第六戦隊と!   作:SEALs

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お待たせしました。
今回はタグに、一部クロスオーバーと追加しました。
少しだけ異世界のキャラたちと交流します。

そのキャラの正体は誰なのかは本編のお楽しみです。

いつも通り、最後まで楽しめて頂ければ幸いです!

では、本編であります。

どうぞ!


第14話:出会いは突然に……

X-day

時刻 1130時

鎮守府埠頭・防波堤

 

「昨日と言い、今日と二日連続でこういう日もあるものだな」

 

二日も珍しく出撃任務もなく、古鷹たちと穏やかに釣りを楽しんでいた。

彼らだけでなく、本日暇を持て余していた者たちも同じく参加している。

 

「今日は絶好の釣り日和だから、いろいろとよく釣れるな」

 

「そうですね、良いお天気で気持ちいいですね♪」

 

古鷹もにっこりと微笑し、気分上々である。

提督の言う通り、バケツにはいま釣りたてと言うばかりに魚たちがピチピチと跳ねていた。

提督が釣ったのはメバルと、アイナメである。

 

「提督、アイナメが釣れました♪」

 

「あたしはメバルだよ♪」

 

「青葉はカワハギが釣れました♪」

 

「衣笠さんはゴマサバが釣れたよ♪」

 

古鷹たちも同じくいろいろな春の魚を釣った。

大きめのクラーボックスも用意しておいてよかったなと、提督は安心した。

柱島泊地は瀬戸内海に面しており、四季折々に釣れる魚はとても絶品である。

今年の3月中旬まで寒さが続いたが、徐々に暖かくなり、春の陽気に誘われるようにこの季節が旬の魚たちが活発に動いている。

なおこの休暇を利用して、有名な某企業のパン祭りをあやかって『春のおさかな祭り』を開幕することにした。

この『春のおさかな祭り』と名付けたのは、間宮と伊良湖である。

それを聞いた者たちは盛大に盛り上がった。

特に赤城と加賀は朝から張り切っており、それ故に戦意高揚だ。

そして何処から調達して来たのか、本格的な恰好もプロさながらである。

提督たちは『ある意味、ふたりはフリーダムだな』と、心の中で呟いた。

 

「提督、私はアオリイカが釣れました!」

 

「私は、お目当ての桜鯛が釣れたわ」

 

にっこりとほほ笑む二人を見て、提督は驚いた。

 

提督たちはこの旬である春の魚のなかでも、桜鯛がお目当てである。

この時期に漁獲される真鯛は瀬戸内海にいる良質な小魚や甲殻類を食べており、脂が乗っており、大変美味しい。

あまり市場に出回ることがないため、高値で取り引きされている。

しかし産卵を終えた真鯛は小麦色に変色し、風味が落ちてしまうため『麦わら鯛』や『落ち鯛』と呼ばれている。

真鯛の産卵期は3月から6月にかけて行われ、産卵の際に浅瀬へとやってくる。

ちょうど春の訪れと共に開花する桜の花びらを模倣した斑点模様が表わした美しい真鯛のことを『桜鯛』と呼ばれる。

ただし、この斑点模様はオスの真鯛にのみ現れる特徴である。

 

「さすがだな。赤城、加賀」

 

「いいえ。まだ始まったばかりですから、これくらいはまだまだです」

 

「そうね。桜鯛はまだこれから釣れますから、提督も焦らずゆっくり待ちましょう」

 

「ああ、そうだな」

 

ふたりの声援で、提督は微笑み返した。

 

「俺たちも桜鯛を釣ろう、だが焦ることはない」

 

提督の言葉を聞いて、古鷹たちは頷いたものの――― 彼のお腹から空腹を知らせる虫の音がした。

 

 

「少し早いが、俺たちも昼食にしよう」

 

「はい♡ そろそろお昼ですから午後からお目当ての桜鯛が釣れるかもしれません♪」

 

「ああ、みんなにも昼食の時間だと知らせよう」

 

提督はいったん釣りを中断して、古鷹たちと昼食に取ることにした。

 

 

 

