Fate/Grand Order 卓上円卓領域ロストロイヤル   作:YASUT

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 見落としがいーっぱいある戦闘フェイズ。いっぱいありすぎて数えるのが楽しくなる。プレイしてる脳みそが一つだとやっぱり限界あるわー。具体的なミスは後書き参照。
 で、プレミをなくそうと頑張るとゲームそのものに飽きてしまう。遊戯王ssを書いた時に学んだ。今回もその例に漏れず。少し違和感があるかもしれません。

 キャラクター同士の絡みや戦闘直前の名乗りは楽しく書けましたけどね。
 NPCのダンディが完全に別人になってるけど、そこはそれ、アーチャーのロールプレイが未熟ってことで一つ。


戦闘ケアレス

 ◆

 

 

アーチャー(GM)

「これより戦闘フェイズを開始する。

 まずは命題[B]の演出だ。さあ、思うがまま蹂躙するがいい!」

 

ダンディ(NPC)

『“チェックメイトだ。かつて栄華を極めた王国は滅び、騎士どもの命も潰えた。

 人生終了。ご苦労様、王妃殿。お前はここで一人、惨たらしく絶命しろ。”』

リッカ(NPC)

『“…………ふふ。ふふふふ。”』

ダンディ(NPC)

『“? 何が可笑しい。息詰まってハイになったか?”』

リッカ(NPC)

『“フフ――何が可笑しいか、ですって?そうね、確かに可笑しいわ。

 確かに我が王国は滅び、円卓は崩壊した。でもね、私はここに生きている。”」

ダンディ(NPC)

『“そうだな、確かにお前はまだ生きている。

 だが、じきに死ぬ。この弾丸がお前の眉間を貫いて、それで終わりだ。

 風の噂で聞いたが、お前は歌が得意だったそうだな? その時間を鍛錬に当てていれば、あと十分は生きられただろうに”』

リッカ(NPC)

『“……そうね。私には、円卓の騎士達のように戦う力はない。かといって、戦場を操る知略も持ち合わせていない。担ぎ上げられた神輿に座って、歌を歌う。それしかできない小娘よ。

 ――でもね、私はそれを誇りに思っている。”」

ダンディ(NPC)

『“下らんな。それが何の役に立つ?”』

リッカ(NPC)

『“知ってるかしら。王妃っていうのはね……旗なのよ。

 武力なんて必要ない。知略なんて必要ない。そういうことは騎士達に任せておけばいい。

 戦うのは彼らの役目。私の役目は歌うこと。

 前を見据え、希望を持って、睨みつけて、声を張り上げる。

 そうすればきっと届く。遠い宙の彼方から、彼らは駆けつける。

 何故かって? 決まっているでしょう!

 彼らはここまで落ちぶれた私を見捨てなかった、大馬鹿者の騎士達なのだから――!”』

サー・フジマル(PC)

『“クハハハハ! 死の淵にあってなお、お前は明日を見据えるか!

 ああそうとも、それでこそ我が王妃!

 祖国が滅び、無様にも生き残ったこの俺が、仕えるに値する主君(マスター)だ!

 ――王妃リッカ! 俺を、呼んだな!”』

サー・ペンドラゴン(PC)

『“召喚に応じ参上した。応えよう。我は剣、我は盾。何時如何なる時も、この身は王妃と共に在る。

 ――さあ、刈り取り時だ。面を上げろ、三流騎士。”』

 

ジャンヌ(PL)

「アンタ達……なんでそんなロールプレイが咄嗟に思いつくわけ?」

アルトリア(PL)

「騎士たるもの、名乗りの一つや二つできずしてどうする」

マスター(PL)

「大丈夫だ。オレは完全にモノマネだから。オリジナルじゃないから」

ジャンヌ(PL)

「一番ハードル上げてんのはアンタでしょうが!

 ――ったく、もう!」

 

サー・オルタナティヴ(PC)

『“全く、手のかかる姫サマですこと。職務を放棄しないだけまともですかね?

 ――さて、そういうわけで参上しました。とりあえず、あのド変態を焼き殺しましょうか。”』

ダンディ(NPC)

『“お前達は……ああ、見覚えがある。まだ生きていたか、死に損ない共――!”』

リッカ(NPC)

『“貴方の言葉をそのまま返すわ。

 ――チェックメイトよ、魔人ダンディ。貴方はここで一人、惨たらしく絶命しなさい。”』

ダンディ(NPC)

『なん……だと――!?』

 

アーチャー(GM)

「ここでダンディは違和感に気づき、君達に掴みかかる」

 

ダンディ(NPC)

『おい、これはどういうことだ! こんな展開は台本にはなかったぞ!』

サー・フジマル(PC)

『“俺が台本を作り替えたのだ。こうやってな。

 宝具開放――[貴方のための物語(メルヒェン・マイネス・レーペンス)]。

 終幕だ。悪として咲き、悪として散るがいい。”』

ダンディ(NPC)

『なっ……どういうことだ! 今のは演技か!? それとも素か!?』

サー・ペンドラゴン(PC)

『無駄口を叩くな。芝居に戻れ。

 では――こほん。

 “いい援護だ! その期待に応えよう!”』

サー・オルタナティヴ(PC)

『“これは憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮――!”』

サー・ペンドラゴン(PC)

『“極光は反転する――光を呑め!”』

サー・オルタナティヴ(PC)

『“[吼え立てよ、我が憤怒(ラ・グロンドメント・デュヘイン)]――!”』

サー・ペンドラゴン(PC)

『“[約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)]――!”』

 

アーチャー(GM)

