元人形とその仲間達も異世界から来るそうですよ? 作:血濡れの人形
~ノーネーム 拠点~
サンズとのギフトゲームのあと、意識を失っていた光を抱き抱え、
十六夜は拠点内にある光の部屋にあるベットの上に光を寝かせ、
自室から持ってきた椅子に座り、光のことを見ていた。
帰ってきた凉華によると、気絶した理由は魔力切れらしい。
「まったく、ただでさえも杖とか持たずに行ったんだから、魔力消費は抑えろとあれほど・・・」
とは、光を見た涼華の言葉である。
「ん・・・」
そんなことを考えているうちに、光が目を開く。
「起きたか光。体調が悪いとかあるか?」
光はそれを聞くとうなずき、体を起こす。
「大丈夫みたい。ここには十六夜が?」
「当然だな。付き合ってるやつをほかのやつに任せられるかって話だ」
実をいうと、光を抱っこしながら拠点に連れてくる間、周りの視線が殺意あるようなものだったり、
光をうらやむような視線があったりした。
「とりあえず、もうそろそろ飯らしいからな。はやくいこうぜ?」
そういって、十六夜は光の手を取る。
「それはいいのだけれど、せめて靴は履かせてね?」
「ふっ、安心しろ、このまま抱っこして連れて行ってやる」
というと、十六夜は横抱き、いわゆるお姫様抱っこをする。
「およそ安心できる要素がない!おもに精神的な意味で!というか少しくらいまて!」
しかし、そこは光クオリティー、自分を持ち上げている腕をつかんだ直後、
そのまま地面に向けて投げつけ、そのまま十六夜を踏み台にベットに戻る。
「ひでぶっ!!」
十六夜のほうからそんな声が聞こえるが、当然無視である。
そうして、光が靴を履いた直後、扉が開き、そこから絆が顔を出す。
「大きな音がしたけどだいじょう・・・・ぶ?」
言ってる途中で、床に倒れている十六夜を見たせいか、
何となく何があったか察したのか、光のほうを見ると、
「私は何も見てないよ!それじゃ!」
といって、扉を勢いよく閉じるのであった。
「何を考えたかしらないけど、少し寝てなさい!『スリープ』!」
「フハハ!私にそれが効くとでヘブッ!」
「アウトだ馬鹿たれ、まったく、騒がしいと思ったらこういうことか」
外からそんな会話が聞こえる。どうやら絆は霊騎に一撃いれられたらしい。
そんな風に考えていると、霊騎が廊下から、
「早く靴を履け、耀がそろそろ我慢の限界だ」
という。そのあと、歩いていく音と何かを引きずる音が聞こえたので、
おそらく絆を運んで行ったのだろう。
「・・・早くいきましょう」
光は靴を履くと、十六夜に声をかける。
「十六夜、早くいかないと耀が全部食べちゃうかもだってさ」
大嘘である。
黒ウサギは嫌がっていたが、
霊騎と涼華が強引に材料を自分たち持ちにしたためだ。
そして、材料が霊騎と涼華持ちな時点で、材料がなくなることはない。
あの二人の食料庫だけで、
このノーネームなら(召喚された組を含めて)一万年なら持つ。
さらにその間も増え続けるのだから、その二、三倍は持つだろう。
しかも、鮮度はとりたてと変わらないと来た。
内容も多く、牛肉豚肉鶏肉、食材として扱える(毒をもっていないもの)魚や、
穀物類、イモ類などなど、はっきりいってそれはもはや冗談だろう?
という不思議食材まである。
涼華のカルデアとやらにいる弓兵が、
「これなら彼女たちをしばらくの間は満足させられる」
と、聖剣持った少女と反転した聖剣持った少女を見ながら言っていたあたり、
かなりの量があるのだろう。
カルデアに住んでいる人数を考えるに、
あの量有れば数千年は大丈夫なはずなのだが、
それでもしばらくと言っていたあたり、よほどその二人は食べるのだろう。
閑話休題
「起きないとおいていくよ?」
光が十六夜にそう声をかける。
「俺がここに倒れてる原因は光だけどな?」
十六夜は起き上がりながら苦笑いを浮かべる。
「人が嫌がることをやった結果よ。
それよりほら、ほかの人待たせてるんだし、早くいくわよ?」
「わかってるって」
二人はそういうと、リビングに向けて歩き始めるのだった。
~ノーネーム リビング~
「おまえらタイミング良すぎじゃね?
ちょうど作り終わったぞ。早く席座れ」
「ならよかった。冷えてたらほかの人が待っていたとか言われたらこまるもの」
そういって、十六夜と光が席に着くと、
さっきまで物を運んでいた子供たちも含めて、
全員であいさつをする。
~数分後~
「「「「ごちそうさまでした!」」」」
「「はい、お粗末さまでした」」
全員の食事が終わったところで、
再び霊騎と涼華が食器を片づけ始める。
それを手伝うために、リリたちも動き始める。
「ふむ?」
「どうかしたの?ドール」
ドールに対してフランがそういう。
「いや、なんでもない。しかしそうだな、少し外に行くが、フランとルナも行くか?」
「行くっ!」
「そうね、久しぶりに夜空でも見ようかしら」
「というわけで散歩行ってくるわ」
ドールはそういうと、ルナの右手を取りその反対の手をフランがとったのを確認すると、
三人仲良く出かけていくのだった。
~ノーネーム 外~
「さてと、出てきなよ、そんなところに隠れてないでさ。ね?吸血鬼さん」
ドールは外に出て少し歩くと、近くの木のほうに視線を向けながらそういう。
「まさかばれていたとはな」
そういって木の陰から出てきたのは、金髪の少女だった。