PERSONA4 THE LOVELIVE 〜番長と歌の女神達〜 作:ぺるクマ!
更新がまた遅くなって申し訳ありません。今回は伝えることが多すぎて前書きでは書き切れないので、後書きに書きたいと思います。
ちなみに、今回タイトルにしている「Time For Real Revolution」はP4AのBGMです。主に完二が活躍する場面で使われていました。このBGMは個人的にすっごく好きで、興味がある方は是非とも聞いてみて下さい。YouTubeに上がっていたと思います。
改めて、お気に入り登録して下さった方・高評価と評価を下さった方・誤字脱字報告をして下さった方・感想を書いてくれた方々、本当にありがとうございます!皆さんの応援が自分の励みになっています。
これからも応援よろしくお願いします。
<セクシーラウンジ>
「正直この事件、どう思う?」
「本当にその有羽子さんって人が犯人なのかってことだよね?」
「うう……その可能性あんま考えたくないなー……」
「…………」
陽介や絵里たちが何か話している最中、悠は思考の海に入っていた。考えているのは先ほどの落水の態度やあのメモの内容だ。
まずはメモの内容……
頭を過るのは夏休みに見た誰かが苦しんでいるあの夢。偶然なのか、あの夢が語った内容とあのメモの内容が一致しているのだ。だが、偶然にしては出来過ぎている気がする。
もしかしたら、この事件が起こるのを予知した誰かが夢で自分に伝えたのかもしれない。だとしたら、一体誰が……
「なあ悠、お前の意見も……おい、悠」
「………………………」
「鳴上くん! 鳴上くんってば!」
「ダメだわ…完全に自分の世界に入ってる」
「それやったら、ウチに任せとき」
いや、それよりもこの世界に関係しているであろう長田有羽子と落水の関係も気になる。自分たちには冷たい態度を取っているが、異世界に放り込まれたにも関わらず落ち着いていた落水が長田有羽子の話題が出た途端、感情的になったのだ。一体あの人たちの間に何があったのか?
「悠くん……♡」
「うおっ!?」
もう少し深く思考しようとしたとき、鼓膜に希の甘い声が響いて悠の意識が急に覚醒した。唐突だったので思わず飛び上がってしまい、その様子を見た陽介たちが微妙な表情で唖然としている。当の本人はクスクスと笑っているし、自分の顔が赤いのも感じる。
「うふふ、やっと気づいたんやね。気づかへんかったらもっと凄い事しようと思ってたんに」
「えっ? 凄いこと?」
「あ~はいはい、これ以上は止めな。悠、本当に大丈夫なのか? 何かすっげえ考え込んでたけどよ」
「あ、ああ……問題ない。それで、何だっけ?」
「だから、この事件の犯人は誰かってことだよ」
そう言えば、楽屋セーフルームを出発してから陽介たちが神妙な顔で話し合っているのは目にしていたが、思考の海に入っていたので話題までは聞こえなかった。
「はあ……聞いてなかったのね。まあ私たちも煮詰まってたし、聞いてもしょうがないかもしれないけど」
「しょうがない?」
珍しく嘆息する絵里にそう尋ねると、代わりに陽介が経緯を説明した。
「今回の事件に関する噂が“死んだアイドルの呪い”的な話だからな。長田有羽子さんがこの事件に関係しているのは遺書みてーなメモとともちんの証言から確実だろ。普通に考えりゃその人が絆を欲しがって事件を起こしたってのは辻褄は合う」
「タクラプロも関係してるし、ともえさんたちがカリステギアって有羽子さんの歌を歌うって話もあったし。でも……」
「そうか。符号する点は多いけど、
「そうなんだよ。ともちんたちも有羽子さんのこと詳しく知ってる感じじゃなかったし、しかもA-RISEやかなみんキッチンってここ最近結成されたグループだしな。この線は脈ナシってわけだ」