「――とまあ、そういった流れでダンディの役が倒される。

 しかしここでダンディは憤激し、器物を投げたり殴ったりして舞台が中止される。全員、[命数]――要するに体力なのだが、これを2点減らしてくれ」

アルトリア(PL)

「意義有り。サー・ペンドラゴンは凄腕の騎士、そんなものには当たらない」

アーチャー(GM)

「では因果が逆転してなんやかやで当たるとする」

アルトリア(PL)

「ならば直感と幸運による回避ロールだ」

アーチャー(GM)

「投げるタイプなので無効とする」

アルトリア(PL)

「では魔力のジェット噴射で射程から離脱する。ついでにサー・フジマルも連れて行く」

アーチャー(GM)

「[毒蛇]じみた拳法だったので回避不能とする。

いい加減諦めたまえ。ルール違反はしないと言っただろう」

アルトリア(PL)

「私は説得していただけなのだが……まあいい。

 しかし、あの妙な拳を六連撃とは。不意打ちとはいえ恐ろしいな」

マスター(PL)

「ダメージかー。これ、命題[A]が正解だったのでは?

アーチャー(GM)

「悪いことばかりではないさ。ダンディは違和感に気づいて憤激したが、観客はまだこれを芝居だと思っている。退屈そうに眺めていた観客達は、優勢になった騎士達を応援し始める。これにより、[酒と歌]をダイスロール一回分獲得する」

ジャンヌ(PL)

「芝居自体はきちんと受けているのにキレるとか、小物臭が隠しきれてないわね」

アーチャー(GM)

「それと、先程のロールプレイは魔人に対する宣戦布告とする。全員、[正義]を1点ずつ追加だ。

 ダンディは感情を顕にし、妖魔の群れを呼び出す。騎士と王妃はそれらに阻まれ、逃げ場を失う。そうして囲まれた状態から戦闘開始だ。

 君達騎士の勝利条件は、包囲網を突破して逃げるか、魔人を倒すかだ。このどちらかを満たせばよい。

 敗北条件は王妃の死亡。王妃自身に戦闘能力は皆無のため、一撃でも攻撃を受ければ死亡する」

ジャンヌ(PL)

「要はサーヴァントの戦闘と同じってことね。だったら楽勝よ、サクッと殺すわ」

アーチャー(GM)

「そうか、だったらいいのだが。

 ……ちなみに、どちらを狙うつもりだ?」

アルトリア、ジャンヌ(PL)

「当然魔人だ(当然魔人よ)」

アーチャー(GM)

「だと思っていた。まあ、止めはしないから頑張りたまえ。

 さて、進めるか。まずはこの[血路シート]を見てくれ(シートを机の上に置く)」

マスター(PL)

「[血路]って、確かさっき言ってた……?」

アーチャー(GM)

「[血路]とは、言うなれば群れのHPだ。[血路]を0にすることで包囲網を突破し、逃げ出せたことになる。

 つまり[魔人]を倒し切るか、この[血路]を0にできれば君達の勝利となる」

アルトリア(PL)

「…………(倒し“切る”……?)」

アーチャー(GM)

「先程の[番外シーン]では[血路]を合計6削ったため、6を引く。よって残りは39。

 だが、[血路]や魔人の体力――[酒と歌]を削るためには、[包囲]を突破しなければならない。そして[包囲]は、魔人のターンが訪れる度に最大値の半分を回復することができる。どちらを狙うにしろ、君達はまずこの[包囲]に対して攻撃を行うわけだ。

 次に、騎士たちの立ち位置を決める。

 種類は、攻撃を行う[先陣]、王妃を守る[本陣]、戦場を監視する[後陣]の三つ。場所に応じて異なる補正がつくが、誰もいないとマイナス補正がかかるため、分かれて配置することが好ましい」

マスター(PL)

「今更だけど、攻撃型二人と作戦型一人ってバランス悪いなあ」

アルトリア(PL)

「だが、最初は私とマスターの二人だけだった。その時はどうするつもりでいたのだ?

 まさか、初プレイにも関わらずハンデを背負えと? 私は構わないが、貴様らしくないな」

アーチャー(GM)

「まさか。その時はハンデを無視するつもりだったよ」

アルトリア(PL)

「では足手纏いが増えただけか。どうするマスター、早くもピンチだぞ」

ジャンヌ(PL)

「誰が足手纏いだ! 全力で貢献してみせるわよ!」

アーチャー(GM)

「まずは隊列の初期位置を決めてくれ。

 ちなみに王妃の位置は強制的に[本陣]だ。そして[包囲]の値が残っている場合、魔人は王妃を攻撃できる。今回の魔人は二回行動のため、たとえ[包囲]を0にしていても、回復した後に攻撃してくるだろう」

マスター(GM)

「これは作戦型のオレしかいないよね。本来は防御型のポジションだと思うけど」

アーチャー(PL)

「[本陣]にいる場合、受けるダメージが1点減少。そして[血路]支配点に1点プラスだ。後者については後で説明する。

 [先陣]にいる場合は攻撃判定の達成値にプラス1、[後陣]にいる場合は[回想]1を得る。

 [回想]とは簡単に言えばバフだ。サイクルが終了するたび、[正義]か好きな[名誉点]に[回想]の数だけ加えることができる」

アルトリア(PL)

「要は切り込み役と大砲役だな。攻撃判定にプラスを得て絶え間なく攻めるか、[回想]を重ねて後半一気に攻め立てるか」

ジャンヌ(PL)

「悩んでるようなら私が[後陣]に行くわ。[正義]を増やせば[特殊能力]が活きるし」

アルトリア(PL)

「そうか。では私が[先陣]に行こう」

アーチャー(GM)

