第六戦隊と!   作:SEALs

18 / 83
お待たせしました。
今回は新キャラの、サブタイトル通り提督のもう一人の親友提督との交流話です。
特徴ある親友提督でもあります。

いつも通り、最後まで楽しめて頂ければ幸いです!

では、本編であります。

どうぞ!


第18話:もう一人の親友提督

前日の『春のお魚祭り』を楽しんだ一同は、いつも通りの日常に戻る。

異世界からの来客たちこと、ハルナたちはこの柱島鎮守府に宿泊した。

なお彼女たちが言っていた黒い空間が、これを再び見つかるまでは、本土近海域を中心に捜索活動と言うことになる。

なお戦力不足を補うために親友提督に頼もうとしたが、現在は元帥の命令を受けて、阿賀野姉妹たちとともに南方攻略の支援艦隊および、空母機動部隊の護衛任務を全うしているために協力ができなかった。

これに困った提督は呉鎮守府で艦隊指揮を執るもうひとりの親友提督に相談をした。

同じ親友でもあり、困っている提督のために、彼は快く受け入れてくれた。

今日はそのもうひとりの親友提督と、彼の秘書艦たちとともに捜索作戦計画を練ることになった……

 

 

 

柱島泊地・特別来客室内―――

 

「……ともあれ、不思議なこともあるものだな」

 

外から見えるハルナたちが乗艦して来た重巡洋艦《摩耶》を見て、素直な感想を述べたのはもうひとりの親友提督こと、通称『エンジニア提督』である。

ここ柱島泊地から近くにある呉鎮守府で艦隊指揮を執り、嫁艦たちとともに、最前線に出るホワイト提督としても有名である。

彼の趣味なのか配備されている兵器は現代兵器の《むらさめ》型汎用護衛艦(DD)を除き、多くが大戦機を主力としているレシプロ機主義を通しており、航空基地には紫電改と彩雲、軍港には日本海軍傑作飛行艇と呼ばれた《二式大艇》などが配備されている。

今日の訪問時でも二式大艇を利用して、ここまで来たのだから頷ける。

そして本人曰く『どんなに故障した機体でも直せないものはない』と豪語するほど、明石・夕張並みと言った腕利きの持ち主である。

余談だが、某有名なゲームに登場する宇宙エンジニアスーツを着用した主人公ではなく、普通の海軍士官同様に海軍二種軍衣である。

肉厚の顔に、太い口髭が良く似合う。

ここ最近は出撃や出張などが多いのか、目頭を揉む姿は提督と言うよりは、ずんぐりとした体型とあいまって、朴訥な農夫と言った印象だが―――

提督曰く『インド映画に出演しても違和感がない』と言うほど、インド人と酷似していると言った印象だ。

 

「俺と古鷹たちだって驚いているさ、異世界の住人たちと接触することは……」

 

「だけど、本当にそう言う不思議な体験出来て羨ましいよ」

 

「あはは…… 艦を釣り上げたことも俺たちが初めてだけどな……」

 

お互いに冗談を交わしながら、提督は用意されていたコーヒーを啜った。

舌全体にコーヒーの香りと、味が最大限までに広がり、今まで飲んだコーヒーのなかでも最上級と言っても良い。

コーヒーは一からコーヒー豆から挽いて、これを淹れてくれたのは古鷹たちだ。

同じくこれを口にしていたのは―――

 

「本当、美味しいわね。このコーヒー」

 

今まで味わったことのない美味いコーヒーの味に驚いているのは、エンジニア提督の初期艦娘であると同時に、彼の嫁艦である、吹雪型5番艦・叢雲。

勝ち気で高飛車な性格をしており、ツンデレな性格の持ち主だが、エンジニア提督と無事結婚後は、共に戦う意志を伝えるほどだとか。

そして彼女とともに、彼を支えているもうひとりの娘が―――

 

「本当。私も初めて味わうわね」

 

同じくコーヒーの味に納得の頷きをして、叢雲の隣にいるのは、朝潮型10番艦・霞。

彼女も同じくエンジニア提督の嫁艦であり、叢雲とともに旗艦を務めるほどの腕を持つ。

当初は『クズ司令官』と彼の実力を認めないほどのツンツンしていたのだが、共に各海域を戦い抜く最中で彼の人柄と成長を認めて、そして無事に結婚へ。

なお結婚後は、叢雲と一緒に彼を支えているのだ。

 

