PERSONA4 THE LOVELIVE 〜番長と歌の女神達〜   作:ぺるクマ!

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どうも!閲覧ありがとうございます、ぺるクマ!です。

最初に謝っていきますと、また予告詐欺をしてしまいました。というのも執筆を進める中で、やっぱり変更しようということが最近多くなってきたので、またこういうことが起きると思います。ご了承ください。

今回から三年生編というか『にこ』編です。どんな展開になるか考え中ですが、楽しめていただければ幸いです。

最後に、新たにお気に入り登録して下さった方・感想を書いてくれた方・評価をつけてくれた方々、ありがとうございます!読者の皆様の感想や評価、そしてご意見が自分の励みになってます。
皆さんの応援のお陰でお気に入り件数が600を突破しました!
まだまだ未熟で拙い作品ですが、これからも皆さんが楽しめる作品を目指して精進して行きます。応援よろしくお願いします。

それでは、本編をどうぞ!


#18「Niko raid on heros.」

ーここはどこだ?

 

 気づけば悠はどこかの学校の正門に立っていた。視界はぼんやりとしていてハッキリ見えないが、どこかで見たことがあるような校舎であった。ここがどこであるのか確認しようとすると、

 

 

「悠くん!」

 

 

 ふと後ろから女の子の声が聞こえてきた。見てみると、そこに髪の長い女の子がいた。顔はぼんやりとしていてよく見えない。この子は一体?

 

「ごめんね!先生から色々頼まれてて」

 

「あ、ああ。別に……待ってなんて…」

 

「ほら、帰ろう。随分待ってたんでしょ?」

 

 女の子はそう言うと、悠の手を引っ張って帰路に立った。しばらく二人で並んで他愛ない話をする。授業のこと、給食のこと、掃除当番のことなど今日起こったことを楽しそうに話した。

 

(この感じ、懐かしいな……あれ?)

 

 そんなことを思っていると、突然少女は歩みを止めた。どうしたのかと聞くと、少女はふと悠の顔を覗き込んでこう言った。

 

「悠くん……あのね」

 

 少女がそう言いかけた瞬間、視界が暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、我がベルベットルームへ」

 

 

 視界が再び明るくなると、そこには行き慣れたベルベットルームの光景が広がっていた。今日はイゴールだけがおり、マーガレットは居なかった。

 

「フフフ、随分と久しいですな。本日はマーガレットは少々席を外しておりますが、まあごゆっくりと」

 

 しかし、マーガレットがいないとは珍しい。何かあったのだろうか。そんなことを思っていると、突然イゴールがこんなことを聞いてきた。

 

「お客人は先ほど夢をご覧になっておりましたな」

 

 まさにその通りだが、何故知っているのだろうか?

 

「貴方がご覧になっていたのは、おそらく過ぎ去った貴方の過去の記憶でございましょう」

 

 今のが過去の記憶?そんなわけないと思っていると、イゴールは不敵に笑ってこう言った。

 

「ご記憶にないとおっしゃるかもしれませんが、さて、それはいかがでございましょうな?……ヒヒヒ…」

 

 意味深にそんなことを言うので一体どういうことだと聞いてみると、イゴールは悠を見つめ、あることを語りだした。

 

「一つ古い話をいたしましょう。昔、夢を見た男がおりました。夢の中で男は蝶となり、自由に空を遊ぶ楽しみを謳歌しておりました。やがて夢が覚めたとき、男はふと思ったのです。『自分が蝶の夢を見ていたのか、それとも今が蝶の見ている夢なのか』とね。そう、如何なる御仁も己の全てはご存知ない。それでも貴方は貴方であり、夢か現かは己で探すことでございます。特にこの部屋ではね…ヒヒヒ」

 

 言っていることがさっぱり分からなかったが、今のはもしかしたら自分が忘れている記憶かもしれないということか。

 

「さあ、貴方が見たその夢が今後の旅路にどのような影響を与えるのか……見物でございますなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<朝 神田明神>

 

 いつもの朝練。今日は珍しくことりと穂乃果が先に着いていた。悠に気づくと二人とも元気よく挨拶する。

 

「あ!鳴上先輩、おはよう!」

 

「お兄ちゃん!おはよう!」

 

「おはよう。今日も元気だな」

 

 ストレッチをしながら話を聞くと、海未は今日は弓道部の朝練があり、一年メンバーも日直や委員の仕事があるらしいので、今日の朝練はこの3人ということらしい。

 

「そう言えば、今日の海未ちゃん結構声色が良かったんだけど何かあったのかな?昨日まで暗かったのに」

 

「まさか…お兄ちゃん?」

 

「何で俺に疑いが向くんだ」

 

 さて、ストレッチも終わり本格的に始めようかと思ったその時だった。

 

(ん?)

