PERSONA4 THE LOVELIVE 〜番長と歌の女神達〜   作:ぺるクマ!

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また、前回よりも長く書いちゃいました。というか色々詰め込み過ぎました。また、今回登場するキャラクターの口調がおかしいところがあるかもしれませんが、ご容赦下さい。

新たにお気に入りに登録して下さった皆様、ありがとうございました。文章に誤字脱字などありましたら報告してくださると助かります。質問も受け付けますよ。

こんな拙い作品ですが、これからもよろしくお願いします。
それでは、本編をどうぞ。


#02 「School idol?」

 

  その後、職員室にて自分のクラスの担任を紹介された。名前は『三島 美江子』という女性の先生だ。

 

「君が鳴上くん?理事長から話は聞いてるわ。担任の三島です。今年1年間だけだけどよろしくね。」

 

  良い先生だなと悠は思った。八十稲羽では『腐ったミカンが〜』が口癖だったモロキンや、ある意味強烈な印象を持った柏木が担任だったのでこれ以上濃い先生は勘弁と思っていた。

 

「じゃあ悠くん、私は仕事に戻るわ。これからの学校生活頑張ってね。」

「はい。叔母さんも」

「さあ鳴上くん、教室へ案内します。みんな待ってますよ。」

 

  雛乃と別れ、悠は担任と一緒に職員室を後にした。すると、何やら視線を感じた。

 

(ん?)

 

  悠は視線が感じる方へ目を向けるが、誰も居なかった。

 

「どうかしましたか?」

「いえ、何も。」

 

  さっきの視線は何だったのだろうか?悠はそのことを考えつつ、担任と教室へ向かった。

 

 

 

 

 

 

another view

 

  あいつだ。間違いない。

  私は何度もスマホの画像を見て確信した。あの髪、あの顔。どう見てもあいつだ。

  よし、何とか昼休みにはコンタクトを取ろう。何としても、あいつからあの情報を引きずり出さなくては……

 

 キーンコーンカーンコーン

 

  あ、まずい。チャイムだ……

 

 

another view out

 

 

 

 

 

 

 

 

〈3年C組教室〉

 

「はーい、みんな。こんな時期だけど転校生を紹介するわよ。」

「先生!それは男子ですか?女子ですか?」

「男子よ。入ってきて頂戴。」

 

  三島先生の合図と同時に悠は教室へ入った。驚いたことに、クラスは殆ど女子で埋め尽くされていた。よく見ると男子は5,6人居るか居ないかだったが。

  クラスの女子は悠を見るなり黄色い歓声を上げた。

 

「あの人超カッコ良い!」

「イケメン!」

「真面目そう!」

「チッ。イケメンかよ。」

「だが、男が増えることは良い事だ。仲間が増える。」

 

  後半2人の発言に関してはそっとしておこう。悠はチョークを持って黒板に名前を書き始めた。

 

「え〜と、彼は1年生のときはここの生徒でしたがご両親の仕事の都合で去年別の高校に転校していました。そして、今日またここに転校をしてきたそうです。このクラスの中で彼と1年生の時に仲良くしていたひとがいれば、また仲良くしてあげて下さい。」

 

  三島先生がそう言い終えると同時に、悠は名前を書き終えクラスのみんなの方を向いた。そして、軽く深呼吸して自己紹介を始めた。

 

 

 

「こんにちは、鳴上悠です。好きなものは肉丼と菜々子の卵焼き。嫌いなものはありません。趣味は料理と家庭菜園にプラモづくり、そしてチェンジと合体です。よろしくお願いします。」

 

 

 

  悠は澄ました顔で自己紹介したが、クラスのみんなは沈黙した。いや困惑した。

 

(奈々子って誰?彼女?)

(チェンジと合体って何?趣味なの?それ)

(鳴上くんって……不思議くん?)

(おい!奈々子って誰だ!)

(やっぱり彼女か?彼女なのか!このヤロー)

 

  みんなの反応は様々だ。後半の2人に関しては目が殺人鬼のようになっている。

 

 

「質問があれば、どうぞ」

 

(((((質問して良いのかよ!)))))

 

  クラスが一つになった瞬間であった。

 

 

「はい!奈々子って誰ですか?」

「俺の可愛い妹のことだ」

「えっ!鳴上くんってシスコン?」

「よく言われる」

 

「はい!チェンジと合体って何ですか?」

「ノーコメントで」

「………………」

 

「はい!彼女はいますか?」

「居ません」

((うしっ!))

