リアルFGO   作:nyasu

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私の拳を高めたのは信仰心!主の思し召しだ!

「私は罪を犯しました。まさか、夜這いを掛けられるとは考えもせず、それを明確に拒絶することは出来ませんでした」

「ぐ、具体的にはどこまで進んだのでしょうか?」

「えっ?いや、その……何も、ただ見られてというくらいでして……あのこれ、言う必要ありますか?」

「……許しましょう。貴方は女性を傷付けないように行動して別の女性を傷付けてしまいました。悔い改め、一人の女性を愛するのです。主は、貴方の事を何時だって見守っていますよ」

「あの、俺の質問はスルーでしょうか?」

「貴方に神のご加護を……」

 

俺は、スルーなのかと言いたげな顔でダンボールから頭を出す。

すると、反対側からアーシア先輩が出てきた。

さぁ、学校に行きますよと何事も無かったかのように振る舞う姿は、懺悔室の出来事は外には漏らさないという体現なのだろう。

でも、こんなちゃっちいのだとバレバレだと思います先輩。

 

「行きますよ、先輩」

「マ、マシュ……」

「もう、反省して下さい」

 

ありがとう神様、ありがとうアーシア先輩、俺は感謝しながら段ボールの懺悔室をシュゥゥゥーッ!超エキサイティン!

 

「あぁぁぁぁぁ!ダンボール二つも使って作ったお手軽懺悔室がぁ!」

「アーシア先輩、頭だけ入れるのは懺悔室じゃないです」

「そんなぁ、アレキサンダーさんとの力作だったのに」

 

まさに外道、アーシア先輩には悪いが防音性が足りないから壊すしかない。

ダンボール懺悔室は悪い文明、いいね。

 

「何してるんですか?あれ、アーシア先輩はどうしてダンボールなんか握って」

「そっとしておこう」

「あっ、はい」

 

マシュと玄関に移動すると後ろから待って下さいとアーシア先輩の声が聞こえた。

でも待たない、悪いがメインヒロインはマシュだから先輩は放置です。

暫くすると駆け足で先輩が出てくる。

そして、そのまま俺に指を向けて……えっ?

 

「ガンド!」

「うおっ、な……へぶしっ!」

「流石に悩みを聞いてあげたのにアレは酷いと思います」

「だって、興味津々だったじゃないですかぁ!なんで年上の女性にエロい話しないといけないんだよ、へぶしっ!」

 

やっべぇ、風邪引いたのかくしゃみが止まらねぇ!

でも、真面目にやらずに踏み込んできた先輩が悪いと思うぜ。

このむっつりスケベさんが悪いんだ。

 

「やめて下さいアーシア先輩、先輩が可哀想です」

「マシュ……」

「確かに先輩は浮気なんてするゴミクズ野郎ですけど、未遂だったんです。許してあげましょう」

「本当は怒ってるんだろ、もうやめてくれぇ!」

「いえ、自分でも分からないのですが何だかイライラして……不倫とか浮気とか、死ねば良いのになって……」

 

ランスロット、お前のせいだな!

畜生、お前ってば娘の教育ミスったんじゃないか!

子育てしてないか、なお悪いわ!

アーシア先輩とマシュに平謝りして、学校に登校した。

 

一時限目、数学。

転生者である俺は、数学くらい余裕だぜ。

 

「あぁぁぁぁぁ何だよ積分って、社会に出て使わねーよ!エクセル勉強しろよぉぉぉ!」

「先輩、微分の逆ですよ」

「マシュ、俺達は同級生だから先輩じゃないんだぜ」

 

訂正しよう、数学くらい(サーヴァントがいるから)余裕だぜ。

この後滅茶苦茶マシュに勉強を教えてもらった。

伊達眼鏡、最高に可愛いです。

 

昼休み、山のように机に食べ物を置かれている小猫ちゃんが俺の方にやってきた。

えっ、俺ってばモブらしく寝てるよ。

マシュは、女子の友達と喋ってる。

だから俺はソロプレイヤーらしく昼休みを過ごしてるんだ。

 

「そこのぼっちさん」

「ぼぼぼぼっちちゃうわ、ソロプレイヤーだし!孤高なんだよ」

「何言ってるか分かりません」

 

うわぁ、幼女からの冷たい視線にビクンビクンしそう。

俺ってばアクシズ教徒レベルが足りないようだ。

それでいったいぜんたい何の用だろうか。

 

「あの、これで勘弁して下さい」

「カツアゲじゃないです、止めて下さい」

「じゃあ何の用なの?」

「部長からの伝言です、教会の人間と関わらない方が良いって」

 

おっと、また監視でもしていたのだろうか。

そんなことを伝言を聞いて思う。

小猫ちゃんは、話は終わったぜと振り返ってスタイリッシュに焼きそばパンを食べる。

凄い、一回で半分も食べてやがる。コイツ、出来る。

それはそれとして、此方としても関わる気はないから大丈夫である。

 

