事情により、一ヶ月投稿できなかったことを申し上げます。
今回もまた新キャラの登場です。
タイトル通りに会っているかは不安ですが。
いつも通り、最後まで楽しめて頂ければ幸いです!
では、本編であります。
どうぞ!
翌日―――
提督は、エンジニア提督と叢雲と霞たちの協力を得ることが出来た後日―――
飛行している2機の《ウォーバード》が、提督たちのいる柱島泊地を目指していた。
もちろん敵艦載機の攻撃に感知されないように、ステルスモードを起動している。
肉眼で視ることももちろん、敵機のレーダーにも反応できないと言う機能である。
「まもなく、柱島泊地に到着します」
ひとりのパイロットが、後部座席に座っていた女性に声を掛けた。
「うむ。久しぶりに彼らの元気な姿を見れるとワクワクするよ」
日本刀を杖代わりに持っているのは、元帥だ。
日本海軍では珍しく適材適所として、若くして元帥の座に就いた女性元帥である。
その逞しさと美しさを兼ね備え、文武両道を心得た古き良き大和撫子と言ってもいい。
彼女は周囲を魅了するスタイルも持ち、カラスの濡れ羽色とも言える青みを帯びた黒髪は、矢矧のようにポニーテールに纏めている。
「提督はどんな御方なのですか?」
同行者であるひとりの少女が、元帥に尋ねた。
「少し風変わりだけど、とても良い提督さ」
この言葉を聞いた彼女は微笑した。
「もうすぐ着くから楽しみにしていなさい」
『了解しました』
元帥の言葉を聞き、その少女は窓際から見える柱島泊地を眺めていた。
その隣にいた二人は仮眠をしていた。
スヤスヤと静かな寝息を立てていたが、二人とも提督たちに会えるのを楽しみにしている表情を浮かべていた。
同じく柱島泊地・検問所前―――
検問所では、酒保に必要な物資が届けられていた。
荷物の中身はスキャナーで確認しており、軽装備としてAtlas 45とM870 MCSショットガンなどを携えている警備員がいる。
「中身は大丈夫です。全部安全なものです!」
ひとりの警備員が言った。
荷物の中身は述べたとおり、提督と艦娘たちの日用品・飲食物が多い。
スイス軍のミリメシのように、一般のスーパーなどで売られているカップ麺とスナック菓子と言った日常的な飲食物などもある。
どこがミリタリーなのかと思われるが、普段から食べ慣れている物こそ重要なものだ。
なおオーストラリア軍では、チキン味のインスタントラーメンがミリメシとして使われていることも珍しくない。
最近では娯楽として、漫画やDVDに、ラジコンやプラモデルの組み立て一式セットなども少数導入している。
オリジナルとして明石・夕張が独自に開発した架空の第二次世界大戦期を題材にした海戦アクションゲーム『鋼鉄の咆哮』シリーズに登場する艦船(超兵器)をラジコン化したものを販売しており、しかも忠実に再現はもちろん、明石たちのこだわりとして各主砲などからは、サバゲーに使用するBB弾も撃てるようになっている。
睦月たちが趣味で作り、互いに作ったラジコンで遊んでいることが多いほど人気が高い。
余談だが、特に睦月たちがお気に入りなのは『アヒル』と言う艦船がお気に入りだとのことである。
また、艦内での酒の飲用を認めた英海軍をモデルとした旧海軍と異なり、海上自衛隊と米海軍と同じく航海中のアルコールの飲酒を禁じた米海軍の規範を採用し、アルコール類の販売は行っていない。
史実では戦意高揚のためと言い、アルコールを出撃前に少量ほど飲み、現場に到着したら正常な指揮が出来ずに敵の攻撃を遭い、そして撃沈されたこともあったと言われている。
その指揮官のせいで、巻き添えに喰らわされた乗組員は堪ったものではない。
嗜み程度と言ったことでも小さな出来事が大きな油断を生みかねないために、提督は米海軍式を採用している。
ただし、各任務・勤務終了後の場合は明日に支障を来さなければ、多少は飲んでも良いと許可が下りている。