「初期位置は決めたな? では、まずは[魔群]データの公開しておこう。

 [魔群]の戦力は[武力]4、[速力]7、[魔力]6だ。これらはそのまま達成値であり、これを超えなければ[包囲]は崩せない。

 [武力]重視のサー・ペンドラゴンには絶好のカモだが、[速力]重視のサー・フジマルには難敵ということだ」

アルトリア(PL)

「つまり敵はランサークラスか。いいだろう、蹂躙してくれる」

アーチャー(GM)

「これより1サイクル目を開始する。

 A:[血路支配]。包囲網を切り開く道がどちらに有利かを決定する。代表者一人と私がダイスを振り、高い方が有利となる」

マスター(PL)

「じゃあ、[本陣]にいるオレの出番だな?」

アーチャー(GM)

「そういうことだ。では――(ダイスを振る)

 ……すまない、こちらは5だ。ここで魔人ダンディの真の姿[死]の効果が発動する。

 我々風に言うなら、対象が騎士限定の[直死の魔眼]。いや、[未来視]の方が近いか? 騎士を殺すための道のりが“観える”らしい」

マスター(PL)

「何それ、すごくヤバくない? この世界、そんな連中がゴロゴロいるの?」

アーチャー(GM)

「そのようだな。私も驚きだ。

 ゲームの効果としては、[血路支配]にプラス1。つまり、値は6となる」

マスター(PL)

「むむむ――(ダイスを振る)。

 ――残念、こちらも5。しかし作戦型の効果と[本陣]の効果が合わさり7。こちらの勝ちだ」

アーチャー(GM)

「いい幸運だ。[血路支配]を制したことによる効果は後で伝えよう。

 次はB:[声援]。これは任意だ。自身か声援を受けた対象は相手に対して[絆]を取得し、さらに声援を受けた騎士は[正義]を一点獲得する。ただしこれを行った場合、このサイクルでは[行動済み]となる」

マスター(PL)

「まだ必要ないかな。しない」

アルトリア(PL)

「右に同じだ」

ジャンヌ(PL)

「私もいいわ」

アーチャー(GM)

「次はC:[援護]。これも任意だ。自身か援護を受けた騎士は相手に対して[絆]を獲得し、このサイクル中、援護を受けた騎士は攻撃判定に一点を加える。これを行った場合、[声援]同様に[行動済み]となる」

マスター(PL)

「おっと、ここは出番かな。

 サー・フジマルは[援護]を使用。対象はサー・ペンドラゴン。[絆]はサー・ペンドラゴンに与える」

アルトリア(PL)

「ふむ。――(ダイスを振る)。

 ……ほう、[愛情]か[殺意]ときたか」

ジャンヌ(PL)

「なっ――そういうのもあるの!?」

アルトリア(PL)

「TRPGなのだから当然あるだろう。フッ、喜べマスター。今こそ約束を果たす時だ。

 サー・ペンドラゴンはサー・フジマルに対して[愛情]を取得する!」

 

サー・フジマル(PC)

『Quick三枚からのエクストラアタック……! よし、スターを稼いだぞ!』

サー・ペンドラゴン(PC)

『な、中々やるな……(赤面)。コホン。

 よし、任せておけ。貴様の[援護]は受け取った。Buster宝具の後、Busterクリティカルをお見舞いしてやる』

 

ジャンヌ(PL)

「――はん。とんだ三文芝居ですこと!」

アルトリア(PL)

「む、そこを言われると辛い。実のところ、恋愛感情と言われてもピンとこないのだ。良いことなのは分かるのだが。

 そら、マスターが気持ち悪くニヤニヤしている」

マスター(PL)

「……え? いや、別に?」

ジャンヌ(PL)

「…………」

アルトリア(PL)

「咎めるつもりはないから安心するといい。だが、堪えるならもう少し真っ当にな。出来ないならいっそ、ストレートに照れろ」

マスター(PL)

「そ、そっか……ゲフンゲフン!

 アーチャー、進行を頼む(キリッ)」

アーチャー(GM)

「いいのかね? もう少しくらいロールプレイに浸っても構わんぞ?」

マスター(PL)

「余計なお世話だ! いいからやれぃ!」

アーチャー(GM)

「はっはっは、了解だ。

 さて、次はD:[アクション開始]。[先陣]から順番にD:[攻撃]を行っていく。魔人は王妃のターン……つまり、[本陣]のターンで行動する。

 そしてD:[攻撃]だが、この時、[血路支配]を制した側がどの[戦力]で判定するか選択できる。今回のサイクルは君達に選択権が与えられる」

アルトリア(PL)

「当然[武力]だ。目標値は4だな」

 

サー・ペンドラゴン(PC)

『まずは[包囲]を一掃する! 私に続け――!』

 

アルトリア(PC)

「――(ダイスを振る)。

 ……2、5、6。達成値は5。チェインを加えると7。

 そしてサー・フジマルの[援護]、[先陣]の効果により9。ふむ、出だしにしては悪くない出目だ」

アーチャー(GM)

「攻撃は成功。サー・ペンドラゴンの達成値から[魔群]の攻撃値を引き、そこから[武力]の戦力値を加えた数値がダメージとなる。さらに攻撃型の補正により、プラス2点。

 つまり、[包囲]に与えるダメージは12。残りは8だ」

アルトリア(PL)

「最大値は20か。確か、魔人のターンでは半分回復されるのだったな?」

アーチャー(GM)

「正確には“できる”だがね。行動回数を一回消費する必要がある」

アルトリア(PL)

「なるほど、それは助かる……が、やることは変わらん。

 私はサー・ペンドラゴンの特殊能力を発動する! 効果は[酔強]! [武力]の攻撃判定に成功した時、[酒と歌]を一点消費するごとにダメージを二点プラスする!

