学校であった。
何故、過去形なのかと言えば休んだからである。
遡ること数時間前、よぉーしマスター頑張っちゃうぞと顔合わせに全員を現界させてみた。
「ぐへぇぇぇ!?」
「マ、マスター!?」
俺は意識を失った。
あぁ、マシュ……その状態だとマスターって呼ぶんだね。
「うぅ……ここは」
「目が覚めましたかマスター?」
「パラケル……スス?」
「はい、貴方の友達でキャスターな私ですよ」
やけに友達を強調しますね、やーいボッチ。
俺の横にはマシュとパラケルススがいた。
一瞬、病院かと思っちゃったよ白衣みたいで。
「パラケルススさん、先輩は大丈夫なんでしょうか」
「一時的な負荷に耐えきれなかったのでしょう。一度に出そうとした結果ですね」
「大丈夫、ということでよろしいので?」
小首を傾げるマシュ、あぁかわいい。
「むっ、可笑しい。異常は無いはずだが、体温と心拍数が上がっている」
「大丈夫なんですよね!ねっ!」
「命に別状はないはずだが、なぜ……」
魔術師には人の心が分からない、お前は一生分からないのだ。
そんなことを思っていたら、目に激痛が走った。
「いったぁぁぁぁぁ!?」
「目つぶし!?御乱心ですかぁ!」
「マスターの視線がイラッと来たので」
マシュに盾で殴られる前に消えていくパラケルスス、おのれパラケルスス。
パスでも繋がっていて俺の内心が伝わったのか?
「大丈夫ですか先輩?」
「うん、っていうか夕方!?」
「一応、どういったことが起きたか説明を聞きます?」
俺は軽く頷き何が起きたか説明を聞くことにした。
まず魔術回路というものについて、魔術師が体内に持つ擬似神経について知らないといけない。
生命力を魔力に変換し大魔術式に繋がる役割を持っている。
その大魔術式というのは、魔術の系統ごとにある基盤でルールである。
つまりは法則、どんな魔術を成立させるかみたいな方向性。
空の境界で説明してたけど、アストロロジー、アルケミー、カバラ、神仙道、ルーンとか。
俺の場合は魔術ではないが、まず聖杯を持ってサーヴァントを呼び出しているらしい。
そして、契約できるようにしているのはマシュの存在、というか円卓を材料にした盾が働いているそうだ。
じゃあ俺は何をしているのかというと、魔力供給だけである。
この魔力供給は厄介な物で、呼び出すときにMPを消費すると考えてくれれば良い。
聖杯は紹介、マシュの盾は手続き、給料を払うのは俺と考えてくれれば分かり易いだろう。
一斉に出てくると、一気に出費がでて破産するって訳だ。
「つまり、一人ずつ出せばいいのか?」
「はい、マスターの回復量が追いついてから召喚するのがベストみたいです。パラケルススさんが言うには実力によってはマナを扱えて今後増えるかと」
「レベルアップしろってことか」
それにしても夕方である。
一日終わった、学校終わったって訳だった。
「それより晩ご飯、どうしましょう?」
「どういうこと」
「皆さんが食べてしまって……」
圧制、キャット、イヒヒヒ、じゃんじゃん喰うぞ、…………、冷蔵庫は征服した。
サーヴァント達がそんな感じで食べていたのを想像出来てしまった。
「どこか食べに行こっか」
「はい!」
今夜は外食決定です。
二人で外に出るとマシュがソワソワし始めた。
おやおや、緊張してるのかな。
「姿は見えませんが、皆さんの気配が」
「霊体化して付いてきてるのかよ!」
こんなのデートじゃないよ、はじめてのおつかいだよ!
まぁ、気にしなければ良いだけだ。
マシュはサーヴァントだからなんだろうな。
「すみません先輩、私が敏感なばかりに」
「あぁうん、気配ね!気配に敏感ね!」
「うん?」
やめろマシュ、お前の発言は俺には効く。
恐ろしいぜ、デンジャラスビースト!
