PERSONA4 THE LOVELIVE 〜番長と歌の女神達〜   作:ぺるクマ!

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絵里と希が新たにμ‘sに加入して秋葉原ライブも大成功。廃校の危機に一時の安堵が戻った頃。




謎の電話に呼び出されてテレビの世界に入った悠たち。そこで待ち受けていたのは………










Exstra③「Mayonaka Miracle Quiz.」

…………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――レディースエンドジェントルメンヌっ!!ようやっと暑くなってきた今宵今晩、皆さまはどのようにお過ごしでしょーか?さあ、皆さんお待ちかねのあの時間が戻ってまいりましたぁ!司会はもちろんこの私、“ジャスミークマ沢”で御座います!それでは参りましょう!

 

 

 

 

 気力・能力・クマの気分っ!優勝目指して突き進めっ!!題して……

 

 

 

 

【マヨナカ横断ミラクルクイズ】

 

 

 

 

ワアアアアアアアアアアアアアア

 

 

 

 

 

「えっ?えっ?なんですかこれ!?」

 

「テレビに入ったら……こんなところに。あれ?お兄ちゃんがいない」

 

「ここって稲羽のテレビの世界だよね?何で穂乃果たちのテレビからここに来ちゃったんだろう?」

 

 目の前に広がる光景に穂乃果・海未・ことりはただ呆然としていた。このテレビ局のスタジオみたいな広場は間違いなくGWで訪れた稲羽のテレビの世界だ。だが、今はあの時とは違って何故かどこぞのクイズ番組のようなセットが用意されている。軽快な音楽が流れている背後の大画面のテレビには【マヨナカ横断ミラクルクイズ】とうテロップが映し出されていた。

 

「おいおい、何なんだよこれは……」

 

「……このセット前にも見たことあるような……」

 

「……………」

 

 極めつけは一緒に入ったはずの悠が見当たらず、代わりに稲羽に居るはずの陽介・千枝・雪子が隣の席で頭を抱えたり瞑想したりしているということだ。どうやらあちらもこちらと同じくこの状況に困惑しているようだ。

 

 

「おっと、これは稲羽市からお越しの【キャプテン・ルサンチマン】こと花村陽介さんと【女を捨てた肉食獣】こと里中千枝さん、どうしたクマ?」

 

「おい、喧嘩売ってんのか?バカグマ」

 

「後で覚えとけよ。てか、どういうことだよ。こんな場所に呼び出してこんなセットまで用意して。おまけに東京にいるはずの穂乃果ちゃんたちまでいるってどういうことだ?」

 

 

 最もな質問をクマことジャスミークマ沢にぶつける陽介。どうでもいいが、名前と一緒にあのP-1Grand Prixのキャッチコピーまで紹介されるとイラっとくる。だが、そんな陽介の質問にジャスミークマ沢は朗らかに答えた。

 

 

「もう!何言ってるクマ~?せっかくエリちゃんやノゾちゃんがセンセイのグループに入ってオープンキャンパスや秋葉原のライブも成功した記念に、クマがなつかしのオモシロ企画を用意したクマよ。ちなみに、本当はセンセイたちが今使ってるテレビからはここに来ることができないんだけども、マリーちゃんを通じてマーガレットさんにお願いして、今回だけこの世界につないでもらいました」

 

「やっぱりか……もはや何でもアリだよな、あの人」

 

 

 どうやら今回の件にはベルベットルームのマーガレットも一枚噛んでいるようだ。ちなみにマリーとマーガレットのことを知らない穂乃果たちは訳が分からずポカンとしているが。

 

 

「本当は物語もこれから見せ場の一つだっちゅーのに、作者ちゃんがスランプに陥って本編の執筆が行き詰まってるから、息抜きとして始まった番外編なんだクマけどね。いくら会計をいきなり任されたり他部に比べて新入生が0人からって、最近の作者ちゃんは本当にセンチメンタルなんだクマ」

 

「おいっ!何だその理由!?作者って誰だ!?」

 

「そう言うワケで、ホノちゃんとコトチャンのペルソナが早く見たいって人やクマたちとの夏休み編やナナちゃんも活躍するP4D編を楽しみにしている読者の皆様、作者の都合で大変申し訳ないけど、大方の構想は出来上がってるのでしばらく待って欲しいクマ。そして、感想もたくさんくれるとありがたいクマ~」

 

「だから作者って誰だ!それに誰に向かって言ってるんだよ!!」

 

