第六戦隊と!   作:SEALs

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お待たせしました。
前回に引き続き、いよいよ彼女たちと次回と接触します。

なお今更気づきましたが、UA5000超えまして上々ね♪(赤城さんふうに)

いつも通り、最後まで楽しめて頂ければ幸いです!

では、本編であります。

どうぞ!


第16話:接触《コンタクト》 後編

『まさか、俺(私)たちが重巡洋艦を釣るとは……』

 

キリシマと言い、未知のエリアと言うべきなのかと戸惑うばかりである。

まさか高雄型4番艦《摩耶》を釣るとは、誰も思わなかった……

また所々、奇妙な模様と赤い色の重巡洋艦を見たこともない。

もはや釣りどころではないなと思いつつ、そして顔を見合わせた提督たちは今の視線を、無邪気な子どものように喜んで飛んでいる文月から、彼女の傍にいるキリシマに視線を移した。

 

「キリシマ、もしかしてだが……」

 

「お前の知り合いは、この艦自体と言うオチはしないでくれよ」

 

提督と加古はこの状況を、空気を変えるべくキリシマに質問した。

 

「……いや、その、まあ、確かに私の知り合いだが、でもちゃんと!」

 

その慌てぶりと言うか、その図星と言うような喋り方をすれば、彼女の知り合いだなと全員納得した。

 

「司令官、艦橋から3人の人影が!」

 

青葉が何かに気が付くと、全員がその艦に視線を合わせた。

青葉の言うとおり、三人の人影は姿を現した。

ひとりは大きな黒いコートを着た金髪ツインテールの女性。

彼女の傍にいるのは文月たちと同じような幼いツインテールの少女。

そして最後は赤ずきんのような少女趣味な洋服に黒のロングヘアーの少女の姿だ。

 

「もしかして、彼女たちが……」

 

提督が最後まで言おうとしたら、黒いコートを着た女性が幼い少女を両腕で抱え、彼女たちの傍にいた水色のワンピースを着た少女は飛び降りてきた。

誰もが『陸自の第一空挺師団の隊員か?』と思ったに違いないが、ふたりとも降下用のパラシュートも装着せずに降下できる時点で彼女たちは異世界の未来人なのか、それとも本当は異世界の宇宙人なのか混乱しそうだが、失礼のないように接触するのがセオリーである。

 

「ハルナ、蒔絵、マヤ!」

 

誰よりも再会を喜び、彼女たちに飛びついたのはキリシマだった。

離れ離れになったのだから、喜ぶのも当然である。

 

「ヨタロウ、無事でよかった!」

 

幼い少女は喜びを再現するようにギュッと強く抱きしめると伴い、スリスリと頬擦りをした。

 

「マッキー、キリキリ、私も混ぜて〜♪」

 

「無事で何よりだ、それにマヤ、私をキリキリ言うな!////」

 

青いワンピースの少女も加わり、お互いの再会を喜んでいた。

 

「キリシマ、無事で何よりだ」

 

落ち着いた口調をした黒いコートの少女は、キリシマとの再会と無事に喜んだ。

 

「ああ、ハルナも無事で良かった」

 

「キリシマの微弱な周波数を辿って、ここまでたどり着いたんだ」

 

「そうか……」

 

ハルナと言う少女は周囲をもの珍しそうにキョロキョロと辺りを見渡した。

軍港やその類の施設など見たことがあるのは、17年ぶりに訪れた横須賀急襲以来だった。

ただ自分たちよりも大きなあの壁はなく、また停泊している艦船や上空を飛んでいる見慣れた航空機などはまだ蒔絵と出逢う前から人類との最終決戦時で見慣れていたが、だけど今まで見た軍港と各施設なども、何故か神秘的で珍しい軍港だと内心に語った。

状況確認終了。視線を再びキリシマに移したハルナは、なるほどと頷いた。

 

「それに…… 彼らはいったい何者なんだ?」

 

ハルナが訊ねると、キリシマを抱きしめた少女たちも同じく提督・古鷹たちに気づいた。

 

「彼らは私を助けてくれた命の恩人たちだ」

 

「恩人…… 情けをかけ、力になってくれた人、または世話になった人を意味する」

 

「そうだ。 取り敢えず提督や古鷹たちに礼を……」

 

「提督? 古鷹たち?」

 

ハルナは訊ねた。

 

「彼らの名前だ」

 

「そうか、分かった…… 蒔絵、マヤ、彼らにお礼を言おう」

 

「うん! ハルハル!」

 

「はい♪ はい♪」

 

蒔絵と言う名の少女は、文月たちと同い年の女の子でハルナを姉のような存在としてしたっており、マヤと言う名の少女はフレンドリーな性格なのかと提督たちは考えていると、ハルナは提督たちにゆっくりと近づいた。

