PERSONA4 THE LOVELIVE 〜番長と歌の女神達〜   作:ぺるクマ!

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前回のあらすじ

9股掛けた上に9人同時にデートをブッキングしてしまった鳴上悠と雨宮蓮。悩みに悩んだ末に、2人が下した決断とは………


Extra⑤「Big pounding dating strategy.」

「どうやっても上手く行く気がしない」

 

「じゃあ、どうすればいいんですか!?」

 

「どうもこうもあるか!!こうなったら腹をくくるしかない」

 

「!!っ……そうですね、じゃあ」

 

「ああ、こうなったら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

→➀9人全員とデートする。

→②1人選んでデートする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ!悩んでいても仕方ない!!」

 

「おおっ!!」

 

「絶望的だが、こうなったら全員とのデートを成立させるのみだ!!」

 

「ええ、そうですね!こういう絶望的な状況を打破してこそ、俺たち主人公です!」

 

「ああ、絶対にみんなを幸せにしてみせるぞ!」

 

「はいっ!!」

 

 

 

 こうして男たちは友情を確認するように腕を組んで、再び作戦会議を始めたのであった。携帯で色んな情報を漁り、より綿密にスケジュールを考え詰めた結果、ついに9人同時デートの良策が完成した。

 

 

 

 

 

 だが、この時は2人は知ることはなかった。この作戦を2人の後ろで()()()()()()()()()()()()()()()()に聞かれていたことを。そして、その日が2人にとって最悪の日になることを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<鳴上家>

 

 

「う~ん……気持ちのいい朝だな」

 

 

 意識を覚醒させた悠は今日のデートの流れをシミュレーションする。

 

(まず……ことりと一緒に朝食を取って遊園地へ行く。そして迷子になったフリをしてことりから離脱したあと、絵里と真姫とも別々で合流してまた迷子のフリをして映画館に行き、待ち合わせ場所にいる希をスクリーンに入れる。トイレに行くフリをして、時間をズラして待ち合わせしているにこを別のスクリーンへ。同じく海未も別のスクリーンへ入れる。ここまでは完璧だ。同じ時間に3人各々が好きな映画がやってて本当に良かった)

 

 悠は助かったと言わんばかりにうんうんと頷いていたが、やっていることは最低である。そんなことには気づかず、無自覚にも悠は再び最低なシミュレーションを続けた。

 

(そして映画館から急いで離脱した後、お会え面向きのバイキングが催されるレストランに花陽と穂乃果、凛を別々のところに投入する。ちょうど3人が好きなケーキバイキングと白米バイキング、ラーメンバイキングだ。あの3人はいつも腹ペコだから5時間は粘れる。そして、時間を気にしながら各々のところに移動していけば完璧だ)

 

 この計画の成功に確信を持った悠はビシッと起き上がってリビングへ向かった。正直に言えば、この作戦に無茶があるのは百も承知だ。しかし、悠の心の中では覚悟が決まっていた。

 

「…この鳴上悠には夢がある。絶対にこの雨宮との作戦を成功させるぞ!!」

 

 どこぞの台詞を言い切った悠はとりあえず朝食を食べようとリビングのドアを開けた。

 

 

 

 

「「「「「「「「………………」」」」」」」」」

 

 

 

「あっ……」

 

 そこにはリビングに出てきた自分を睨みつける少女が9人。その9人とは言わずもがな、今日のデートするはずのμ‘sの9人だった。これに対して悠は思わず動揺した。

 

(ど、どういうことだ?……計画ではこの家にいるのはことりだけのはずなのに………まさか)

 

「ねえ、悠くん」

 

「は、はいっ!!」

 

 理解不能の状況に必死に追いつこうと思考を働かせようとしていると、いつにも増して凄みの効いた声でそう尋ねる希に背筋が凍ってしまった。まずい、アレは凄く怒っている時の顔だ。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 希の言葉で一斉に皆がこちらに鋭い視線を向けてきたので、悠の顔は真っ青になった。作戦失敗。このままではまずいと確信した悠は彼女たちがアクションを起こす前に40ヤード走4秒2のスピードで脱兎の如く逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<喫茶店【ルブラン】>

 

 

「おう、今日はやけに恰好良い服着てるじゃねえか。女か?」

 

「まあ…そんなとこです」

 

「へっ、そうかよ。まあ、楽しんでこいや」

 

 この店のマスターであり、蓮の保護者である【佐倉(さくら)惣治郎(そうじろう)】がそう言って用意してくれたルブランカレーを朝食として食べる最中、蓮も今日のデートのシミュレーションをしていた。

 

(先輩は複数の施設がある場所でやり過ごそうとしているそうだが、俺はそんなことはしない。明らかに予定が狂って失敗する未来が見えてるからな。だったら俺は…スマートに一か所に彼女たちを集めて作戦を遂行する!!)