「ハァ…よりにもよって何でこの打算丸出しのクマくんのクイズ番組なのよ。ぐだぐだになること目に見えてるじゃん」

 

 

 千枝はうんざりと言わんばかりにため息をついた。陽介もだが、このクマ…ジャスミークマ沢が企画したクイズ番組がぐだぐだになるだろうと思っているらしい。そんな2人のその反応にクマは憤りを見せた。

 

 

「も~~っ!2人ともノリが悪いクマねぇ。お隣を見てみんしゃい」

 

「「???」」

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドド

「早押しでいいんだよね?」

 

 

「雪子……」

 

「やっぱり乗り気っすか……」

 

 

 隣で早押しのボタンを勢いよく連打する雪子を見て呆れる2人。普段はお淑やかに振舞っているが、やはりこういうイベントになるとノリノリになるようだ。

 

 

「オヨ~、さっすが【難攻不落の黒雪姫】ユキチャンクマ~。さあ、稲羽組はこれまでとして、こんな調子でドンドン音ノ木坂組のパネラーを紹介するクマ~。それでは東京都からお越しの【和菓子屋イーター】こと高坂穂乃果ちゃん。意気込みをどうぞ」

 

 

 ジャスミークマ沢はそう言うと、未だ呆然としている穂乃果に話を振った。すると、誰もいないはずの周囲から歓声が沸き、穂乃果たちは仰天する。

 

 

「え、ええっ!!何この歓声。もしかして、これって誰か見てるんじゃ」

 

「もう~ホノちゃんは自意識過剰クマね。これはクマが出してる効果音にきまってるでしょーが。スクールアイドルなのにそんなのも分からんとね?」

 

「紛らわしいよっ!というか、スクールアイドルでもこんなの分からないからっ!」

 

「ではでは~、続いて同じく東京都からお越しの園田海未さん。またの名を~」

 

 

 

「おーい!クマ公――!俺の衣装こんなんでいいのか?」

 

 

 

―!!っー

「「「「うえっ!」」」」

 

 

 ジャスミークマ沢が海未を紹介しようとしたと同時に、奥からどこかでスタンバイしていた完二が現れた。だが、その完二の今の姿を見た一同は一斉に凍り付く。何故なら、今の完二の恰好は()()()()()()()()()()()()()()()()という際どいものだったからだ。あれはバニーガールならぬバニーボーイのつもりだろうが、完二みたいなむさい男がブーメランパンツ一丁というだけでもキツイのに、加えてうさ耳というアイテムを加えると破壊力は計り知れない。初めて完二のその姿を見た穂乃果たちだけでなく、一度は見たことがある陽介たちまでも絶句していた。

 

 

「ん?どうしたんすか?」

 

 

 だが、本人はこの空気の原因が自分であることに自覚がないようだ。そして、その完二に裁きの時が訪れる。

 

 

 

「は……は……ハレンチですッ!!(ーカッー!)ポリュムニア!!

 

 

 

「えっ?…うぎゃあああああああああッ!!

 

 

 

 完二の際どい恰好を見て限界値を超えた海未はペルソナを召喚して完二を吹き飛ばした。テレビの世界で星になった完二を他の皆は呆然と眺めることしか出来なかった。

 

 

「あちゃ~…アレはもう遠くまで飛んでっちゃったクマね。クマの鼻センサーにも引っかからないクマ」

 

「大丈夫かな?完二くん……それにしても海未ちゃんのペルソナの威力すげえ」

 

「…久しぶりにキレたムッツリの海未ちゃんを見た気がしたよ」

 

「【純情ラブアローシューター】の名は伊達じゃないな………」

 

「穂乃果?陽介さん?貴方たちも吹き飛ばされたいのですか?」

 

 

 思わず禁句を口にした穂乃果と陽介に海未は凄みを感じる笑みを向ける。よく見ると、海未のペルソナ【ポリュムニア】の矢先が2人に照準されていた。

 

 

「ひいいいいッ!待った待った!ごめんてば!!」

 

「お、おいっ!クマ公っ!次!」

 

「イエスッ!それではウミちゃんの紹介はこれくらいにして、最後のパネラーを紹介するクマ」

 

 

 海未の気迫に慄いた穂乃果と陽介、ジャスミークマ沢は今のはなかったことにして最後のパネラーを紹介した。

 

 

「最後はこの人っ!ナナちゃんと同じくセンセイの愛すべき妹ちゃん、東京都からお越しの【鋼のブラコンエンジェル】こと南ことりちゃんでっす!」

 

 

「あの~クマさん?お兄ちゃんはどこに行ったの?」

 

