「2人ともーご飯できたよ」
「いいんですか?俺本当に泊まっても」
「あぁ。でもその代わり店の手伝いはしてもらうよ」
「まぁそれなら…」
「ほらご飯食べよ!今日は天津飯!」
「おぉ、美味そうだな」
「「「いただきます」」」
「どう?八幡」
「…超美味い」
「ほんと?良かった」
「そういえば、比企谷くん、君は果南と付き合い出したというのは本当かい?」
「ぶっ!?な、何故それを…」
こ、これは殴られるパターンでは…
「どっちなんだい?」
「…はい。そうです」
「そうか…君は果南の事が好きでつきあったんだよね?決して遊びではないね?」
「…はい。もちろん」
「そうか…比企谷くん、果南を頼むよ」
「はい」
「…さ、真剣なのはここまでだ。それで二人はどこまで行ったんだー?」
「ちょ、ちょっとお父さん!」
「あ、あははー」
「あー食った食った」
「八幡、おじさんみたい」
「そういや俺はどこで寝ればいいんだ?」
「…そう言えばどこだろう」
「おいおい…」
「お父さん!八幡どこで寝ればいい?」
「そんなの一つしかないだろう」
「…どこですか?」
「果南の部屋」
「バカー!!!」
「ぶふぅ!?」
「ちょ、親父さんギックリ腰じゃねぇのか!?」
果南は問答無用に親父さんを吹っ飛ばす。
「そ、そうだぞ果南…少しは親をいたわれ…」
「い、いきなり一緒に寝るなんて…!」
「だ、誰も同じ布団で寝ろとは言ってない。果南の部屋に布団敷けばいいだろ?」
「…ま、まぁそれなら…」
「一体果南はどんなのを想像してたんだー?」
「…ば…ば…バカー!!!」
「ぎゃぁぁあ!」
親父さんアホだろ。
「もうっ、お父さんったら」
「な、なぁほんとに俺果南の部屋で寝るの?リビングでいいんだけど」
「そんなのダメ!風邪ひいちゃうでしょ!」
「い、いやそう言われても…」
付き合い出したとはいえ、いきなり同じ部屋で寝るのはハードル高い。寝れない。
「ほ、ほらしかも色々心配だろ?その、俺の理性が持たないかもしれないし」
「…ま、まぁ私は別に八幡なら…いい、けど」
「……そ、そうか…」
「「………」」
そうじゃねぇ!そこは確かに…とか言うべきだろ!…まぁでも一応付き合ってるわけだし…いつかは…
「…はぁ。わかった。果南の部屋で寝させてもらう」
「うん。じゃあ行こっか」
そういや果南の部屋入るの初めてな気が…
「はいっどうぞ」
「お、お邪魔します」
なんかそこらじゅうから果南の匂いがする。
「布団敷いちゃおっか。…それとも一緒に寝る?」
こいつめっちゃニヤニヤしやがって…ここは敢えて誘いにのってやろう。
「…そうだな。恋人同士なんだしそこまでおかしな話じゃないだろう。一緒に寝るか」
「え、…え!?は、ははは八幡?な、なななにいって…」
「…ぷっ…くくっ」
「……からかったでしょ」
「先に仕掛けたのはそっちだ。…ふふっ」
「わ、笑わないでよ!」
「だ、だってめっちゃ慌てて…くくっ」
やばい、こんな笑ったの久しぶりかもしれない。
「うぅ〜…じゃ、じゃあ一緒に寝よ!」
「は?いや冗談…」
「ほら早く!」
「お、おい!おわっ!」
「え?きゃっ」
果南に引っ張られた俺は何かにつまづき、果南に覆いかぶさるようにベッドに倒れ込む。
「……す、すまん」
「べ、別に…」
「「……」」
俺達は数秒の間、見つめ合う。そして、果南は覚悟を決めたような顔になると、ゆっくりと目を閉じる。
「か、果南…?」
これは…そういうことだろうか。俺からしろと?…無理無理無理。
いやでもこのまましなかったら果南に恥をかかせてしまう…
「……」
俺は意を決してゆっくりと顔を近づける。残り10センチ……8センチ……5センチ……3センチ………1センチ。
「おーい、果南、比企谷くん、スペース大丈夫そう…か」
「っ!?」
「…?…っ!!?お、おおお父さん!?」
「…あちゃー、これはお邪魔しちゃったね。ごめんね?比企谷くん」
「い、いやあの…」
やばい、超絶恥ずかしい。今多分2人とも顔真っ赤だろう。
「……寝るか」
「そ、そうだね」
「八幡、起きてる?」
「あぁ。どうした?」
「なんだか眠れなくて…」
「俺もだ。いきなり女子の部屋で寝るのはきつい」
「…ね、一つお願いがあるんだけど」
「…なんだよ?」
「…………ハグ、しよ?」
「……………………頭大丈夫か?」
「も、もうっ…結構勇気出したのに…嫌?」
「嫌じゃないが…」
むしろお願いします。
「な、なんか今人の温もりを感じたいというか……お願い、1回だけ」
「……少しだぞ」
「うんっ…えいっ」
「…」
うーん。これはなかなか破壊力がやばい。理性がやばい。
「…えへへ」
「なに笑ってんだ?」
「え?ううん?あったかいなーって」
「そんなの、誰でもそうだろ」
「八幡が1番安心する」
「そりゃ良かった」
「…八幡は抱き締め返してくれないの?」
「…俺に出来るわけないだろ」
「キスもしてくれなかったし…ヘタレ」
「い、いや、あれは親父さんが悪い。俺も勇気出したのに…」
「言い訳は聞きたくありませーん。ほら、八幡も」
「………嫌だったらすぐ言えよ」
「嫌なわけないでしょ。………えへへ、今すっごく幸せ」
「…あっそ」
「無愛想だな〜、そこは俺もだよって言えばいいのに」
「お前は俺に幻想を抱きすぎ」
「ま、それが八幡だもんね。……これから改めてよろしくね?」
「…あぁ」
「プロポーズ待ってるから」
「それは話が飛躍しすぎ」
続く