アザゼルに呼ばれて会談があることを思い……出したぁ!をした俺は、普通に日々を過ごした。
確か、授業参観の時にあるんでしょ知ってる。
それはそれとして英語である。
「先輩、それは」
「豆腐だ。この滑らかさは、中々出せない」
「凄いです先輩!私なんて、ただのキャメッロット城……」
「十分凄いんじゃないんでしょうか、流石円卓の騎士、美術的センスもヤバい」
言えない、手抜きだなんて言えない。
そして、どうやって作ったってクオリティーでマシュってばスゲー。
旦那、俺には芸術は難しかったよ?えっ、鮮度?芸術に鮮度って何の話?
「ハッ!?あまりのクオリティーに精神汚染されるような妄想に耽っていたぜ」
「先輩、授業終わりましたよ」
授業が終わり、昼休み。
なにやらコスプレイヤーがどうのこうの言ってるが、見慣れてるからどうでもいい。
と、思っていたら人集りが廊下に出来ていた。
まったく、アレだろ?魔王の関係者が騒いでるんだろ、知ってた。
「どけっ!邪魔すんな!」
「わわっ、撫でないで貰おうか」
「何、不審者として連行するだと?フハハハ、警備員よ!汝は圧制者よ!」
「私にはおりません。ただ、今は大事な人が……あぁ、あんな所にいた」
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
もう一回、いやぁぁぁぁぁぁぁ!
あれ、ウチの子じゃないかしら!
引っ付かれて鬱陶しそうにしてるケルトの兵士って、ウチのじゃないですか!
抱っこされてるのはウチの征服王じゃないですか!誰だ、おねショタ案件って言ったやつ!聞こえてるぞ!
連行されるのに抵抗してるのは笑顔が素晴らしい、ウチのスパルタクスじゃないですか!
でもってパラケルスス、誤解を招く事を言うんじゃないよ!腐女子から嬉しい悲鳴が聞こえるじゃ無いか!
「何の騒ぎですか!」
「あっ、ソーナちゃん」
「ソーナちゃん言うなっ!」
「す、すいません」
思わず言った言葉に会長がすごい勢いで切り返してきた。
もう、誰だって言ってる兄貴と同じくらい怖い顔だよ。
そんなに嫌か、耳まで真っ赤だし恥ずかしいか。
「はぁ……女子高だったからとは言え男性に耐性がないのかしら」
「いや、普通にイケメンじゃないすか。畜生、爆発しねぇかな」
会長の横にいる匙先輩が、ギリギリ歯ぎしりしながら兄貴達を睨みつける。
兄貴はそれを見て、八ッと鼻で笑った。
煽るな煽るな、可哀そうだろ。
「どうも、ウチの身内がすみません」
「まったくです。いいですか、身内が問題を起こさないようにちゃんと見てていただきたい」
「あっ、ソーナちゃーん!おーい、あれ?何で無視するの?ねぇねぇ、ソーナちゃーん!」
「…………」
「会長、あそこで手を振っている方がいますよ?どうしました、会長?なんか言ったらどうです?」
「…………死にたい」
両手で顔を覆って、廊下でしゃがみ込むように座った会長がうーうー呻き声を上げた。
仕方ないね、身内が問題児だもんね。
直前の発言のせいで恥ずかしいもんね。
身内がなんだって?(ゲス顔)
「会長、気をしっかり」
「もうやだ、なんで私ばっかり……リアスの問題も私ばっかり怒られて、なんで私ばっかり」
「ダメだ、手遅れだ。早く生徒会室へ」
生徒会長がぐったりしたで生徒会室へと運ばれていく。
可哀想に、死ぬほど疲れているようだ。
今日は休め。なお、横から張り付くコスプレイヤーに追い打ちを掛けられた模様。
一日の授業を終えると、俺を探していた人物が教室にやって来た。
よぉ、なんて格好付けながら教室で俺に挨拶するアザゼルである。
「ふっ、久し振りだな」
「……誰?」
「そうか、あの時は顔は見えてなかったのか。白龍皇のヴァーリだ」
「えっ、誰?」
「お前、わざとだろ」
アザゼルがそんなことを言う傍らから、無言で佇み頭を下げる青年がいた。
