PERSONA4 THE LOVELIVE 〜番長と歌の女神達〜   作:ぺるクマ!

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先ず皆さんに謝罪を
前回の予告の台詞から絵里との生徒会室での対決を予想してた方々大変申し訳ございません。また詐欺をしてしまいました。今回の話は悠と穂乃果たちの決意表明を重点に置いてしまった為、そこまで書ききれませんでした。今後出来る限りこういう詐欺をなくしたいと思いますのでご容赦下さい。
次回は必ず絵里を出しますので。


最後に新たにお気に入りに登録して下さった方、感想を書いて下さった方々、ありがとうございます!いつも励みになってます。まだ評価を貰ってない作品ですが、今後も皆さんが楽しめる作品を目指して頑張りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

それでは、本編をどうぞ!


#05「The step of School idol」

 

 鳴上悠は今、極限のピンチに立たされていた。身体はボロボロ、精神は折れかけている。いくら死線を幾つも超えてきた悠でも今回ばかりは状況を覆すのは無理だった。何故なら

 

 

「悠くん?……ちゃんと聞いてる?……ねぇ?」

 

「イエス!マム!」

 

「お、お兄ちゃん!怖いよぅ!」

 

 

 南家で目が笑ってない理事長の説教を正座して受けているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 穂乃果と海未とことりが絆を深めあった一行は悠が使ったルートを辿って現実に帰還した。八十稲羽ではクマがいないとテレビからは抜け出せなかったが、ここでは悠だけでもテレビから脱出することは可能だった。

 悠がテレビに入った場所は秋葉原の【jeunesse】という電気屋だった。またジュネスかと悠は思ったが、しばらくはここがあの世界に入る拠点となるだろう。

 

 時刻は午後9時を過ぎており、後日また詳しい話をすると約束して急いで帰宅しようとしたが、荷物を学校に置きっぱなしだったことが発覚。すぐさま取りに行こうとして、こっそり学校に向かったところ

 

 

「あなた達?……何をしているのかしら?…」

 

 

 校門で般若顏の理事長に見つかった。

 

 

 その後、理事長の詰問を何とかかわして許可を貰い無事荷物を回収した一行であったが、理事長が一行の両親に連絡したらしく、こってり絞られて来いという命令が下った。

 

 

 しかし、悠にはさらなる地獄が待っていた。

 

 

「悠くん、今日はウチに泊まりなさい。貴方には話したいことがいっぱいあるから」

 

 

「え?」

 

 突然のことに悠は呆気に取られた。しかし、いくら親戚でもと抵抗するが無駄に終わった。

 

「兄さんと義姉さんにはちゃんと許可を取ったから大丈夫よ。明日は土曜日だし」

 

「いや、ちょっと」

 

「…異論は認めないわ……それに、貴方のお泊まりセットはちゃんとここにあるから」

 

 と、いつの間にか傍に置いてあったボストンバックを指差す。

 

「え?……どうして」

 

「兄さんに頼んで持ってきてもらったの。あの人私に頭が上がらないから♪」

 

「………」

 

 もはや完全に逃げ道は塞がれた。『異議あり!』の異の字も唱えられないほどの完璧っぷりである。

 

「さぁ…覚悟は良いかしら?」

 

 綺麗な笑顔で雛乃はそう言うが、目が笑っていないので恐怖しか感じない。

 

「は、はい………」

 

 そういえばいつか父親が言っていた。『雛乃を怒らせることは死を意味する』と。

 

 

  その後、前述の通り南家で夜遅くまで雛乃の説教を受けた悠とことりであった。

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ」

 今日は散々だったと悠は思った。久しぶりのペルソナ召喚に、雛乃の説教を食らった悠はもうヘトヘトでだ。悠は今単身赴任で遠くにいるということりの父親の部屋を貸してもらい、布団を敷いて眠りについた。疲れきったせいか部屋に入ってきた侵入者の気配に気付けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どこからかピアノの音が聞こえる。このメロディはと思い、目を開けると見慣れた場所に居た。まるでリムジンの車内を模した青白い空間に、奥にどっしりと座っている奇怪な長い鼻の老人とその傍らにいる秘書らしき銀髪の美女。

