元人形とその仲間達も異世界から来るそうですよ? 作:血濡れの人形
~???の森~
「起きたか?」
十六夜が目を覚ますと、目の前に先ほどまで戦っていた男がいた。
「ふっ!」
とりあえず殴りかかってみた十六夜は、そのままの流れで地面に落とされる。
「もう元気になったのか。一回死んだからか、頭痛も多少は和らいでいるらしいな」
「・・・そういえばそうだな」
十六夜は再び立ち上がると、男の方を向く。
「それならもう良いだろう。我を越えてみるがいい」
「言われなくても!」
直後、十六夜は男の方に走り出す。
「甘いぞ若造が、もう少し技術をつけろ!でなければ死ぬぞ!」
「さっき殺しておいてよく言うな!」
そう言うと、十六夜は男に殴りかかるふりをして、男が防御することを狙う。
しかし、男は十六夜の動きを見ると、ため息をつき、防御ではなく、
そのまま足を振るい、十六夜の事を蹴り飛ばす。
十六夜はそれを両腕で防ぐが、その防御を貫く勢いで放たれていた蹴りは、
そのまま十六夜の腹に当たり、十六夜の事を飛ばす。
「コフッ」
十六夜は飛ばされた先にあった木を倒し、その衝撃で血を吐くが、
そんなことは関係ないとばかりに、男は十六夜の頭に向けて石を投げる。
十六夜は咄嗟に頭を下げて回避するが、背後にあった木には穴が開き、
穴の近くは焦げていた。
「折れるんじゃなくて穴が開くだけって、どんだけ早く投げたんだよ」
十六夜が警戒しながらそう言うと、男はニヤリと笑みを浮かべ、
「無駄口をたたく余裕があるとはな」
と呟く。
直後、男の姿が見えなくなると同時に、十六夜は悪寒に襲われ、
咄嗟的に前に転がりながら、先ほどまで自分のいた場所に石を投げる。
しかし、無理な体制で投げたためか、石にはあまり勢いがつかず、
そこにいた男の足に当たる直前で落ちてしまう。
「ほう、今のをかわすとはな、直感というやつか?」
十六夜が立ち上がったタイミングで、男は再び攻撃を開始する。
男は、十六夜の腕、後頭部、足を狙うが、
それを十六夜は、腕を戻し、しゃがみ、後方にとび回避する。
「ほう、もう対応出来るようになっているとはな」
十六夜は男に対して言葉をかえすことが出来ないほど疲れていたが、
それでも男の方を向き、ニヤリと笑みを浮かべる。
「ならば、少し力を上げるとしよう。ついてこい」
そう言うと、男は十六夜に向かって直線に走り出す。
十六夜は腕をクロスさせ、正面から来る男の攻撃に備え、
「ッ!?」
いつの間にか背後にいた男に殴られる。
だが、十六夜は倒れる直前、無意識の内に男を蹴るように足を振り上げ、
そのまま男の腕を蹴り飛ばし、意識を失うのだった。
「ほう、無意識とは言え攻撃を当てるとはな・・・ならば、認めよう」
そんな声が聞こえた気がしたが、木を失った十六夜はそれに反応することはなかった。
投稿遅れました!スミマセンッ!