今回は前回の続きであり、予告通り、ハルナたちを迎える交流パーティーとなります。
いつも通り、最後まで楽しめて頂ければ幸いです!
では、本編であります。
どうぞ!
「ではこれより『春のお魚祭り』を開催致します!」
由良が始まりの言葉を言うと、全員は拍手喝采である。
「まず始めに提督ご夫婦たちより、ご挨拶を頂きます」
由良にマイクを渡された提督の隣には、古鷹たちもウキウキしている。
「今日はこうしてパーティーを開けることを心から嬉しく思う」
提督の挨拶が終わり、古鷹は提督のマイクを取り、彼の言葉を繋ぎ合わせた。
「今日はゲストのハルナさんたちとともに、大いに楽しみましょう♪」
「では、みんなで一斉に」
ゲストたちこと、ハルナたちのお披露目と顔合わせのため、代えやすい立ち食いパーティー形式を採用した。
「はい! では皆さん、グラスを手に取ってください。提督さん、古鷹さんたち…乾杯をお願い致します」
由良の合図に応え、提督たちは全員グラスを持った。
提督と古鷹たちは、アイコンタクトして……
『乾杯!!!』
夫婦のひと言で、全員が『乾杯!』と盛大に盛り上がる仲間の姿を見た提督たちは笑みを浮かべた。
各自は乾杯が終わると、テーブルに用意されていたごちそうに手をつけた。
調理は間宮・伊良湖たちもだが、扶桑姉妹たちも手伝ったおかげで和食はもちろん、洋食から中華料理、多国籍料理もある。
しかし宴席でも一際目立ったのは、今回のMVPを取った文月が大量に採った桜鯛を使った大きな刺身の船盛りだった。
また鯛以外にも赤城が釣ったアオリイカ、ひらめと加古が近くの岩礁で仕掛けて捕獲した伊勢エビもだが、釣りが終わる前に、同じく近くの岩礁で採ったウニを一緒に盛りつけた。
意外に知られていないが、『笠戸ひらめ』のふぐに匹敵する高級魚と知られ、瀬戸内海の海流の影響で、その身がひきしまっており大変美味と言われている。
また三方を海に囲まれた山口県は上質のウニの宝庫で、ふぐ、くじらと並ぶ県を代表する水産品であり、ブランド品としても有名である。
その周りにあるのは各々の小分けにされたアイナメの幽庵焼き、隣にはメバルの煮つけ、
七色に輝く鰺の南蛮漬け、辛みと酸味が堪らない伊勢エビのチリソース、沸々と焼く音を鳴らしながら醤油の香ばしい香りがするサザエのつぼ焼きなど豊富な魚介料理が並べられていた。
もちろんチーズや野菜、オイルサーディンなど様々な具材が乗っているフランス式の前菜として人気のカナッペに、フライドチキン、フライドポテト、ミックスサンドイッチなどと言った定番のパーティー料理に花を添えていた。
全員、目を輝かせて各料理に群がっていた。
今宵は神秘的に照らす月夜に、ひらひらと桜の花びらが舞い散る夜桜を楽しみつつ、間宮たちが企画した『春のお魚祭り』は大盛況だった。
後に披露されるステージ発表で、より盛り上がるだろうと提督は考えた。
一部は緊急対応や哨戒任務のため、遅れたりする娘たちなどもいたが、あらかじめ提督・古鷹たちが考案したメッセージカードをハルナたちに渡した。
「よく似合っていますね♪」
「本当に可愛いわね♪」
「ありがとう。扶桑、山城////」
扶桑姉妹たちと楽しく会話をしている姿が見えた。
ハルナは蒔絵のアドバイスを聞き、この会場に似合う黒いドレス姿になっている。
キリシマによれば、以前はコートでないとヘタレ顔になり普段の威厳もへったくれもない、すぐに泣きだしてしまうような非常に弱々しい状態『堪忍してつかぁさい』と言うほどだったが、蒔絵やマヤと出逢ってからは心境の変化か精神的成長のおかげか、コートなしでも平気になったとか聞いた。