 

 皆よりも少し仰々し目に紹介されたことりだが、本人はそんなことよりまだ姿が見えない悠のことが心配なご様子だった。

 

 

「コトチャ~ン♡今日も可愛いクマ~。センセイなら大丈夫クマよ。それよりも~この後ぜひこのクマと~一緒にお食事でもどお?」

 

「えっ?」

 

 

「「「「「(ゾクッ)」」」」」

 

 

 ジャスミークマ沢はことりに菜々子と同じ何かを感じるのか、質問そっちのけでデレデレしながらナンパした。ことりは何のことか分からずキョトンとしているが、その光景を見た途端、陽介と穂乃果たちは背筋に悪寒を感じた。そして、次の瞬間、

 

 

 

 

ーカッ!ー

 

 

 

「ぎゃああああああああっす!」

 

 

 

 一筋の激しい雷光がクマを襲った。あまりの威力と弱点を突かれたせいか、クマはぐったりと倒れこんでしまう。

 

「い、今のって……まさか」

 

 今の雷光に心当たりがあったのか陽介たちが内心ビビっていると、ザッザッザッという足音と共に、奥から何者かがこちらに向かってきた。その者の正体は………

 

 

クマ…俺の目の前でことりをナンパするとはいい度胸だな?

 

 

「センセイ、ごめんなさいクマ~~~~!」

 

「お兄ちゃん!」

 

 

 皆の予想通りその正体は悠だった。八高の学ランにいつのも黒縁のメガネ、そして今の雷光を放ったらしいイザナギを従えている姿はまさしく鋼のシスコン番長その者だった。愛しの妹がナンパされたせいか、イザナギから発せられるオーラが半端ではない。

 

 

「さ、さあっ!テレビの前の皆さん!お待たせした!今回この私のアシスタントを務めますのは、東京都より大物ゲスト!!今話題沸騰中のスクールアイドル【μ‘s】の敏腕マネージャー兼プロデューサーであらせられる【鋼のシスコン番長】こと、セ・ン・セ・イです!!」

 

 

ワアアアアアアアアアアアアアア

 

 

「よろしく」

 

 

 どうにか復活したらしいジャスミークマ沢の仰々しい紹介に周りが一斉に歓声を上げる。にも関わらず、悠は淡々と一言だけそう言った。

 

 

「何でパネラーの俺らよりアシスタントの悠の紹介が仰々しいんだよ…」

 

「キングだからな。おかわり、ストレートで」

 

「あれっ!?お前もしかして酔ってる!?てか、何飲んでんだよ!」

 

 

 陽介は悠がいつの間にか手に持っていたグラスの中身を追求する。よく見たら悠の表情は以前辰巳ポートランドのバーで場酔いした時のものと同じだった。まさかと思うが、悠の様子から見るにアルコールではなかろうか。一同に不安がよぎるなか、悠は陽介の質問に淡々とこう返した。

 

 

「安心しろ。これは"シンデレラ"だ」

 

「シンデレラ??」

 

「あっ!ことり、ネコさんから聞いたことある。確かシンデレラってオレンジジュースとパイナップルジュースとレモンジュースを合わせたミックスジュースじゃなかったっけ?」

 

 

 アルバイトしている店の店主であるネコさんから聞いたことあるのか、ことりは朧気にそう答える。そして、ことりのその回答を聞いた悠はニコリと笑った。

 

「正解。ことりに1ポイントだ」

 

 悠がそう言うと、ピンポーン!という解答音と共に、ことりの席に表示されている数字が0から1に変わった。

 

 

「やった―――!」

 

「はあっ!?もう始まってんの!?今のでことりちゃんにポイント入るの!?」

 

「陽介、いつからクイズが始まっていないと錯覚していた」

 

「どこのラスボスだ、お前は!つーか、そもそも何でお前がクマ公のアシスタントなんだよ!」

 

「だってぇ~センセイが参加しちゃったら簡単に優勝しちゃうのが見えてるでしょうが。それじゃあ面白くないから、今回はクマのアシスタントをやってもらうクマ」

 

「まあ…確かに……て、あれ?穂乃果ちゃんたち側ってこれだけなの?クマくんが記念って言うから、絵里ちゃんとか希ちゃんとかも来てると思ってたんだけど」

 

 

 今更ながら千枝は音乃木坂組は悠と穂乃果、海未にことりの4人しかいないことに追及する。その質問に穂乃果たちは苦々しく返答した。

 

 

