それでは続きです、甘さはプロローグよりも増えていると思います。
デジャブと思いますが、楽しめて頂ければ幸いです!
では長話はさて置き、本編であります。
どうぞ!
執務室
執務室では提督と古鷹は、一緒に各資料などのファイリングをしている。
今日は古鷹が秘書艦として務めている。
古鷹たちとケッコンしてからは当番制と決めており、各自役割分担をしている。
また秘書艦の日にはおしゃれとして、メガネを掛けている。
因みに加古は艤装開発、青葉は出撃組・演習組・遠征組のチェックと見送り、そして衣笠はこの鎮守府に配備している無人攻撃機《プレデター》で得た情報を集め、各海域攻略時に必要不可欠な情報分析をしている。
《プレデター》だけではなく、鎮守府周辺などには常に警備部隊が展開している。
陸は少数だが戦闘車両部隊や海兵隊、空は無人機と戦闘機、攻撃ヘリ部隊に、そして海上では護衛艦が警備任務に就いている。
鎮守府を襲撃しようとするのは、なにしろ深海棲艦のみとは限らない。
一部は彼女たちを心思わない連中が鎮守府を襲撃しようと目論む者もいる。
ほとんどが反戦思想を持つプロ市民たちだが、軍部の者たちと協力している輩もいるから油断はできない。
どこの国でも陸海空軍は仲が悪いこと自体が当たり前であり、特に陸海空に、海兵隊や沿岸警備隊などがいるアメリカでは日常茶飯事である。
話が逸脱したので現状に戻る。
「提督、書類を纏めました♪」
「ありがとう、古鷹」
お互いに書類にサインなどをして、数時間が経つ。
ときどきお互いの視線が合うと幸せを感じる、彼にとっても彼女たちにとっても幸せな時間である。
当たり前だけどそれでも大切な彼女たちとともに過ごし、一日を終えられることが何よりもこれ以上の幸せ、いま以上に感じる幸せを求めることなどないのだから。
「よし、これでひと段落したな」
勢いよく打っていたキーボートが、提督のひと言とともに動きを止めた。
「お疲れ様です、提督」
労いの言葉とともに、古鷹は微笑んだ。
「古鷹もお疲れ様」
「えへへ♡」
提督は古鷹を優しく撫でると、彼女は微笑んだ。
彼も笑顔が零れ、古鷹とともに微笑んだ。
「それじゃあ、ひと段落終えたところで俺は見回りに行ってくる」
「提督、忘れものですよ?」
「ああ、分かっている」
提督は古鷹の顎をクイッと持ち上げて、唇を重ねた。
彼女も唇を重ね、お互いキスをし始めた。
数秒ほどお互いの舌を絡み合いながらのキスをし終わると……
「提督、いってらっしゃいませ♡」
「ああ、行ってくる////」
古鷹とのキスを終えた提督は見回りに行った。
なお途中で報告書を提出しようとしたのか、3人の艦娘が顔を真っ赤にしていた。
「提督、今日も熱いな////」
そう言うのは、秋月型4番艦の初月。
鍛錬に余念の無い武人系のボクっ娘である。
艦隊防空の要として、最前線に立つほどの腕前を持つ。
なお、照れていることは誤魔化している。
「司令官、執務中は自重してくれ////」
やれやれ状態で言ったのは、睦月型8番艦・長月。
大和魂溢れる豪胆な性格で、敵艦隊への切り込みも恐れずやってのける切り込み屋である。
「私は気にしてないぞ……////」
初月と同じく照れているものの、あくまでクールな面を強く押しているのは睦月型9番艦・菊月。
長月の相棒として、ともに切り込み屋を務めている。
「お疲れ様、あとで確認しておくからな」
提督は初月たちの頭を撫でた。
執務中でもイチャラブはするが、それでもいつも同じ目線で彼女たちを見守る心優しい提督であるのだ。
「古鷹、初月たちが報告書提出するから頼んだぞ」
「はい、お任せください♡」
改めて気を取り直し、提督は見回りに行った。
「本当に癖になっちゃうな、提督のなでなでは////」
「まあ、シュガーテロも悪くないな////」
「ああ、悪くない////」
提督に頭を撫でられた初月たちも満更ではないようだ。
埠頭――
出撃部隊はもちろん、各遠征・演習部隊を見送るのは提督としての嗜みである。
提督はいつでも彼女たちが無事に帰投できるように見送る。
「それでは行ってきますね、提督さん、青葉さん」
そう言うのは、長良型4番艦の由良である。
落ち着いた性格と、誰にでも親しく接するため、一部では『ユラエル』とも言われている。
「皆さん、気を付けていってらっしゃいませ」
「みんな、気を付けてな!」
『行ってきま〜す!!!』
青葉・提督に見送られて、各部隊は出発した。
