博麗霊夢物語   作:はるちぃ

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前書き

今日は朝から、幻想郷の妖怪やら妖精やら神やら幽霊やらが珍しく騒いでいます。

なぜなら今日は久しぶりに宴会をするからです。

私も、久しぶりにテンションが上がっています。

会場は博麗神社がある山のふもと。

そこには、私たちにとって大切な、大切なある人間が安らかに眠っています。

 

◆◆◆

 

彼女は歴代の巫女のなかで唯一、私たちを惹き付ける巫女でした。

その理由は、惹き付けられた私たちにもよく分かりません。

でもなぜか、私たちにとって彼女は大事な友人だったのです。

彼女がまだ生きていた頃、私たちはことある事に、いえ、何もなくても理由をこじつけてよく宴会をしました。

彼女がまだ生きていた頃、神社の上空はよく、カラフルな弾幕で彩られていました。

彼女がまだ生きていた頃、私たちは用があってもなくても、神社を訪れていました。

彼女がまだ生きていた頃、私たちは幸せでした。

 

それが変わったのは1年前。

彼女が、亡くなりました。

人間の一生は、私たちのたった一瞬にすぎない、儚いものです。

人間の体は、私たちにとってはすぐ壊れてしまう、脆いものです。

私たちにとって人間とは、食べたり襲ったりする対象でしかありません。

でも何故か、人間である彼女は、私たちの心に深い深い悲しみを遺していきました。

私たちはこの時初めて、彼女が大切な友人だったのだと気づきました。

 

彼女の次の次の代の巫女は私たちを拒みました。

私たちは、彼女のいない、そして私たちを拒む神社にはもう行かなくなりました。

大好きだった宴会も、弾幕ごっこも、彼女がいなければ楽しくなくて、自然としなくなりました。

彼女のおかげで行くことのできていた人里にも、うかつには近づけなくなりました。

さすがにストレスを抱えた仲間も出てきて、異変の数は大幅に増えました。

異変を起こしても、私たちの悲しみは決して無くなりはしませんでした。

 

 

私たちは、彼女の月命日には必ず、お墓の掃除をしていました。

彼女が亡くなってから今日まで、毎月お墓の掃除を続けてきたというのは、私たちがどれだけ彼女を大切に思っていたかがわかるでしょう。

私たちは、彼女が生きていたほんの一瞬の日々が懐かしくて恋しくてたまりません。

忘れられないからこそ、悲しくて辛くて仕方がありません。

でも、いつかは、私たちのそんな悲しみや寂しさや辛さを、幸せな思い出が消してくれることでしょう。

 

◆◆◆

 

今日は1年という節目でもあり、そろそろ気持ちに整理もつけなくてはならない頃なので、私たちは話し合って、ある1冊の本を書くことにしました。

ある種の伝記のようなもので、彼女の一生が物語風にまとめてあります。

そして、私たちの幸せな思い出も、この1冊に詰め込んであります。

いつかこれを読んだ時に、幸せな思い出が溢れ出てくるように、願いを込めて。

 

題は『博麗霊夢物語』。

 

彼女への愛と心を込めて、執筆いたしました。

どうぞ暖かい目でご覧ください。

 

 

射命丸文

 




こんにちは、はるちぃです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。

霊夢の過去って書いている人が少ない分、投稿者によってかなり性格が違いますよね~
もし、霊夢の過去がこんな感じだったら?現役巫女の時は?引退した後は?そして最後は...?
まぁ、こんな世界があってもいいかな、くらいで読んでいただけると嬉しいです。

文章力はありませんが一生懸命かきました。
次話もどうぞご覧ください。

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