「実はね、ハルナさんたちから教えてもらったんだよ」

 

同じく、コーヒータイムを楽しんでいる古鷹が口を開いた。

コーヒーの淹れ方を教えてくれたのは、意外にもハルナたちである。

彼女たちがいた世界では、移動式カフェ『カフェミスト』を経営したと語ってくれた。

ハルナたちも『ご馳走してくれたお礼』として、淹れ方を一から丁寧に教えてくれた。

古鷹たちもハルナたちに早速教えてもらい、基本を覚えて、それからは我流にアレンジしている。

そのおかげで今朝、古鷹たちの朝食とともに出されたこの美味いコーヒーのおかげで提督・古鷹たちは戦意高揚状態である。

 

「うん、良い味だ!」

 

「ああ、しっかりと香りも味も最上級だな」

 

「えへへ、良かったね!」

 

「ね〜♪」

 

ハルナたちも交流と言うことも兼ねて、ともにコーヒータイムを楽しんでいる。

 

「ハルナさんたちが焼いたクッキーも美味しいですよ♪」

 

古鷹たちも教えてくれたお礼に、自家製クッキーの作り方を教えた。

ポピュラーなアイスボックスクッキーと、レモンの皮を摩り下ろし、レモン果汁を加えて焼いたレモンクッキーである。

どちらもシンプルなものだが、飽きのこないこの癖になるほど後味さっぱりの良い味なのだ。

ハルナたちは『今度『カフェミスト』で販売しよう』と言うほど、気に入ってくれた。

 

『ねえ、ハルナ(ハルナさん)!!』

 

叢雲・霞は声を揃え、顔を見合わせた。

 

「やはり、アンタも同じね!」

 

「ふんっ、当然よ!」

 

ふたりは、にんまりとしながら答えた。

ハルナたちは『何だろう?』と、首を傾げた。

 

『私たちにも美味しいコーヒーの淹れ方を教えて!!』

 

ハルナたちはお互いの顔を見合わせた。

もちろん古鷹たちと同じように、条件はあるなと察した叢雲と霞は―――

 

「もちろん、私たちもそれなりのお礼はするわ!」

 

「司令官の好きな、私たち自慢のどら焼きの作り方を教えると言う条件で!」

 

叢雲と霞は教えてくれるお礼に、愛するエンジニア提督のためにいつも作っている手作りどら焼きのレシピを、ハルナたちに教えると言う条件付きを出した。

ふたりの頼みごとに、彼女たちは―――

 

『うん、いいよ♪』

 

「決定ね!」

 

「そうね!」

 

交渉を終えたふたりは、ハルナたちと握手を交わした。

なお、ふたりとハルナたちとの交渉会話を見ていた提督と、エンジニア提督たちは―――

 

「さすが、ふたりの交渉術はなんと言うかスゴイな……」

 

提督は熱いコーヒーを一口啜りながら、素直な感想を述べた。

 

「そこがむらちゃんと、霞ちゃんの良いところだよ////」

 

エンジニア提督は、ふたりのことを考えるとデレデレ状態になると言っても良い。

提督も親友である彼のことを見て、自分もその気持ちは分かるなと心の中で呟いた。

こういう当たり前な風景が大切なものであり、かけがえのない日常でもあることだからこそ感じられるのかなと考えると、提督は笑みを浮かべた。

 

「提督も自然に笑えるようになったな」

 

エンジニア提督が言った。

彼とは海軍学校で知り合い、ともに同じ道を歩んできたもの同士だから分かるものだ。

元帥と親友提督と同じく、提督の良き理解者でもある。

所属は違えど、こうして絆は繋がっているのだからと言うことも然り―――

 

「……ああ。以前の俺ならば考えられなかった…… それに……」

 

「それに?」

 

「もうひとりじゃないのだからな、あの頃の俺と違って……」

 

落ち着き払った提督は、その言葉を繋ぐように言った。

 

「以前の俺からこういう事はなかった。世界を広め、俺に多くのことを教えてくれたのは古鷹たちだからな……」

 

再度コーヒーを啜りながら、ガールズトークを楽しんでいる古鷹たちを見た。

 

「本当に哲学者みたいだな、提督は」

 

