リアルFGO   作:nyasu

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深く考えると闇が深い

翌朝、俺は目の前で眠る桃色ブロンドの人形のような少女に欲情していた。

だって、こいつスケスケなんだもん。昨日はよく見えなかったけど、スケスケなんだもん。

 

『ますたぁ?』

「お、俺はやるぞ清姫!童貞を、卒業するッ!」

『レジスト、完了しました』

 

何が起こったのだろうか。

俺は急に、目の前の小娘に冷めてしまった。

うん、あぁ、これは何て言うかアレだ。

エロ画像見た程度の気分だわ。

 

「今の声、パラケルススがどうにかしたのか?」

『自力で解こうと思ったのかと気を遣ってたのですが、単に出来なかっただけかと思いまして解除しました』

 

それを聞いて、最初からやってよもぉ~と内心で抗議する。

俺は魔術師としては三流も三流、魅了系に余裕で引っ掛かってしまうんですよ。

 

「なんで昨日の俺はルイズなんかに欲情したんだろうか。可愛いけど、暴力系ヒロインより無垢な後輩系ヒロインの方が俺は好きなんだ」

「うぅ、うぅ……」

「しかも、なんか寝相悪いぞ」

 

俺がうるさかったのか頭から布団を被り、唸るルイズ。

死ぬほど疲れているようだ、そっとしておこう。

俺はそのまま部屋を出た。

 

校内を散策することにした俺は、土地のレイラインなどを見て回った。

流石、魔法に関することをやっているのためかそれなりの霊地である。

そして、その土地を五角形になる形でレイラインを形成している。

これは一種の結界魔術に近い様式である。

簡単な魔術なんかだと、盛り塩を四隅に設置する形で結界を作る奴だが、この学校はそういうのを五角形とかで作っているのだろう。

 

「よく分からんが、五つの塔には何かの意味があるのだろう」

 

時代設定は、アニメでは分からなかったが中世のファンタジーの先駆けのような作品であるためか、中世なんだなって感じの世界観だ。

そのため、メイドさん達が集まってタライを使って洗濯しているのを上から見たりする。

メイドさんが本来というか、実際にはどうなのか知らないが、もしかしたら中世のメイドさん達の仕事風景はこんな感じなのかもしれない。

 

「あぁ、そっか。あそこで本来ならシエスタに会うはずなのか」

 

パンツなんて洗ってないから出会ってないわけである。

一人、納得して今度は図書館へと足を運んでみた。

この世界の文字はどうなってるのか分からんが、ルーン文字など共通していることも多いから読めるかもしれない。

そして、本を開いてみると全く意味不明だった。

 

「文字から勉強か、日本語とかにしろよ。作者日本人だろ」

 

そんなこと言われても、作者は作品の世界に人が入るなんて想定してないか。

さて、俺はふぅと軽く息を吐いてから人気のない場所で考える。

二日目、人に見つかるように色々と動いていたが誰からも話しかけられたりしなかった。

じゃあ転生者は学生ではないのか、それとも警戒しているのか。

炙り出すには原作から乖離させると手っ取り早いが、さてどうしたものか。

 

「目的はなんだろうか」

 

ルイズとかタバサはどうだったろうか?依存するように誰かを好きになっている様子はない。

周りから一目置かれてる奴はいたか?今のところ見ていない。

つまり、俺の嫁とかいうタイプでも俺TUEEEとかするタイプでもないってことだろう。

今後、調べていけば領地で内政チートしてるとかそういう奴もいるかもしれない。

今の所は分からないが、出来れば始末したい。

じゃないとマシュが受肉しないからイチャイチャできない。

 

『ありがとうございます。なんだか、すごく嬉しいです』

「うわはず、繋がってるから筒抜けか」

『ヒューヒュー』

 

兄貴達からの煽る声が聞こえる。

おいおい、昭和のリアクションかよ。

まったく、やれやれだぜと思っていたら、メフィストの声が聞こえた。

 

『おやぁ、何やら楽しい雰囲気を感じますね。ちょうど、廊下の当たりですね。外の、廊下のあたりで』

「うわぁ、やな予感である」

 

予定調和、阿頼耶識、抑止力。

まぁ、名前は数あれど修正するような力が働いたのかもしれない。

おそらく、メフィストが言ってるのはと思いながら窓から顔を出して外を見れば、メイドさんが謝っている光景が見えた。

 

「平たい顔、日本人みたいなメイドさんはシエスタですかねぇ。でもって、金髪のイケメンがギーシュ?俺が香水拾わないから何も起きないと思ったら、原作ルートじゃなくて二次創作ルートか」

 

原作だとサイトが拾った香水で決闘である。

二次創作では、シエスタを助けるために決闘である。

この違いにより、サイトかオリ主かシエスタの誰かが香水を拾うという選択肢が出るのだが……見捨てるか。

 

「原作と違うことに対して、何かしらのアクションがあるかもしれないしな」

 

っていうか、最初は錬金の授業とかやってなかったけ?