 

 初っ端から訳の分からないことを言っている蓮だが、それには策があった。

 

(前に双葉見せられたアニメで思いついた。忍者のように傀儡を俺と錯覚させて5人とのデートを成立させるやつで結局主人公がヘマして失敗した。一見不可能な方法だが、やるしかない。この日のために忍者学校に通い詰めて、忍び糸も練習した。モルガナも合格点と認めるくらい完璧だ。行ける……行けるぞっ!!)

 

 屋根裏部屋にある昨日【闇ネット"たなか"】で買った人形を思い浮かべながら思わずガッツポーズを取った蓮。そんな彼を不審に思いながらも惣治郎はコーヒーを淹れている際にこんなことを聞いてきた。

 

「そういやあ。昨日、双葉がかなり機嫌悪そうにしていたが…お前、何か知ってるか?」

 

「い、いえ……何も」

 

「そうか。お、何か表が騒がしいな。ちょっと見てくるか」

 

 意味深なことを聞いてきた惣治郎だが、店の外が騒がしいと察したのか様子を見に出て行った。この様子に蓮は一瞬デジャブを感じた。何だか嫌な予感がする。そもそも今日デートする1人の双葉が機嫌が悪そうだったというのが不自然だ。まさか……そう思った途端、様子を見に行った惣治郎が焦った顔で戻ってきた。

 

「お、おい…お前何やらかしたんだよ!外にいる女どもはまさか………」

 

 

「えっ?………」

 

 

 

チャリ~ン

 

 

 惣治郎がどういうことかを知らせる前に何者かが入ってきた。それは言うまでもなく、今日デートする予定だった彼女たちだった。彼女たちの表情を見た蓮は一気に青ざめた。この展開は………

 

 

「ちょっと、蓮?」

 

「な…何だ?杏……」

 

 

 

()()()()()()()()()()()()……()()()()()()()()

 

 

 作戦失敗……あの時のバレンタインの悲劇がフラッシュバックして蓮は意識を失いそうになる。だが、寸でのところで踏みとどまった蓮は脱兎の如く逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『もしもし、先輩ですか!?すみません、作戦は失敗しました』

 

「あ、雨宮もか……」

 

 蓮からの作戦失敗の連絡を受けて、秋葉原に逃げ込んだ悠は思わず天を仰いだ。まさか実行前に彼女たちに漏洩していたとは思わなかった。しかし、一体どこから情報が漏れたのか。とにかく今は逃げることが先決だ。今捕まったらどんなお仕置きが待っているのか分からない。

 

「とりあえず一旦合流して対策を練るぞ。雨宮、今どこにいる?」

 

『ええ、自分は今………や、やばいっ!!先輩、失礼しますっ!!』

 

 待ち合わせ場所を告げようとした途端、蓮は逃げるかのように一方的に通話を切った。一体何が起こったのだろうか。相当焦った様子だったのだが、まさか…………

 

 

「ああっ!悠さん見つけた!!」

 

「なっ!!」

 

 

 どうしたのだろうかと思った刹那、背後から鋭い声が聞こえてきた。振り返ると、そこには今までに見たことがないほどの形相の穂乃果と真姫がいた。

 

「まずいっ!」

 

「待てぇっ!!」

 

「絶対に逃がさないんだからっ!どこまでも追いかけてやる!!」

 

 背後からそんな恐ろしげな声が聞こえてくる。これは捕まったらまずいどころではなさそうだ。何とかして生き残らなければと決意を固くして悠は逃走した。

 

 

 

 楽しいデート大作戦から一変、今ここに命をかけた逃走劇が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、悠と蓮は必死に姿を晦ましながら逃走したが、逃げても逃げてもこちらの動きを先読みしているかのように彼女たちは待ち伏せている。人ごみに紛れようが、建物の中にいようが関係なしだ。まるでプラチ○データで見たような追及ぶりに2人はある種の恐怖を感じていた。

 しかし、ここまで的確に待ち伏せをしているのはいくらなんでも不自然過ぎる。だが、あることに思い立った時、その疑問は解消された。

 

 

(そうか、()()()()()()か!)

(やばい、()()()()()()()()か!)

