたりなどもした。

特に睦月たちは興味を抱いて、質問攻めなどをしている。

 

『提督〜助けてください!!!』

 

「助けに行かないと大変だぞ、提督」

 

「分かっていますよ」

 

傍にいた元帥のからかいに、提督は微笑ましい雰囲気を見て、彼は一旦、御開きをするように手を軽く叩いた。

 

「みんなあれこれ聞きたいことがたくさんあるみたいだが、一旦終了だ」

 

提督の言葉に、睦月たちは『は〜い』と返事をする。

 

「それから、彼女たちに案内係を睦月頼んで良いか?」

 

「了解にゃし!」

 

睦月は、ジャンプして笑顔で答えた。

赤城と扶桑、そして川内たちも話しながら付き添っても良いと伝えた。

話しながら交流するのも大切であり、今後はともに過ごす家族としてのコミュニケーションでもあるのだ。

 

「それじゃ、一旦解散!」

 

一同解散。執務室に残ったのは提督と元帥、古鷹たちとハルナたちである。

 

「それじゃあ、少しだけ異世界のゲストたちと今後の予定を立てるか」

 

「了解」

 

「はい、元帥」

 

「ありがとう。元帥」

 

ハルナのひと礼を聞き、双方は頷きながら今後のことを話した。

 

 

 

鎮守府内―――

 

「睦月の案内、楽しめたにゃし?」

 

無邪気な笑顔を浮かべる睦月を見て、大鷹たちも微笑み返した。

 

「はい、とても分かりやすかったです」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「ありがとね、睦月ちゃん」

 

三人はお礼を言った。

 

「しかし、案内名目で甘味を堪能して良かったのでしょうか?」

 

「確かに怒られないでしょうか?」

 

「由良お姉ちゃんたちと楽しめたけど大丈夫かな?」

 

大鷹の疑問に、龍鳳と阿武隈は顔を見合わせて不安だった。

 

「大丈夫☆にゃし!提督も古鷹さんたちも分かってくれるから♪」

 

サムズアップをする睦月も、如月たちと甘味を堪能した。

食事や甘味は娯楽だからと提督は述べるように、会話でもこれらがあるだけでも緊張は解れて自然に会話のキャッチボールが出来るから認めている。

ハルナたちも同じく提督たちとの会話でも、これらのおかげで仲良く過ごすことが出来た。

 

「上々ね♪」

 

「流石に気分が高揚します」

 

余談だが相変わらずフリーダム且つ、例の大食いふたりも堪能した。

ガールズトークも兼ねての交流をと言うが、本人たちは間宮・伊良子が新しく生み出した間宮・伊良子特製『ジャンボ・フルーツパフェ』目当てと言うこともあるが。

 

「司令官はけっこう大らかな心を持っているし、睦月たちをたくさん褒めてくれる優しい司令官にゃし♪」

 

初めて提督を見たときは、正直驚いた。

海軍の軍衣ではなく、映画に出てくるような特殊部隊のような戦闘服に伴い、ヘルメットとガスマスク(またはスカルフェイスマスク)を身に纏っている提督は珍しい。

元帥曰く『彼の趣味だ』と言うが、素顔はどんな顔をしているのだろうと想像もできない。

元帥から聞いた話しでは端正な顔つきで日本人とは思えないほど顔立ちもよく、その知性に溢れる双眸も、とても魅力的だと言うことは聞かされたことだけしか知らない。

 

「だから、大丈夫にゃ♪」

 

大鷹たちは『良かった』と胸を撫で下ろした。

 

「あと司令官と古鷹さんたちのシュガーテロには気を付けてね。にゃしし♪」

 

『お、おう!』

 

大鷹たちは思わず、島風の口癖で返事をした。

睦月からではなく、同じく元帥から聞いたことだが夫婦仲睦かしくどこでもキスをすることがあるから慣れるまで砂糖用バケツはもちろん、刺激物を大量に含んだ激辛料理などが必須だと言うことを言われたのだった……

 

「おっと睦月として、もうひとつ紹介するところを忘れるところだった。てへ♪」

 

睦月は軽く拳を自分で撃ち、可愛らしく舌を出す。

 

「睦月ちゃん、何処なの?」

 

阿武隈が訊ねた。

 

「ひと言で言えば、酒保にゃし♪」

 