「俺は、詩人や哲学者たちのように気難しい考えはできないものさ……」

 

「昔から提督は、変わっているな」

 

「それはお互い様だろう?」

 

「それは言えているな、あはは……」

 

エンジニア提督も、提督と同じように微笑みながら言った。

 

「ともあれ、暫らくは例の黒い空間が見つかるまで捜索を手伝ってもらってすまない」

 

「いや、俺も親友が困っているのを見過ごす訳にはいかないからな。気にしなくていいさ。

元帥も同じように許可を貰っているんだ」

 

「元帥には世話になりっぱなしだな」

 

「誰よりも『私の仕事であり、使命だから』と言っているからな、あの方は」

 

「伝言としては『くれぐれも自重して欲しいこともある。私に止める手段はないが、これでも元帥としての立場だからな』と言っていたからな」

 

「……肝に銘じておくよ」

 

元帥も、彼女なりに苦労はあるのは認識している。

最近では不思議な噂話を、これはアインシュタイン博士の特殊相対理論が実現したかのように未来人の日本人――― 灰色服の男と接しているとの噂話が後を絶たない。

数多く生み出され、語り継がれる都市伝説のように、何時しか信じがたい話が現実になることもあり得ることでもある。

今回の出来事――― ハルナたちも同じように現代科学では説明しがたい、こういう不思議な超常現象によって、この世界に来たことと考えても不思議ではないな、と提督は考えた。

くれぐれも余計な詮索はしないことが第一でもあるが……

 

「……ともあれ、捜索は明日から掛かるか。今日はゆっくり作戦でも考えよう」

 

「そうだな、今は……」

 

提督は口ごもりながら、ちらと古鷹たちが楽しんでいる茶席に目を向けた。

 

「提督。お代わりもありますよ♡」と古鷹。

 

「司令官。青葉たちと一緒に楽しみましょう♡」と青葉。

 

「提督。あたしの隣の席、空いてるよ♡」と加古。

 

「提督。早くこっちに来て一緒に飲もう♡」と衣笠。

 

同じように―――

 

「あんたも早くこっちに来なさいよ!////」

 

「もう待たせたら許さないんだから!////」

 

叢雲と、霞は相変わらずツンツンしているが、以前よりは素直になろうと努力している。

 

「本当に楽しいね。ハルハル、ヨタロウ、マヤマヤ」

 

「ああ。この世界に来て、提督と古鷹たちとの交流も……」

 

「誰よりも『愛』と言う感情も不思議なことも教えてくれているのだからな」

 

「私は好きだね。提督とフルフルたちの仲良し光景を見るの〜」

 

フルフルとは、マヤなりに付けた古鷹のニックネームである。

同じく加古は『カコカコ』で、青葉は『アオアオ』と、そして衣笠『キヌガッサー』と呼んでいる。

 

 

「やはり、古鷹たちと過ごすコーヒータイムは最高のひと時だな」

 

『提督(司令官)♡♡♡♡』

 

提督の言葉を聞き、古鷹たちはウットリしていた。

 

「俺もむらちゃんと、霞ちゃんと過ごす時間は最高だな!」

 

「と、当然よ。こうして過ごせることに感謝しなさい!////」

 

「ふ、ふん。私たちと過ごす時間は充実して当たり前じゃない!////」

 

エンジニア提督の言葉を聞いた叢雲と、霞は素直さを隠しながらながらも、その表情は満更でもなかったのだった。

 

この後も暫らくコーヒータイムを楽しみつつ、捜索活動内容を纏める会談を無事終了したのだった。




今回は個性あるエンジニア提督との会談に伴い、彼を支える叢雲と霞ちゃんたちとのコーヒータイムを楽しむという回でもありました。
やはり煎りたての豆で煎れたコーヒーは味も香りも違いますから、とても美味しいですね。

クロスラインで、ハルナたちが移動式カフェ店を経営する話も好きです。
あのマヤちゃんの言ったオチは、私もハルナたちと同じく思わず『あ…』と言ってしまいました。
その後は紅茶を淹れる技術も取得したのかなと想像します。

ともあれ、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

では次回も古鷹たち第六戦隊の魅力とともに、シュガーテロもお楽しみに!

それでは第19話まで…… До свидания((響ふうに)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。