「全員揃ったな」

 

「はい、全員揃っています」

 

青葉の言う通り、全員揃っている。

古鷹たちを含め、赤城、加賀、川内、由良、長月、菊月、文月である。

他に参加していない娘たちは、間宮たちの手伝いをしている。

鳥海と扶桑たちは料理が得意なので、同じく間宮たちとともに専念している。

 

「川内と由良、長月たちも何か釣れたか?」

 

「私は提督たちと同じようにメバルとアイナメだね♪」

 

「由良はイサキとキュウセンを2匹ずつ釣りました♪」

 

途中戦果でも、自分たちで魚を釣れたことが嬉しいのか天使のように微笑んだ。

 

「私もアジやゴマサバなどを釣ったぞ♪」

 

「私も同じく、アジをそれなりに釣れたぞ」

 

長月・菊月の後に、文月は答えなかった。

 

「ごめんね、あたしまだ1匹も釣れなかったの……」

 

文月は、1匹も釣れずに落ち込んでいた。

最初はウキウキ気分だったが、釣れなかったことに落ち込んでいる。

釣りも待つことも大切だが、子どもにはまだ分からないのだ。

落ち込んでいる文月に対し、提督は文月の頭を優しく撫でた。

 

「ふみぃ、司令官?」

 

「大丈夫だ、昼食後には必ず文月にも大当たりが来るから焦ることはない。

もしかしたら午後から文月に大物が釣れるぞ、その時はみんなで記念撮影しよう。

今日の主役にもなれるぞ!」

 

「えぇ、本当〜?」

 

「ああ、本当だ」

 

「ありがと、司令官。その代わりにこれが釣れたよ〜」

 

文月はモジモジと照れ隠しをしながら、隠しているものを見せた。

 

「これはまた、レアなものを釣ったな」

 

彼女が見せたのは、可愛らしい青い小柄のクマのぬいぐるみだ。

よほど気に入ったのか、ぬいぐるみを抱きしめながら答える文月に、提督は微笑んだ。

 

「さっき乾かしておいたけど、あとで洗濯するね〜♪」

 

文月も同じく、ニコッと笑った。

 

「そうだな、洗ったらきっと熊さんもきっと喜ぶぞ」

 

「うん♪」

 

子どもはやはりこうして笑っていることが大切だと、提督たちは頷いた。

 

「それじゃ、気分を改めて昼食にしよう。古鷹」

 

「はい♡ 今日はみんなで作った、第六戦隊特製のお花見弁当です♪」

 

古鷹たちが朝から早起きして、作ってくれた自慢の弁当である。

紫色の風呂敷を解くと、優雅な絵模様が入った三段重が姿を現した。

元帥のプレゼントとして、ハレの日や行事などで使われることが多い。

その重箱の蓋を開けると――

一段目には串団子をイメージした新じゃがいもとこんにゃくの炒め煮。

今が旬の菜の花のからし和えと共に、可愛いひさご(ひょうたん)の形をした厚焼き玉子。

交互に並べられた紅白かまぼこだ。

二段目は鶏肉の付け焼き、その隣には茹でさやえんどうが添えられている。

また同じこの旬の目玉ともいえるたけのこの粉節煮に、ワラビのおひたし。

弁当の王道であり、洋食の女王とも言われるエビフライ。

そして最後の三段目は俵型に握られた青豆ごはんと、いなりずしである。

どれも春の彩りを見事演出する鮮やかさであり、それらは見るもの全てを虜にさせる。

 

「わぁ〜、美味しそうですね!」

 

赤城は目を輝かせていた。

普段は戦うときはクールな赤城だが、食べる時は子どものようになる。

ただし彼女なりに、腹八分と抑えていることを忘れていない。

彼女以外にも現代は、改二に実装している娘たちの方が大食いでもあるが。

 

「赤城さんったら、本当にもう……」

 

やれやれと言いつつも加賀は自分の傍に置いていた風呂敷を解き、重箱を出した。

 

「私も赤城さんとともに、朝から作りました。良かったらどうぞ」

 