「ああ…花陽ちゃんたち一年生組は林間学校だし、絵里先輩と希先輩は生徒会の仕事入ったって言ってたよ」

 

「にこ先輩は敵情視察だって言ってA-RISEのライブに行きましたし」

 

「なんだよそれ……最初っからぐだぐだじゃねえか……」

 

 

 更なるぐだぐだ状態に頭を抱える陽介。絵里と希が入った記念で開催したというのに、本人たちがいないというこの状況。改めてジャスミークマ沢の不手際がよく分かった。しかし、そんなことは放っておいてジャスミークマ沢は司会者席に戻って何事もなかったように進行を始めた。

 

 

「それではこれからクイズを始めるクマ~。ちなみに、若干"巻き"入ってるクマよ」

 

「ADどこいんだよ?つか、本当にやるのか?」

 

 

 こんな状態にも関わらずクイズを始めようとするジャスミークマ沢。それに不満を露わにすると、クマは陽介たちに意味深な笑みを浮かべた。

 

 

「チッチッチ、クマを舐めちゃいかんクマよ~。ちゃーんとみんながやる気が出るように賞品を準備したクマ。ただし、あげるのは優勝者だけクマよ」

 

「「「賞品?」」」

 

 

 "賞品"というワードに皆は食いついた。だが、陽介は日頃の行いから怪しいと言わんばかりに溜息をつく。

 

 

「どうせ碌なものじゃねえんだろ?お前が用意するもんだから、ホームランバーのあたり棒とか?」

 

「む~失礼しちゃうクマね~。ちゃんとみんなが欲しがるものを用意したクマよ」

 

「みんなが欲しがるもの?」

 

 

 ジャスミークマ沢が発した”みんなが欲しがるもの”と聞いて一同は首を傾げる。すると、シンデレラを堪能していた悠が懐から一枚の紙きれを取り出した。

 

 

「んん?悠、何だよそれは?」

 

「さあ?ちなみにクマの言う通り皆が欲しいものだと言っておく」

 

 

 悠の意味深な言葉に更に首を傾げる一同。すると、

 

 

「もしかして……愛屋の肉丼の無料券とか?」

 

「!!っ、やっぱりお揚げ食べ放題のチケット?」

 

「いやいや、お菓子の食べ放題じゃない?」

 

「お兄ちゃんの手料理食べ放題?」

 

「お前ら食い物のことばっかじゃねえか!?一人明らかにおかしいのがあったけど、そんな訳ねえだろ。なっ、悠?」

 

 

 紙きれ一枚に色々な憶測が飛び交う中、陽介の質問に悠はフッと笑みを浮かべた。

 

 

()()()()()()()()()

 

 

「「「!!ッ」」」

 

 

 その瞬間、海未を除く女子陣の背後に業火が燃え上がった。

 

 

「よーし、肉丼のために頑張るぞぉっ!」

 

「千枝、私も手加減しないよ。お揚げのために」

 

「負けないッ!!お兄ちゃんのために」

 

「お菓子が…お菓子が穂乃果を呼んでる!!」

 

「いやいやいや、否定しろよ!?どう見ても怪しいだろ!?」

 

 

 悠の爽やかな笑みにそれが真実だと確信を持ってしまった4人に陽介は冷静にツッコミを入れたが全く聞く耳を持ってくれなかった。もう止められないと悟った陽介と海未は思わず重い溜息をついた。

 

 

「陽介さん…どうします?」

 

「はあ…しゃあねえ。やってやるか。天城やことりちゃんはともかく、里中や穂乃果ちゃんも乗り気だし、ここは俺たちも乗るしかねえだろ。ぶっちゃけ、ちょっと楽しそうだし、最近受験勉強やジュネスのバイト詰めでこういう息抜きが欲しかったからな」

 

「………そうですね。たまにはこういうイベントも悪くないのかもしれないですし。正直私も無性にテンションが上がってきました。クイズなら雪子さんにも負ける気はしません!」

 

 

 場の雰囲気に乗せられたのか、陽介と海未もやる気を見せ始めた。ジャスミークマ沢が企画した怪しいイベントとはいえ、勝負事では負けられない。これには総司会であるジャスミークマ沢とアシスタントの悠も思わずニヤリとした。

 

 

 

「さあ、パネラーの皆さんも準備ができたようですので、クイズを始めるクマ~。読者の皆さんも一緒にチャレンジしてクマ~」

 

「それでは行こう。マヨナカ横断ミラクルクイズ、いざ開幕!」

 

 

 

