ああ・・
熱い
体が焼けそうなほど熱い・・
熱源の場所を手でたどり出血を抑えようとしたが大剣は腹を貫通し腹には大きな穴が開いていた。
地面を見ると穴から滴り落ちた赤い水が大量の池を作っていた。
人間って死ぬときはあっけないものなんだな・・・
俺はもし死ぬときは可愛いメインヒロインの女の子を助けていちゃいちゃ、キャッキャッウフフしてからその女の子を守るために死のうと、そういうカッコいい死に方が俺の望みだったのにな・・・
これもある意味では彼女を守ることができたのかな?
いざ死ぬとなるとこれといって特に何も感じないな・・・
さっきまで熱くて熱くてやけそうだった傷の痛みも熱さも和らいできて徐々に何も感じなくなってきた。
このまま目を閉じてしまえば この襲い掛かってくる強烈な眠気に瞼を落とせば間違いなく死の終焉を迎えることができるだろう。
視界ももうぐにゃぐにゃでほとんど何も見えなかったが視界の奥でこの巨大なロボ?を操作してるであろう黒幕の人物が映っていた。顔を上げれば黒幕の顔を拝むことも出来ただろう。
しかし、自分を殺したであろう人物。不思議と顔を拝んでやろうという気にはなれなかった。
そんなことより 願ったことは素性も一切わからぬ初めての友達であり、自分をIS学園まで案内してくれた彼女の無事だけであった。
彼女が無事でありますように・・・
薄れゆく意識の中でそう思った。
グシャッ
彼のすぐ近くに何か大きいものが投げられた。
彼 ナツキスバルは死ぬ瞬間すら安堵することを神は許さないらしい・・・
彼のすぐ近くに投げられたおびただしい量の血が流れていた女の死体・・・
その死体の女はスバルが言っていた彼女とそっくりな瓜2つの顔をしていた。
否その死体こそスバルが言っていた女であった。
その瞬間声にならない声を出そうとした。
しかし、腹に穴が開いているためヒュー ヒューと風が通る音がしただけであった。
その時ナツキスバルは犯人の顔を見てそいつを呪い殺してやろうと、一生心に刻んでやろうと顔を上げた。
そこにはもう誰もおらず、ただ風が吹き抜けるばかりであった。
ナツキスバルは思った。
どうしてオレはこうやることなすことすべてがすべて手遅れなんだよ・・・
どうしてあんなに親切にしていた彼女が殺されなければならないんだっ!
全ては偶然だろう スバルが思いつめていた時に彼女の白い手と自分の手が重なり合った。
そのときかすかに動いた指先が自分を握り返してくれたような気がした。
親切なこの女の子だけは助けたかったな・・・
神様もし許されるならもう一度・・・
「俺が、必ず ・・」
彼女を救ってやる
次の瞬間ナツキスバルは絶命した。
完全に見切り発車です。