元人形とその仲間達も異世界から来るそうですよ?   作:血濡れの人形

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光の試練 1

~ノーネーム 本拠地~

 

あの騒動から1日たち、全員が起きてくる頃には、すっかり昨日の事を忘れて、

 

「私達付き合うことになりました」

 

いなかった。むしろ、本人たちが盛大な爆弾を落とした。

 

カラン

 

誰かがなにかを落とした音がしたが、全員はそんなことにすら気が付かず、

 

十六夜と光の事を見ていた。

 

「・・・あぁ、光にもついに春が来たのね」

 

涼華がそう言うと、続いて霊騎が、

 

「て言うか、昨日のって芝居じゃなかったのか?」

 

と言うが、光は顔色一つ変えずに、

 

「あのあと色々あって告白された。詳しいことは話さん」

 

と言うと、十六夜の方を見て、

 

「まぁ、交換条件として、私との鬱陶しい呪いをギフトゲームにしたやつを

 

クリア出来たら結婚までしてやるってな」

 

と言い、ニヤリと笑みを浮かべる。

 

「そう言うわけで、ご飯食べ終わったら開始ね」

 

そこまで聞いた霊騎が、思わず、

 

「あいつがあんなこと言うなんてなぁ」

 

と、呟くのだった。

 

~食事中~

 

「さてと、それじゃあ、始めるよ?」

 

「あぁ、いつでも大丈夫だ」

 

十六夜がそう言ったのを確認すると、光はギアスロールを十六夜の前に出す。

 

『古の魔女の呪い

 

参加者側クリア条件 ???に認められる 強き精神を示す 光の心の傷を治す ?を殺す

 

特殊ルール 時間制限(48時間)以内に死亡した場合は蘇生する。』

 

十六夜が読み終わると、そのギアスロールは燃え、周りの風景は森にかわる。

 

そして、それと同時に、十六夜の中に様々な感情が流れてくる。

 

それは怒りであり、妬みであり、憎しみであり、苦しみであり、悲しみである。

 

「■□■■□■!!」

    ・・・

遠くからナニカの声が聞こえる。

 

そして、そこから姿を現したのは、龍であった。

 

かつて、初代水の祖先龍と呼ばれていた、一頭の龍だった。

 

十六夜は、様々な負の感情により、頭痛や吐き気を感じながらも、立ち上がり、龍の方を見る。

 

ふと、十六夜は、その龍の後ろに、なにかに囚われている光の姿が見えた気がした。

 

しかし、身長は少し小さくなっており、

 

その服はボロボロで、朝着ていた服とは全く別の雰囲気を放つそれは、

 

まるでアニメに出てくる奴隷のような服にも見える。

 

その光の目は虚ろで、そこにはなにも映っていないように思える。

 

『□■□□■□□■■!』

 

十六夜がそんなことを考えている間にも、龍が尻尾による攻撃を仕掛ける。

 

「ッ!?」

 

十六夜はしゃがむことで、ギリギリその攻撃を避けるが、それでも完全には避けきれず、

 

背中が少し斬れる。

 

『・・・我を前に考え事とは、随分ふざけてたものよな』

 

十六夜の脳内に、そんな男の声が聞こえる。

 

直後、龍は姿を変え、人の形をとると、十六夜の方を向き、

 

「いまの貴様を認める事は無し、気合いを入れなおせい!」

 

と言い、そのまま十六夜の背後にまわると、十六夜が動き出すより早く、十六夜の首を落とすのだった。


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