 ジャスミークマ沢と悠の一声に会場の熱気はピークに達した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあて皆さん、用意は良いクマか?今から皆さんの目の前にある大画面に問題が映し出されます。問題は早押しで、制限時間内に答えが分かったら手元のボタンをビシッと押すクマ。正解したら1ポイント、不正解だったら-1ポイント差し上げまっす」

 

「ちなみに、問題のジャンルは俺が見た限り様々だ。俺たちのことに関する問題だったり雑学だったりするので、そこも注意だな」

 

「それでは早速、第1問!」

 

 

 ジャスミークマ沢と悠の説明が入ったあと、早速大画面に問題が映し出された。

 

 

Q1:新しい仲間ラビリスのペルソナの名前は?

 

 

「えっ?」

「いきなり難しいのがきたな」

「確か……」

 

 初っ端から難易度が高い問題を出されて、思い出そうと必死に考え込むパネラーたち。新たに仲間になった対シャドウ兵器のラビリスと出会ったあの事件は今でも忘れがたいものだが、悠を助けようと必死になっていたせいかラビリスのペルソナの名前が何だったかは正確には覚えていなかった。しかし、

 

 

ピコンッ!

「一撃で仕留める!!」

 

 

 最初にボタンを押したのは雪子だった。

 

 

 

「アリアドネ!!」

 

 

 

ピポピポーンッ!

「ジャスミーっ!ユキちゃん正解クマ~!」

 

 

 見事に雪子は最初の問題に正解した。鮮やかに正解したことに、雪子は微笑んでコメントする。

 

「フフフ、ラビリスちゃんとはとても仲良くなったから答えなくちゃ。それに、ラビリスちゃんは私のお弁当を美味しいって言ってくれたし」

 

「「「「えっ?」」」」

 

 正解のコメントと同時に聞き捨てならないことをカミングアウトした雪子。若干あの時2人に何があったのが気になったが、今はそっとしておこう。

 

 

 

 

 

「続いて、第2問です!」

 

 

Q2:みんなの天使"堂島菜々子"ちゃんは現在小学何年生でしょう?

 

 

 

ピコンッ

「はいっ!小学2年生」

 

 

 

ピポピポーンッ!

「ジャスミーっ!コトチャン正解クマ」

 

 引き続いて出題された問題に速攻で答えたのはことりだった。正解したことにことりははにかみながらこうコメントする。

 

「菜々子ちゃんのことはことりたちにとっては常識でしょ?ねっ、お兄ちゃん」

 

「そうだな」

 

「いや…お前らの常識がおかしいだろ………」

 

 どうやら悠一家にとっては身内の問題は常識らしい。解答後のそんなコメントに一同はドン引きしてしまった。

 

 

 

 

「ムホホ~、次は超ゲキムズ問題クマ~。みんなは答えられるかな~?」

 

 

 ジャスミークマ沢の得意げな言葉に一同は身構える。そして、その超ゲキムズ問題としてだされたのはこれだった。

 

 

 

Q3:呪いを受けてから今日まで鳴上悠が召喚したペルソナを全部答えなさい

 

 

 

「「「分かるか!?」」」

 

 

 問題を見た瞬間、一部を除くパネラー全員から抗議の声が上がった。

 

「こんなのマニアック過ぎんだろ!?」

「アタシらに分かるはずないじゃん!?」

「穂乃果たちだって覚えてないよ!?」

「流石にこれはダメでしょ!?」

 

 特捜隊メンバーは当たり前だが、今行動を共にしている穂乃果たちμ‘sだって悠がどんなペルソナを召喚してきたかを一々把握していない。これは誰も答えられず制限時間が来てしまうと思われたが…

 

 

 

ピコンッ

「はいっ!」

 

 

「こ、コトチャン?」

 

 

 

 それに切り込んだのはやはりことりだった。

 

 

 

「イザナギ・ジャックランタン・ハリティー・ジークフリード・トール・ヤマタノオロチ・リャナンシー・タムリン・ガネーシャ……あと伊邪那岐大神、これだよね?」

 

 

 

 

「「「「………………………」」」」

 

 

 一度も考え込むこともなくスラスラと答えたことりに一同は静まり返った。果たして結果は……

 

 

 

ピポピポピポーンッ!