 [酒と歌]を11から7に消費し、さらに8点のダメージを与える!」

 

サー・ペンドラゴン(PC)

『極光はぁ……反転する……ヒック! 光を呑め! 私はエールを頂く!!

 [約束された泥酔の剣(エクスカリバー・もるがん)]――!!』

 

マスター(PL)

「これは酷い……酔っ払いの聖剣で[包囲]が全滅とは。竜は酒を飲むと大人しくなるはずなのに」

アーチャー(GM)

「次は[本陣]のPCだ。サー・フジマルは[行動済み]のため、魔人ダンディのターンとなる。

 まずは[包囲]の修復。援軍を呼び、[包囲]を10まで回復させる。これにより[本陣]を狙うことが可能となる。そして、王妃に攻撃を行う!」

マスター(PL)

「当然かばう!」

アーチャー(GM)

「かばう場合、判定は魔人とかばう騎士が行う。私はフジマルの苦手な[魔力]で判定する。

 対決ロールだ。行くぞ――(ダイスを振る)。

 ……1、4、4。達成値は4、チェインを加算して6だ」

マスター(PL)

「――(ダイスを振る)。

 ……3、4、6! 達成値は3、チェインにより5! 足りない!」

アーチャー(GM)

「ではダメージ判定! 達成値の超過分に[魔力]の基本値4を加えたダメージだ!」

 

ダンディ(NPC)

『これが[魔弾の射手]だ――行け! (ズドン)』

サー・フジマル(PC)

『っ!? 危ない、王妃――!』

 

ジャンヌ(PL)

「……思ったんだけど、アンタの騎士ってどういうキャラなの? あの復讐鬼じゃないの?」

マスター(PL)

「お祭り好きな振り回されポジション。たまに背伸びしてカッコつける」

ジャンヌ(PL)

「……ふうん。要はアンタみたいな感じね」

マスター(PL)

「かもしれない。オレには完全な別人を演じることは無理みたいだ。

 で、ダメージは……[本陣]の効果で、4になるのか。残りの[命数]は4……いや、3か? 1のところの[死]が気になる」

アーチャー(GM)

「[死]を迎えても[絆]を一つ消費すれば戦闘“は”続行できるぞ。記憶を削って死力を振り絞っている状態だな。[命数]は既に0のため、[絆]が続く限り王妃を守る壁になれる。さらに[回想]3を自動で獲得するから、攻撃もそれなりにできる。

 ただしエンディングで死亡――キャラロストするから注意だな」

ジャンヌ(PL)

「――は?」

マスター(PL)

「了解。実質[命数]は9なのか。サー・フジマルは6を切ったから[回想]1を得る」

アーチャー(GM)

「次は[後陣]、サー・オルタナティヴだ」

ジャンヌ(PL)

「……ファンブルで[名誉点]を失ったから、地味に苦しいのよね。[武力]で[包囲]を攻撃!

 [名工の][槌]を抱えて突っ込むわ」

アルトリア(PL)

「[愛用の武具]は[槌]だったのか。かませ臭が凄いな」

ジャンヌ(PL)

「うるさいわね、優秀な騎士は武器を選ばないのよ」

アルトリア(PL)

「む、珍しくまともなことを言ったな。

 確かにその通りだ。私も剣以外に槍だの盾だの持ってるしな。つまり私がセイバー最強だ」

ジャンヌ(PL)

「はいはい、私はアヴェンジャーですから関係ありませんー。――(ダイスを振る)。

 ……1、6、3。達成値は6。チェインを加えて8よ」

アーチャー(GM)

「ダメージは8……[包囲]は残り2だな。

 これで1サイクル目は終了、終了処理を行う。

 まずは[血路]の確認。[死]に達していない騎士の数だけ[血路]を減らす。残り[血路]は36。

 次に[モノローグ]。ここでは[回想]と[死]の効果を適用する。

 サー・フジマルとサー・オルタナティヴは、[正義]か任意の[名誉点]を一点獲得してくれ」

マスター(PL)

「王妃を守ったから、オレは名誉点[庇護]を獲得しよう。これで[庇護]1」

ジャンヌ(PL)

「……同じく[名誉点]。さっき失った[寛容]を戻すわ」

アーチャー(GM)

「最後に隊列の変更を任意に行って、サイクルが終了する。これが一通りの流れだ」

アルトリア(PL)

「……厳しいか?」

ジャンヌ(PL)

「は? 何がよ」

アルトリア(PL)

「……いや、何も。隊列はフジマルが無事な限りこのままで行こう。それでいいな、マスター」

マスター(PL)

「いいよ。[速力]の攻撃は難しそうだ」

アーチャー(GM)

「では2サイクル目、[血路支配]。――(ダイスを振る音)。

 ……3。真の姿の効果により、値は4だ」

マスター(PL)

「こっちは――(ダイスを振る音)。

 ……2。2を加えて4。同値だ」

アーチャー(GM)

「同値の場合はもう一度振る。――(ダイスを振る)。

 ……1。よって2か……敗北確定のため、[血路支配]は騎士側が得る」

マスター(PL)

「はは、幸運Eの面目躍如だな。

 サー・フジマルは[援護]を使用。今度はオルタナティヴに[絆]を与える!」

ジャンヌ(PL)

「――(ダイスを振る)。

 ……[興味]か[侮蔑]ね。[興味]を取っておくわ」

 

オルタナティヴ(PC)

『ここまで他人に尽くすなんて、物好きな男ね。ちょっとだけ[興味]が湧いたわ』

 

アルトリア(PL)

「次は私だな。[武力]で[包囲]を突破する!

