元人形とその仲間達も異世界から来るそうですよ? 作:血濡れの人形
~サウザンドアイズ ???の部屋~
霊騎達は、店員に指示された部屋に白髪の少女、白夜叉を運び、寝かせようとすると、パチリと白夜叉が目を覚まし、
「ふ、む、ここはわしの自室じゃな?しかしなぜわしはこんなところで寝かされそうになっとるっんじゃ?
確か、黒うさぎに抱きついたことは覚えておるのじゃが・・・」
と言いながら、周りを見渡し、霊騎達に気が付くと、
「おんしらは何者じゃ!?わしの部屋で何をしておる!」
と言いながら、霊騎に向かって問い詰めようとして、近くにいる黒うさぎに気が付く。
「うむ?黒うさぎがここにいると言うことは、もしや、そなたらが新しい仲間と言うことか?」
白夜叉がそう言うと、黒うさぎは早く理解してくれて助かりますといって、白夜叉にお辞儀をする。
「はっ、と言うことは黒うさぎがついに私のペットに・・・!」
「なりません!どんな経緯でそんな話になったんですか!」
スパーンという音を鳴らしながら、黒うさぎのハリセンが白夜叉の頭に降り下ろされた。
「それよりも、白夜叉様にはお願いがあってきたんです!」
「ほほう?それはきっと、私をペットにしてほしいという「違います!」残念じゃ」
白夜叉がボケるので、話が全然進まない事にイラッときたのか、黒うさぎは再びハリセンを取りだし、
「ハナシヲキイテクレマスネ?」
と、かたことになりながら、黒い笑みを浮かべてそういう。白夜叉は、どんな目に遭うか分からないからか、頷くと、
「コホン、それで、お願いしたいことというのはなんじゃ?」
と、黒うさぎに聞く。
「Yes!実は、ギフト鑑定を依頼しようかと思って来たのですよ!」
黒うさぎがそう答えると、白夜叉は露骨に嫌そうな顔になり、
「ギフト鑑定はわしの専門外なんじゃがな・・・」
と言いながら、全員の事を見る。
「素質が高いのはわかるのじゃが、はっきり言うと、そこの十二人は実際にどのくらい強いのか見てみたいの」
そういったあと、白夜叉は少し考えると、
「うむ、ならば、わしとギフトゲームで勝ったら鑑定してやることにしよう。
と言っても、ここではちと狭いからの、少し場所を移すとしよう」
といって、指をならす。すると、周囲の景色が一変する。床は氷で出来ているように見えるし、
遠くには山が、その奥には太陽が出ては消えてを繰り返しているように見える。
「ここなら遠慮なくやれるじゃろう。それでは、ルールを決めるとするかの。
まずは、そこの小僧たちからじゃが・・・」
白夜叉がそう言うと、遠くから鳥の鳴き声のようなものが聞こえる。
「ふむ、あやつならちょうどよいか」
白夜叉はそう言うと山の方から何かを手招きして呼ぶ。
「今の鳴き声って、グリフォンだよな?」
霊騎がぼそりとつぶやくと、白夜叉は驚いたように霊騎の方を見て、
「まさか知っておるとはな」
という。それにたいして、霊騎は苦笑いを浮かべたあと、
「ちょっと(数万年)前に戦ったことがあってな」
といったあと、山の方を向く。既にそちらからは、グリフォンが降りてこようとしていた。
「さてと、小僧か小娘二人の中から、誰か一人、このグリフォンに乗り、山をまわって帰ってきたら終わりじゃ」
白夜叉がそう言うと、耀がピシリと手をあげ、
「私がやりたい!」
と、若干目を輝かせながら言う。そして、そのまま十六夜も耀に順番を譲り、耀がやることになった。
耀は、グリフォンに近付くと、何かを話始める。
外野が少しうるさくなったので、霊騎は飛鳥と黒うさぎを動けなくして、そのまま静かにさせておいた。
「耀、もしかしたら余計かもしれんが、一応これをやるよ」
霊騎はそう言うと、ネックレスを耀の方に投げる。デザインとしては、黒い紐に、紅い勾玉がついている簡単な物だ。
「とりあえずつけとけ。寒さ対策はそれである程度は行けるはずだ」
霊騎からそれを受け取った耀は、それを首に付けると、そのままグリフォンの上に乗る。
「ねえ、あれって確か、火の精霊王の力がこもってる奴よね?いいの?あんなのあげちゃって」
「今さらだろ。あれなんて完璧保温程度にしか使ってなかったんだしな」
霊騎と霊夢の会話は、他の誰にも聞かれることはなかった。
最後に耀に渡したネックレスのスペックは、
火属性攻撃完全無力化、常時装備者の周りに暖かい空気の生成、
火属性魔法が少し使えるようになる一品です。
耀はこれのお陰か、何事もなかったかのように帰ってきました。