 

 

 希はタロット占いで悠の居場所を特定しているのだろう。以前にもそんなことで捕まりそうになったことがあるので、今更ながら希の末恐ろしさを再確認した。双葉は"初代メジエド"と称される程の凄腕ハッカー。東京中の監視カメラなどを瞬時にハッキングして蓮の居場所を特定しているのだろう。味方だと頼もしいが、敵になるとこうも恐ろしい相手になるとはと蓮の冷や汗は止まらなかった。

 

 

 

「「とにかく何とかして生き延びてやるっ!!」」

 

 

 

 絶望的な状況ながらも男たちは心に強くそう決意して必死に足を走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<デスティニーランド>

 

 

 結果的に2人の逃走劇は失敗した。

 

「や、やあ……雨宮」

 

「せ、先輩も……ですか……」

 

 作戦が失敗した2人は各々の女性たちにデスティニーランドに追い込まれていた。偶然にも同じ場所で合流できたは良いが、状況は変わらない。今日は休日ということもあって人が多いので上手く身を隠せているが、見つかるのも時間の問題だろう。何とかしなくてはと思っていると……

 

 

「きゃああああああああああっ!!」

 

 

「「??」」

 

 そこにはか弱い少女の鞄をひったくってそのまま逃走する男たちの様子が見えた。

 

 

((あれは…もしや、強盗か!?))

 

 

 最近夜中にスクーターのひったくり犯が出没したり、海外でもスマホばかり狙うひったくりが多発しているとニュースであったが、まさかこんな大勢のところで堂々とやる者もいたとは思わなかった。だが、問題はそこではない。

 

「………………………」

 

 鞄を奪われた少女は呆然としてただただ涙するしかなかった。そんな少女を見ても気まずいのか関わろうとしないのか、誰も手を差し出してくれなかった。その様子を見た悠と蓮の心の中にある"正義の魂"に火がついた。悠は懐からメガネを取り出して耳にかけ、蓮はメガネを外して懐に入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へへっ、やったな!」

 

「ああ、女から鞄を奪うなんてちょろいもんよ。このまま一気に……んんっ?」

 

 突発的な犯行だったとはいえ、難なく少女から鞄を盗むことに成功した強盗たちはウハウハ気分で出口を目指してた。だが、そんな彼らの行く手を阻むかのようにくせ毛の少年が立ちはだかった。

 

「何だ?あいつ。俺たちを捕まえようってか?」

 

「構うもんか、どけええええええっ!!」

 

 強盗たちは目の前のくせ毛の少年を押しのけて逃走しようと勢いをつけて突っ込んでくる。大の男がこちらに突っ込んでくるというのに、少年……雨宮蓮は慌てる素振りは見せず、ただ男たちに向けてフッと不気味な笑みを浮かべた。その瞬間、男たちに寒気が走った。

 

 

 

ーブチッ!ー

「いただいていく」

 

 

 

 蓮はそう言うと、男たちが突っ込んでくる瞬間を狙って身体を回転するかのように捻って、男たちの突進を華麗に躱した。これに強盗たちは何だというように振り返った。

 

「な、なんだ…躱しただけか。このまま逃げて………て、なに!?ないっ!!()()()()()()()!?」

 

「なんだと!?」

 

 強盗は気付かぬ間に悠から荷物を奪われていた。ふと先ほどの少年を見ると、少年は見せつけるかのように強盗たちの盗品を手に持っていた。

 

 

「ふっ」

 

 

 一体何が起こったのだろうかとお思いだろう。これは最近蓮が覚えた【スクリューバイト】という技によるものだ。以前双葉から借りたアメフト漫画にあった、相手の持つボールにだけ集中することで、回転してボールを掻き出すように奪うという技。これには卓越した動体視力が必要になるのだが、蓮は自身の"超魔術の器用さ"を応用してこれを可能としている。元々パレスやメメントスでシャドウたちから武器や金品を奪う時に使えると確信して、独学で会得したのだ。初めてやるものだったので正直不安だったが、やればできるものだと蓮は自身の才能に感謝した。

 

「て、てめええええええええっ!!」

 

「舐めてんのか!!コラァっ!!」

 

 自分たちから盗品を奪われたことに怒りが頂点に達したのか、強盗たちは蓮に襲い掛かろうと拳を振りかざす。だが、それは再び阻まれることになった。

 

 

 

ーカッ!ー

「そこだっ!!」

 

 

 

「「ぐはっ!!」」

 

 いつの間にか気配を消して接近していた悠はどこからか借りた木刀で的確に強盗たちの急所を突いた。流石は鋼のシスコン番長というべきか、見事の剣捌きだった。

 

「「て、てめえら……」」

 

 急所を突かれて立ち上がれずに悔し気に悠と蓮を睨みつける強盗たち。まだ諦めていないのか、再度襲い掛かる素振りを見せているが、当然これで悠と蓮の攻撃は終わりではない。急所を突いて怯んだ敵には総攻撃だ。