 

「はい!鳴上くんって料理が趣味って言ってたけど、得意料理は何ですか?」

「嗜む程度だが、コロッケに茶巾寿司だ」

「すご〜い。」

「ありがとう」

 

 

  こんな感じで、悠への質問タイムが続いていった。

 

 

「はい!……え〜と」

「質問時間は終了だ」

「えーー!何でよ!」

「そろそろ始業のチャイムが鳴るから」

 

  時計を見ると質問時間が予想以上に長引いたため、始業まであと1分切ったところであった。締めるところは締める。濃いメンバーが多くいた自称特別捜査隊のリーダーを務めたことで磨かれた統率力は伊達じゃない。

 

「オホン。まぁこんな彼ですが、みなさんよろしくお願いします。じゃあ鳴上くん、あそこの空いてる席に座って」

 

  空気になりかけていた三島先生がそう仕切り直し、悠は指定された席に座った。そして、悠が座ったと同時にチャイムが鳴った。

 あとから聞いたとこによると、その時悠はとても満足気な顔をしていたという。

 

 

 

 

 

 

<休み時間>

 

 クラスで一つの紛争が勃発していた。

 

「鳴上は俺たちの仲間にはいるんだぞ!」

「そうだ!」

「何いってんの!鳴上くんは私たちと一緒にお話するのよ!」

「そうよ!そうよ!」

「あんた達と鳴上くんを一緒にしないで!」

 

  あの衝撃の自己紹介で興味を持ったのか、悠の周りにクラスのみんなが集まったのだ。しかし、このクラスは男子と女子の仲が悪いらしくこうして悠の取り合い合戦が始まった訳であるのだが。

 

「鳴上は俺たちの仲間になるよな!」

「俺たちと一緒に【漢】を語ろうぜ!」

「鳴上くん!私たちとお話したいよね!」

「妹さんのこと教えてよ!」

「料理おしえて!」

 

  そんな一気に問いかけられても困る訳で、悠は心でため息を吐いた。とりあえず、トイレに行きたいと言って逃げることにした。

 

 

 

 

 

「ハァ」

「ホンマ大変やったね、鳴上くん」

「え?」

 

  トイレからもどる途中ため息を吐いたとき、知らない少女に話しかけられた。その少女は紫がかったロングヘアを左右に分けてシュシュで結んでいて、どこか母性を感じるような雰囲気を持っていた。特に目が行くのが…

 

(胸がでかいな……天城や直斗より大きいのか?)

 

  八十稲羽で出会った女性の中で特別捜査隊のメンバーである天城雪子や白鐘直斗は周りに比べてそれなりのものを持っていたが、目の前の少女はそれを越している。

 

「どこ見とるん?」

 

「いや!……何も…」

 

  悪戯っぽく微笑む少女を見て悠は珍しくたじろいでしまう。悠だって健全な男子高校生なのだ。

 

「あはは、相変わらずやな。鳴上くんは」

 

「え?……俺を知ってるのか?」

 

「あれ?鳴上くんはウチのこと覚えてへんの?」

 

「え〜と……」

 

  悠は言葉に窮してしまう。頭の記憶を探ってみてもこの少女に覚えはなかった。

 

 

「まぁええわ……覚えてないのは仕方ないかもしれんし」

「え?」

「それより鳴上くん、これあげるな」

 

 と、少女は右手に持ってた包みを悠に差し出した。

 

「えっと、これは?」

 

 

「お弁当。鳴上くん今日弁当ないんやろ?女の子に全部あげたから」

 

 

「なっ!………どうしてそれを」

 

「ほな、授業が始まるさかいまたな」

 

  そう言って、少女は去って行った。

 

(何で彼女は俺が今日弁当がないことを知ってたんだ?)