普通にファミレスに行って食事しました。
一回、食べ放題に連れてってやるかな。
アイツら無尽蔵だし、魔力供給食事でも出来るしな。
「おいしかったですね」
「そうだな」
「ドリンクバー、初めて使いました!欲しいです」
「家庭用は、無理なんじゃないかなぁ」
「そうですか、残念です」
しょぼーんとするマシュ、そっかそうだよな。
こんな大きさでも中身は子供みたいなもんだもんなぁ。
子供か……。
「わわっ、何ですか先輩」
「子供って頭撫でられるの好きかなって」
「子供扱いしないで下さい、これでも肉体年齢は高校生程度ですよ」
「女子の扱いとかわからん」
「するなら、二人きりの時にして下さい」
ヒューヒューと後ろから聞こえたが、後でランサーは絞めることにする。
昭和かお前ら、令呪も辞さないからな!
そんなこんなで街を歩いていると、ピキッと頭に痛みが走った。
「つつっ……何だ、静電気みたいな感じが」
「おや、おやおやぁ、これは楽しい楽しい展開ですねぇ」
「急に出てくんなよ、メフィスト」
俺とマシュの間という、微妙な位置にメフィストフェレスが現れる。
もうちょっと別の位置があっただろ、狙っただろお前。
「な~にか面白いにおいがしますよ~」
「絶対ろくでもない事だ、行かない」
「それもそれで良いですねぇ……ですが、他の者はどうでしょう?」
えっ、と俺が言う前に四つの影が俺を通り過ぎていく。
「一番槍はいただきだぜ!」
「先に征服するのは僕です!」
「散歩か、散歩ならキャットが一番オンリーワン、ワンダフルだニャンなのだぞ」
「行きたくないだと、つまり圧制だな!喜べ、愛すべき反逆よ!」
ケルト(好戦的)、ショタ(負けず嫌い)、猫(動いてる物があったから)、マッチョ(反抗期)。
なんてこった、みんな言うこと聞かないぞ。
焚付けたのはお前か、お前なんだな。
「人払いの結界、マスターに危害が無いように指示しました」
「おーまーえーかー!黒幕はお前だったのか!」
裏切ったなパラケルスス!
ハイスクールD×Dの世界で結界なんて厄介ごとじゃないか。
「い、いけませんでしたか?」
「何で心底驚いてるんだよ!素で気遣いとかびっくりだよ」
悪気がない分、質が悪いったらありゃしない。
はぁ、もう仕方ないから行くしか無いか。
諦めて俺はみんなを追う。
「乗り気ではありませんが、先輩行きましょう」
「戦闘態勢でノリノリじゃ無いですかやだー」
マシュ、その格好に説得力はないですよ。
急いで追いついた場所は、公園だった。
そこで何やら四人組はジャンケンしていた。
「埒があかねぇ、俺はチョキを出すぜ。パーは出さないことだ」
「何だと、それは圧制だ。反逆してやる!」
「こんな所にツナ缶がある。あっと、手が滑った」
「ニャァー!?」
何してんの、もう一度言う何してんの?
なんかあの手この手で実質二人の戦いになっているけど、ジャンケンしている理由を教えて下さい。
誰が相手するか、ドラゴンボールみたいな展開なの?馬鹿なの?
「よっし、俺の勝ちだ!」
「コレで勝ったと思わないことですね」
ニカッと笑顔を浮かべるランサー、その後ろでカップルの様子が変だった。
一瞬の事だったが、彼女の背中にバサッと翼が生えたと思ったら彼氏が何か光に貫かれて死んだ。
ち、痴話喧嘩かな?
「や、やべーよ!学生が死んだ!?」
「「「この人でなし」」」
「なんでそこだけ息ピッタリなの!?」
カッと此方に顔を向ける彼女さん、目つき怖っ、兄貴お願いします。
「まさか、こんな所に人がいるなんてね」
「テメェ、人間じゃねぇな。ハーピィーかなんかか」
「下等生物が、挑発のつもりかしら?」
ピキピキと顔が歪む彼女さん。
「んじゃまぁ、ぶちかますかねぇ!」
そんな彼女さんに、ランサーが槍をぶん投げるところから戦闘は始まった。
投げちゃったよ!?