すると同時に、上空ではOH-6《リトルバード》を軽汎用・攻撃強襲用ヘリコプターに改装したAH-6《キラーエッグ》3機がふたりの頭上を通り過ぎた。
この部隊も偵察任務に伴い、各任務で出かける娘たちを見送るのが日課である。
その際に風力のせいか、提督は青葉が倒れないように抱きしめていた。
「大丈夫か、青葉?」
「はい、大丈夫です♡」
「今日もお見送りは終わりだな、お疲れさま」
「ありがとうございます、でも青葉はきちんとしただけです♡」
「だけど青葉のおかげで今日もみんなを見送ることができた、ありがとう」
提督は青葉の頭を優しく撫でた。
彼に撫でられると頬を染めたが、しばらくすると優しく手をのけた。
「撫でられるのも嬉しいですが……」
そう言うと青葉は両腕を後ろに回して、抱きしめるように提督にキスをした。
「お礼はこっちが好きです♪」
文字通り不意打ちキス、数秒とも言えるキスで提督は顔を赤くした。
キスは慣れているが、不意打ちキスには弱いのである。
「司令官、大好きです♡」
「俺もだ、青葉////」
遠くにいる由良たち率いる遠征組や各演習組に、そして先ほどのヘリ部隊のパイロットたちも『今日もシュガーテロ、起こしているな』と呟きながら振り返り、各自は任務に戻った。
工廠――
工廠では明石や工廠妖精たちが担当している。
また夕張も彼女たちとともに手伝っており、また時々だが、近くにある航空基地の航空部隊の機体整備などを手伝っている。
今日は艤装・兵器開発担当として加古も協力しているが……
「あはは、案の定寝ているな」
「提督、危ないので夕張と一緒に休憩室に移動させておいたんです」
そう告げたのは特務任務艦娘、工作艦・明石。
各装備はもちろん、改修も熟し、艦隊の後方支援を務めている。
なお、提督とは気のおけない同僚または親友のような間柄でもある。
「ありがとう。明石、夕張」
提督は明石とともに、夕張型 1番艦・夕張にお礼を言った。
夕張も三川艦隊メンバーの一員だが、暇なときは明石たちの手伝いを行なっている。
また職人芸もあり、各武器や装備のカスタムなども行なっている。
「本当にいつでもどこでも寝るのが早いからね、でも開発は成功したから大丈夫よ♪
因みに開発したものは三式弾、20.3cm連装砲に、そして四連装酸素魚雷ですね」
「さすが加古、幸運の女神だな」
提督が加古を『幸運の女神』と言うのは、彼女は第六戦隊でも特にどんな危機でも敵艦に止めを刺し、さらにボスを誰よりも早く探し見つけると言うほど実力者である。
提督は微笑みしながら、眠っている加古を撫でた。
寝ている彼女も可愛い、戦っている時はかっこいいが、笑っている加古はもっと可愛い。
「だけど、そろそろ起こさないとな……」
提督が起こそうとすると……加古は察知したかのように刮目して顔を近づけた。
しかも先ほどの眠気など嘘のように無くなり、すぐに起きて、提督と数秒のキスをした。
なお明石と夕張は目を丸くして驚いていたが、提督は慣れている。
「ごちそうさま♡」
加古は艶めく唇をペロッとなぞった。
「おはよう、加古」
「おはよう、提督♡ 寂しかったんだぞ♡」
「遅れてすまないな、だけど任務中に寝たらいけないぞ」
提督は注意を促した。
「じゃあ、あたしを秘書艦にしたら良いじゃんか〜」
「みんなで決めただろう、交代制って……」
「そうだけど、ううっ〜……」
拗ねる加古を撫でながら、提督は言った。
「じゃあ、今夜は膝枕してあげるからそれで良い?」
「じゃあ、頑張る♡」
ニッコリと笑う加古を見て、提督も笑みを浮かべた。
周りに構わずに愛を見せつけていた。
先ほどと同じく明石と夕張、そして工廠妖精たちは口を揃えて答えた。
愛の力はすごいと……
作戦司令室
「今回も元帥の情報通りならば、艦隊編成は機動部隊が重要ね」
今この部屋にいるのは情報分析をしている衣笠と……
「そうね、元帥と偵察艦隊が教えてくれた情報でも新型深海棲艦……奇妙な新型戦艦と空母クラスの情報が偵察機から目撃されているようね」
作戦資料を、これらに目を通しながら見ているのは高雄型4番艦の鳥海である。
三川艦隊旗艦を務めると伴い、艦隊の頭脳として活躍している。
彼女は青葉と同じく情報分析が得意分野であり、各海域攻略作戦を立てる際には積極的にブリーフィングを手伝っている。
二人が懸命に情報収集をしていると……
「衣笠、鳥海お疲れさま」
提督が入室した途端、衣笠は提督に抱きついた。
「提督♡ お疲れ〜♡」