「それでもう一回洗い直してみたの。タクラプロ所属でかなみんキッチンとA-RISE、そして長田有羽子を知っている人物……でも、思い当たる人が居なくて。もしかしたら私たちが知ってる人じゃないかもしれないし」
「でっ、結局振り出しってこと……」
「なるほどな」
確かに条件は絞れていているが、問題なのは現在自分たちにタクラプロ、もといかなみんキッチンやA-RISE、更に長田有羽子の情報が不足していることだ。
「もしかしてだけど、
「えっ?」
「だから落水さんじゃないの? この事件の原因は」
絵里から発せられた人物の名前に悠たちは目を見開いた。
「え、絵里ちゃん……それガチで言ってんのか?」
「別にあの人のことが気に食わないからって幼稚な理由じゃないわよ。悠や陽介くんだって薄々気づいてたでしょ?」
絵里の返答に陽介は肯定するかのように頭を掻いた。どうやら陽介も同じようなことを考えていたようである。
「絵里、一応聞くけどその根拠は?」
「あの人……ともえさんたちに有羽子さんの歌を歌わせようとしてたって言ってたわよね? それに、落水さんも有羽子さんのことを名前で呼んでた。これって少なからず、2人は以前親密な関係にあったってことよね?」
「つまり……?」
「本当は隠してるんじゃない? 例えば、
すらすらと自分の推理を披露する絵里。流石は成績優秀なだけあって説明に無駄がない。だが、それに千枝が待ったをかけた。
「あれ? でも落水さんってタクラプロに関係あったっけ? あの人、絆フェスの総合プロデューサーだけど、タクラプロのプロデューサーじゃないんでしょ? だから、タクラプロに関係してるってわけじゃ」
「違うわ。確かに落水鏡花は今はフリーだけど、その前はタクラプロ所属だったのよ。あの人がタクラプロを辞めたのは10数年前……だったかしら?」
「矢澤、よく覚えてんな」
「まあ一応ね」
千枝の疑問に間髪入れず、アイドル業界に精通しているにこからそう指摘してくれた。落水の経歴まで覚えているのは流石というべきだろう。だが、これで絵里の推測が信憑性を増した。
タクラプロと絆フェスの両関係者でかなみんキッチンやA-RISEのことも詳しく知っている……この事件の黒幕の条件に合致するのは落水だ。先ほどの詮索されたくないような態度からして、長田有羽子と周りに触れられたくない何かあったのは明白だろう。
「絵里の予想通りだとすれば、あの人のこれまで行動や言動に辻褄は合うけど……俺はそうは思わない。もしこの事件を落水さんが起こしたとしても、ともえさんたちを巻き込むメリットがないだろ。態度は冷たかったのかもしれないけど、あの人が一番絆フェスを成功させたがってたはずだ」
「…………確かにそうね。でも、あの声の正体が落水さんのシャドウだったらどう? それだと辻褄は合わない?」
悠は違和感を感じて反論したが、絵里からの切り返しに押し黙ってしまった。確かにこれまでのケース通り、人間の抑圧された感情や欲望の塊であるシャドウがこの世界を形成し、噂を元に事件を起こしたとなれば説明がつく。実際GWに起こったP-1Grand Prixがその例だった。
「確かに、ラビリスのこともあるしな。本人にその気がなくても、心でそう思ってたことでシャドウが暴走して事件を起こしたって線も考えられる。でも、それだったらあの人がいつこの世界に入ったのかって問題も浮上するな。シャドウって早々発生するもんじゃないし、いつ落水さんがこの世界に落ちたんだって話になるだろ?」
陽介からの指摘に絵里は反論の言葉が出なかった。議論は結局振り出しに戻ってしまった。やはり情報が少ないこの状況では全部推測になってしまう。
「ん~……やっぱり今の状況じゃ分かんないね」