「じゃ、ジャスミーッ!!なんと連続正解クマー!!コトチャンすごいクマ~」

 

 

 

 まさかこの本人しか知らないゲキムズ問題をスラスラと答えた上に正解していたことに周りにどよめきが湧いた。

 

 

「おいおい…流石にこれは凄すぎだろ。いくら兄妹でも悠が今使ってるペルソナ全部ってそうそう覚えられねえって」

 

「えへへへ~。だってぇ、お兄ちゃんのことは世界でことりが一番よく知ってるから。これくらいは答えないと……」

 

「ありがとう、ことり。お兄ちゃんは嬉しいぞ」

 

「怖えよ!その家族愛が怖えよ!!何なんだよこの兄妹!?」

 

「ねえ千枝・穂乃果ちゃん、菜々子ちゃんもこうなるのかな?」

 

「それは………ありそうかも」

 

「だよね…」

 

 

 

 

 

 その後もこのようにして問題は続いていった。

 

 

 

 

Q5:μ‘sがファーストライブで歌ったの曲名は?

 

 

 

ピコンッ

「はいはいっ!【STARTDASH‼】」

 

 

 

ピポピポーンッ

「ジャスミー!ホノちゃん、正解クマ!」

 

「穂乃果たちが初めて歌った曲だからこれは答えなくちゃ」

 

「そうですね。あと少しボタンを押すのが早ければ、私が答えれたのに……」

 

「海未ちゃん……意外に負けず嫌いなんだね」

 

 

 

 

 

 

Q7:ジュネスのテーマソングは?

 

 

 

ピコンッ

「これっきゃねえぜっ!"エブリデイ~♪ヤングライフ~♪ジュ・ネ・ス"だろ?」

 

 

 

ピポピポーンッ

「ジャスミー!ヨースケまさかの正解クマっ!!」

 

「よっしゃ、ジュネスに関しちゃ余裕だぜ。間違えたら恥ずかしいもんな」

 

「ちなみに、この問題はヨースケのためのサービス問題だったりするクマ」

 

「そうだったの!?てか、答えた後に言うんじゃねえよ!」

 

 

 

 

 

 

Q9:牛肉の最高ランクは何というでしょう?

 

 

 

ピコンッ!

「あちょー!!A5ランク!」

 

 

 

ピポピポーンッ!

「ジャスミー!チエチャン正解クマ~!」

 

「へへん!花村みたいだけど、肉のことなら誰にも負けないよー!」

 

「そりゃなんたって、里中さんは女を捨てた肉食じゅ」

 

「花村ぁぁ?アンタも完二くんみたいに吹き飛ばされたい?」

 

「すんませんっ!!」

 

 

 

 

 

 

Q11:"私を元気にして"という意味を持つスイーツの名前は?

 

 

 

ピコンッ!

「これですっ!ティラミス!!」

 

 

 

ピポピポーンッ

「ジャスミー!ウミちゃん、正解クマ~!」

 

「ふふっ、私もここから反撃です!賞品に興味はありませんが、絶対に負けませんよ!」

 

「おおっ!あの海未ちゃんが燃えている」

 

「海未ちゃん、何が欲しいんだろ?」

 

「さあ?新しい弓矢じゃね?」

 

「いや、新しいメリケンサックだったりして」

 

「私はそんなものは欲しくありませんし持ってません!!どこの世紀末覇者ですか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 様々な展開が繰り広げられた中、ついに最終問題へ突入した。

 

 

「ここで決める!」

「一撃で仕留める」

「最後まで負けないもん!」

 

 

 いよいよ問題も最後というのもあるのか、皆の気迫のボルテージは最高潮に達していた。

 

 

「それでは、最終問題でっす!」

 

 

 ジャスミークマ沢の掛け声で大画面に最終問題が表示された。その内容は…

 

 

 

 

Q20: P-1Grand Prixでの小泉花陽のキャッチコピーは?

 

 

 

 

「「「えっ?」」」

 

 

最後の最後で答えられそうで答えられそうにない問題が出てきたので、パネラーは全員固まってしまい、何とか思い出そうと頭をフル回転させる。すると、

 

 

ピコンッ!

「これだっ!えっと、【シャイな巨乳メガネっ子】!!」

 

 

 

 何か閃いたようにドヤッとした決め顔でそう言い放った陽介。果たしてその答えは………

 

 

 

 

ブブーッ!