「酒保か、まだ見てないから楽しみだね♪」

 

「はい、各鎮守府で販売しているものが違いますからね♪」

 

「はい、どんな限定品が売ってあるのかも楽しみですね♪」

 

大鷹と龍鳳も楽しみである。

 

「それじゃあ、睦月についてきて♪」

 

睦月は偶然通りかかった、輸送用に改造されたCLAWに乗馬する。

行くよ、と睦月の合図に応えるようにぴょこぴょこと、カエルのようにゆっくりと進む微笑ましい風景を見た大鷹たちも微笑して睦月の後を付いていく。

 

 

 

特別執務室―――

元帥を囲んで座った一同は、黒い空間を捜索するための善後策を講じていた。

なお協力するエンジニア提督は現在、霞・叢雲たちと出撃しているため不在である。

敵艦隊を殲滅後には、ここに寄港して挨拶をしに来ると連絡は届いた。

 

「まさか本当に摩訶不思議なことが起きるとは、自分でも信じられないが……

ハルナさんたちの艦を見れば超常現象とも言える出来事も頷ける」

 

彼女は実際に鎮守府上空で、ハルナたちの艦をこの双眸で見たから信じざるを得ない。

超常現象とも言えるこのケースは、初めて見るから無理もない。

元帥もこのようなケースは都市伝説でしか知らない。

自他共に認めるオカルト信者かつ陰謀論者というナチスのように豊富な知識はないが、世界中に目撃例があるUFO、UMA、オカルトなど科学では説明の付かない超常現象のまつわる事件に対して、彼女は肯定的である。

生涯初めてとも言える超常現象の調査ないし捜索を開始することには積極的だ。

 

「……ただし、このことは機密扱いにする必要がある。厳重に秘匿する必要も視野に入れなければならない」

 

 

元帥は考えをゆっくりと言い、古鷹が用意した緑茶を啜った。

 

「特に外部の者たちだ。これが深海棲艦やブラック提督たちなどに知られると厄介なことになる」

 

「確かに、漫画のような世界征服して王者になるとか言う始末だな」

 

全員納得した。

ただし、ハルナたちは『した瞬間に殲滅されるのは落ちだが』と内心に呟いたが。

提督も彼女たちの内心を察知していることも然り。

 

「これがもし我々がいる世界の過去ならば厄介なことになっていただろうし、ましてや本物だった場合はタイムパラドックスを起こしかねなかったかもしれない……」

 

元帥は言った。

 

“タイムパラドックス―――タイムトラベルに伴う矛盾や変化のこと、SF物語のテーマとしてしばしば扱われる。具体的には、時間旅行した過去で現代(相対的未来)に存在する事象を改変した場合、その事象における過去と現代の存在や状況、因果関係の不一致という逆説が生じることに着目したもの”

 

ハルナはすぐに脳内に収めた。

 

「過去に戻って自分の両親を殺したらどうなるかと言うことをしたら、その途端に自分が消滅してしまうが……」

 

「そうするとこのパラドックスは当事者の誕生の不可能性にだけ注目したものではないよ。寧ろ第一に、時間を遡るタイムトラベルを不可能にするあらゆる行為を考慮しているし、パラドックスの名称は単にそのような様々な行為の代表例にすぎない。

他に、タイムマシンの発明に繋がる科学知識を特定し、その時代に遡って、その科学者の仕事を様々な妨害をしてタイムマシンが発明されないようにするということかな?」

 

提督の言葉を繋げるように、蒔絵が捕捉した。

 

「蒔絵ちゃんは詳しいな。彼女の言う通り、これもひとつの解釈でもあるな」

 

元帥はにっこりと微笑して言った。

彼女の微笑みに、蒔絵も同じく微笑み返した。

 

「この超常現象に関しては首相や、各ホワイト鎮守府の提督たちにもすでに報告している。

この件に関しては、極秘事項としているから大丈夫だ」

 

「公海上だが、大丈夫なのか?」

 

キリシマが訊ねた。

 

「人目にさらさないと言うことは無理な相談だが、私と首相たちがもう先手は打っている。

海底火山の爆発として誤魔化す。あの黒い空間は海底からの噴煙としてできた雲だと言うことにして、各鎮守府との協同調査、または混乱に応じて深海棲艦の迎撃に当たるため、暫らく太平洋側海域には我々以外の航行と、航空機での調査以外立ち入り禁止とする……と言う方針だ」