 

「初めまして、私の名はハルナだ。提督、古鷹…… キリシマを助けてくれてありがとう」

 

「私たちは困った人を放っておけませんから、お役に立てたのであれば幸いです」

 

「俺たちはお礼を言われるほどでも、寧ろこちらが世話になったのだが……」

 

古鷹が微笑みながら答えると、提督は繋げるように答えた。

 

「それでも初対面にも関わらず、キリシマを助けてくれてありがとう」

 

ハルナはニッコリと微笑み、お礼を言う。

提督・古鷹たちも同じく微笑み返し、お礼を言おうとしたときだ。

ハルナたちのお腹から空腹を知らせる虫の音がした。

 

「す、すまない。私としたことが////」

 

「お昼まで食べていないもんね、ハルハル」

 

「私もお腹空いた、お腹空いた〜!」

 

「私は大丈夫だが、提督…… ここに食堂とかあるか?」

 

キリシマは訊ねた。

 

「ああ、食堂はまだやっているから大丈夫だ」

 

「いいのか、見ず知らずの私たちに……」

 

ハルナたちは躊躇っているようだが、提督たちはどんなに初対面であってもゲストたちに

は温かく出迎えることが大切であると、元帥や良識派たちに教え込まれている。

 

「そこで自己紹介も兼ねて、食事をしよう」

 

提督は先ほど古鷹たちと弁当を食べたが、どうも初めての異世界との交流とも言える摩訶不思議な体験のおかげで空腹を満たすことが出来なかった。

それは古鷹たちも同じことであり、軽食ぐらいならば小腹を満たしたいなと賛成した。

赤城と加賀に関しては『私たちはさっぱりとカツ丼をニ、三杯食べたいです』と言うほどでもあったが――― いつも通りなので提督は気にしなかった。

 

「食堂は間宮さんと伊良湖さんが営んでおり、メニューは何でもあるから好きなのを注文してくれ」

 

提督の言葉に反応したのか、マヤと蒔絵と言う名の少女たちが訊ねた。

 

『海鮮丼はある(ありますか)!?』

 

「もちろん、柱島泊地で取れた新鮮な魚介類を贅沢に乗せた自慢の丼もあるぞ」

 

『おおっ!やった♪』

 

微笑した彼の答えに、ふたりは嬉しさのあまりジャンプした。

軍では刺身などと言った生ものは食中毒を起こしかねないため出すことは禁止されているが、史実では各艦艇に打ち上がった烏賊や飛び魚を捕まえて刺身にしたこと記録も残っている。

提督たちがいる鎮守府は海の恵みに恵まれた瀬戸内海などと言った柱島泊地、また隣県で艦隊指揮をしている呉鎮守府、そして各鎮守府では一部だが刺身など生ものを出している鎮守府も最近では増え始めている。

トラック泊地では、鯛や伊勢エビに、シャコガイの刺身があることを真似していることもある。

もっともトラック泊地で獲れる鯛は本物の鯛ではなく、鯛に似た南洋魚だ。

また伊勢エビも通常よりも大型化した個体であり、味はいささか大味である。

そしてシャコガイは、貝柱を薄切りにして刺身にすると言うものだ。

不運なことに、南方にある鎮守府は食べることができない。

食料が傷みやすいゆえに、南方の魚介類はフグが持っているテトロドトキシンと言う自然毒に汚染された独特な魚介類を食べて食中毒をした例もあるため、本土に帰投して食べることも珍しくない。

 

「他にも豊富なメニューもあるが、海軍と言えばアレもあります」

 

提督が言ったアレにハルナたちは首を傾げた。

 

「今日は金曜日ですよ、ハルナさん」と古鷹。

 

「金曜日と言ったら、アレだよね〜」と加古。

 

「金曜日と言いましたら、青葉たちの大好きな――」と青葉。

 

「金曜カレーよ!」と衣笠。

 

古鷹たちが繋ぎながら答えると、ハルナとキリシマはビクッとした。

 

「どうした? もしかしてカレーが苦手だったか?」

 

提督が問いかけた。

 

「い、いや…… 苦手ではないが……」

 

「お、思い出すな、あの時のカレーを…?」

 

「あの時はスゴかったよね、あのカレーは……」

 

「確かにアレはね、私もすごく目が痛くなったからね」

 

汗をダラダラと滝のように汗を搔くふたりに対して、蒔絵とマヤは思い出したかのように苦笑いした。

 

「もしかして、カレーの辛さは選べるか?」

 

「またヒグマの肉は入っていないか、提督?」

 

滝汗状態のハルナと、キリシマを見た提督は微笑した。

 

「カレーの辛さはきちんと選べるし、普通のビーフカレーなどがあるから大丈夫だ」

 