「そうだね。やっぱり早く合流地点に行った方が良いんじゃないかな? あっちには直斗くんがいるし、何か掴んでるかもしれないよ」
「おおっ! それ良いね!!」
確かに雪子の言う通り、これは一刻も早くりせや穂乃果たちと合流すべきかもしれない。もしかしたら、あっちはあっちで別の情報を手にしているのかもしれないからだ。流石に頭打ちなので、悠も雪子の提案には賛成だった。
「そうだな」
「悠、どうしたんだよ。さっきから見てたけど、落水さんに肩入れしすぎだろ」
「まさか、穂乃果ちゃんみたいにあの人は良い人だからって言うんじゃあらへんよね?」
希たちの指摘に悠は言葉を詰まらせた。確かに自分らしくもないかもしれない。だが、どうしても自分の直感が落水は犯人ではないと言っている。
「……確かに、そう思ってないと言えば嘘になる。でも…………んっ?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
その時、辺りから地鳴りが響き、地面が揺れ始めた。まさか地震かと思い、女子たちは悲鳴を上げ、悠と陽介は落石から女子たちを守るために周囲を警戒する。しばらくして地震は止み、辺りに静けさが戻った。
「い、今のは……地震?」
「ふ、普通の揺れじゃなかったわよ!」
「何か起こったのかもしれない。急いでりせと穂乃果たちとの合流地点に急ごう!」
もしや今までより非常事態が起こったのかもしれない。その真偽を確かめるために悠たちは急いで合流地点まで走って行った。
~特捜隊&μ‘s3年組が合流する直前~
「……はっ!?」
「ど、どうしたの? ことりちゃん」
時を遡って特捜隊&μ‘s3年組が合流する直前、ツバサとマリーを楽屋セーフルームに置いて出発した穂乃果たち。しばらく歩いて新たなステージに辿り着いたところで、突然ことりが天から何か降りたように硬直した。
「……菜々子ちゃんが、テレビにデビューする」
「「えっ?」」
「それに……お兄ちゃんと希ちゃんが一緒に踊るって……ううううっ……ずるい……!ことりはまだお兄ちゃんと一緒に踊ってないのに~~~!!」
「こ、ことりちゃん……目が怖いよ」
「穂乃果、いつものことです…」
兄妹は似るというか、こちらも何かのセンサーが働いたのかことりが怖い顔でそんなことを言ってきたので、穂乃果たちは相変わらずのブラコンぶりに背筋を凍らせていた。
「マジで!? ううう……ただでさえこの世界にはマリーちゃんも来てるのに~~!!」
「お前なぁ……」
「悠さんじゃないけど、そっとしておいた方が良いわね…これ」
そして、別ルートに行ったはずのりせたち特捜隊2年組と花陽たちμ‘s1年組も一緒にいる。どうやら辿り着いた新たなステージが3ルートの合流地点だったらしく、合流した当初は互いに戦いを乗り越えて再会できたことを喜んでいた。
若干名は悠と合流できなかったことを残念がって、今みたいに一緒にいるであろう希に対してグチグチ文句を言っていたりするが気にしない。
「はっは~……ナナちゃんのことも気なるけど、ここの世界もちょ~気になるクマねぇ。まるでお城みたいで、ユキチャンの逆ナンを思い出すクマ~」
「クマさん、それはちょっと……それより逆ナンって、雪子さんのシャドウってどんな感じだったんだろう?」
「知らないわよ。私も聞いてないし、聞こうとは思わないわ。私たちのも大概だったし……」
そう、今穂乃果たちがいるこのステージは先ほどのツバサのとは違う、メルヘンチックな雰囲気が漂うおとぎ話に出てくるお城のような場所だった。
クマ以外のここにいるメンバーは知る由はないが、外見は特別捜査隊メンバーの雪子がテレビに落とされた時の世界に少し似ている。そこで何があったかは恥ずかしいので、本人は絶対に言わないし聞くつもりもない。自分たちだってキャバクラや遊園地、コンサートホールなどと思い返せば頭が沸騰しそうな目に遭ったのだからだ。