 ――(ダイスを振る音)

 ……5、4、1。達成値は5、チェインを加えて7。攻撃型の補正、[武力]により、与ダメージは9。今回は普通の聖剣で蹴散らす」

アーチャー(GM)

「普通の聖剣とは一体……ともかく、これで[包囲]は0となる。超過分はそのまま[血路]を削るため、残りの[血路]は29だ。

 次は魔人の行動。まずは[包囲]を10まで修復。その後、王妃に対して攻撃を行う」

マスター(PL)

「勿論庇うぞ。対決ロール……。

 ――ちょっと待って、アーチャー。これ、[血路支配]している方が[武力]を選べるんだよね?」

アーチャー(GM)

「ああ、その通りだが――あ」

マスター(PL)

「…………」

アルトリア(PL)

「…………」

ジャンヌ(PL)

「そういえばアンタ、確かさっきは――」

アーチャー(GM)

「げふんげふん!

 さあ、気を取り直していこうか! 判定はどうする、マスター」

マスター(PL)

「よし、そうだな! 当然[速力]だ!

 ――(ダイスを振る)……1、5、5! 達成値は8!」

アーチャー(GM)

「こちらは……(ダイスを振る)……4、2、2。達成値は5か」

マスター(PL)

「よし、ということは――ダメージは8! あれ、攻撃方法はどうしよう。

 [変わった][弓]だから……オリオンよろしく、[弓]を投擲する!」

 

ダンディ(NPC)

『覚悟しろ王妃! アイアムザボーンオブ――』

サー・フジマル(PC)

『させるか食らえ――!!』

ダンディ(NPC)

『ぬわー!? 貴様、ふざけているのか――!!』

サー・フジマル(PC)

『違うね! これが私の弓術なのサ!』

 

アルトリア(PL)

「妙にハイテンションだな。そして絵面がまごうことなきギャグ。実は仲良しなのか?」

アーチャー(GM)

「魔人に[命数]はなく、代わりに[酒と歌]がそれになる。

 8点のダメージを受け、ダンディの[酒と歌]は残り5点だ」

アルトリア(PL)

「いい流れだな。ジャンヌ、ここで[包囲]を削り取れ。魔人は私が叩く」

ジャンヌ(PL)

「言われるまでもないわ。もう一度攻撃、指定戦力は[武力]よ。――(ダイスを振る)。

 ……2、2、4。達成値は3……」

アルトリア(PL)

「おい、失敗してるぞ。難易度は4だ」

ジャンヌ(PL)

「分かってるわよ! [正義]を1点使用して振りなおすわ!――(ダイスを振る)。

 ……5、6、5。達成値は3、チェインで6になるけど……ファンブル」

アルトリア(PL)

「与えるダメージはたったの6か。[槌]の一撃よりも[弓]の投擲の方が強いとは……どれだけ貧弱なのだ、貴様の騎士は」

ジャンヌ(PL)

「私のせいじゃないわよ! 悪いのは全部ダイス!

 けどざーんねん、それが何だってのよ! ダイスが悪いなら固定値で勝負するまでのこと!」

アルトリア(PL)

「固定値? [特殊能力]を使うのか?」

ジャンヌ(PL)

「違うわよ。まあ見てなさい。

 ――サー・オルタナティヴは[絆]の力を使用するわ! 全ての騎士の[絆]の合計値をダメージとして与える!

 [絆]はフジマルが1、ペンドラゴンが3、オルタナティヴが4! そうそう、姫サマも2あるわね!

 つまり、合計16ダメージ!」

アルトリア(PL)

「……マスター、アーチャー。

 実は、ゲームを始めてからずっと思っていたことがある」

アーチャー(GM)

「奇遇だな、私もだ」

マスター(PL)

「常識人枠だったり、効率重視で重い[槌]を振り回したり、[絆]を武器にしたり。やってることは白い方とよく似て――」

ジャンヌ(PL)

「ない! あの女と一緒にするな!

 それよりほら、さっさと進めなさいよ! 16ダメージよ、16ダメージ。

 あ、どうせならロールプレイで宝具を言えばよかったかしら」

アーチャー(GM)

「[包囲]は崩れ、[血路]も残り24か。じき終わりそうだな。

 ――などと、流されると思ったか? ファンブルだぞ、ジャンヌ・オルタ」

ジャンヌ(PL)

「チィ……!」

アーチャー(GM)

「戦闘時のファンブルは通常時とルールが異なる。戦闘時の場合、君達騎士は状態異常[悪路]を得る。これがある限り、君達は[血路支配]の判定でマイナス2の修正を受ける」

マスター(PL)

「げっ……」

アルトリア(PL)

「…………」

ジャンヌ(PL)

「え? 何それ、まずくない?」

アーチャー(GM)

「ではモノローグ。二人は[回想]の効果を得たまえ」

ジャンヌ(PL)

「……もう一度[名誉点]。今度も[寛容]で」

マスター(PL)

「……オレも、もう一度[名誉点]、今度は[冒険]を取ろう」

アーチャー(GM)

「さて、次は3サイクル目。[血路支配]だ、マスター」

マスター(PL)

「――(ダイスを振る)……3。2点足して5だけど、[悪路]補正でやっぱり3」

アーチャー(GM)

「――(ダイスを振る)……4。真の姿の補正で、こっちは5だな」

マスター(PL)

「あ、まず」

アーチャー(GM)

「フッ、勝った。これにより、判定時の[武力]はこちらが選択できる。

 オルタ達火炎妖精(フランベルジュ)の[速力]には✕印がついているだろう? これは判定に勝利してもダメージは与えられないということ。つまりこのターン、君達戦車の攻撃は受け付けない!」

アルトリア(PL)

「っ……ならば戦い方を変えるまで。サー・ペンドラゴンは[援護]を使用!」

アーチャー(GM)

「不可能だ! 何故かだと? それらの補助は[本陣]にいる騎士しか使用できない!