 間違いない、ここは去年の事件を解決するために何度も世話になった【ベルベットルーム】だ。

 

 

「ようこそ、我がベルベットルームへ。お久しぶりでございます、お客人」

 

 

 この見た目に反して声が高い長鼻の老人の名は『イゴール』。このベルベットルームの主であるが、彼が何者なのかは今だに分からない。

 

「そうだなイゴール。もう来ることはないと思ってたけど」

 

「フフ…また災難に遭われたようですな。相変わらず面白い定めをお待ちで」

 

「ほっとけ」

 

 悠がそう言うと、イゴールは不敵に笑いながらこう言った。

 

 

「もう気付いていらっしゃると思いますが、貴方はまた大きな謎に直面しております。それはこのタロットによる占いが物語っておりました」

 

 

 と、イゴールはテーブルの上で腕を払う。すると、瞬く間に複数のタロットカードが出現した。

 

「先日また貴方の未来を占ったところ、驚くべき結果が出ましてな……近い未来は"塔"の正位置、その先の未来は"月"の正位置だったのです。これは初めて貴方とお会いした時と同じ結果でした……フフ…実に面白いですな」

 

 そう笑うイゴールに、悠は冗談じゃないと思った。

 確か、"塔"の正位置は"災難"を表し、"月"の正位置は"迷い"と"謎"を表すカードだったか。あのマヨナカテレビを見たときから薄々感じていたが、自分はどこに行っても災難に巻き込まれるのかと悠は溜息をついた。

 

 

「先日お客様は悪夢をご覧になりましたかな?」

 

 悠が己の状況を憐れんでいると、唐突にイゴールがそう聞いてきた。

 

「悪夢?………もしかして」

 

「そう…何者かが貴方を襲い、チカラを封じた夢。あれは真のことでございます」

 

「……やっぱりそうか。じゃあ俺があの世界でイザナギしか使えなくなったのもそいつのせいか?」

 

 

「ご名答でございます。その者のせいで、貴方のペルソナ全書が凍結していました」

 

 

 そう口を開いたのはイゴールの傍にいる銀髪の美女『マーガレット』だった。

 

「凍結?」

 

「ええ。ペルソナ自体は貴方の中に存在しています。しかし、そのペルソナ達に鎖がかかったような状態になっているのです。幸いイザナギだけは難を逃れましたが」

 

 道理でイザナギ以外反応しなかったのかと悠は納得した。ではこれからはイザナギだけで戦わなくてはならないのかとマーガレットに聞く。すると、

 

 

「あら?聞こえなかったかしら?私は『していた』と言ったのよ」

 

 

 ー『していた』?過去形ということはまさか

 

 

「そう、先ほどまたペルソナ全書を確認したら、不完全だけど解放されていたアルカナがいくつかありました。これには私もびっくりしたけど」

 

 どういうことだ?悠はそうマーガレットに聞くと

 

「それはこれのお陰でしょうな」

 

 マーガレットではなくイゴールがそう答えると、悠の目の前に小さな青い光の玉が出現した。これは何だと聞くとイゴールはまた不敵に笑った。

 

 

「それは貴方が本日手に入れた"女神の加護"でございます」

 

 

 "女神"?………もしかして、海末がペルソナを覚醒させた時に自分の中に入ってきたあれか?とイゴールに聞くと

 

「おっしゃる通り……それには貴方にかかった呪いの鎖を砕く力が秘められておりました。どうやら今回の貴方の旅は、"女神"たちが重要な鍵となることでしょうな」

 

 鍵?どういうことだと、悠は聞こうとしたが

 

「そろそろ時間でございます。今日は貴方様と久しぶりに話ができて良かった」

 

「では、また会うときまで……ご機嫌よう」

 

 時間が来てしまったらしくイゴールとマーガレットがそう言うと、悠の視界が暗転して意識がなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 〈翌朝 南家 〉

 

 チュンチュンッ

 

 鳥の鳴き声が聞こえる。どうやら朝のようだ。

 悠は目を開け、携帯で今の時刻を確認しようとする。しかし、何か違和感を感じた。やけに身体が重いような。それに布団が少し膨らんでいる。

 

「ん?」

 

 布団を開いて確認すると、悠は絶句した。何故なら布団の中でパジャマ姿のことりが悠の身体にに抱きついて寝ていたからだ。

 