 

  そう思い、少女から渡された弁当の包みを見ると、メモが挟んであるのを発見した。メモを見てみるとこんな事が書かれてあった。

 

 

《昼休みに鳴上くんに小さい子が訪ねるから気をつけてな。明日弁当の感想聞かせて。 東條希》

 

 

  内容からして予言書みたいな感じだった。

 

(昼休みに小さい子が?……どういうことだ?それに………東條?あいつの名前か?……どこかで聞いたような……)

 

 

 キーンコーンカーンコーン

 

「急ぐか」

 

 

 

 

 

 

 

 

<昼休み>

 

  またクラスの男子と女子が悠と一緒にご飯を食べることについて紛争が勃発したが、悠の『今日はちょっと1人で食べたい』という発言により紛争は鎮圧した。悠は八十稲羽に居た時、よく陽介たちと屋上で昼飯を食べていたので今日も屋上で弁当を食べることにした。東條からもらった弁当を片手に屋上を目指して階段を登ろうとすると

 

 

「見つけたわよ!」

 

 

  階段の上から少女の声が聞こえてきた。

  またか、と思いつつ階段の上を見上げると、そこには黒髪のロングヘアを耳の上部の位置に赤いリボンで結んだツインテールのロリッコ系少女が仁王立ちしていた。つまり、この少女が東條が言っていた

 

「小さい子か」

「誰が小さい子よ!私はアンタと同じ高3よ!」

 

  悠の発言に少女は激怒する。そう言っているが、どこからどう見ても身長は小学生並みに低い。よく小学生と間違われてるんじゃないかと悠は思った。

 

「アンタ、失礼なことを考えてたでしょ」

「ビンゴ」

「さらっと肯定すんな!」

「否定して欲しかったのか?」

 

  悠は悪戯っぽく微笑む。

 

「えっ!……いや、別に……そういう訳じゃ。」

 

「ならOKだ。」

 

「全然良くない!………それはともかく、アンタ今日来た転校生で間違いないわね。」

 

「嗚呼。3年C組の鳴上悠だ。」

 

「……3年B組の矢澤にこよ。アンタ八十稲羽から転校してきたんだってね。」

 

「なっ!」

 

  これは悠も驚いた。クラスのみんなには八十稲羽から転校してきたということは言ってないのに、何で他クラスの彼女は知っているのか?

 

「じゃあ、鳴上。今からわたしに付き合いなさい。」

 

「え?…いや、俺は」

 

「ついてきなさい。」

 

  矢澤の目は『逃がさない!』と言っているように見えた。ここで拒否しても面倒くさそうなので、悠はついていくことにした。

 

(東條のメモは当たったな……何者なんだ?)

 

  悠は心のなかでそう思った。

 

 

 

 

 

 

〈とある部室〉

  着いたのはとある部室であった。その部屋の特徴を言えば、『アイドル一色』と言った感じである。壁には様々なアイドルのポスターが貼られており、棚にはいかにもレア感があるようなグッズが満載であった。

 

「さて、早速洗いざらい吐いてもらうわよ。」

 

  部室に入って早速、にこはそう言った。部屋の雰囲気に反して、2人の周りにはまるで取調室のような雰囲気が流れていた。

 

「あの、矢澤…」

「何?」

「俺……何かしたか?」

「……まだ、トボけるつもりなのね」

「いや、何が何だか……」

「ふざけないで!アンタは知ってるはずよ!」

 

  何故か別れる寸前のカップルみたいになっているが、にこは指を指してこう言った。

 

 

 

 

 

「りせちーの素顔について!!」

 

 

 

 

「え?」

 

  予想外のことで、悠は惚けた顔になった。

 

「え?ってアンタ、りせちーと知り合いでしょ!」

 

「いや、そうだけど……」

 

  りせちーとは『久慈川りせ』という人気アイドルであり、悠にとっては知り合いというか大切な仲間の1人である。彼女は去年突然アイドルを休業し、祖母のいる八十稲羽に引っ越したところ、悠と出会ったのだ。あの八十稲羽での出来事を経て、今年の春から復帰するとは言っていた。

 

「何で、俺がり……りせちーと知り合いって知ってるんだ?」

「これよ」

 

 と、にこが自身のスマホが見せてきた。するとそこには、八十稲羽でジュネスのイベントで仲間達とバンドをやった時の動画が流れていた。そこに、ボーカルを務めるりせと後ろでベースを演奏している悠の姿がバッチリ映っていた。ついでにギターの陽介も。

 

 

「………なるほど」

 

「そう。アンタ、りせちーと仲いいんでしょ。これを見る限り。」

 

「りせちーのこと、好きなのか?」

 

「そうよ!何てったって、りせちーは私をアイドルの道に導いてくれた憧れのアイドルの1人なんだから!」

 