「ノットジャスミー!不正解です」

 

 

 

 

 最後の問題でまさかの不正解。いつもの如くガッカリ王子の名にふさわしい失態をかました陽介に周りから深い溜息を吐かれた。繰り返し言うが、これはジャスミークマ沢が作った効果音である。

 

 

「ええっ!?違うのか!?………あっ、【シャイな巨乳お米っ娘】だったか。あ~あ、シャイな巨乳ってところは覚えてたんだけどな。花陽ちゃんって可愛いし胸デカいし目がくりくりとしてるし、なんか庇護欲を駆られるんだよなぁ」

 

 

「「「「………………………」」」」

 

 

「えっ?何だよ……そんな目して」

 

 

 ポロッと失言した陽介は女子陣に冷たい視線を向けられていた。これには流石の陽介もタジタジになってしまう。

 

 

「花村……アンタね」

 

「やっぱり花村くんは胸なんだね」

 

「最低」

 

「ハレンチですッ!」

 

「陽介さん…それはないよ」

 

「ええっ!?ちょっ、そこまで言うことないだろ!?なっ、悠!」

 

「確かに。陽介の趣味はナースだからな。おかわり、ストレートで」

 

「あっ、はいはい……じゃねえよ!何さらっと俺のトップシークレットを暴露してんだ!?」

 

 

「「「「……………………………」」」」」

 

 

「ぎゃああっ!?里中や天城のみならず、穂乃果ちゃんや海未ちゃんたちまで俺をごみを見るような目で…………」

 

「おかわり、ロックで」

 

「知るかっ!?自分で注げっ!!ちくしょうっ!!不幸だああああぁぁぁ!!」

 

 

 散々な扱いを受けて陽介は心からそう叫んだ。やっぱり最後まで陽介はガッカリであったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、ここで全問終了でっす!結果を見てみましょうっ!今回のマヨナカ横断ミラクルクイズの優勝者は~~?」

 

 

 壮大なドラムの音が響き渡り、ジャスミークマ沢の掛け声と同時に大画面に今回の結果が映し出された。果たしてその結果は……

 

 

 

 

陽介 :-1点

千枝 :1点

雪子 :4点

穂乃果:1点

海未 :4点

ことり:3点

 

 

 

 

「あれ?同点クマ?」

 

 

 結果は雪子と海未の同点。この結果に総司会のジャスミークマ沢はポカンとしてしまった。

 

 

「はあ?当たり前だろ。こんなのクイズ番組じゃあよくあることじゃねえか。お前何言って…」

 

「……………………」

 

「おいクマ、まさかと思うが同点だった時のことを考えてなかったのか?」

 

「……………………」

 

 

 陽介の指摘にも未だに黙り込むジャスミークマ沢。どうやら指摘通り同点の場合のことは考えていなかったようだ。想定外の事態に会場は気まずい静寂に包まれた。

 

 

「ねえ、同点決勝やろう!同点決勝!!それなら私にもチャンスあるよね?」

 

「雪子さんの言う通りです!やりましょうっ!同点決勝を!!」

 

「やらんでいいッ!」

 

「色々面倒なことになるから!!」

 

 

 ここに来て同点決勝を提案する雪子と海未だったが、千枝と穂乃果がそれを制止する。同点決勝になんて突入したら更なるぐだぐだになることは目に見えているからだ。

 

 

「って、どうすんのさ!結局ぐだぐだじゃん」

 

「このままじゃ収拾つかないよ」

 

「……………」

 

 

 千枝と穂乃果がジャスミークマ沢にそう抗議するが、当のクマはまだ黙ったままだった。ジャスミークマ沢は皆の冷たい視線を受けて冷や汗を掻きながら最後の頼みと言わんばかりにアシスタントの悠の方をチラッと見た。

 

「おかわり、ロックで」

 

 だが、悠は未だに酔っていて助けを請える状態ではなくなっていた。もう完全に手詰まりな状況にジャスミークマ沢はついに決断した。

 

 

 

 

「ぜ、是非もないよネ!さよなら~クマ~!!」

 

 

 

 

「「「「ええええッ!!」」」」

 

「こらあッ!!」

 

 

 

 ジャスミークマ沢が選んだのは強制終了だった。この判断にはパネラー全員は一斉に抗議の声を上げる。

 

 

「こんな終わり方のクイズ番組があるか!?何でもぐだぐだになったら、その台詞で誤魔化せると思ったら大間違いだぞ!!」

 

「みんなが優勝してくれないせいクマ~!もう手持ちの問題が残ってないクマよ~。せっかくの賞品が台無しになったクマーーー!」

 

「俺らのせいにすんなっての!それに賞品なんて、ただの紙切れだろうが!?」

 

「てか、結局私たちが来た意味ないじゃん!!」

 

「ねえ、同点決勝は?同点決勝?」

 

「だから、やらないから!!」

 

「でも、こんな終わり方を私は認めませんっ!」

 