少し曖昧な規則でもあるものの、今後も改善して緩和していくつもりである。
「毎度ありがとう」
「お疲れ様〜」
「お疲れ様、毎度ありがとうございます!」
提督と衣笠、明石とともに届けてくれた運送屋に労いの言葉を掛ける。
「ありがとう。キミたちに感謝の言葉を言われると、私もやり甲斐があるわ♪」
なお、このトラック運転手の正体は戦艦タ級である。
深海棲艦にも少数だが穏健派がおり、たまに提督の柱島泊地だけでなく、二人の親友提督がいる各鎮守府に遊びにくることももちろん、穏健派の深海棲艦たちも提督たちを助けることもあり、そして興味を抱くように人間社会を視察なのか、有名な大手デパートなどに買い物をしたりすることもある。
提督のところに来るタ級の仕事は、宅配便『タ級便』として柱島泊地・酒保の運送業を務めている。
たまに新鮮な魚介類をお裾分けに来てくれる、気さくなお姉さんである。
また穏健派のレ級は、穏健派たちが人間社会に出るための『レ級ルート』と言う求人情報施設を経営しているらしい。
「提督、衣笠、明石。どうした?」
提督たちにとっては聞き慣れているが、たまたま検問所近くを散歩していたハルナたちが来たのだ。
「提督、何かあったのか?」
ハルナが訊ねた。
「おや?見ない顔だね。新入りさん?」
ハルナたちもだが、タ級にとっても初対面である。
「ああ。私たちの友達でハルナと、キリシマ、蒔絵ちゃん、マヤさ」
提督は順番通りに、タ級に説明した。
「そっか。よろしくね、みんな」
『よろしく(よろしくね!)』
タ級は笑顔で挨拶を交わし、ハルナたちも同じように微笑み返した。
「キミも今日の酒保の荷物が気になったのかい?」
タ級は言った。
「私たちはたまたま散歩していたから、気になっただけだ」
「でも、気になるな〜」
「なるなる〜」
「まったく、やれやれ」
各々の感想を聞いたタ級は、楽しそうに微笑した。
「そうだ。ハルナちゃんたちとの友好の証しに活きの良い『ビラ星人』がたくさん獲れたからお裾分けするね」
『ビラ星人????』
ハルナたちは首を傾げた。
提督たちにとっては馴染み深いニックネームだが、初めての人にとってはさっぱりである。
タ級は専用のクーラーボックスを取り出して、中身を見せた。
「これがビラ星人こと、ウチワエビだよ」
体長15cmほどで、体は上から押しつぶされたように平たい。体の前半分が円盤形―――
その名の通り、うちわのような平たい体型が特徴のエビが姿を現した。
「おぉ〜すげぇ〜」
「本当に宇宙人みたい〜」
蒔絵と、マヤは双眸を輝かせながら感想を述べた。
「コイツは鮮度が良いな、ハルナ」
「ああ、どれも新鮮だ」
キリシマと、ハルナは初めて見るビラ星人こと、ウチワエビを見て驚いていた。
「提督。どうしてこのエビをビラ星人と名付けたんだ?」
ハルナが訊ねた。
「いや……夕張と睦月たちが特撮も好きで、『ウルトラセブン』に登場した宇宙人『ビラ星人』に似ていると言ってから、以来はみんなでウチワエビを『ビラ星人』と呼んでいるんだ。
しかもその影響力が高いせいか、うちでは愛称となっているからな」
「睦月ちゃんたちと、ウルトラセブンを一緒に観る度に思い出してね」
「あはは。元々は夕張が趣味で持っていたのを借りて観ていたのがきっかけだけどね」
提督・衣笠・明石の説明を聞いて、ハルナたちは『なるほど』と頷いた。
あとで『ウルトラセブン』と言うものを、睦月たちと一緒に観てみようと決めたのは言うまでもない。
「じゃあ、私は次の配達があるからバイバイ♪」
タ級は手を振りながら、次の配達場所へと移動した。
提督たちは彼女が見えなくなるまで、手を振りながら見送った。
「それじゃあ、俺たちも捜索部隊を編成して……」
提督が何かに気が付くと、ハルナたちも同じくこちらに接近して来る飛行物体が独特の音を放すエンジン音が聞こえた。
「提督、あれは……?」
ハルナは問いかけた。