「そう思っていた時期が俺にもありました」

 

下校していた俺は目の前の光景を見ながらそう思った。

そう、そこには関わるつもりが無かった教会の奴らがいたからである。

 

「ヒャッハー、コイツは預かったぜ」

「アイツらの仇、取らせて貰うぞ人間」

 

いつぞやの小物神父と痴女堕天使が、グルグルにされたメフィストを持って騒いでいた。

確か名前はフリードとカラワーナだったか。

というか、メフィストはなんで捕まってるのさ。

 

「マ、マスター……」

「フハハハハ!このロープは擬態の聖剣、聖なるロープだ。コイツは縛られながらダメージを喰らうのだ!さぁ、次はテメェだ!コイツと違って殺せそうだから、コロコロしてやるぜ!」

「おい、アイツをやるのは私のはずだ!」

「うるせぇ、こっちだって恨みが堪ってるんだよ!」

 

な、なんだってー!あのロープは擬態の聖剣とやらが姿を変えた奴で継続ダメージを与えているだって!

フリードとやら、説明乙。

っていうか、仲間割れしてんじゃねぇーよ。

 

「よし、帰ろうか」

「えっ、でも先輩」

「そ、そうですよ。流石に可哀想では?」

 

いや、だって殺せなかったみたいなこと言ってたし放置でも平気でしょ。

最悪令呪で呼べば良いし、ギル様に捕まってる訳じゃないから平気平気。

 

「おっと、オレッち達を無視とは良い度胸だな」

「止めておけ、死ぬぞ……俺がな」

「お前がかよ!ボケに定評のあるフリードさんが思わずツッコンでしまうとは、お前やるなぁ!」

「オマエモナー」

 

やっべぇ、っべーわ、なんか波長とか合う感じだわ。

それって俺が小物臭がするってことなのか、ウソダドンドコドーン!

 

「先輩、後ろに!」

「私達が守ります」

「おやおやぁ、チミはアーシアちゃんじゃございませんかぁ?おいおい、女の後ろに隠れて恥ずかしくないのか?」

「俺を倒したければマシュ達を先に倒せ」

「うん?お、おう!一瞬、何言ってるかわかんなくなったわ!んじゃ、殺すわ」

 

やだこの神父、日本語が可笑しい。

なんでそこで殺すってなんだよ、神父は禄なのがいないってわかんだね。

フリードをアーシア先輩、堕天使をマシュが担当することになった。

 

「ハッ、人間風情が!この間のようには……はへ?」

「ふっ!はぁぁ!やぁぁぁ!これで倒れて!」

 

堕天使の頭上からマシュが盾で殴り、地面に叩きつける。

そこに追撃するように空中から地面に向かって盾を振り下ろす。

地面と盾で挟まれて苦しんでいる所にマシュが追撃を加え、止めるよう懇願する堕天使にエクストラアタックを決めた。

この間、僅か数秒。

うわ、サーヴァント強い。

 

「先輩、やりました」

「あー、お疲れ」

「もう、戦闘中に頭撫でないで下さい」

「畜生、リア充爆発しろ!」

 

さて、先輩達はどうかなとえへへと笑うマシュを撫でながらフリードを見た。

そこには、猛攻を受けて傷を負ったアーシア先輩が立っている。

あれ、ピンチかもしれない。

 

「へへへ、随分とエロい格好になったじゃーなーいのぉ!悪いけど、天閃の聖剣によってオレッちの速度は数倍よ!」

「この程度、どうってことはありません」

 

そう言って、アーシア先輩が口角を上げる。

 

「じゃあ、そのまま串刺しになって……」

 

フリードが恐ろしい速度で前に出る。

これは不味いと思ったら既に終わっており、アーシア先輩の腹に刺さった剣は背中から突き出る。

 

「はぁ?」

「つ、捕まえました」

「ちょ、あれ!抜けねぇ!離せ、離せって!」

 

急いで助けなくてはと走り出そうとして、俺は様子がおかしいぞと足を止める。

 

「逃がしません。はぁぁぁぁ!」

「ぐっ!あっ!ちょ、強っ!やめ、やめろ!」

「悔い!改め!なさい!やぁぁぁ!」

 

腹に剣が刺さった状態でフリードを先輩が殴る殴る殴り続ける。

堪らず、剣を手放したフリードを捕まえ片手で地面に投げ、更にそこからマウントを取る。

あの、身体に剣が刺さってますよ。

そんな事は怖くて言えなかった。

 

「やりました、あっ今抜きますね……どうぞ」

「うわーい、聖剣だ……」

「スパルタクスさんとの修行の成果が出ましたね」

「はい、師匠も魔術師は格闘技くらいできないとダメと言ってましたから」

 

パ、パラケルスス!またお前か!


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