 

 後ろから誰かの強烈な視線を感じた。振り返ってみるがそこには誰も居ない。気のせいかと思ったが、また同じ方向から同じ視線を感じた。

 

「あれ?どうしたの、鳴上先輩?」

 

 何も気づいていない穂乃果は悠にそう訪ねる。

 

「……誰かいる」

 

「え!」

 

「お兄ちゃんも感じた?やっぱりあそこに誰かいるよね」

 

 どうやらことりも同じ視線を感じたらしく、悠と同じく視線が感じた方向を見ていた。

 

「少々思いすぎかもしれないが、高坂とことりを狙っている不審者かもな…」

 

「ええ!」

 

「お、お兄ちゃん…どうしよう」

 

「二人とも俺から離れるな」

 

 そう言う悠の顔はテレビの世界でシャドウと対峙しているときのようになった。こんな朝早くから女子高生に手を出そうとする輩がいたら容赦はしない。ましてや可愛い従妹が目当てなら尚更だ。絶対に死ぬより辛い地獄を味わせてやる。そんなことを思いながら、悠は穂乃果とことりと一緒に追跡を開始した。

 しかし、相手は結構気配を消すのが上手いらしく中々尻尾を掴めなかった。そして、相手が気配を消しながら悠たちに何か仕掛けようとしたその時、

 

 

ーカッ!ー

 

「そこだ!」

 

 

 悠は落ちていたドングリを気配がした方へ投げつけた。

 

「ぐへっ!」

 

 悠の投げたドングリは見事に誰かに命中したようだ。いくら相手が気配を消せる強者でも、テレビの世界で幾つもの死線を超えてきた悠には敵わない。急いで捕縛しようと声がした方に駆け寄ると

 

 

「痛った~!って何すんのよ!!」

 

 

 悠のドングリが顔に当たって悶えているサングラスとマスクを装着し茶色いコートを着た少女がいた。というかにこだった。こんな朝からそんな恰好をして、何をしに来たのだろうか?

 

「こ、この子が…不審者?」

 

「こんな小さい子が?ってあれ?この子どこかで…」

 

 ことりと穂乃果はそれが誰かは分からなかったので、にこの不審者と言われてもおかしくない怪しい恰好に怯えていた。

 

「だ~れが小さい子よ!私はれっきとした高校生よ!というか不審者って何よ!!」

 

 少女は2人に激しくツッコミを入れると装着していたサングラスとマスクを外した。案の定、正体はにこだった。

 

「やっぱり矢澤だったか……」

 

 悠は正体が分かり切っていたので、溜息をつく。

 

「ちょっと鳴上!何よ!その溜息は」

 

 悠のその態度が気に食わなかったのかにこは悠の言葉に噛みつく。

 

「矢澤ならやりかねないと思って…」

 

「だから何を!?」

 

「……ストーカー行為」

 

「ア…アンタ失礼ね!普通女の子にそんなこと言う!?」

 

 そんなこと言っても先ほどの一件や悠とりせを原宿で追いかけまわした前科があるので説得力がない。

 

「とりあえず署までご同行願おうか」

 

「アンタは警察か!」

 

「おれの叔父さんは現職の刑事だが?」

 

「ウソ……くっ!」

 

 穂乃果とことりは話についていけないのか悠とにこのコントを傍観するしかなかった。ことりは、仲が良さそうに見えるのかちょっと不機嫌なオーラを出しているが……しかし、こんなやり取りを続けても不毛なだけなので、悠は率直に聞くことにした。

 

「冗談はそれくらいにして…矢澤、俺たちに何の用だ?」

 

 悠がそう聞くと、にこは不機嫌そうに無言でそっぽを向き始めた。どうやら話す気はないらしい。

 

「………アンタたち」

 

 にこはしばらく黙り込んでいると、悠たちを指さしてこう言い放った。

 

 

「解散しなさい!」

 

 

「「「え?」」」

 

 にこはそう言うと颯爽と去っていった。突然のことだったので、思わず声を失っていたが、結局何をしに来たのだろう?