「しかし、マリーさんが無茶までしてこの場所に来るとは……それほどのことがここで起こっていると解釈した方がいいかもしれませんね」
一方、直斗は皆と合流して情報を交換してからこの調子である。どうやらこの世界のことやあのシャドウたちのことが気になってずっと考えているらしい。
「そう言えば直斗くん、ここまで来る間に何か分かったことあるかな? あの声の事とか、シャドウたちの事とか?」
「……残念ながら情報が少なすぎて現状何も分かってない状態で……ことりさんの考察通り、あのシャドウたちが人の感情を持っているのであれば、僕たちがダンスで気持ちを伝えることで消滅することに説明がつくんですが……」
そう答える直斗の表情は芳しくない。探偵を生業としている直斗も情報が少ないこの状況ではお手あげらしく、顎に手を当てては顔をしかめて頭を悩ませていた。
「でもさ、それ以前に何でこの世界にもシャドウがいるんだろう? ここって稲羽や音ノ木坂の世界とは別物なんだよね? そこらへんクマさんとか分からないの?」
「ん~、悪いけどホノちゃん、クマも分からんで困っとるクマよ~。マキちゃん、何でかなぁ?」
「知らないわよ。というか、一番分かってないといけないのアンタでしょう」
ダメ元で稲羽のテレビの世界の住人であるクマに尋ねてみるが、結果は案の定だった。隙を見て真姫に抱き着こうとしたクマだったが綺麗に躱された。
「あれ? 完二さん、どうしたのかにゃ?」
別の方を見ると、完二が難しそうな表情でボウっとしている様子が見られた。普段こういう表情をしない彼にとって珍しいことである。
「いやよ、思い返してみたら…あのメモが関係してるんじゃないかって思ってよ」
「メモ……ああ、あの楽屋にあったアレのことですか?」
話を聞くと、どうやらりせや花陽たちのルートにも楽屋セーフルームは存在し、そこにまた奇妙なことが書かれたメモが残っていたらしい。内容も似たり寄ったりで誰かが遺書を記したかのような不気味なものだったとも聞いている。
「おう。でよ、それを書いたやつはどうも何かに後悔してる感じだったし。まあ関係あるか分かんねえけど、ここのシャドウって俺たちのテレビの世界でいたやつとは別もんみてーだから、そいつの後悔が生み出したのがあのシャドウじゃねえかなって」
ー!!ー
完二が己の推論を披露した途端、穂乃果たちは驚愕の表情を保ちながら沈黙した。
「な、なんだよ……」
「か、完二くんが……推理してる……」
「はあ?」
「でしょ! 私たちもびっくりしてさ。まさか、あの完二が頭を使うなんて」
悠や直斗のように頭を使わない完二がキチンと自分の意見を述べかつその内容が非常に興味深いものだったゆえか、普段とは違う完二に穂乃果たちは驚きを隠せなかった。それは一緒に行動していたりせや直斗たちも同じだったらしく、一緒にうんうんと頷いていた。
「いや~クマはカンジが立派に育ってくれてヒジョーに嬉しいです、ハイ」
「はあっ!?」
「穂乃果や凛と同じおバカキャラだと思ってたのに……人は見かけによらないって本当ね」
「ちょっと! 真姫ちゃん!? 今聞き捨てならないことを聞いたんだけど!」
「凛は馬鹿じゃないにゃ!!」
「てか、テメ―ら、俺を何だと思ってやがんだ!! シめんぞ! きゅっとシめんぞ、ゴラァっ!!」
「フフフ……ホントに楽しい子たち。でも、そんなこと考えるだけ無駄だよ。無駄無駄」
ー!!ー
完二の叫びが木霊した時、あの謎の声が天から降り注ぐように聞こえてきた。
「出ましたね……! 皆さん、警戒を!」
謎の声の出現により一斉に警戒態勢を取る。いつどこであのシャドウたちが現れたとしても対応できるように。その姿に何を思ったのか、謎の声はやれやれと言った調子で話しかけてきた。