 見落として伝えるのを忘れていた、スマン」

アルトリア(PL)

「それは構わんが。では、[速力]で勝負するしかないと」

アーチャー(GM)

「その通り。つまりはこういうことだ」

 

グレムリン達(NPC)

『くけけけけ! 遅い遅い遅いぜぇ! ヒャッハー!!』

スプリガン(NPC)

『[守護者の闘気]を重ね掛けしますー。はい、キュインキュインキュイーン』

サー・ペンドラゴン(PC)

『これは洒落にならんか……! [後陣]の突撃女がヘマしたせいで陣形が乱れている! このままでは……!』

 

アーチャー(GM)

「では、どちらと判定を行う? 魔群か、魔人か」

アルトリア(PL)

「魔人だ。幸運Eに期待する。――(ダイスを振る)

 ――フッ。括目せよ、我が幸運を。出目は4、5、6、達成値は8。そしてクリティカルだ」

アーチャー(GM)

「――(ダイスを振る)。

 こちらは5、4、2。達成値は……7だと?

 馬鹿な、何故敗北する……!?」

アルトリア(PL)

「私はダイスの女神に愛されているのだろう。これでスプリガンの踏みつけを完全回避だ。

 そして、くどいようだがクリティカルだ。戦闘時の特典はなんだ?」

アーチャー(GM)

「[悪路]の解除、もしくは[高揚]の取得だ。[高揚]を得た陣営は✕印をないものとして扱う。さらに攻撃判定に勝利した時、与えるダメージを2点増やすか、[酒と歌]を2点獲得できる」

アルトリア(PL)

「判定で勝たなければ意味がないのか。では仕方ない、[悪路]を解除する。

手間がかかる女だと舌打ちしながら、陣形を整えよう」

ジャンヌ(PL)

「…………」

マスター(PL)

「ジャンヌちゃん、抑えて抑えて」

ジャンヌ(PL)

「っ――分かってるわよ。元々は私のファンブルなんだし。

 ほら、次はアンタよ」

マスター(PL)

「ありがとう。じゃあアーチャー、魔人に対して攻撃だ」

アーチャー(GM)

「いいだろう。指定戦力は[魔力]だ。(ダイス)

 ――6、6、3。こちらの達成値は7だ」

マスター(PL)

「(ダイス)――2、4、6。こっちは……6か。[正義]を使って振りなおす。

 二回目――4、1、3……また6か!」

アーチャー(GM)

「ではダメージ判定。超過分の1、[魔力]の4、[本陣]の効果により、合計与ダメージは4だ」

マスター(PL)

「[酒と歌]を4点使い、ダメージを肩代わりする。

 これで残りは7……」

アーチャー(GM)

「まだこちらの攻撃は終わっていない。次は魔人ダンディのターン。

 まずは[包囲]を10まで回復。そして王妃に攻撃!」

マスター(PL)

「当然かばうぞ」

アーチャー(GM)

「だろうな。では[魔力]で判定する。――(ダイスを振る)。

 ――来たか。出目は1、2、3のクリティカル、達成値は8。魔人たちは[高揚]の効果を得る」

ジャンヌ(PL)

「うわ……そうよね、低い出目でもクリティカルにはなるのよね」

マスター(PL)

「こっちは(ダイスを振る)――5、6、3、達成値は7。[正義]を使って振りなおす。

 二回目(ダイスを振る)――4、3、5でクリティカル! 達成値は8で、こっちも[高揚]を得る!」

アルトリア(PL)

「流石はマスター。ここぞという時に強いな。これで両者ともに[高揚]。互いに士気が向上している状態か」

アーチャー(GM)

「同値の場合は騎士側の勝利となる。サー・フジマルの[魔力]は0、このままではこちらにダメージはないが――」

マスター(PL)

「[高揚]の効果を適用。ダメージを2点追加する」

アーチャー(GM)

「では、これで魔人ダンディの[酒と歌]は残り3点だ」

ジャンヌ(PL)

「もう虫の息だけど[包囲]があるのよね。面倒ったらありゃしない。

 サー・オルタナティヴのターン。[包囲]に対して攻撃」

アーチャー(GM)

「指定戦力は[速力]だ。本来火炎妖精(フランベルジュ)は[速力]でダメージを与えられないが、今は[高揚]が働いている。出目によっては削れるだろう」

ジャンヌ(PL)

「(ダイス)――6、6、2、達成値は3。

 ないわ。[正義]を使って振りなおす!

 二回目――ふん、今度は3、2、1でクリティカル、達成値は9よ。[速力]の7を上回ったため成功、超過分のダメージ! [高揚]の効果でプラス2点、合計4点ダメージ!」

アーチャー(GM)

「残りの[包囲]は6だ。次はモノローグ。二人は[回想]の効果を得る」

ジャンヌ(PL)

「もう一度[名誉点]、今度は[冒険]よ。このままどんどん上げてくわ」

マスター(PL)

「同じく[冒険]。これで[冒険]の[名誉点]はカンストだ。

 そういえば、[名誉点]って次回に引き継げるのか? このまま上がると最強の騎士になってしまうんだが」

アーチャー(GM)

「勿論不可能だぞ。ゲームバランスが崩壊するからな。

 騎士の[名誉点]はセッション開始時に毎回振りなおすことになっている」

マスター(PL)

「だよね。ちょっと安心」

アーチャー(GM)

