失敗作だけど白い特等みたいになれたらいいなー   作:九十九夜

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今回はやっとこさ修行回
となるわけですがはたしてまともな修行になるのかどうか・・・。
そもそも世界観が全く違ってるのにまともにそのキャラ目指すのって無理じゃね?
と書いておいてなんですが思う今日この頃です。


キッショーさんへの道は遠い

 どうも、皆さん。ウルレシュテムです。

 あれからわたしは実践訓練の時間もまともに与えられなくなってしまいました。書類仕事つらい。

 

 唯一の癒しだった子ギル君とはいろいろ(主に餌付け)あって姉様、ギルと呼び会う仲になりました。

が、近付き過ぎたせいか幼い彼はわたしを安全地帯と判断したらしくよく後をくっついてくる様になった。ここまではいい、可愛い弟だなー位で済んだ。

問題は最近夜になると決まって部屋に枕持って添い寝を要求してくる。

 王の自室に夜赴くということは余程聞かれたくない話があるかあの…アレをするためかのどちらかである。

 わたしは100歩譲ってブラコンではあるが断じてショタコンではない。yesロリショタNOタッチ。

それとなく注意してはみるものの知ってか知らずか「じゃあ僕が姉様の王配か、姉様が僕の后になれば万事解決ですね」と無邪気に笑いながら宣った。ダメだこの子。早く何とかしないと。

 

 そんなこんなでわたしの胃腸は悲鳴をあげていた。

 だがそんなわたしを、周囲は待ってくれない。

 結果、現在サボタージュと相成った訳である。

 

 ちなみに現在地はウルク郊外の森の何処か。幻想種みたいなのとかゴロゴロいるからかまず人はいない。

なんて無茶をと思うだろうがいい加減わたしもストレスが溜まってしまって発散するところがないため仕方なく、そう、仕方なくこのような場所で当初の目的だったNOUMINやキッショウさんに近付くための修行(というよりサボタージュ)をしているのだ。

 

 第一、なんでただの稽古にあんなギャラリーができるんだよ。おかしいだろ。

日に日に増えてってるし。おかしいだろ。

みせものじゃねーんだよ。わかる?ただの稽古だよ?稽古。

 

 

「あーなんかまた腹立ってきた。」

 

 言って、手に持っていたなんかいい感じの木の棒を投げる。

ゴスッとか聞こえたが気にしない。何かの悲鳴じみた鳴き声も聞こえた気がしなくもないが気にしない。

 予備の木の棒を取り出すとぶんぶんと振り回しながらさらに歩みを進める。

不意に背後から駆け抜けるように突風が吹いた。

ガツッと振り回していた棒に何かが勢いよく当たる。

 

 ブギギイィッと鳴くそれはたしか…魔猪とかいう魔獣だったか。

しかしレアだ。なんせ今まで遠目で見ていたヤツらと違いこいつの頭部には角のようなものが二つ・・・あれ?よく見ればあれ二つともたんこぶじゃね?で、奴が銜えてる木の棒って確か・・・。

 

 思考の途中であろうとお構いなしに魔猪はウルレシュテム目掛けて突っ込んでくる。

 

 そんな突進をいともたやすく躱すウルレシュテム。

躱されたことを理解した魔猪が次なる攻撃のために前足で幾度か地面を引っ搔いているのを尻目にいまだ彼女は思考に浸っていた。

 

 

 せっかくの戦闘だからもっとこう実のあるものにしたいんだけど…。

そもそも得物が拾った木の棒ってどうよ、絶対にそこらの農夫の装備の方が充実してるよ。

NOUMINは刀でキッショーさんはクインケだもんな…初期は刀型のユキムラ1/3だったけど。

 

 よくよく考えれば出自からして…いや待てよキッショーさんは半分人間だったし、NOUMINは人間のはず。

 今は私も喰種の血こそ入っていないが半分人じゃないっていう点では一緒だし、NOUMINのは純粋な鍛錬の成果らしいし、これはまだわたしにも希望あるかも…!

 

 

 思考はしていた。思考はしていたが完全にそれは現状とはずれたものであった。

 

 唐突にウルレシュテムは顔を上げた。

 

 先程までの思考とは打って変わってその顔は絶望に満ちた敗者のそれだった。

 そこにここぞとばかりに魔猪が再び突進を仕掛ける。

 

バリバリバリッ ゴドッシャッ

 

 閃光が周囲を覆ったかと思うとすぐにそれはウルレシュテムの手中。

正確には先程まで木の棒だったものに吸収されるかのように収まった。

 

 そこにあったのは最早木の棒などではなく複雑な意匠の彫られた美しい木刀であった。それは光が収まって尚自ら輝きを放っており、見ただけで相当の神秘の込められた業物であることがわかる。

 しかし、それを即興で創り出した少女はそれに目すらくれず、言葉を発した。剣撃と共に。

 

「赫胞ないとクインケ作れないじゃん!」

 

言って、彼女は地面に膝をついた。

彼女の夢は、たった今途絶えようとしていた。

主に材料やら世界観やらの問題で。が、この少女。立ち直りも早かった。

 

「あ、そっか。」

 

ゆらりと幽鬼のように少女が立ち上がる。

 

「なんだ、そうだよね。ないなら似たようなもので作ればいいんじゃないか。」

 

あははと笑って、今度こそ彼女は魔猪を見た。

大きく木刀を振り上げて。彼女は言った。

 

「素材。置いてけ。」

 

放たれた一撃は光となって一直線に森を焼いた。

それはかくも美しき白銀の一撃。

 

 

「ん?なにこれ?」

 しかし、肝心の得物の存在に気付いたのは巻き込まれた魔獣の死骸と先程の魔猪の死骸から素材を回収した時であった。

 

 

 




ウルクあたりって森より砂漠っていうイメージだったんですがFGOやってて森林があったみたいなので急遽魔獣とか幻想種ゴロゴロ・・・っていう感じにしたんですが・・・。

魔猪ってこの時代から存在していたのだろうか。たぶんドラゴンみたいなのはもういたんだろうけどしょっぱなドラゴンに木の棒一本って無理だっとなってこちらの都合で魔猪にしてしまいました。ごめんなさい。

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