 

 

「準備はいいな、雨宮」

「(コクッ)」

 

 

 すっかり怪盗モードで無口になっている蓮にそう確認すると、悠は手に持つ木刀を構え、蓮はどこからか取り出したモデルガンを構えた。そして、

 

 

 

ー!!ー

「「はあああああああああああああああああっ!!」」

 

 

 

 夢ある遊園地で、か弱い少女の鞄を奪い去ろうとした強盗たちに鉄槌が下った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 強盗を撃退した少年たちの110番通報により昏倒していた強盗は逮捕されました。

 

 

「あ、ありがとうございました!荷物を取り戻してくださって……」

 

「「いえいえ」」

 

 

 奪われた荷物を取り返してくれたお陰か、被害者の少女が2人にそうお礼を言ってくれた。これには2人も照れを隠し切れなかった。やはり良いことをした後にお礼を言ってくれるのは気分がいいものだ。ましてやそれが美少女たと更にいい。その少女はサングラスをしているもののよくよく見てみれば、あの人気スクールアイドルの【優木あんじゅ】に似ているのだが、もしかして……

 

「あ、あの……お2人にぜひお礼したいのですが……今お時間は?」

 

 ここでまさかの少女からのお礼。これが主人公の特権か。思わぬ相手に心が躍る。少女の提案を承諾しようと首を縦に振ろうとするのだが、彼らは忘れていた。

 

 

 

 

 

「(ガシッ!)ついに捕まえましたよ、悠さん♪

「(ガシッ!)もう完全に詰み……逃げられませんよ

 

 

 

 

 朝から自分たちを追っている死神たち(海未・一二三たち)の存在を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なあ……雨宮。俺たち、さっき強盗を捕まえたよな?」

 

「そうですよね……それに女の子の荷物もちゃんと取り返しました。なのに…」

 

 

「「どうしてこうなった?」」

 

 

 強盗を捕まえて大活躍と思いきや、再び現実に突き落とされて追い詰められて顔が真っ青になる悠と蓮。目の前にはいつの間にか合流していた女子陣計18人が2人に詰め寄ってきた。迫りくる彼女たちの表情は穏やかではない。むしろ、朝方の方がマシだと思えるくらいに怖い。

 

「まさか、言い逃れしようだなんて思ってないでしょうね?」

 

「「ひっ!」」

 

「逃げても無駄よ。さあ、納得のいく説明をしてもらいましょうか?」

 

 生徒会長を務めている絵里と真から告げられる無慈悲な言葉。その言葉に込められた殺気に男2人は子鹿のように足が震えた。そして、濃密に収束していく合計18人の殺気に今まで数々の修羅場を乗り越えてきた2人も冷や汗の量が多くなる。すると、

 

 

 

「ふっ……ふははははははははははははっ!」

 

 

 

「??」

 

 

 突如、蓮は己のペルソナ【アルセーヌ】のように高笑いし始めた。あまりの恐怖に気が狂ったのかと思ったが、それは違った。メガネから垣間見える瞳を見て悠は確信する。アレは…あの濁った眼はまだ諦めていないクズの気配!

 

 

「ようやく全員そろったな。そう!これは俺と鳴上先輩からの素敵なサプライズだったのさっ!!」

 

 

 あまりに頓珍漢なことを言いだした蓮。先ほど強盗から華麗に盗品を奪った時の正義の顔が嘘のようだ。もっとマシな言い訳はないのかと女性陣は呆れてしまう。しかし、同類の悠は違った。

 

「(ナイスだ!雨宮!!やっぱりお前、最低だ!!)そ、そんなんだ。これは俺と雨宮が考えた皆で楽しもうって趣向でな。み、みんなと幸せになればそれでいいだろ?なあ、雨宮」

 

「そ、そうですよね。先輩!」

 

 

「「あははははははははははははは」」

 

 

「「「「「「「「…………………」」」」」」」」」

 

 

 朗らかに最低な言い訳をして笑って誤魔化す2人に女性陣はごみを見るかのように冷たい目を向けていた。

 

 

 

「あっ!見つけたわよ、雨宮くん!」

 

 

 

 すると、どこからか蓮を呼ぶ女性の声が聞こえてきた。この期に及んで一体誰だろうかと思って見てみると、

 

 

「さ、()()()!?」

 

 

 そこには新島真の姉で検事を務めている【新島(にいじま)(さえ)】がいた。仕事帰りなのかいつものスーツと鞄といういつもの服装だが、どこかめかし込んでいるように見える。

 

「お、お姉ちゃん!どうしてここにっ!?」

 

「何って、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、それが?」

 

