コチョルを捕らえた街からマリージョアまで一週間、さらにマリージョアに潜んで二週間、ついにきた。フィッシャー・タイガーだ。
九喇嘛モードで悪意を感知し、白眼で確認したが本人だ。
レッドラインの麓に船をつけているな
周りに誰もいないことを確認し、フィッシャー・タイガーの前に姿を現わす
「……誰だ」
「初めましてだな、フィッシャー・タイガー。俺はマダラという」
「……そのマダラとやらが俺に何の用だ。しかもこんな場所で」
「率直に言えばあんたの手伝いをしにきた」
「……なに?」
「奴隷を解放するつもりなんだろ?その手伝いだ」
「なにが目的だ?どうしてそのことを知っている」
やはり警戒されるか
「こんな場所でそんな装備を整えてやることなんて一つしかないだろ。目的は……そうだな、俺はやりたいことをやって自由に生きたい。そして俺は天竜人が嫌いでね。だから奴隷なんてものは解放したい。要するに俺がやりたいからそうする、そういうことだ」
「……仮にお前の言葉が本当だとしても、お前にその力があるとは思えん。見た所17.、8の小僧がいたところで邪魔になるだけだ」
「たしかに俺は18のガキだがこれを見てもそう言えるか?」
俺は印を組みチャクラを練る
ボンッ
音と共にでた煙から俺の姿にタイガーが目を見開く
「お前、その姿は……」
「これは変化の術といってな、好きな姿に変化することができる」
「ッ⁉︎」
驚くのもそのはずだ、なんせ俺はいま海兵の姿でタイガーと話している
「この術のおかげで楽にマリージョアに潜入することができる。更に……」
ボンボンボンボンボンッ
「なっ⁉︎」
「こうやって分身することも可能だ。どうだ?戦力としては申し分ないだろう?」
影分身で5人に分身した俺はタイガーに問いかける
「……数はどのくらい増やせる」
「望みとあれば千人でも二千人でも」
ニヤリと笑いながら答えてやるとタイガーも驚きながらニヤリと笑う
「たしかに、戦力としては申し分ないな。フィッシャー・タイガーだ、よろしく頼むぞ。タイガーと呼んでくれ」
「ああ、こちらこそ。改めてうちはマダラだ。マダラと呼んでくれ」
「戦力はわかったが作戦はどうする?あまり派手にやると奴隷たちにも被害が出るぞ?」
「それも考えてある。これを見てくれ」
「これはなんだ?小剣か?」
「これはクナイという武器だが、今回大事なのはそこじゃない。柄の部分を見てくれ。文字のようなものが書かれているのが分かるか?」
「ああ、このミミズみたいなやつか。これがどうした?」
「これは呪印というのだが、これが刻まれている場所に俺は自分と自分に接触しているものなら瞬間移動ができる」
「本当かっ⁉︎」
「本当だ。そしてすでにマリージョア内の至るところにマーキングしてある」
「それが本当ならだいぶ楽に奴隷解放ができるな」
「だろ?変化と分身で撹乱しながら解放していく。そしてここに解放した奴隷たちを運ぶ。これが俺が考えた作戦だ、どうだ?」
「……一つ聞きたい。そこまでの力があってどうして俺を待った?その作戦ならお前一人で解放できたはずだ」
「問題なのは解放した後なんだ。解放ができても安全な場所まで送るすべが俺にはない。ぶっちゃけると知り合いという者がいなくてな」
「……なるほどな。だから俺という協力者が必要なのか」
「そうだ。タイガーなら捕まってる魚人たちを無事に魚人島まで送っていけるだろ?」
「たしかに俺ならできる……。もう一つ聞きたい、マダラは魚人をどう思う?」
タイガーの質問はおそらく迫害の話だろう
「そんな考え自体がくだらない。魚人だろうが人間だろうがこの世界の住人だろ?降って湧いてきたわけじゃあるまいし」
俺がそう答えると
「ああ、たしかにそうだな。降って湧いてきたわけじゃない。この世界の住人だ」
タイガーは満足そうに笑う
「すまない、話が逸れたな。俺はどうすればいい?」
「タイガーには解放した奴隷たちをまとめてもらいたい。俺は派手に暴れながら奴隷を解放していく。ギリギリまで暴れて海軍の気を引くから、準備が整い次第タイガーは出航してほしい」
「俺は異論ないがマダラは大丈夫なのか?お前の負担が大きすぎる」
「問題ない。最後まで暴れるのは分身のほうだ。俺も終わり次第すぐに戻ってくる」
「わかった。心配ないと思うが気をつけろ」
「任せろ。それじゃあすぐに作戦を始める。タイガーは保険としてこのクナイを持っておいてくれ」
そう言い残し俺はマリージョアに飛雷神で飛び、さっそく影分身で五百人に分身し、変化の術で海兵に化ける
さぁ作戦決行だ
ーーーーー
分身の一人である俺の役割は陽動だ
腰にあるポーチから起爆粘土を取り出し、手のひらにある口に食わせる
そして手から出てきた小さな鳥にチャクラを練ると大きな鳥に変化し、その鳥に飛び乗る
これはデイダラが使っていた術で、起爆粘土を任意で起爆させることができる。陽動にはもってこいだ
上空から住宅地から少し離れた場所に、新たに作った起爆粘土C3を落とす
そしてC3が地面に着く瞬間
喝!