「モノローグが終わったことで3サイクル目が終了。

 現時点で魔人の[酒と歌]が3、[包囲]が6、[血路]が24。まだかかりそうだな。

 次、4サイクル目を開始する。マスター、[血路支配]の判定だ。

 (ダイスを振る)――2。真の姿の補正でも3か」

マスター(PL)

「こっちは(ダイスを振る)――3。補正で5。[戦力]の選択権を得る。

 セイバー。サー・ペンドラゴンの[援護]はそろそろ要らないかな?」

アルトリア(PL)

「そうだな。[名誉点]も上がっているし、必要なかろう。

 では、ペンドラゴンの攻撃に移る。[武力]で[包囲]を蹴散らす。

 (ダイスを振る)――2、3、6。達成値は4だが、チェインの補正で6。これに[魔群]とペンドラゴンの[武力]、[高揚]を計算して――[包囲]に9点ダメージだ」

アーチャー(GM)

「[包囲]は突破され、[血路]にも3点ダメージ――残りは21か。ジワジワ減っていくな」

 

サー・ペンドラゴン(PC)

『騎士からの贈り物だ。杯の底に沈め――!

 [約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)]――!!

 よし、[包囲]は開けた。行け、フジマル!』

サー・フジマル(PC)

「応ッ!!

 ではもう一度[弓]を投擲! 食らえー!』

 

アルトリア(PL)

「……折角道を切り開いたのに絵面で台無しだな。シリアス用とギャグ用とで分けて描写できんのか?

 酔っ払い騎士の私が言うのも可笑しいが」

マスター(PL)

「難しいな……まあ、考えとく。

 サー・フジマルの攻撃。対象は[魔人]、指定戦力は[速力]だ。

 (ダイスを振る)――1、6、5! クリティカル! 達成値は10!」

アーチャー(GM)

「(ダイスを振る)――5、3、2。達成値は7。[酒と歌]は0になり、[魔人]は死亡する」

 

ダンディ(NPC)

『グッ……まさかこのオレが、こんなふざけた攻撃で殺される、とは――。

 ククク……ああ、酷い夢だった、な――』

リッカ(NPC)

『やったか!?』

サー・フジマル(PC)

『姫様それフラグです。でも、これでこちらの勝利ですね』

ダンディ(NPC)

『フン、それはどうかな?』

サー・フジマル(PC)

『何!? あれを食らってまだ生きているのか!?』

ダンディ(NPC)

『いいや、確かに死んださ。一度だけだがな。

 そら、新宿でも経験したろう? 魔人である私には複数のHPゲージがあるのだよ。

 オレを殺したくば、あと三倍は持って来い』

 

アーチャー(GM)

「ということで、魔人ダンディのターン。[器]を一つ使い、[酒と歌]を最大まで回復する」

ジャンヌ(PL)

「姑息な手を使うわね。しかも三倍ってことは、あと三回殺せってこと? どんだけ生き汚いのよ」

アルトリア(PL)

「貴様といい勝負だな。

 しかし納得だ。倒し“切る”とはやはりこういう意味だったか」

アーチャー(GM)

「まだだぞ? 魔人は復活するたび、ランダムに[刻印]を一つ得る。――(ダイスを振る)。

 ――出目は5、[星]の[刻印]。[名誉点]を一点ランダムで獲得する。――(ダイスを振る)。

 ――出目は1。[主君]、つまり[魔王]に対する忠誠心が上がったな。

 そして、魔人の二回目の行動。[包囲]を10に回復させ、ターン終了だ」

ジャンヌ(PL)

「まーたーかー! 何回[包囲]を回復させるのよ! というか、妖魔多すぎでしょ!」

アーチャー(GM)

「メドゥーサがアルバイトしてる世界だぞ? 妖魔くらいそこら中にいるだろうさ」

ジャンヌ(PL)

「あーもう、[酔強]みたいな便利な[特殊能力]があれば良かったんだけど! なによこの[地獄車]って! [死]が確定した時[正義]の数だけサイコロを振り、[血路]を削る?

 完全に自爆宝具じゃない! 見方によってはまんま[紅蓮の聖女(ラ・ピュセル)]よ! ホント使えないわねあの女の宝具!」

アーチャー(GM)

「戦い方によっては一発逆転を狙えるじゃないか」

ジャンヌ(PL)

「発動条件は[死]なのよ? そんなの敗北と変わらないわ。勝利っていうのはね、最終的に生きて、立っていないと駄目なのよ。命に代えてでも、なんてのはただの言い訳。

 ――まあいいわ。とにかく、[武力]で攻撃判定。[包囲]を突破するわ。

 (ダイスを振る音)――1、2、4。達成値は8、成功ね。互いの[武力]、[高揚]を適用して――8点のダメージよ」

アーチャー(GM)

「次、モノローグによる[回想]だ」

マスター(PL)

「[名誉点]だ。[恋慕]を取ろう。どんどん強くなっていくこの感じ、正しくRPGだな」

ジャンヌ(PL)

「同じく[名誉点]、[恋慕]。ここまで来ると[正義]が要らなくなってきたわね」

アーチャー(GM)

「4サイクル目が終了。次は5サイクル目だな。

 [血路]は21、[包囲]は2、魔人の[酒と歌]は13、[器]は2だ」

アルトリア(PL)

「サー・ペンドラゴンのターン。もう一度[包囲]を蹴散らす。[武力]で判定だ。

 (ダイスを振る)――3、4、6で達成値は6、成功だ。互いの[武力]と[高揚]により――む?」

アーチャー(GM)

「? どうした、セイバー」

アルトリア(PL)

「……いや、なんでもない。それで、9点のダメージだったか」

アーチャー(GM)