 

「結局あの人は何がしたかったんだろうね?」

 

「そっとしておこう」

 

「……」

 

 悠とことりはあまり気にしてなかったが、穂乃果はにこの言葉が引っかかったのかしばらくにこの方を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<放課後 音乃木坂学院 廊下>

 

 HR終了後、実力テストの結果の影響かクラスメートのみならず他クラスの生徒からも色々と声を掛けられたので、その対応に追われてしまい、いつもの集合時間に遅れてしまった。指定場所に着くと、すでに悠以外のメンバーが集合していた。

 

「遅いよ、鳴上先輩!みんな待ってたんだよ!」

 

「そうだにゃ!真姫ちゃんなんて鳴上先輩が来ないからずっと不機嫌だったにゃ」

 

「ちょっ!そんな訳ないでしょ!」

 

「え?だってさっき小声で『鳴上さん、まだなの?』とか『鳴上さんが居ないと私」

 

「それ以上言ったら、ぶっ飛ばすわよ!」

 

 真姫は顔を真っ赤にしながらニヤニヤしている凛にそうツッコむ。どこかと仲がよさそうな2人を微笑ましく思いながら、悠は時間に遅れてしまったことを謝った。

 

「すまない、ちょっとな。それより、今日練習するのか?」

 

「当たり前じゃん。何でそんなこと聞くの?」

 

「だって、雨降ってるし」

 

「「「「「「えっ」」」」」」」

 

 穂乃果たちは思わず窓を見てみると、悠の言う通り外は雨が降っていた。これに対して穂乃果は憤慨する。

 

「何で!?さっきまで降ってなかったのに!!それに、今日は降水確率は50%って言ってたじゃん!」

 

「その50%が当たったんですね」

 

 そうは言っても納得しない穂乃果にせがまれて試しに屋上に行ってみる。しかし、残念なことに既に屋上の床は濡れているので、これでは練習はできそうにない。

 

「今日は休みだな」

 

 悠の言葉で皆は納得した様子で帰り支度をはじめようとした。穂乃果はまだ納得できてないようだが、床が濡れているし危ないから仕方がない。そう思った時、

 

「あ、雨が弱まったみたいだよ」

 

 ことりが窓を見てそう言ったので、外を見てみるとことりの言う通り雨がさっきより弱まっていた。すると、穂乃果と凛のおてんばコンビがここぞとばかりに外に出てはしゃぎ始めた。

 

「ほら!これくらいなら練習できるよ!」

 

「よ~し!テンション上がるにゃー!!」

 

 凛は元気が盛り上がってきたのか何かを始めようとする。あの調子だと何かやらかしそうだったので、悠は即刻やめさせるようにした。

 

「お、落ち着け凛!!雨が弱まっても床が似れてるから危な」

 

 

「行っくにゃー!!」

 

 

 悠の制止の声も虚しく、凛は小雨の中アクロバットを始めてしまった。凛のポテンシャルが成せる技なのか、はたまた偶然なのか幸いにも足を滑らして大怪我という事故にはならなかった。しかし、凛がかっこよくポーズを決めた瞬間、急に雨脚が強くなった。にも関わらず

 

「すごーい!凛ちゃん、カッコいい!」

 

「えへへへ~」

 

 穂乃果と凛はまだはしゃいでいる。随分と危ない真似をした上、そんな元気があるとは全く笑えないし呆れるしかない。

 

「お兄ちゃん、穂乃果ちゃんたちどうしよう?」

 

 止められないと察したことりは兄に意見を求める。悠は溜息をついてこう言った。

 

「そっとしておこう。巻き込まれる前に帰るぞ」

 

「鳴上さんに賛成。私も帰る」

 

「私も…ちょっと」

 

「そうですね。あの2人はほっといて帰りましょうか」

 

 悠の返事を皮切りにおてんばコンビ以外のメンバーは早く帰ろうと屋上から去ろうとする。これ以上ここに居たら、自分たちも雨の中に引きずり出されるかもしれないからだ。すると、帰ろうとする悠たちを止めようと、おてんばコンビはずぶ濡れになりながら口々に抗議した。

 

「ちょっと!みんな、帰っちゃうの!」

 

「それじゃあ、凛たちがバカみたいじゃん!」

 

 そう言うと、それに反応した海未と真姫が冷たい態度でキツイ言葉を浴びせた。

 

 

「「バカなんです(だから)」」

 

 

 海未と真姫のツープラトン攻撃に穂乃果と凛は大きなダメージを食らい撃沈した。悠たちは苦笑いするしかなかったが、とりあえず海未と真姫の言霊攻撃に倒れていた2人を引きずって悠たちは早々に退場していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数日後~

 

 

<放課後 秋葉原 ワクドナルド>

 

 放課後、練習を開始しようとしたが今日も生憎の雨だったので練習は中止。故に何もすることがなかったので、μ‘sのメンバー全員で買い食いをしに来ていた。

 