また、彼女は人類の言語に興味があり、彼女なりの『言葉集め』をしているらしい。
提督は我流の国語辞典か、某百科サイトを制作することが得意なのかなと考えた。
最近の新しい都市伝説では世界を牛耳ろうと暗躍している人工知能の生みの親たちがいるとかよく耳にするが…… 彼女の場合はないだろうと確信した。
蒔絵たちを大切にする良い娘だからだと見抜いているからだ―――
「そこで私はその悪い奴らを、ハルナとマヤともにこうして!」
『おおおぉ〜』
ステージでは語り手をしつつ、悪い奴らを倒すように演じるヨタロウを見た初月と睦月たちは歓声を上げた。
(こういう役は得意だからな♪)
(蒔絵ちゃんや睦月ちゃんたちも楽しんでもらえて何よりだよね♪)
なお黒衣(くろご)役として、鬼怒と川内が各々の人形を動かす人形遣いとして務めている。
「すごいね、ヨタロウちゃんは〜」
「えへへ、ヨタロウはハルハルとマヤマヤと同じくらい強いんだよ♪」
文月の言葉を聞いた蒔絵は、ニッコリと笑みを浮かべて嬉しそうに話していた隣に―――
「いいぞ、もっとやれ!」
演劇を見ていたイヨはほろ酔い気分と伴い、上機嫌でビールジョッキを片手に声援を送る。
「イヨちゃん、お客さんに失礼がないようにね……」
ヒトミは彼女が飲みすぎないように、威圧感のある笑顔で注意する。
「アッハイ、了解シマシタ」
イヨは滝汗状態になり、しかも震えながら返答した。
「二人はいつもそうなの?」
「いつも通りだから、あの二人は……」
「漫才みたいだね」
「まあ、そうなるな」
蒔絵の質問に、隣にいた初月は苦笑いしながら答えた。
最初はどうだろうなと心配していたが、ハルナたちは自分たちが昼と同じように提督たちがここまでもてなしてくれることに嬉しかったようで全員の名前をすぐに覚え、こうして仲良くすることが出来て嬉しかった。
「次にマヤだが……」
マヤは先ほど、古鷹たちと鳥海、天龍と龍田など三川艦隊メンバーと話していた。
なお祭りの最大の楽しみでもある披露宴―― 各楽器を持った音楽妖精たちとともに、古鷹たち三川艦隊メンバーはダンスを、加賀は自身の持ち歌である『加賀岬』を赤城とともに歌い、そして瑞穂は和楽器をこの季節にピッタリな『春の海』を披露すると準備している。
また、ハルナたちも提督たちに礼がしたいと言い、歌を披露すると参加する。
「俺もあとで古鷹たちと踊ろうかな」
提督は考えていた時だった。
「ねえねえ、提督♪」
「何だ、マヤ…… んっ!?」
提督は、無邪気な子どものように声を掛けてくれたマヤの声に反応した。
しかし、後ろを振り返ると――― 彼女の後ろには、各演奏楽器を持った彼女に似た小さなマヤたちがたくさんいた。
「マヤ、この子たちは?」
提督は訊ねた。
「私の自慢の音楽隊だよ!今日のお礼を兼ねて、みんなで音楽を送ろうと思うんだ!」
彼女の言葉に、『いえーいっ!』とばかりに小さなマヤたちが盛り上がった。
「お礼か、ありがとう」
提督は、影分身の術でも使っているのかなと呟いた。
もはや自分の常識は通じないに等しく、これに突っ込んだら負けだなとも思えた。
『提督(司令官)♡♡♡♡』
振り返ると、古鷹たちも準備を終えていた。
「それじゃあ、俺たちの披露宴を始めるか!」
提督の言葉に、古鷹たちは頷いた。
「みんな〜、ステージに注目してね〜♪」
各々交流しつつ会食する中、ステージ脇に司会を勤める由良と、副司会を龍田が姿を現わす。
「これからステージにて、春ライブを始めるよ」
「トップバッターは赤城さんと加賀さんのおふたりで『加賀岬』です♪」
