元人形とその仲間達も異世界から来るそうですよ? 作:血濡れの人形
あれからかなり時間が経ったと思う、残り時間はおそらく一時間ほどだろう。
十六夜は、攻撃をかわし、時には攻撃して動きを妨害しながら、
霊騎達の攻撃を防いでいた。
すると突然、霊騎達が倒れる。
「!?」
警戒してか、十六夜は後ろに大きくとぶと、そのまま光の近くに行き、
霊騎達の様子を見ることにするのだった。
ただし、すぐに動けるように、近くに武器を置いて。
~霊騎視点~
十六夜と戦っていたら、突然、目の前が暗くなり、
気が付くと、先ほどいた森とは別の場所にいた。
「ここは・・・森だが、さっきの場所と木の種類が違うな。だがどこかで・・・」
ガサリ
霊騎が考えるより早く、近くにあった茂みが揺れる。
「・・・なんだ?」
霊騎がそちらの方を見ると、壊れた木製の家と、血まみれの少女の姿と、
その少女の名前を呼びながら、ごめんと謝っている少年が見えた。
その少年の姿は、どこか霊騎と重なるところがあった。
むしろ、身長こそ違うが、それは昔の霊騎、
ドールと名乗っていた頃の自分と同じだと霊騎は思った。
「ていうことは、ここは俺の記憶の中、しかも、俺が思い出せていない所なのか・・・?」
再び二人の方を見ると、もう片方の少女からどこかいざやと似た気配を感じた。
ズキリと霊騎の頭に痛みが走る。この光景を見たせいなのか、
忘れていた記憶が少しだけ戻る。
「こ・・・れは・・・ッ!?」
直後、霊騎の頭に違う声が聞こえる。
『アノコノタメニモ、オマエノカラダ、カリル』
霊騎としての意識は、そこで途切れ、自分の奥底から、
別の意識が出てくるのを霊騎は感じたのだった。
~涼華視点~
涼華は、随分と懐かしい匂いで目を覚ます。
それは、今は亡き母の作ってくれたスープの匂いだった。
「お姉ちゃん起きて、そろそろご飯だよ」
・・・あぁ、懐かしい声が聞こえる。
・・・
あの日、私が救うことが出来なかった妹の声が・・・。
ボゥ
涼華が目を覚ますと、そんな音と共に目の前に燃えている村があった。
「ッ!? なんであの村があるの!?あの村はずっと昔に燃えて消えたはずなのに!」
涼華がそう叫んでいると、涼華の耳に妹の声が聞こえる。
「お、ねえちゃん、たす、けて」
その声は、燃えてる村の中から聞こえた気がした。
涼華は急いで燃える村の中に飛び込む。
その声が聞こえた方向へ全力で走ると、
そこには地面に倒れ、怯えたような妹の姿があった。
近くには剣を降り下ろしている男がいる。
「『雷撃よ』!」
その男を殺して、涼華はそれを止めようとするが、
後一歩届かず、妹の首が切り落とされた。
「あ、あぁ、あぁぁっ」
涼華は涙を流す、また救えなかったと後悔して・・・。
そこで涼華は再び意識を落とした。
~絆視点~
絆は目を覚ます。目の前には一人の少女がいた。
「この子は・・・それに、この場所って・・・」
絆は周りを見ると、木製の机と、一つの人形が置いてあった。
「なんでこれがここに?あの女の子も、もういないはずなのになぁ」
直後、風景が切り替わる。
血まみれのドールが、こちらにたいして手を伸ばしている光景だった。
「あの子の願い、叶えてあげられなかったなぁ、ドールの記憶戻せなかったし」
また風景が切り替わる。
ドールが絆を助けるために、光と共に多くの場所を巡り、
力を得て来たときの光景だ。
しかし、ドールが来てからの記憶が一部欠けている事に気が付いた。
「この記憶の欠片は何?」
『君には分からないよ、何故なら君は、それを思い出すことは出来ないから』
なにかの声が聞こえる。
頭の中に響いてくる。
「あなたは誰?」
『私?私は貴女よ、貴女の中にある、貴女がしらかなかったもう一つの貴女』
「なんで私には分からないの?」
『知識を得ても、やっぱり分かんないか。まあいいや、
それは、あの時体を使っていたのは私だからだよ。
そして、君自身が記憶を戻すことを無意識の内に否定しているからだよ
それでも思い出したいのかい?』
絆は少し考えたあと、頷き、
「教えて、私のやった事を」
『よくいった。ならば教えてやろう!その間貴様の体を借りるとしよう!』
そうして、絆の意識は落ち、変わりの意識が出てくるのだった。
~三人称視点~
霊騎達が意識を取り戻す。しかし、纏っている雰囲気が明らかに違っていた。
「あァ、ひさシぶりノかんカクだ」
「・・・」
「ドールの事を殺してしまった。
それは無くす事の出来ない事実だから、
償えないとしても、せめてあの子の願いのためにも!」
周辺に、霊力が、魔力が、妖力が、そして、神力が吹き荒れる。
その四つの力が混ざりあい、地面に亀裂が入り、
森の木々が枯れていく。
直後、音を残し、三人の姿が消える。
カンッ
・・・・・
気が付くと、三人は十六夜の目の前で、光によって攻撃が防がれていた。
「全く、私に告白してきた人がこんなところでやられるなんて冗談止めてよね?」
光は苦笑いを浮かべながらそう言った。
どうでしたかね?アドバイス等待っています!
次回で今回の光の試練は最後の予定です。