「警戒しなくても大丈夫。今回ハルナたちが来た黒い空間を捜索するための頼もしいお方さ……」
『頼もしいお方???』
首を傾げた素振りを見せたハルナたちを見て、提督はにんまりした。
「会えば分るさ。さあ、俺たちも出迎えよう。古鷹たちにも伝えておいてくれ。衣笠、明石!」
「衣笠さんにおまかせ!」
「おまかせ下さい!」
二人は敬礼して、全員で元帥たちを迎えるために準備に移る。
「我々も会っても良いのか?」
キリシマが訊ねた。
「ああ、元帥も物好きなところがあるからな」
「そっか、なら我々も会わないわけには行かないな」
「そうだな。キリシマ」
二人は顔を合わせて頷いた。
「まるで眞みたいな元帥だな」
「似ていても違和感がないな、本当に」
ハルナたちが話していると―――
「元帥は女性だから、くれぐれも失礼のないようにな。怒らせたら私よりも怖いからな」
提督はニッコリと笑顔で笑っているが、ハルナたちからの視点ではその後ろには末恐ろしい巨人が見えていた。
『お、おう!!』
思わず滝汗状態になり、コクリッと頷くのだった。
柱島泊地・航空基地
『捧げ銃!』
憲兵隊の儀仗兵たちがM14を掲げる。
「全員元帥に向かって、敬礼!」
提督たちの敬礼に、元帥も同じく返礼する。
余談だが海軍式敬礼は手のひらを見えないようにし、肘を前に出す。
陸軍式敬礼は手のひらを水平に、手は帽子の右側に当て、腕が地面と平行になるように肘を横に上げる。
そして脱帽時には、相手の目を見たあと、身体を傾けるという敬礼がある。
古鷹たちは見事な海軍式敬礼であり、憲兵部隊は陸軍式敬礼である。
ハルナたちも提督たちを見倣い、海軍式敬礼で迎えた。
「元帥。お久しぶりです」
提督の言葉に、元帥もニッコリした。
「久し振りだね。提督」
「お久しぶりです」
「お久しぶりです。元帥!」
「お久しぶり〜」
「お久しぶりです!」
「お久しぶり!」
「古鷹、加古、青葉、衣笠も久しぶり。元気にしていたかい?」
元帥の言葉に、古鷹たちは『はい♪』と返答した。
彼女はどんな時でも、提督や艦娘たちのことを大切な家族として見ている。
新しく実装した彼女たちと同じ目線で話し、常に労っている。
また絶対の信頼を持っているのだ。
「キミたち夫婦愛は私の鎮守府…… まあ、大本営でも有名だよ」
『そ、そんな。照れちゃいます〜♡♡♡♡』
元帥のからかいに、古鷹たちは満更でもなかった。
「元帥、今日はそのために来たのですか?」
やれやれと首を短く振った提督は、元帥に訊ねた。
「いや。キミたちの元気な顔を見るためもだが…… 新しい娘たちを紹介するためさ。
異世界のゲストたちが来たと言った謎の黒い空間を見つけるためも含め、今後のために備えて、キミの鎮守府に所属する娘たちだよ」
「彼女たちは?」
提督は訊ねた。
「機内にいるさ。それじゃあ御対面と行きますか」
元帥の『おいで』と言うハンドサインで、その娘たちが機内からゆっくりと降りてきた。
彼女たちが姿を現して、刻々と近づき、そして提督たちの前に止まり、同じく敬礼した。
「ようこそ、我が鎮守府へ!」
提督たちの歓迎を見た三人は、とても嬉しくて笑みを浮かべた。
今回は元帥たちの登場に伴い、提督たち中心で鎮守府の日常を送りました。
そして、多忙で更新できずにすみませんでした。
今月に呉や江田島に友人と訪問するために、なかなか更新が疎かになりました。
長迫公園と青葉慰霊碑は、もちろん江田島の利根と榛名・出雲、大淀慰霊碑などに足を運びました。
訪問時には雨は降りましたが、参拝後には晴天になりました。
本当に奇跡が起きたんだなと実感しました。
余談はさておき、次回は新しく着任する娘たちをご紹介しますのでしますのでお楽しみに。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
それでは第20話まで…… До свидания((響ふうに)