「ん……お兄ちゃん…おはよう……」

 

 悠の声に目が覚めたのかことりが声を掛けてきた。とりあえず悠は冷静を保って話を聞くことにした。

 

「おはよう……ことり、何でいるんだ?」

 

「んん?……久しぶりに…お兄ちゃんと寝たくて……」

 

 答えになってない。流石にこの事態は悠も想定外だった。ことりはパジャマなのでさっきから腕に成長の証である柔らかいものが当たってるし、いつもと違って髪を下ろしているので一段と可愛く見える。結論を言うと理性的にマズイ。

 

「でもぉ、今日は学校ないし……まだこのままで居たいなぁ♪」

 

 ことりは甘えるようにそう懇願するが、そんなことはできない。小さい時ならまだしも、現在2人は思春期真っ只中の男女なので流石に色々とマズイ。間違いが起きる前にお引き取り願おうと悠は決意した。

 

「あのな…ことり、お前も年ごろなんだから、もうちょっと配慮を」

 

 すると、ことりはさらに身体を密着させて上目遣いで悠を見つめ

 

 

 

「お願い♪」

 

 

 

 と、甘い声で囁いた。

 

 

 その破壊力は里中の【ゴッドハンド】に匹敵していた。悠はなす術もなくことりのお願いを承諾してしまいそうになったが、何とか食いしばり部屋から脱出することに成功した。しかしその様子を雛乃に目撃されてしまい、昨日と同様説教を食らったのであった。

 

 

 

 

 

 

 朝の一悶着あった後、穂乃果と海未が南家にやってきた。2人はどうやら話があってきたらしい。

 

「こんにちは!お邪魔します!ことりちゃん………」

 

「お邪魔しますよことり………」

 

 リビングに入った途端、目の前の光景に驚愕した。そこには、雛乃の説教を受けて灰になった悠とことりがいたからだ。

 

「こ、ことりちゃん!どうしたの?それに…鳴上先輩まで!」

 

「あ〜穂乃果ちゃんと海末ちゃんだ〜久しぶり〜」

 

「久しぶりじゃないないですよ!何があったんですか!しっかりして下さい!」

 

「お、思い出すと……寒気が………」

 

 

 朝から騒がしい面々であった。ちなみに雛乃はその様子を見て仕事に出かけて行った。

 

 

 

 

 

 閑話休題

 

 

 

 

 

「それで、今日はどうしたんだ?」

 

 何とか灰から戻った悠は穂乃果たちにそう聞く。

 

「あ、あの……海未ちゃんとことりちゃんと鳴上先輩に……聞いて欲しいことがあるんだ」

 

 最初は歯切れが悪かったが、真剣な表情をつくり穂乃果は3人に言った。

 

 

「改めて3人にお願いします!私と一緒にスクールアイドルやって下さい!」

 

 

 そう言うと、穂乃果は3人に勢いよく土下座した。

 

「ちょっ、穂乃果!頭を上げてください!」

 

「穂乃果ちゃんどうしたの!!」

 

 海未とことりは穂乃果の行動に慌てたが、悠は冷静に成り行きを見守っていた。

 

「私…昨日海末ちゃんの本音聞いて……自分って勝手だなって思ったの………正直…こんなお願いする立場じゃないって分かってるけど…でも……」

 

 穂乃果は頭を下げながら、ポツポツと自分の思いを語った。

 

 

「何言ってるんですか?私はやりますよ」

 

 

 海未が穂乃果を見つめてそう返した。

 

「……え?…海末ちゃん……」

 

 穂乃果は海末の言葉に驚いたのか頭を上げて海末を見た。それを見た海末は笑顔をつくり穂乃果に言った。

 

「本音と向き合ったのは私です。あの後、私は考えを改めました。自分に素直じゃ無いといけないって。先日はあの通り拒否しましたが、今は違います。」

 

 海末は一呼吸おいて改めて告げる。

 

 

「私もスクールアイドルをやりたい。いえ、穂乃果と一緒にやりたいです」

 

 

「う、海末ちゃん……」

 

 おそらく穂乃果は断られると思ったのだろう。自分の予想に反した海末の言葉に穂乃果は目に涙を浮かべた。

 