どうぞ、と言うばかりステージに照明が照らされた。
「一航戦加賀……」
「一航戦赤城……」
青い着物姿を着た加賀と、紅い着物を着た赤城がマイクを握り締めるとイントロが始まった。
『歌います……!!』
ふたりに協力するのは琴を弾く瑞穂と、三味線や尺八などを見事に奏でる音楽妖精たちである。
桜の花びらがひらひらと舞い散り、それに応えようと演奏と演歌と同時に、奇跡のコラボを表すように会場を盛り上げり―――
「Please show the Peacefull boundary. 永い眠りから覚めて~♪」
「Small spring seen from horizon. 嫌いな寒さはDisappear~♪」
川内と鬼怒の『Spring Shower』とともに―――
『そうさ 神のまにまに 仰せのままに 誰だって地球を愛してる 』
『飲めや歌えや どんちゃん騒ぎ たまにゃそんなのもいいね』
睦月たち全員は『神のまにまに』を歌い踊る。
『All I see なんでもないこの世界が今〜♪』
『愛の意味求めてる、強い風に胸は震えている〜♪』
そして途中参加として、ハルナ・キリシマ・マヤ・蒔絵は『ブルー・フィールド』を披露した。
イントロなどを演奏するのは、マヤの分身(?)こと子マヤたちである。
なおハルナたちから聞いたが、マヤは音楽が好きなものの、演奏が適当だったらしく、
しかし、色々と旅をするたびに蒔絵と演奏練習を重ねて上達したと教えてくれた。
バイオリンの演奏時には、蒔絵の方が上手かったため、当時のマヤはショックを受けたらしいとのことだ。
歌声は全員プロ並みであり、艦娘としても、艦隊のアイドルとしても活躍している那珂と良いコンビが出来そうだなと考えた。
「提督、そろそろ私たちの出番ですよ♡」
「あたしらでかっこよく決めような♡」
「青葉たちの練習の成果を見せてあげましょう♡」
「みんなで盛り上がろうね♡」
「ああ、もちろんだ!」
古鷹たちの言葉で、提督は頷いた。
提督も普段通りの戦闘服ではなく、アメリカ空軍の儀仗用制服、通称『ブルードレスA』に着替えている。
また使用小銃は、第二次世界大戦で生まれて米軍が制式採用し、日本軍も鹵獲して使い、幻の四式自動小銃の参考になったと言われる傑作小銃ことM1ガーランド小銃だ。
現代のアサルトライフルと言う銃本来の性能よりも外観や取り回しを優先するため、木製部品を使う旧式の小銃を使用する国が多い。
自衛隊の特別儀仗隊でも警察予備隊時代、米軍もまたから受け継いでいるこの小銃を使うことも多い。
提督も彼らを見倣い、時間がある際に、古鷹たちと三川艦隊メンバーと練習した。
今日はこれを披露して盛り上がるために、提督は練習を積み重ねてきた。
余談だが、アメリカ空軍儀仗兵の訓練時にはゴム製チキン『チキンラバー』と言うものを使い、どんな時でも儀仗兵は笑わずに冷静にいられるかが重要なために行なわれる。
栄誉礼は国の首領と高官などをと言った彼らを迎えるのだから、冷静さと伴い、並大抵の精神力と忍耐力を兼ね備えなければならない。
それゆえにライフルドリルと呼ばれる、儀仗兵独自のパフォーマンスは華麗なものである。
現状に戻る。
「ハルナさんたち、ありがとうございました!」
「皆、綺麗な歌声でしたね〜♪」
春ライブは盛り上がり、そして―――
「次は提督さんと三川艦隊の皆が『ジャバヲッキー・ジャバヲッカ』を披露してくれます」
「提督たちの華麗なるライフルドリルを見せてくれるから、楽しみにね〜♪」