『ほっ…… 良かった……』

 

提督の言葉を聞いたハルナたちは、ほっと胸を撫で下ろした。

提督たちは『何か誤って知らずに激辛カレーでも食べたのか』と推測をした。

彼女たちが函館にて、偶然見つけた函館カレー専門店『ベアハッグ』で、ハルナとキリシマが見つけた家具を、どちらかを買うかに賭けた戦いの際に食べた激辛カレー“紅い大雪山”を食べて、辛い目に遭ったことに提督たちは知らない。

 

「昼食を食べたら、夜は今日釣った魚で間宮さんたちが考案した『春のお魚祭り』も開かれるから楽しみにしてくれ」

 

「良いのか、我々を招待しても……」

 

ハルナの問いに、提督は頷いた。

 

「キミたちに会えたのも何かの縁だ、今日はゲストとして大いに楽しんでくれ」

 

「ハルナ、どうする?」

 

キリシマの問いに、ハルナはしばらく考えた。

だが、彼らの親切を断ることは失礼に値すると蒔絵から教えてもらった。

それにキリシマを助けてくれたお礼もできるかもしれないと考え、そして……

 

「……分かった、図々しいようだが提督たちのお言葉に甘えよう」

 

「良かった。では今日の予定は決まりだな、みんな」

 

『はい、提督(司令官)♡♡♡♡』

 

古鷹たちに続き、川内と由良も頷いた。

 

「では……」

 

「司令官〜!」

 

提督が予定を伝えようとしたとき、文月がまたしても喜びの声を上げた。

 

「司令官〜、見て見て〜!」

 

文月が両手に持っているのは、50cm以上と言った見事な大きさをした桜鯛だ。

しかも1匹だけでなく、後ろにいる赤城・加賀が持つクーラーボックスやほかのバケツなども同じく入りきれないほどの大量の桜鯛や他の魚たちが尾びれをはみ出し、ピチピチと跳ねていた。

 

「スゴイな、文月! 立派な桜鯛だな!」

 

「文月がいっぱい採ったんだよ〜♪」

 

誰もが採ったと言う言葉に首を傾げた。

 

「文月ちゃん、どういう事なの?」

 

衣笠が、文月たちに問いかけた。

 

「さっき、司令官と古鷹お姉ちゃんたちがハルナお姉ちゃんと話しているときに、あの艦からたくさんのお魚が飛び出してきたんだよ〜♪」

 

「提督と古鷹さんたち、そしてハルナさんたちが気付く前に、みんなで驚かせようと思いました秘かに集めておいたのです♪」

 

「でも私たちではなく、文月さんを褒めてあげてください、私たちはただお手伝いしただけですから」

 

プロの釣り師から、今度はニンジャの服装に着替え、腕を組んでドヤ顔をしていた。

 

「でも今回の釣りは文月さんですから、あとは提督、古鷹さんお願いしますね♪」

 

赤城が言うと、古鷹も頷いた。

 

「よし!これで歓迎パーティーは豪華になるな! 本日の釣りの勲章者、MVPは文月だ!」

 

嬉しそうに頷いた提督が拍手をすると、古鷹たちも歓声と拍手による大喝采を送った。

ハルナたちもきょとんとした顔をしていたが、次第に提督・古鷹たちに導かれるように同じように拍手をした。

 

「本当に彼らは変わっているが…… キリシマの言う通り、とても良い人たちだな」

 

「うん、ハルハル!」

 

「やったー! 楽しいお祭りだよ、カーニバルだよ!」

 

「そうだな……」

 

キリシマは青空を見ながら、こういう日もあるのだなと呟いた。

あっちの世界では常に逃亡生活と、旅を繰り返していたことが日常茶飯事だった。

しかし、提督たちは見ず知らずの自分たちをこうして温かく迎えてくれた。

今日くらいはあの突如現れた黒い空間のおかげかなと考えると、悪くないとも思えたが……

 

「それじゃ、気を改めて食堂に案内しよう」

 

提督たちの案内についていくハルナたちは、昼食とともに、夜の歓迎パーティーこと『春のお魚祭り』を楽しみにするのだった。




ゲストこと、ハルナたちの登場に伴い、交流する回と言うでした。
アルペジオではハルナたちが好きですね。
クロスラインでは、函館でドタバタな日常がほのぼのして面白いです。
アルペジオ本編とは、また違った顔も見れて新鮮でもあります。
また海鮮丼を見る度に、クロスライン本編を思い出したりもします。

ともあれ、今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

次回は提督・古鷹たちで、ハルナたちと歓迎会を開きます。

では次回も古鷹たち第六戦隊の魅力とともに、シュガーテロもお楽しみに!

それでは第17話まで…… До свидания((響ふうに)

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