 

「私もやるよ!穂乃果ちゃん。私も穂乃果ちゃんと海末ちゃんとスクールアイドルやりたい!」

 

 

 今度はことりが穂乃果に自分の思いを告げる。

 

「ことりちゃん……」

 

 

 穂乃果はあまりの嬉しさにとうとう涙が溢れてしまった。

 

「良かったな、高坂」

 

 と、今まで無言だった悠が穂乃果に微笑みながらそう言った。

 

「もうお前は1人じゃない。1人で背負っていく必要はないんだ」

 

「鳴上先輩……うん!」

 

 

 

「ところで、お兄ちゃんはどうするの?」

 

 嬉し泣きをする穂乃果に代わってことりが悠に答えを聞く。もちろん悠の答えは決まっている。

 

 

「女装には自信がある。問題ない!」

 

 悠はキメ顏でそう言った。

 

 

「「「…………………」」」

 

 突然の悠の爆弾発言に穂乃果たちは沈黙してしまった。悠はボケのつもりで言ったのだが、大抵の人には通じない。

 

「……ハッ!も、問題大アリです!何言ってるんですか!!先輩は!!」

 

「だ、ダメだよ!お兄ちゃん!!男の人はスクールアイドル出来ないからってそれは駄目だよ!!」

 

 我に返った海末とことりは悠に鋭くツッコんだが

 

「鳴上先輩が女装………良いかも…?」

 

「「穂乃果(ちゃん)!!」」

 

 穂乃果が悠のボケを真に受けてしまった。このままでは収拾がつかないので、悠は冗談だと訂正した。しかし、海未からは冗談が過ぎます!と本気で怒られ、ことりからは無言+ジト目で睨まれて胃が痛くなったので、これからは女装ネタは封印しようと心に決めた。

 

 

 

 

 閑話休題

 

 

 

 

「まぁ、俺も高坂たちのスクールアイドル活動に協力する。男だからマネージャーとかになるだろうが何だってやるさ。受験生だけどな」

 

 みんなが落ち着いたところで悠はそう返答した。

 

「鳴上先輩……ありがとう!!」

 

 悠が協力してくれると分かって穂乃果は笑顔になった。

 

「俺も廃校は嫌だからな。出来る限りのことはする」

 

 悠はそう締めくくり、早速これからの活動について話し合おうと思ったが

 

 

「それはそうと鳴上先輩……」

 

 海未が神妙な顔をして悠に尋ねてきた。

 

「どうした?」

 

 

「改めて、昨日は私たちを救っていただきありがとうございました」

 

 

 と、今度は海末が悠に頭を下げた。

 

「別にたいしたことはしていない。自分の本音と向き合ったのは園田自身だろ?」

 

「いえ、私が本音と向き合えたのは穂乃果や鳴上先輩のおかげです。それだからこそ、知りたいんです……」

 

 海末は頭を上げ、悠の目をしっかり見てこう言った。

 

 

「あの世界のことを教えてください」

 

 

 やはりそうかと悠は思った。昨日テレビの中から帰還する途中で色々3人に詰問された。しかし、クマ特製の眼鏡を掛けていない3人の霧の影響が心配だったので言葉を濁した。

 穂乃果とことりの方も見ると、『私も知りたい』という目をしていた。良いタイミングかと思い、悠は話すことにした。

 

「ちょっとキツイ内容になるかもしれないがいいか?」

 

 と、釘を刺して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 穂乃果たちは黙って聞いていた。

 悠が去年八十稲羽で遭遇した奇妙な連続殺人事件。それに関係していたマヨナカテレビ。真犯人の思惑。そして、またこの地で同じことが起きようとしていること。

 年頃の女子高生には少々刺激が強すぎるかと思ったが、それでも悠は伝えなければならないと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鳴上先輩……」

 

 全てを聞き終えた海未は、真剣な表情で悠に話しかけた。

 

「どうした?」

 

 

 

「私たちにも、犯人探しに協力させて下さい!」

 

 

 

「え?」

 

 海末の予想外の発言に悠は驚いた。

 

 

「鳴上先輩の話によると、また私たちのような被害者が出るかもしれないんでしょう。だから、私は犯人をこの手で捕まえて罪を償わせます!だから、私たちにも犯人探しを手伝わせてください!」