「おかわり、ストレートで」

 

「はいお兄ちゃん、ストレート。ついでにことりのスマイルもどうぞ」

 

「ああもうっ!穂乃果ちゃん・海未ちゃん・ことりちゃん、悠!何かごめんなあ!」

 

 

 こうしてクイズ番組にはあるまじき形でマヨナカ横断ミラクルクイズは終了した。もう二度とこのような催しはないだろう。いや、ないと信じたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………

 

 

 

 

「起きて…起きて」

 

「起きて、悠くん。もう時間やで」

 

 

 誰か自分を呼ぶ声がする……目を開けると、そこにはいつものアイドル研究部室の光景が広がっており、自分の目の前にはしかめっ面している絵里と希も姿もあった。

 

「あ…絢瀬……希………ここは…部室?」

 

「えっ?……本当だ」

 

「あれ?おかしいですね。私たちは確か……稲羽のテレビの世界に」

 

「…寝ぼけてるの?もう下校時刻過ぎてるわよ。このまま部室で寝るつもりだったの?」

 

 どうやら生徒会の仕事を終えた絵里と希が起こしてくれたらしい。それに時計を見ると本当に下校時間を過ぎていた。叔母の雛乃に見つかったら説教は免れない。

 

「ハァ…もう帰るわよ。幸い理事長は早めに帰ったらしいから見つかる心配はないでしょし、早く仕度しなさい」

 

 絵里にそう諭され荷物をまとめて部室を出る一同。そろそろ夏が近づいてきたのか、もう下校時間なのに空はまだ少し明るかった。

 

 

「一体どうしたのよ?鳴上くんと穂乃果たちが部室で何もせずに寝てたなんて。しかも結構うなされてる感じだったけど、大丈夫?」

 

「う~ん……どうだろう?…」

 

「もう…何がなんだか……」

 

 

 帰り道、絵里の問いに悠たちはどう答えていいのか分からず黙ったままであった。一体何があったのか、微かに覚えのあるあのぐだぐだなクイズ大会は夢だったのか、自分たちにも全くもって分からなかったからだ。

 

 

「きっと疲れとるんやない?それなら、ウチが悠くんの疲れを癒してあげるわ」

 

「えっ?あの……」

 

「お兄ちゃん?希先輩よりもことりの方がい・い・よ・ね?」

 

 

 そう言って希は流れるように悠の腕にしがみつく。突然のことに悠は激しく仰天した。腕に伝わる柔らかい感触が悩ましい。そして、対抗するようにことりは希とは反対側の腕にしがみつく。この流れからしてこの2人が火花を散らすのは規定事項である訳で、その度に絵里と海未から向けられる視線が痛い。何とかダメージを軽減しようと、悠は歩みを進めた。

 

 

「ねえ悠先輩、あれって何だったんだろう?」

 

「私も…夢だと思うのですが…どうも現実味があったような」

 

「あれは……悪い夢だったと思っておこう……」

 

 

 悠の呟きに穂乃果たちはコクンと頷いた。何はともあれ考えても分からないものは分からない。そんなことよりも、この先のことを考えよう。音ノ木坂学院を廃校から救うためにも自分たちは立ち止まってはいられない。そう思って、悠たちは明日のことを考えながら帰り道を一歩一歩進んでいくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―fin―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これはこれは………大変面白そうな催しを見つけたもので御座います。私も是非チャレンジしてみようかと……フフフフフ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーfin?ー




最後までお読みいただきありがとうございます、ぺるクマ!です。


本当にすみませんでした!!

理由はジャスミークマ沢が言っていた通りで、本編があまり仕上がらず……現実で色々あってスランプに陥ってしまったので、そのガス抜きとして勝手に番外編第3弾をやってしまいました。重ねて本編を楽しみにしていた方々、本当にすみません!!


ちなみに今回の番外編は久しぶりにP4Gのマヨナカ横断ミラクルクイズにチャレンジしたのがキッカケで思いついた話だったのですが、如何だったでしょう?ちなみに本家のように予選・本線・決勝と続いていくかは未定です。今回のようなことがあった場合にまた書くことになりそうですが………。


そして、最後に勝手に始めたこの番外編を読んでくれた読者の皆様に謝辞を
改めて、新たにお気に入り登録して下さった方・感想を書いてくれた方・アドバイスやご意見をくださった方々、本当にありがとうございます!皆さんの応援が自分の励みになっています。


何とか本編も随時仕上げていく所存ですので、皆さん楽しみにしてください。それでは、これにて失礼します。

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