「今日も雨か…」

 

 悠は頼んだバニラシェイクを飲みながら窓を見てそう呟いた。

 

「ええ、天気予報では明日も雨みたいです。しかし、今はまだGW前ですが、梅雨に入ったときのことを考えると、屋上以外の場所も考えないといけませんね」

 

 海未の言う通り、いつまでも雨だから練習中止という状態を続ける訳にもいかないので、そういった場所が必要だ。しかし、そうは言っても体育館とかは他の部活が使っているので、まず無理だろう。とりあえず、明日生徒会に行ってどこか空いている場所がないか聞いてみることにした。そんなことを考えてポテトをつまもうとしていると、

 

「ぶうぅ」

 

 悠の目の前に座っている穂乃果は何故か不機嫌なのか怖い顔で頼んだポテトをやけ食いしている。さっきからこんな調子で正直話しかけづらい。

 

「穂乃果?ストレスを食欲にぶつけていたら大変なことになりますよ」

 

 海未が穂乃果にそう注意するが、穂乃果はやけ食いを止めない。

 

「だって、雨が止まないんだもん!練習できないじゃん!」

 

 どうやら、数日続けて練習できないことに不機嫌になっているらしい。そんなこと言われても何もどうしようもないし、こんなことで不機嫌になるとは、どれだけなのだろうか?

 

「もう!天気も空気読んでよ!まだ梅雨じゃないんだよ!!」

 

 そうは言っても天気は何も変わらないので仕方がない。天気を自在に変えられるなんてそんなの神様しかできないだろう。そんな穂乃果に一同は溜息をついて、各々頼んだものを食していた。穂乃果が少し食い散らかしたせいかテーブルが少し汚れたので手に持っていたハンカチで拭こうとすると、

 

 

「あ!鳴上先輩、何かおしゃれなハンカチを持ってますね」

 

 

 花陽が悠の手に持っているハンカチに目をつけてそう言った。それを聞いた一同はすかさず話題をそちらに持って行った。

 

「本当だ。この模様って花火かな?すごく綺麗!」

 

「確かに…見た目から察するにこれは手作りですね」

 

「夜空っぽい色の布に花火の刺繍、それに風景までって……クオリティ高い!こんなの中々できないよ!」

 

「すごくキレイ……どこかで売ってるのかしら…」

 

「凛もこんなの欲しいにゃ~」

 

 悠の持っているハンカチがすごく穂乃果たちを魅了したようだ。

 

「ああ、これは八十稲羽に居る完二が手拭いの生地を使って作ってくれたものだ」

 

「え……完二って名前からして男の人?」

 

「ああ、俺の後輩だ」

 

 このハンカチの作成者が男だという事実に穂乃果たちは驚愕する。

 

「嘘!男の人でこんなもの作れるの!!」

 

「俺が八十稲羽からこっちに帰る前に完二がくれたんだ。この花火の刺繍はまた皆で八十稲羽の花火を見ようって思いを込めたものらしい」

 

 このハンカチを見る度に夏休みに見た花火大会を思い出す。悠としてはあの花火は大切な仲間や家族と一緒に見た忘れられない思い出の一つだ。今年は去年一緒に見られなかった直斗も一緒なのでより楽しみである。そう語る悠の顔が輝いて見えたのか穂乃果たちはとても羨ましそうであった。

 

「ちなみにこの間、ことりたちに渡した編みぐるみもそいつの手作りだ」

 

「「「ええ!」」」

 

 以前悠から編みぐるみを貰った穂乃果と海未とことりは思わず各々の鞄につけている編みぐるみを手に取る

 

「こ、これも…その人の手づくりなんだ!すごーい!」

 

「うわあ!可愛いです~。見てるだけで癒されます~」

 

「こんな可愛いもの作れるなんて…尊敬しちゃうにゃ!」

 

 穂乃果と花陽と凛は完二作の編みぐるみを絶賛した。もし完二がこの場にいたら大声を出しながら顔を真っ赤にして照れているだろう。しかし、興奮する3人とは反対に、海未とことりと真姫は顔が沈んでいた。

 

「なんというか…すごいのはすごいのですが……逆に女子として敗北感を感じるというか……」

 

「同感…」

 

「ことりも………」

 

 どうやら、八十稲羽の女子陣と同じく完二のあまりの女子力の高さに落ち込んでいるようだ。ことりは洋服づくりを嗜みとしているせいか他の2人より更に暗い。この後、試しに完二の写真を見せてやろうかと思ったが、今この三人に見せると更にダークサイドに落ちそうなのでやめておいた。