 

 

 海未は悠の目を真っ直ぐに見てそう言った。

 

 

「私も!スクールアイドルも大事だけど、これ以上私たちと同じことを繰り返したくないもん!私も犯人さがす!!」

 

「私も……その犯人を許せないし、お兄ちゃんたちとならできる気がするから!お願い!!」

 

 穂乃果もことりも悠を真っ直ぐ見つめてそう言った。

 

 ー3人から堅い決意を感じる

 

 悠は不意に去年のことを思い出した。

 陽介の殺された小西先輩の為に犯人を捕まえると覚悟を決めた時の目。

 里中の天城を必ず助けると覚悟を決めた目。

 直斗の必ず事件を解決すると覚悟を決めた目。

 

 穂乃果たちはそれらの時と同じ覚悟を決めた目をしていた。

 

 

「……分かった」

 

「「「え?」」」

 

「俺も3人が手伝ってくれたら心強いと思ってたんだ。これから厳しいことがたくさん起こるかもしれないが、よろしく頼む」

 

 悠は3人を真っ直ぐ見つめてそう言った。

 

「鳴上先輩……ありがとうございます!」

 

「お兄ちゃん、ありがとう!!」

 

「よーし!これから私たちは仲間だね!」

 

 3人も悠から仲間と認められて、とても嬉しそうにしている。そして、穂乃果は立ち上がってこう宣言した。

 

 

 

 

 

 

「みんな!絶対スクールアイドルになって廃校を阻止して、犯人を捕まえるぞ!」

 

「「「おー!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 ー3人との絆が深くなった気がする。

 

 

 ピキッ

 

 

 突如、悠の頭の中に何が割れるような音がした。その瞬間体が少し軽くなったような気がした。

 

「あれ?」

 

 悠にそんなことが起こっていると、穂乃果も間の抜けた声を上げた。

 

「どうしたんだ?高坂」

 

「いや、今みんなと掛け声をしたら体がぽっと熱くなった感じがして………気のせいかな?」

 

「穂乃果ちゃんも?実は私も……さっき体が少し熱くなった感じがしたの」

 

「え?そうなのですか?私は何も感じませんでしたが」

 

 どうやらことりも感じたらしいが、海未はそんなことはなかったらしい。悠はおそらく穂乃果たちと絆が深まったことにより、イゴールが説明した呪いの鎖が少し切れたのだろう。しかし、穂乃果たちの現象は現時点では悠には分からなかった。

 

「まぁいっか!それよりみんな、早速作戦会議を」

 

 

 

 ギュルルルル〜〜〜〜

 

 

 

「お、おなか……減った……」

 

 と、穂乃果はお腹を抱えてテーブルにうつ伏せになった。

 

「「「…………」」」

 

 時刻を見ると、午後12時前。どうやら昼飯どきのようだ。

 

「じゃあ、とりあえず昼ごはん作るか」

 

 と、悠は腰を上げてキッチンへ向かう。

 

「お、お兄ちゃん。私も手伝うよ」

 

「わ、私も手伝います」

 

 ことりと海未も穂乃果を置き去りにしてキッチンへ向かった。

 

「あ〜!みんな置いてかないでよー!」

 

 仲間はずれはイヤなのか穂乃果も3人の後を追っていった。

 

 

 最後まで締まらなかったが、これでようやく彼、彼女らはやっとスタートラインに立った。物語はこれから始まるのである。

 

 ーBeauty of destiny……

 

 どこからかそんな歌声が聞こえてきた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

another view

 

 私はいつもの時間、いつもの部屋でいつものことをしていた。手元には愛用のカードがある。

 

「"塔"の正位置……………………"月"の正位置…………」

 

 やはりかと私は思った。彼はまたこの運命に遭うのか。さて、この運命を彼はまたひっくり返せるか……

 

 楽しみだね、鳴上悠くん。私の………

 

 

 

to be continuded

 

 

 




Next Chapter
「もう…疲れたー!」

「何で俺まで」

「曲どうしよう」

「認められないわ!」

「証明してみせる」


「貴方のこと、嫌いだわ」


Next #06「The way of First Live」

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