「「「「「「「「はあっ!?」」」」」」」」

 

 新たなるブッキング者の登場に皆は驚愕した。そして、当の本人と言えば

 

 

「あっ、忘れてた。最初から」

 

「雨宮あああああああああっ!!」

 

 

 この通りである。流石の悠もこれにはツッコミせざるをえなかった。

 

 

「「「「「「「「…………………………」」」」」」」」

 

 

 新たなる最低な事実に皆の顔から表情が一切なくなった。そして、無表情のままこちらを見て口を開いて何か呟き始めた。思わずそれを読唇してみると、こんなことを言っていた。

 

 

 

 

"ショ・ケ・イ・カ・ク・テ・イ・ネ"

 

 

 

 

 その時、悠と蓮の首元に衝撃が走り、視界は真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<???>

 

 

 

 

 

「「…………………………………んんっ?」」

 

 

 

 

 

 目が覚めると、悠と蓮は映画館のような場所で横になっていた。

 

「あれ?……ここは?」

 

「俺たち……確かデスティニーランドで」

 

 すると、突如目の前のスクリーンが光出して真っ白な映像が流れだした。何事だろうかと思っていると、その映像を映し出している映写機の近くに1人の女の子がいた。白髪で茶色のハンチング帽を被っている赤いリボンの真っ黒なセーラー服。誰だろうかと思っていると、こちらの視線に気づいた彼女は2人に向かってこう言った。

 

 

 

 

「私は…()()()()()()()()()()()()()()()()………」

 

 

 

 

「「えっ?」」

 

 

 

「だから……よろしく」

 

 

 

 謎の少女が2人を見下してそう言ったと同時に、映画館の出入り口の扉が開き、誰かが入ってきた。その姿を見た途端、悠と蓮の顔が更に真っ青になった。

 

「悠……コーハイたちを不幸にしてたとか、サイテー!!」

「囚人!お前、本当に最低最悪だな!」

「汚らわしいです……」

 

「ま、マリーっ!!」

「か、カロリーヌと…ジュスティーヌ………」

 

 まさかのベルベットルームの住人が登場。穂乃果たちと同じくありとあらゆる表情が顔に一切なかったので、あれは殺る気満々だ。このままでは殺されると瞬時に判断して逃げ出そうとしたが、恐怖で足が動かない。否、よく見れば足は何かで拘束されていた。これでは逃げられない。何とかしようともがいている間にも、コツンコツンと死神の足音が徐々に近づいてくる。

 

 

「……悠なんて……大っ嫌い!!」

「さあ囚人!懺悔は済ませたか?」

「処刑の時間です…」

 

 

 マリーは某第3位のように身体中に雷を最大限に帯電させ、カロリーヌとジュスティーヌは手に勢いよく起動するチェーンソーを構える。あまりの恐怖に流石の2人も身体をガタガタと震えてしまった。

 

 

 

「どうして……」

 

「こんなことに………」

 

 

 

 

「「なってしまったんだ――――!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「うわあああああああああああああっ!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 彼らの悲痛な叫びと共に雷が落ちた音とチェーンソーの鈍い音が同時に映画館に響き渡った。彼らの断末魔を聞いていた彼女たちはスカッとした。良い子にはアメを、9股男たちには鉄槌を。

 

 

 その後、彼らがどんなことになったのかはご想像にお任せする。ただ密告者の正体を知った彼らは"あのパンケーキめ!年末覚えてろっ!!"と叫んだとか何とか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 良い子の皆さん、現実でのデートのブッキングはとても最低な行為です。絶対に真似しないでください。

 

 

 

 そして、

 

 

 

 

 

 

 

 祝!「PERSONAQ2 New Cinema Labyrinth」発売!!

 

 

 

 

 

ーFinー




閲覧ありがとうございます。ぺるクマ!です。

8~9月にかけて行ったアンケートの結果、➀ということになりました。結果は以下の通りです。

3票:➀全員とデートに行く。
2票:希・絵里/真
1票:穂乃果・海未・真姫/杏・双葉・一二三

また時間があったら個別ルートも書いてみたいなあとは思っていましたが、現実でのことが忙しくなりそうで本編を執筆していくのが精いっぱいになるので、しばらくは本編更新に専念します。

そして、お気に入り登録して下さった方、感想を書いてくれた方、高評価をつけて下さった方、誤字脱字報告をして下さった方々、本当にありがとうございます!皆さんの応援が自分の励みになっています。

皆さんが楽しめる作品になるように精進していくつもりなので、これからも応援よろしくお願いします。

引き続き、新章【Let`s summer vacation in Yasoinaba.】をよろしくお願いします。

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