気を取り直して、コホンと短い咳き込みをした赤城は、パカッと重箱の蓋を開けた。

上段は鶏肉とレンコンやゴボウ、里芋を煮込んだ筑前煮。

白身魚をロール状に巻き、中にはチーズと青紫蘇が入っている白身魚のチーズ巻き揚げ。

その隣には、弁当の定番である鶏肉の唐揚げ。

春が旬のそら豆とうどを甘酸っぱい梅酢で和えたそら豆とうどの梅酢和え。

 

「私たちなりに作りました。どうぞ、食べて下さい♪」

 

最後の下段は、とても綺麗なちらし寿司だ。

茹でエビとシャコ、焼き穴子、酢でしめた鰆、ママカリなどの海の幸と、花形に模った茹でニンジン、酢蓮根、シイタケ含め煮、さらには木の芽や菜の花が飾られている。

これらに伴い、錦糸玉子、刻み海苔、ガリがあしなわれている。

全ての具材を一つ一つが丁寧に仕込まれ、この季節感を演出している春のちらし寿司と言っても良い。

 

「おお〜、こっちも豪華だな!」

 

『どちらも美味しそう〜(ですね)!』

 

「酢締めや含め煮、煮物などは昨夜に少し仕込みましたから、良い塩梅になっていると思います」

 

「久し振りに腕がなりましたから、楽しかったですね♪」

 

ふたりはいつの間にかプロの釣り師から割烹着の女将になり、胸を張って説明していた。

提督たちは『相変わらずフリーダムだな』と苦笑いした。

 

「川内と由良は、何を作ってきたんだ?」

 

気を取り直して、提督はふたりに問いかけた。

 

「私と由良は共同で作ったんだよ♪」

 

「うん、由良たちはサンドイッチを作りました♪」

 

用意したバスケットのなかには、サンドイッチが詰められていた。

ポピュラーなタマゴサンド、サラダサンド、ジャムサンド、龍田揚げサンド、カツサンドと多種類だ。

 

「こっちもスゴイな! 今日は俺たちだけの早めの花見会だな」

 

提督の言葉に、古鷹たちは頷いた。

 

「そうですね、提督。それでは、みんなが揃ったところで♪」

 

「楽しい昼食にしようね♪」

 

全員に紙皿と割り箸を渡した青葉を見て、繋ぐように衣笠が言った。

 

「それじゃ、皆さん……」

 

加古の合掌を見た一同は、手を合わせて――

 

『いただきま〜す!!!』

 

各々好きなものを取り、提督たちは花見弁当を楽しむ。

 

「提督、あ〜ん♡」と古鷹。

 

「私もやるやる〜♡」と衣笠。

 

「あ〜ん////」

 

提督は順番ずつ古鷹たちに食べさせて貰っている。

親鳥が雛にエサをあげるような光景を目にしている赤城たちは、両頬を紅く染めていた。

 

「司令官と古鷹お姉ちゃんたち、良いな〜」

 

文月はそれを見て、自分の隣に置いたクマのぬいぐるみを使って真似した。

 

「はい、クマちゃん。あ〜ん」

 

ニンジンを摘んだ箸を使って、クマのぬいぐるみの口元に運んだ時だった。

 

「ふみぃ?」

 

『えっ??????』

 

提督・古鷹たちは、この奇妙な出来事に驚愕した。

クマのぬいぐるみが、人参の煮物をパクッと食べたからだ。

普通ではあり得ない、ぬいぐるみは物を食べないのが常識だが、今ここで常識が覆された。

 

「あっ……」

 

もちろん、クマのぬいぐるみ自身もしまったとばかり膠着していた。

 

「しまった、また同じことをしてしまった……」

 




今回は短めですが、むろんあのクマのぬいぐるみであります。
最近某密林で購入した外伝漫画を読んで、コレだと思いクロスロードさせました。
なお短めですが、これからどういう展開を迎えるかは次回のお楽しみに。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

では次回も古鷹たち第六戦隊の魅力とともに、シュガーテロもお楽しみに!

それでは第15話まで…… До свидания((響ふうに)

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