 と、にこは明るい笑顔でそう答えた。なるほど。相当りせのファンのようだ。改めてりせの凄いを感じたと悠であった。

 

「本当はこのライブ行きたかったんだけど、場所が場所だし、お小遣いもそん時足らなかったから……」

 

「それは残念だったな……それで、ここに俺を連れてきたのは、もしかして……」

 

 

「そう!八十稲羽でりせちーがどんな風だったかをアンタから聞き出すためよ!」

 

  にこはキメ顏でそう言った。

 

 

 

「そんなことまで知りたいのか?」

 

「当然よ!ファンなら誰でも聞きたがるわ。」

 

「そんなものなのか?」

 

「そんなもの。現地に行きたくても時間もお金も無いし、困ってたとこなんだけど。」

 

「そこに、俺がやってきたと。」

 

「そう!さあ、分かったんだったらさっさと吐きなさい!」

 

  そんな尋問みたいにしなくても……まぁある程度話すことなら良いが、その前に

 

「矢澤。話すのは別に良いけど、その前に」

「その前に?」

「お腹減ったんだけど……」

「…………」

 

 

 

 

  その後東條のご飯を食べながら、にこにりせのことについて根掘り葉掘り聞かれた。単純に日頃どんなだったかは説明したが、異常に懐かれたことは伏せておいた。こんなことを言ったら、どうなるかわかったもんじゃない。悠はジュネスのイベントでのファンの様子を思い出してそう思った。

  にこの質問に答えている途中、

 

「そういえばアンタその弁当箱、中々洒落てるじゃない。」

 

  にこが悠の持っている弁当箱を見てそう言った。

 

「ハイカラだろ?」

「いや、そうじゃなくて。どっかで見たことあるなぁと思って」

 

  にこは、悠の弁当箱が気になるようだ。

 

「実はこれ、俺のじゃないんだ」

「は?」

「今朝ある事情で弁当無くして。休み時間に東條って女の子に貰ったんだけど」

 

「!!」

 

  『東條』の名前が出た途端、にこの顔が険しくなった。

 

「ん?どうしたんだ?」

「……何でもない」

 

  素っ気なく返事するにこを見て、これ以上追求するのはやめた。何故かは知らないが2人には何か『訳あり』というものがあるらしい。そこに土足で踏み込もうとするほど悠も無神経ではない。

  それにしても、あの東條という少女は何者なのか?悠はそれだけが気掛かりだった。

 

 

 

 

 

〈音乃木坂学院 校門前〉

  そうして無事にこの質問攻めから解放され、時は経ち放課後。悠は校門の前に立っていた。何故かと言うと、にこを待っているからである。何故そうなったかは、あの昼休みににこの質問攻めが終わった後のことが原因である。

 

 

 〜回想〜

 

『中々面白い話が聞けたわ。感謝するわよ鳴上』

 

『それはどうも』

 

『それでね鳴上。アンタにお礼したいから今日の放課後校門で待ってなさい』

 

『は?』

 

『お礼に秋葉原で良いもの見せてあげる』

 

『良いのか?』

 

『何?不満なの?この可愛いにこちゃんがお礼してあげるって言ってんのよ!』

 

『不満じゃない。嬉しいよ』

 

『うぇ!!』

 

『可愛いにこちゃんのお礼なら喜んで』

 

『ちょっ、ちょっと!……何言ってんのよ!』

 

『ん?どうした?』

 

『何でもない!とりあえず、今日の放課後校門で待ってなさい!いいわね!』

 

 〜回想終了〜

 

 

  にこもにこだが、悠も悠である。悠はこういう天然なところがあるので、八十稲羽でも知らず知らずのうちに結構女子にフラグを立てていた。タチが悪いことにそのことは悠本人は気づいてない訳で、相棒である陽介はそこのところには呆れていたものであった。

 

 

「待たせたわね」

 

  色々考えているうちに、にこが校門にやってきた。

 

「いや、そんなに待ってないぞ」

 

「そう。さっ、行きましょ」

 

 と、2人は秋葉原を目指して歩き出した。

  ちなみにその光景を端からみた音乃木坂の生徒は、驚きを隠せなかったという。今日やってきたばかりの転校生がいきなり音乃木坂の制服を着ている小さい少女と帰宅しているのだから。これにより、悠のクラスの女子の間では『やっぱり鳴上くんってロリコン?』という仮説が立ち、男子共は『鳴上の裏切り者ー!』と叫んだという。