「では、[包囲]は壊滅。[血路]に7点のダメージが入り、残りは14だ」

アルトリア(PL)

「……やはりか。

 アーチャー。貴様、TRPGに慣れていないな?」

アーチャー(GM)

「? まあ、そうだな。急にどうした?」

アルトリア(PL)

「ダメージ計算の際、我々が申告する数値をそのまま信じているだろう? それも一切疑わずにな」

アーチャー(GM)

「そうだな。正直な話、君達のロールプレイに応えるので手一杯でな。システムまで手が回らん」

アルトリア(PL)

「……道理で攻撃型が二人いるにも関わらず、進行が遅くなるわけだ」

アーチャー(GM)

「その言い方だと、私は何かミスを犯していたのか?」

アルトリア(PL)

「その通りだ。それも、戦闘を開始してからずっとな。

 ――時にマスター。話は変わるが、魔人を倒すのは諦めないか?」

ジャンヌ(PL)

「はぁ? また勝手なこと言ってるわね、この女。ここまできて路線変更とか、迷惑極まりないわよ」

アルトリア(PL)

「貴様は黙っていろ。私はマスターと話している。それで、どうだ?」

マスター(PL)

「オレは別に構わないけど、理由を聞いてもいいかな?」

アルトリア(PL)

「理由は三つだ。

まず一つ目。先程アーチャーにも言ったが、この戦闘は初めから間違っている。

 ……いや、この言い方では語弊があるな。気付かなかった我々にも責はあるのだから。要するに、色々と管理不足だったということだ。王妃の[運命点]とかな。

 二つ目。戦闘が長い、そしてしぶとい。魔人の復活回数はあと二回も残っている。このままでは延々とダイスを振り続ける羽目になり、折角の熱が冷めてしまうだろう。ロールプレイのネタも底に尽きつつあるしな。

 三つ目。これが一番大きいのだが――私がその気になれば、このターンで勝利できる」

ジャンヌ(PL)

「勝利できる? 魔人の[器]は二つ残ってるけど?」

アルトリア(PL)

「勝利条件は魔人の撃破か、[血路]を0にすることだ。敵の[血路]は残り14。だが、私の[酒と歌]は7点残っている。そして[武力]の判定に勝利したため――」

マスター(PL)

「[酔強]で[酒と歌]を全て使えば、ダメージは14点上乗せされて、[血路]を0にできるのか」

アルトリア(PL)

「そういうことだ。無論、貴様が頑なに魔人を倒すというのならば付き合ってもいい。ああ、そっちの女の意見は無視して構わないぞ?」

ジャンヌ(PL)

「無視するな。

 ……まあ、私もどっちでもいいわよ。この展開には正直飽きてきたし」

マスター(PL)

「ふぅむ……。

 ――よし、やっちゃえセイバー!」

アルトリア(PL)

「バーサーカーか私は!? いや、こっちの私はバーサーカーみたいなものか」

ジャンヌ(PL)

「どっちも似たようなもんでしょ。阿呆みたいに聖剣振り回してるのは同じよ」

アルトリア(PL)

「自爆宝具を持つ貴様に言われたくないな」

ジャンヌ(PL)

「それはTRPGの騎士だけでしょうが!」

アルトリア(PL)

「だが貴様、新宿では似たような最期だったろう。いや、宝具を使う間もなく惨殺された可能性もあるが」

ジャンヌ(PL)

「はぁ? アンタ、一体何の話をして――……あ」

マスター(PL)

「…………(露骨な目逸らし)

 わあ、アーチャーが作った軽食オイシイネー」

アーチャー(GM)

「うむ、大体察した。

 だろう? 伊達にカルデアの食堂を預かっているわけではない」

アルトリア(PL)

「……ほう?」

ジャンヌ(PL)

「――ははーん、そういうこと。相変わらずへったくそだけど……まあ? 一応? 感謝はしとくわ。

 ほら、さっさと進めるわよ。[血路]を減らすんでしょ?」

アルトリア(PL)

「……そうだな。[酒と歌]を7点消費し、[酔強]を発動。[血路]に14点のダメージを与え、逃走する。これで騎士達の勝利だ。

 それとマスター、これが終わったら一緒に来い。アッくん直伝の拷問術、とくと味わってもらおう」

マスター(PL)

「ファッ!?」

 

 

 ◆

 




 ロールプレイの“旗”の会話は、とあるゲームの神シーンからまるまる持ってきました。
 あのゲームの影響で
 「鉄扇を武器にして闘うキャス狐ルート版エクステラss」
 を書こうとしたほど。挫折しましたが。


 戦闘シーンで忘れていた主な要素は三つ。
①主君の[運命点]。
 これを消費することでダイスの出目一つを任意の出目に変更できる。
例:5、5、6でファンブルになった時、[運命点]を一点消費して5を4に変更、4、5、6にしてクリティカルにできる。
 今回の戦闘開始時点で主君の[運命点]は2。次回のセッションに向けて使わず貯めることも可能。

②サー・ペンドラゴン、サー・オルタナティヴの戦闘スタイル。
 この二人は攻撃型のため、ダメージ判定時に与えるダメージが常時2点追加される。これを忘れていなければもう少しサクサク倒せたはず。

③サー・フジマルの[特殊能力]、[生命燃焼]
 [生命燃焼]は自分の[命数]を二点減らし、[正義]を一点取得する能力。
 敵からのダメージを[酒と歌]で肩代わりし、[命数]を削って[正義]を増やし、[正義]を使ってダイスを振り直し続けるのがサー・フジマルの本来の戦い方(たぶん)。

 以上三つが一通り書き終えて推敲している時に気づいたもの。まだあるかもしれませんね。

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