「そんなに私が嫌い? 自分たちだけで仲良くして私たちの絆は受け入れてくれないくせに……」
「冗談じゃないわ! あなたのは絆じゃなくて洗脳でしょ! あんなリボンに縛られて自分を捨てさせて……穂乃果ちゃんの言う通りシャドウも可哀そうよ!」
「そうです! いい加減こんなの間違ってるって気づくべきです!」
りせと花陽が猛反論する中、謎の声は瀬々笑うようにこう返した。
「……そんな事ないよ。だってあの子たちは自分から、私との“絆”を欲しがった子たちだもの」
「
「フフフ……そうよ? ほら、聞こえない? 今だってあなたたちと繋がりたがってるあの子たちの声が……」
瞬間、来た道は閉ざされ気配もなく黒い靄が発生し、大量のシャドウが姿を現した。そして、先ほどの“繋がりたがってる”という言葉に反応するみたいに、シャドウたちが巻きついているリボンを手に持ってりせたちにアピールしてきた。まるで“こっちにおいでよ”と誘っているように見えて、背筋が寒くなった。
「くっ……やるしかないみたいですね」
「上等よ。ここまで来て、そう簡単にやられてたまるもんですか」
シャドウたちの出現に穂乃果たちは一層警戒を強める。
「自分から……絆を求める……? それに、人の感情を持つシャドウ……」
「おい直斗、ボーッとしてんじゃねえ! 考えるのは後だ!」
「あっ、はいっ……! すみません」
謎の声の発言に引っかかるところを感じたのか、直斗は顎に手を当てて思考していたが、完二に注意されて一旦中断する。何か疑問があるとつい考え込んでしまうのは昔からの癖だが今はそれどころではない。
「どうして分からないの? 私たちと繋がれば、痛みも苦しみもない……そんなに頑張る必要はないよ。さあ、一緒になりましょう?」
例の不気味な歌がまたも音量を上げてシャドウたちが躍り出した。何回聞いても気味が悪い鳥肌の立つ歌に顔をしかめてしまうが、問題なかった。
見渡せば、直斗や完二にクマ、海未にことりに真姫、花陽や凛もキッと前を見たまま、崩れ落ちたりする気配もない。それを見て穂乃果とりせは安心した笑みを浮かべた。
「上等じゃねえか! これだってぶつかり合うって事の一つだぜ!」
「完二の言うことも一理ありますね……そうだとしたら、尚更負けられません!」
「凛だって、負けられないにゃ!!」
そう声を上げて立ち上がったのは完二、そして海未と凛の3人だ。意外な組み合わせにりせは内心驚いた。しかし、この3人で合わせた曲などあっただろうか?
「りせ、曲だ! 俺の曲をかけろ!!」
「え、ええっ!? 完二の曲! ダメだって! アンタの曲ってハイスピードでダイナミックな振りばっかでしょ。そんなのに海未ちゃんと凛ちゃんが合わせられるわけ……」
「良いです! やりましょう!」
「やってやるにゃ!」
「海未ちゃん!? 凛ちゃん!?」
どうやら海未と凛は完二の曲についていく気満々だった。完二の曲をやると言っても動じないところ、覚悟は既に出来ているようだ。
「へっ、テメ―ら。ついてこれるか?」
「当たり前です」
「そういうなら、完二くんの方こそ凛たちに付いて来るにゃ!!」
完二の挑発に海未と凛はフッと笑みを浮かべてそう返した。あの調子なら大丈夫。りせはその様子を見てハッキリとそう確信した。
「よーし、そういうことなら完二の【Time For True Revolution】いっちゃうよ! 海未ちゃん・凛ちゃん、完二に負けないように頑張ってね!」
「はい!」
「にゃ!」
「俺には何も言わねえのかよっ! まあいい、行くぜおめえら!!」
「「「μsicスタートっ!!」」」
ーカッ!ー
「「「ペルソナッ!!」」」
ワアアアアアアアアアアアアアッ!!