 

 

 

 

 

〈秋葉原 UTX学園〉

  2人が着いたのは『UTX学園』という学校であった。何やらその校舎の大画面の前に多数の学生が集まっている。ここに入る前に何故かパンフレットを貰ったのだが、

 

「なぁ矢澤、ここは?」

 

  悠はにこにそう尋ねる。しかし、件のにこは何故かサングラスとマスクを装着していた。

 

「あれ?知らないの?鳴上」

「あ、嗚呼。」

 

  その格好に関してはツッコむまいと悠は思った。すると、

 

「痛っ」

「ん?」

 

  悠の背中に誰かがぶつかってきた。振り返るとそこには、

 

「ごっ、ごめんさない……あっ!鳴上先輩!」

 

  今朝神社の階段で出会った穂乃果がいた。彼女もこの学園のパンフレットをもらっていた。

 

「高坂。今朝ぶりだな」

「うん!って鳴上先輩はどうしてここに?」

「いや、ちょっと」

 

 と、悠が穂乃果に事情を説明しようとしたその時

 

 

 

 キャァァァァァァ!

 

 

 

  突然女子の歓声が上がり、悠と穂乃果はびっくりした。振り返ってみると、大画面にアイドルの衣装を身につけた可愛らしい3人の少女が映っていた。

 

「ホォォォ、すご〜い」

「確かにそうだな」

「鳴上先輩、あの人達知ってる?」

「いや」

「ちょっと!アンタ達、本気でいってるの!」

 

  悠と穂乃果がそんな会話をしていると、にこが怒った顔をして割り込んできた。

 

 

「彼女たちは『A-RISE』よ!『A-RISE』」

 

「「A-RISE?」」

 

「スクールアイドルよ!学校で結成されたアイドルのことよ。聞いたことないの?」

 

「「ない」」

 

「アンタたちね〜〜!」

 

  そんなやり取りをしていると、『A-RISE』と呼ばれた3人の少女達がパフォーマンスを始めた。

 

 

  彼女たちはパフォーマンスは素人の悠から見てもレベルが高いと感じた。聞き入ってしまう美声に、キレのあるダンス。悠はあまりアイドルというものに興味はなかったが、すっかり彼女たちのパフォーマンスに魅了された。こんなことを知ったら、りせは不機嫌になるかもしれないが。

 

 

 

「どうよ、鳴上。最高でしょ?」

 

  しばらくA-RISEのパフォーマンスを聞き入っていると、にこが声をかけてきた。

 

「嗚呼。彼女たちのパフォーマンスは最高だな。」

 

「でしょ!言い忘れたけどスクールアイドルってまだあまり知られてないの。でも、彼女たちはこのレベルの高いパフォーマンスで今や全国でも人気なのよ!」

 

「それは凄いな」

 

  ふと八十稲羽から帰る前に陽介とクマがA-RISEのことについて語っていたのを思い出した。りせも2人の会話を聞いて『私も復帰するなら頑張らなきゃ』と意気込んでいた気がする。

 

「アンタ今日私に会わなかったら、こんな凄いもの見られなかったわよ。この私に感謝することね。」

 

 と、にこはドヤ顔でそう言った。会ったというか連行されたというのが正しいのだが。

 

「嗚呼、感謝してる。ありがとうな、矢澤」

「べ、別に……」

 

  悠の屈託のない感謝の言葉ににこは思わず照れてしまった。そういえばと思い、悠は穂乃果の方に目を向けると、

 

 

 

「高坂?」

 

 

  穂乃果は放心状態になっていた。手に持っていたパンフレットは床に落ちていたが、目はしっかりと『A-RISE』が映っている画面を向いていた。しばらくそんな穂乃果を見ていると

 

「……これだ」

 

「え?」

 

「これだよ!」

 

 そう叫んでから、穂乃果は悠の方を向いてこう言った。

 

 

 

「鳴上先輩!私たちもやろう!スクールアイドル!」

 

「…………え?」

 

 

 

 

to be continuded




Next Chapter
「スクールアイドルやろうよ!」

「女装なら自信がある」

「私はやりません!」

「鳴上くん、知ってる?」

「こ、これは………」

「どこなの?ここ?」

「廃校になった……学校?」


Next #03「I come to here!」

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