紹介からしてコイツがヴァーリらしい、モデルみたいなイケメンだな。
アニメの記憶なんて覚えてないし、現実だと二次元みたいな顔じゃないから意外と分からなかったりする。
まぁ、わざとって言うのは間違いじゃないですけどね。
「ハッ、随分と威勢のいい餓鬼じゃねぇか。ここでやろうってのか?その殺気、さっさと引っ込めな」
「悪いな、ウチのヴァーリが……」
苦労してるんだぜ、なんて雰囲気をアザゼルが出すが知るかそんなもんと冷たい視線を向ける。
そもそも、組織の長なんだから苦労するのは当たり前である。
俺がどれだけスパルタクスを頑張って面倒見てるか、大変である。
「さて、お前さんには俺の部下として三大勢力のトップ会談に参加して貰おう」
「おい、それだと俺は堕天使陣営って見なされちゃうだろ。そうやってなし崩し的にってのは狡いぞ」
「報酬は応相談だが」
「くどいぞ、俺は日本神話陣営として参加させて貰う」
「えっ、お前そうだったのか!?」
当たり前である。
日本の担当女神はアクア様、つまりアクア様を拝める宗教は日本の国教、アクシズ教は国教である。
ただし、日本人がそれを忘れているだけである。
「予定が狂ったなぁ。教会の奴らは赤龍帝を懐柔するために龍殺しの聖剣を渡したって情報が入ってるのに、こちら側に引き込めないとわなぁ」
「何?お前、ゲオルギウス先生のアスカロンじゃないだろうなぁ?」
「アスカロンのことを知ってるのか?」
知ってる知ってる、礼装で龍属性付与してアスカロンでぶった切る人の剣だろ。
聖剣渡すとか、教会もやっぱり組織だから真っ黒だね。
夜になり、生徒も帰宅した頃だった。
サーヴァントを引き連れて、俺は教職員達が会議に使う部屋に向かった。
中には円卓のような物が用意されており、美形ばっかりが座っている。
「あっ、あの時のアクシズ教の人!」
「ドーモ、イリナさん聖剣お買い上げありがとうございます」
「もー!聖剣なんだよ、売ろうとするなんて不敬なんだからね!」
いきなり話し掛けて来たのは、いつぞやのエクソシストだ。
まぁ、俺が言えることはそれを買おうとした、お前ら教会が言うなである。
「アザゼル、彼が例の……」
「あぁ、聖杯の所持者だミカエル」
「君達、話したいこともあるだろうがそろそろ会談を始めても良いだろうか?」
その言葉を皮切りに会談が始まる。
司会進行は赤い髪の人、染めたのかと言うくらい真っ赤な髪の恐らく魔王であった。
それにしても、暇である。
「よぉ、お前さんはどう思ってるんだ?」
「……あっ、俺?」
何だか視線が集まっていて、正直困った。
何の話だかまったく聞いてなかったからだ。
和平についてどう思うとか、そんなんだろ。
「取りあえず魔王と悪魔は滅ぼそう。それと教会もぶっ壊そう。堕天使は金次第で考えてやろう」
「待て待て待てーい!何がどうしてそうなった!」
「教義的に悪魔とかダメだし、教会は商売敵だから」
「お前どういう立場でここにいるんだよ!」
決まっているだろ、アクシズ教徒だよ。
先のことは分からない、だから今が良ければそれでいい。
要するに、実装されるか分からない新キャラを待って貯めるより、ピックアップでガチャを回せって、そういうことだよ。
こういう素晴らしい教えがある宗教法人の一員としての立場ですけど、何か?
「おうおう、殺気立ってるがやるってのか?いいぜ、俺は構わねぇ」
「兄貴、ステイ」
「俺を犬扱いするんじゃねぇ!」
まさかのガチ切れである。
でも、周りにガン飛ばしてる兄貴が悪いんだぜ。
「むっ、今なんか」
兄貴と会話していると、首の後ろがビリっと来た。
あっ、これ時間止める奴だわ。
「マスター」
「パラケルスス、分かってる」
後ろから近付いてきたパラケルススの声で、彼が対処したのだと理解した。
そして、校庭に集まる魔法陣と魔術師のようなローブの姿からテロが始まったのだと確信した。
「よし、各自自由行動で」