「司令官さん、お疲れ様です」
「すまない、邪魔をして悪かったかい?」
ふたりは短く首を横に振った。
「いいえ、少し休憩に入ろうとしたところですから」
鳥海は言った。
「そうか、良いタイミングだったな。いつもありがとう」
「いいえ、好きでやっていますから」
「そうか、鳥海も無理はするなよ」
「いいえ、それでは私はコーヒーを淹れてきますね」
にっこりとほほ笑みながら鳥海は席を外した。
彼女が出て行くと……
「どうしたんだ、衣笠?」
顔を覗かすと、プイッと衣笠はむくれていた。
「別に、提督……鳥海と楽しそうに話していたから」
妬いているのかと訊いても、衣笠は『妬いてない』と言うかもしれないと思い……
「衣笠?」
「何っ……んちゅ」
提督は衣笠を優しく覆い被さるように、甘いキスを数秒ほど交わした。
お互いの舌を絡み合い、唾液で糸が引っ張るようにキスを終えた。
「俺が愛しているのは衣笠たちだけだ」
「……ごめんね、つまらない事で妬いちゃって……」
「衣笠が俺を愛しているから妬いたのだろう?」
「うん、提督が大好きだから妬いちゃった♡」
「俺は幸せ者だな」
「もちろんよ、提督だけのお嫁さんだもの♡」
優しく撫でると彼女は甘えん坊な猫のように可愛いなと思い、作戦司令室で甘いひと時を過ごした。
鳥海はこれを回避するためにコーヒーを淹れたのかもしれないが。
「どうにか回避成功だわ」
鳥海がほっと胸を撫で下ろしていると……
「また、あの夫婦はシュガーテロでも起こしているのか?」
天龍型1番艦の天龍が鳥海に問いかけた。
古鷹たちと鳥海、夕張と同じ三川艦隊メンバーである。
姉御肌の持ち主であり、面倒見が良いことから駆逐艦の子たちから懐かれている。
「ええ、でも回避したから大丈夫よ」
「はぁ〜 … まあ、仲が良いのは良いけどさ、ちっとは自重して欲しいな」
「そう言っても私たちじゃ、司令官さんと古鷹さんたちに敵わないから」
鳥海の答えに、それもそうだなと天龍は鳥海とともに、コーヒーを淹れる手伝いをした。
作戦資料室から洩れる甘い声を聞きながら……
そして時間は過ぎて、昼食―――
食堂
今日も同じく食堂は賑わっている。
食堂を営んでいるのはふたりの給糧艦・間宮と伊良湖が担当している。
なお間宮・伊良湖たちが作る和洋中はもちろん、特に菓子類は絶品であり、これを食べるとどんな疲労感でも全てが吹っ飛び、戦意高揚すると言うほど大好評である。
どちらも鎮守府名物となっているのは言うまでもない。
午前の仕事を終えた提督・古鷹たちは、午後の仕事やスケジュール、そして各海域作戦攻略に支障を来さないように夫婦仲良く食堂に足を運んだ。
昔からの諺で『腹が減っては戦ができぬ』と言うほど戦争の兵站の重要性を述べたような感じを受けるが、単に『何をするにしても、まずは腹ごしらえ』『腹が減ると考え方も悪くなる』などというような感じの言葉の方がしっくりと来るだろう。
ゆえに人間だれしもが幸せのひと時でもあるのは、彼女たちにとっても変わらない。
温かい食事を食べられることは一般人であろうと、軍人であろうとそれは至福の時間でもあるのだ。
「至福の時間とはこのことだな、みんなで食べると美味しいな」
とあるテーブルで食事をしている提督が呟いた。
古鷹たちに囲まれながら食事をする時間は至福のひと時だなと思うと幸せというシンプルなひと言を呟くのが彼の癖である。
「はい、あ〜ん♡」
古鷹が箸で掴んだ唐揚げを、提督は口を開けて食べた。
「お、美味しい////」
夫婦になっても提督は慣れないものである。
「楽しいですね、提督♡」
「ああ、楽しいな。もう一度良いかな?////」
「司令官、次は青葉の番ですよ♡」
「次はあたしだからな♡」
「衣笠さんもね〜♡」
夫婦が仲良く食べている最中――
同じく食堂を利用している娘たちもお決まりの台詞『今日もご飯とおかずが甘い』と思いつつ、各自テーブルに用意されていた一味唐辛子を大量に掛けたり、激辛カレーなどの激辛料理を完食したのは別の話である。
今回は古鷹たち以外の娘たちが登場しました。
本作品は私のお気に入りの艦娘たちを出します、いわゆる『少数精鋭艦隊』と言う方針かつ、私の趣味である現代兵器も少数登場しますのでお楽しみください。
ある意味フリーダムであります、編成的な意味でもありますが。
ともあれ古鷹たち第六戦隊の魅力を、シュガーテロもお楽しみに!
それでは第3話まで…… До свидания((響ふうに)