由良と龍田の言葉と入れ替わるように、ステージには前奏が流れ始めた。
『とあるコーフクロンジャが呪った明日〜♪』
『ゲンジツシュギシャはツマンナイ 今日にシコウテイシのジュモンを唱える〜♪』
古鷹・加古が歌い始め、次は青葉・衣笠が歌い―――
『アブラカタブラ(笑)〜♪』
鳥海・夕張・天龍が歌い―――
「turn up! turn up!」
そして古鷹は床に置いていたM1ガーランドを、空中に放り投げた。
提督は空中に舞ったこれを受け取り、そして自由自在にライフルを華麗に回した。
提督たちはアクロバティックな銃の操作をしているが、その曲に合わせ奏でる楽器のようにライフルをいとも簡単にくるくると回していく。
古鷹たちと入れ替えるも、複雑な動きをしながらも陣形も姿勢がビシッと揃っているため、端麗な隊列はCGを見るように綺麗に見える。
「イミフメイゲンゴ」
提督たちは十字型の隊形を組み、風車のように回りつつ、内側は遅く外側は早く見える。
そのスピードの調整は時計の秒針のように刻み、一糸乱れぬ動きは誰もが見惚れてしまい、言葉を失うほど美しいパフォーマンスだ。
「オンシンフツーシンキ」
お互いに向かい合った隊列をした直前に各々携えたライフルを投げて、これを空中で交換されるという大技を披露して―――
「もっとたのしませて?」
そしてフィナーレ。全員で無限ドミノのように銃をぐるぐる回し―――
『ありがとうございました!』
敬礼をして終了したと同時に、全員から大喝采を浴びた。
ハルナたちも楽しんでくれたようで、拍手を送ってくれた。
緊張もしたが、全員で成功したと言う達成感を得ることが出来たとともに―――
『提督(司令官)…… 私たちやりましたね!♡♡♡♡』
「ああ、俺たちのパフォーマンスで盛り上がって良かったな!」
夫婦愛もより強くなった。
ステージでは提督は、古鷹たちに抱きつかれた直後―――
『提督(司令官)……大好き!♡♡♡♡』
全員からのキスで締めくくると言うものだった。
『御馳走様です////』
全員手合わせをして、この光景を見たハルナたちの素直な感想で言った。
「これで春ライブは最後だけど……////」
「飛び入りは随時募集しているから、遠慮なくステージに上がってきてね〜♪////」
夫婦円満を見た由良と、龍田の言葉と同時に『春のお魚祭り』と春ライブは大いに楽しく過ごした。
なおその後は、由良の『極楽浄土』と、初月の『Ur-Style』と、扶桑と山城たちは『Weekender Girl』を踊り、マヤは着物を着て、ニシン漁の歌である『ソーラン節』を披露した。
そして提督と古鷹たち、相棒こと《震電改二》の装備妖精と古鷹たちの艤装妖精の『マイルームディスコナイト』で今宵の宴は大いに盛り上がったとか―――
ハルナたちとの交流パーティーに伴い、MMD艦これ動画のような春ライブを披露する回でもありました。
夫婦でやるライブ―――ライフルドリルも良いんじゃない(伊勢ふうに)
実際にはエリート中のエリート且つ、厳しいパスを乗り越えなければいけないですが、気にしたら負けです。
動画でも見ましたが、本当にドミノ崩しとか綺麗で感動しました。
感動ものもですが、私はカッコいいものを見て涙します。
今回はやりすぎましたかなと言う勢いでもありましたが、楽しめて頂ければ幸いです。
ともあれ、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
では次回も古鷹たち第六戦隊の魅力とともに、シュガーテロもお楽しみに!
それでは第18話まで…… До свидания((響ふうに)