 

「さすが、迅速ですね」

 

古鷹が言った。

 

「キミたちが来たと教えてくれた海域は日本海溝の西側で、海底火山が伊豆から富士に掛けて通っているから幸いにも誤魔化すことが出来た。

むろん噴火もだが、いつまた深海棲艦などがいても起きてもおかしくはないからな」

 

「いい考えですな、元帥」

 

提督は言った。

 

「エンジニア提督や他の提督たちにも昨日この海域に出現した深海棲艦艦隊撃滅に伴って、ハルナたちが言った黒い空間が今も現われているかもしれないから、撃滅後は洋上補給をして時間の許す限り、調査するようにと伝えておいた」

 

「見つかり次第、俺たちも現場に行けばいいと言うことですね?」

 

「まあ、そう言う事になるな」

 

元帥も、流石ねと彼の双眸を見抜いた。

 

「すまない、我々のためにここまでしてくれるとは……」

 

キリシマは申し訳ないように言った。

 

「なあに、我々は困った者たちを放って置けない少々お節介者だから気にすることはない」

 

元帥はニッコリと艶やかな唇を矢型にして、微笑む。

 

「古鷹、本当に彼女は不思議だな」

 

ハルナは傍にいた古鷹の耳で囁いた。

 

「鬼才且つ優秀なお方だけど、困った人は放って置けないから」

 

「そうか……」

 

提督の上司とも言え、大らかな心を持つ本質は誰でも尊敬するなと、ハルナも納得した。

自分たちの世界、眞と一度話してみたら面白いかもなとも呟いた。

 

「ともあれ、他の鎮守府なども派遣は大丈夫だが―――」

 

元帥が再び説明しようとした際に、またしても廊下から慌ただしい足音が聞こえた。

提督・古鷹たちは、また鬼怒が何か報告しに来たのかなと内心に呟いた。

 

「司令官、大変だにゃし!」

 

予想外なことに睦月だったが、ここまで息を切らして走ってきたことは重大なことを表している。

 

「どうした、睦月?」

 

提督が訊ねた。

 

「正面前で、あの悪い奴らと憲兵隊が揉めているの!」

 

元帥と提督たちは、またあいつ等かと頭を抱えた。

ハルナたちは皆の反応を見て、何のことやらさっぱりと首を傾げる。

 

「報告ありがとう。睦月たちは寮に避難しておくように。あとは俺たちが解決しに行くから安心しろ」

 

「にゃし!」

 

「よし、良い娘だ」

 

提督は、睦月の頭を撫でた。

 

「元帥、すみませんが少しだけ席を外してきます」

 

彼の言葉に、元帥は頷いた。

 

「ここは任せろ、彼女たちとも少し話がしたいものだから」

 

「ありがとうございます、元帥。古鷹たちは元帥の護衛を頼む!」

 

『お任せください!♡♡♡♡』

 

古鷹たちを巻き込むわけには行かないため、彼女たちは元帥の護衛を務める。

提督は現場に行こうとしたとき―――

 

『提督(司令官)、忘れ物ですよ?♡♡♡♡』

 

「忘れてはいけないな」

 

提督は、古鷹たちに短いキスを交わす。

全員以心伝心化のように、合掌しているが気にしていない。

古鷹たちは、キスをし終えると恍惚な表情を浮かべていたのは言うまでもない。

 

「それじゃあ、行ってくる」

 

提督は窓側から飛び降りる。

いつも通り、エグゾスーツ・カスタムを装着しており、ここから飛び降りても短いバースト機能で落下コントロールできると言う利点を持つ。

 

「さてと、面倒くさい問題を片づけますか」




提督の鎮守府に新たに着任した三人は、大鷹と龍鳳、阿武隈ちゃんでした。
私のお気に入りの娘たちでもありますし、今後は提督と古鷹たちを支える頼もしい仲間として、活躍しますのでお楽しみを。

因みに龍鳳さんは友人提督が提案してくれました、感謝です!(翔鶴ふうに)

次回はこの続き、この鎮守府に来た”悪い奴ら”の正体が分かりますので、しばしお待ちを。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは第21話まで…… До свидания((響ふうに)

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