熱いアクションと一瞬たりとも目が離せない、ハイスピードダンスが終わったかと思うと、完二と海未、凛は一斉にペルソナを召喚。完二のタケジザイテンのドラムと海未のポリュムニアのフルート、凛のタレイアのトランペットが召喚者たち自身のダンスの余韻を忘れさせないハイテクニックな楽器捌きでセッションをし、盛大に会場を沸かせたと思うとシャドウたちは消えて光となっていった。
「フウゥ……どうやら分かったみてーだな」
「ええ、そうですね……ふう」
「うひゃあ……つ、疲れたにゃ~~~」
やり切ったと言わんばかりに、息を吐きながらも3人は消えゆくシャドウを見つめながら感嘆した。
完二と海未、そして凛の3人によるパワフルな……もといまるで3人そのものを体現したかのようなダンスに影響されてシャドウたちの表情も興奮が収まらないように見える。ペルソナによるセッションも素晴らしいものだったし、文句なしのパフォーマンスだ。
(う、ううん……いいんだよ? これくらい自己主張が強くなきゃメインなんて張れないし……)
ただ……そんな中、りせの心境は複雑だった。あくまでりせが教えたのはバックダンサーの振りであって、海未と凛はスクールアイドルだし分かっていると思うが、完二の場合これがクセになって絆フェス本番でもそれで出てしまうのではないかと危惧しているのだ。そうなったら完全に3人のステージとなって自分が食われてしまうだろうし、自分の立つ瀬がない。ここがマヨナカステージで本当に良かったと、りせは心の中でそう安堵していた。
「フフフ……あ~あ、残念ね。せっかく私たちの仲間になってくれると思ってたのに……」
またも、ガッカリしたような口調の声が天から聞こえきた。本当にそう思っているのかは知らないが、そんなのは心外だと言うように完二は声を荒げた。
「ざけてんじゃねえっ! 何が仲間だ! 仲間ってんのは、ぶつかり合ってもお互いを分かり合えるヤツのことだぜ! 俺を受け入れてくれたセンパイらやりせや直斗にクマ、そして海未や凛たちみたいななあっ!!」
「そうです、何度だってかかって来なさい! 貴女が操ってるシャドウなんて私たちが解放してやります!」
「かかってこいにゃ!!」
「フフフ……そんなの無理だよ。あの子たちの代わりはいくらでもいるんだから……」
「えっ?」
「可哀想に……あなたたちに毒されたせいであんなに欲しがってた絆をまた失くしていしまった。まあ、別にいいわ……要らないなら好きにすればいいんだから」
「そ、それってどういう意味!?」
「フフフ……言葉の通りだよ。感じない? 今だって、繋がりを求めてこの世界にくる子たちがどんどん増えてるんだから……。もう止められない、止まらない。誰だって繋がりを欲しがらない訳ないんだから……フフフ……アハハハハハハハっ!!」
「あっ、待ちやがれっ!!」
高笑いしながら気配を遠ざけて行く声に制止を掛けるも無視するように声はそこからいなくなった。りせのナビにも反応しなくなったところを見ると、本当にいなくなったようだ。
「逃げて行きましたね……」
「ムムム……毎度何なんだにゃ!」
「何か薄気味悪かったね……」
「か~、やっぱりあの声……何か変な感じがするクマ~」
「ええ……しかし、このまま立ち止まるわけには行きません、急ぎましょう。何か……嫌な予感がする……」
「そ、そうだよ! 早くのぞみを見つけなきゃ!! え、いや……希センパイの方じゃないから! そこを間違えないでね!」
「間違えないわよ……」
こうしてはいられないと特捜隊&μ‘s1・2年組はすぐに目の前に開いた道に向かって走って行った。一刻もはやくここに囚われているであろうのぞみを救出して、悠たちと合流しなくては。
だが、そんな中で直斗は気になることがあったのか、走りながら顎に手を当てて思考に入っていた。
(……何か引っかかる。さっきあの声が言っていたあの言葉……まさか、あのシャドウたちは……だとしたら、
To be continuded Next Scene
最後までお読みいただいてありがとうございました。
改めて、今回はいつもより短かった上に更新が遅くなってすみませんでした。
遅くなってしまったのは、現実で色々ありまして……簡単に言うと、色々落ち込んでいる時に詐欺に遭ってしまいまして………。詳しくは言えませんが、人の善意を蔑ろにされたものであったのと、評価が下がって落ち込んでいる最中に起こったことなので一時人間不信+鬱状態になってしまいました。
幸い何とか立ち直って執筆は続けられましたが、皆さんも重々気を付けて下さい。
ところで話は変わりますが、ついにP5Rが発売されましたね!P4G並に面白い新要素盛り沢山でとても興奮しました。
そこで、また番外編を書こうと思っているのですが、そのネタをアンケートで決めようと思います。いくつかネタを考えたのでそれを下の表から選んでもらうか、活動報告にて思いついたネタを書き込んで下さい。
それでは、次回もよろしくお願い致します。
P5R発売記念!番外編の内容は?
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