時系列どうなってるんだ、なんか色々とズレてるけどバタフライ効果って奴か?

さて、中世がどうとか知らないけど、貴族が恥をかかされた場合、平民に対して何を要求するのかな。

お手並み拝見と行こうか、かっこいい貴族さん。あっ、今の切嗣っぽい。

 

メイドさんは土下座してギーシュの前にいた。

異世界にもあるんだなんて思ってたら、今度は靴を手に持ってペロペロし始める。

何て言うか、ゼロ魔ってファンタジーでラブコメでもっと救われてなきゃいけないのに、現実となった場合の世知辛さが滲み出ている。

誰も止めないとか、平民に対する扱いで闇の深さが窺える。

 

「転生者来ないかな?俺と同じで、どうにかしねぇかと思いながら傍観かな?はぁ……ガンド」

 

結果に対して、効果なしと判断して今度は原作通りの行動をすることにした。

どうせルイズは寝込んでるから、ルイズが来ないことに対する反応を見てみよう。

主要人物に憑依って可能性もあるし、油断せず全体を見てみよう。

 

俺は窓からガンドを放ち、それによって倒れたギーシュに聞こえるように笑い声をあげた。

その声で視線が俺に向く。向いたことを確認した俺は強化を自信に施し、窓から飛び降りた。

 

「嘘だろ、落ちてきたぞ」

「なんだアイツ、人間じゃないのか?」

 

さてと、そんな感じで俺は首を回しながら頬を押さえるギーシュを見る。

なんだよそのパパにも殴られたこともないのにみたいなポーズは?

 

「君が、何かしたのか?」

「だったらどうする?おっ、決闘かな?名家なのにドットクラス程度の才能しかないグラモンくぅーん」

「ここまで虚仮にされたのは初めてだよ。いいだろう、決闘だ」

 

白い手袋が、パーンと俺に投げられた。

何で投げたし、よくわからんやっちゃなぁ?

それで、お決まりのヴェストリの広場で待つ、といいながらマントをファッサーと翻しながら去るギーシュ。

なんだろう、ルルーシュかな?貴族って、そういう感じか?ああいう動きが貴族なのか?

 

「よく考えたらルルーシュ王子だわ。マントは貴族にとって必須なのか。だからトッキ―はダメなんだ。だってマント装備してないもん」

 

装備してたら刺されてなかったかもな、防刃マントだキリみたいな返しでだ。

マントがないから優雅になれない、優雅たれは似非貴族ってわかんだね。

 

 

 

わざと遅刻して、苛つかせるなんてそんな宮本武蔵的なことはせず、普通にやってきた。

ついでに後ろを向いて、貴様見ているなと吸血鬼のカリスマを見せつける。

たぶん、校長が見てるんだろうと思ってだ。学園長?理事長?分からんけど、ひげのじいさん見てたろ確か。

 

「あ、あの……」

 

さぁ、喧嘩だ喧嘩だ俺のシェルブリッドが疼くぜなんて勝手に盛り上がっていたら、シエスタだと断定したメイドさんが意を決した様子で話しかけてきた。

 

「迷惑です。だから、謝りましょう。私を助けないで良いです。私は……助けるような価値のある存在じゃないです、だからもう良いです」

「えー、なにわざと嫌われようとしてる?えっ、それも作戦なんですか?悲劇のヒロインぶって可愛いと思ってるんですか」

「ふざけないで!貴方、死んじゃうかもしれないのよ!こんなくだらないことで、命を粗末にする物じゃないわ!」

 

メイドさんの熱い嘆願、すまないがウチのメインヒロインはマシュなのでお前ルートはない。

だから、別に助けるわけじゃないんだからねっ!勘違いしないでよ!

 

「俺は俺がしたいからするだけだ。君のことなど、眼中にはない」

 

キリッとした顔で言い放ち、俺はギーシュの所へ歩み進めた。

 


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