ドォン
大きな爆発の音と共に火の手が上がるがまだまだ爆発は続く
上空にくる前に街中に忍ばせてあった蜘蛛型の小型起爆粘土を次々に起爆させる
大きな爆発の後に続く小さな爆発にマリージョア内が一斉に混乱し始めた。気分はまるでテロリストだな。概ね間違ってはないが……
あとは地上の分身たちがうまくやってくれるだろうけど、せっせと起爆を続けますか
ーーーーー
街中から爆発音が聞こえてくる
起爆粘土による陽動が始まったか……
俺たち分身二十人の役割は奴隷の解放だ
街中がパニックになってる隙を見てバラバラに奴隷たちを解放する
あらかじめ白眼で道は把握しているので迷うことなく牢屋に到着する
「なんだ貴様たちは⁉︎」
「うるさい、事が終わるまで寝てろ」
見張りの海兵を瞬時に気絶させ、牢屋に入ってる奴隷たちに声をかける
「今からお前たちを解放する。助かりたいなら騒ぐなよ」
忠告するが誰一人騒がない
忠告のせいというよりも状況に頭がついてないって感じだが、どちらにせよありがたい
雷遁の千鳥を使い牢屋を切っていく
奴隷たちは急に雷が出たことに驚きながらも牢屋から出れることに喜びはじめた
「あ、あんたはいったい……」
「自己紹介はあとだ。動ける者は動けない者を背負ってやれ。わかったら着いてこい」
そうして分身二十人で次々と解放していく
解放した奴隷のべ百五十人を一箇所に集める
「今からお前たちを外に連れ出す。そのためにある技を使うが危険はないからパニックにならないで欲しい」
そう説明してるうちに目の前にゴルゴン三姉妹がいることに気づいた
「そなたは何者なのだ……」
「さっきも言ったが説明はあとで先ずは脱出が最優先だ。詳しい説明は脱出先にいるやつに聞いてくれ。」
ハンコックとの会話は名残惜しいが後回しだ
オビトの神威でどんどん奴隷たちを飛ばしていく。さすがにこの人数を飛雷神で運ぶのは面倒だから考えた作戦である
人が急にいなくなってくことに驚いているが腹を括ったのか、比較的みんな大人しくしている
神威で飛ばしている間は残りの分身が周りを警戒してくれているので安心して作業に集中できる
割とすぐに神威で飛ばす作業が終わったので、次は俺がタイガーのところに飛ぶ
「⁉︎マダラか?」
「ああ今変化を解く」
「無事で良かった。解放した奴隷たちはどうした?」
「俺は分身だが本体も無事だ。それと今は特別な空間に避難させてる。今からどんどん出していく」
「マダラ、その目はいったい……」
「詳しい説明は脱出後にする。それより出した奴隷たちをまとめるのを頼む」
これで分身の俺の役目は終わりかな
あとは本体が戻ってくるのを待つだけだ
ーーーーー
分身たちが奴隷解放をしている間、本体の俺が何をしているかというと火事場泥棒である
脱出後に簡単に復興なんてされたらたまらないので天竜人の財産を頂いてしまおうという魂胆だ
解放された奴隷たちの支度金も欲しかったことだし
下見に来ていた時に発見したのだが厳重に閉ざされている宝物庫があったのだ
オビトの能力を使えば、すり抜けなんて余裕なので簡単に侵入できる
そんなわけで物色していると妙な形の毒々しい果物をみつけた
(これが悪魔の実か……)
天竜人が娯楽のために奴隷に悪魔の実を食べさせていたと思うが、その天竜人が食べさせないで保管していたとなると……
これは掘り出し物をみつけたかもしれないな。しかも六つも
そんな調子であらかたの財宝を神威で仕舞い込み、やる事が終わったのでタイガーの元へ飛ぶ
その際に分身たちに感知伝々でしばらく足止めしとくように伝えておく
「来たかマダラ!お前が本体か?」
「ああ、待たせたな俺が本体だ。残りの分身たちは足止めしとくように伝えてある」
「そうか、なら早く脱出しよう」
「そうだな。こんなとこは一刻も早く離れたい」
マリージョアの混乱は未だ続いてるようで、レッドラインの麓から怒号や悲鳴が聞こえる
そんな中俺たちはタイガーの用意した船でマリージョアから離れていく
後日ニュースクーの新聞で今回の事件は大々的に取り上げられていた
天竜人襲撃という歴史的大事件なのに犯人が分からず仕舞いという、海軍の責任問題が問われるものとなった
悪魔の実について意見募集中です
オリジナルでもいいので意見ください
できれば詳細つきで……