 

「ハア~いつかその完二って人に会ってみたいなぁ…ってあー!!」

 

 しばらく完二の編みぐるみに見惚れていた穂乃果が突然自分のトレイを見て叫びだす。それを海未がそんな穂乃果にイラつきながら注意した。

 

「穂乃果、うるさいですよ!周りのお客さんが」

 

「穂乃果のポテトがない!!………鳴上先輩、穂乃果のポテト食べたでしょ!」

 

 確かに穂乃果の頼んでいたポテトがなくなっている。穂乃果は何故か向かい側の席にいる悠に疑いをかけた。

 

「え?俺じゃないぞ」

 

「自分が食べた量も覚えてないんですか?大体鳴上先輩がそんなことするわけないでしょ」

 

「そうだよ。穂乃果ちゃん何言ってるの?お兄ちゃんが盗るのはことりの心だけだよ」

 

 疑いを掛けられた悠とそれを弁護する海未とことりが穂乃果の言い分をバッサリと斬る。ことりの最後の言葉は語弊があるかもしれないが。

 

「それはそうだけど!ってあれ?鳴上先輩のポテトもないよ」

 

「え?」

 

 穂乃果の言う通り、悠の頼んでいたポテトもすでになくなっていた。まだバニラシェイクにしか手をつけてないので量は結構あったはずだったのに、これはどういうことだろうか。すると、みんなの疑いは全てある人物に向けられた。

 

「「穂乃果(ちゃん)?」」

 

「ち、違うよ!穂乃果は何もしてないよ!むしろ被害者だよ!」

 

 その動揺っぷりが逆に怪しいと更に疑いを持たれる穂乃果。一年生組は苦笑いや溜息をつきながら傍観している。これでは流石に穂乃果が不憫なので、悠は仲裁に入ることにした。

 

「落ち着け、2人とも。俺は何も気にして……ん?」

 

 悠が塀で隔てられている隣の席に何か気配を感じたので壁の上から隣の席を見てみた。するとそこには、『魔女探偵ラブリーン』の格好をしてむしゃむしゃとポテトを食べている少女が居た。というかその少女には見当がついたので、悠は溜息をついてその少女に話しかけることにした。

 

 

「矢澤…何してるんだ?」

 

 

「ぶっ!」

 

 正体を看破されたからかコスプレ少女もといにこは食べていたポテトを吹き出した。悠は大丈夫なのかとにこに近寄ろうとするが、にこは突然立ち上がり悠たちの方を向いてこう言った。

 

「違うわよ!私は矢澤って人じゃなくて……」

 

 と、にこは一呼吸置くと、突然子供っぽい笑顔を作り……

 

 

「素行調査は弊社にお任せ!魔女探偵ラブリーン!!」

 

 

 にこがあのテレビでお馴染みのセリフを可愛く決めた。が、その瞬間、店内は一気に凍り付いた。店内の客たちはにこに冷ややかな目線を送り、穂乃果たちに限っては頬を引きつらせて苦笑いしていた。

 

「な…何よ」

 

 にこはどうしたらいいのか分からないのか、その場に硬直している。これは流石の悠も固まるしかなかった。それは穂乃果たちも同様であるのでこう思った。

 

(((((((そっとしておこう……)))))))

 

「何か言いなさいよー!」

 

 店内にはにこの悲痛の叫びが木霊した。

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

 

「で、ポテト泥棒はお前だな」

 

 にこをしばらく慰めたあと、悠はにこに先ほどのことについて問い詰めた。しかし、当の本人は容疑を否認している。

 

「………何のこと?私はなにも知らないなぁ」

 

「とぼけるな。席の位置的にも俺と高坂のポテトを盗めたのは矢澤しかいないし、矢澤のテーブルには何か頼んだ形跡もない。それにまだ矢澤の口周りにはポテトの塩が残ってるぞ。これは立派な証拠じゃないか?」

 

「はっ!…ぐうぅぅ」

 

 悠の指摘に、にこは観念したかのように俯く。そんな安いハッタリが直斗に鍛えてもらった悠に通用すると思ったのだろうか?

 

「あとな、さっきのラブリーンは何だ?セリフにキレもないし、徹底さが足りていない!うちの妹の方がもっとラブリーンらしくて可愛いぞ!」

 

「ぐはっ!………って、何でそんなこと言われなきゃならないのよー!」

 

 とどめを食らったかのようににこはその場に項垂れながら、そうツッコんだ。周りも若干引きながら、そこはどうでもいいのでは?と思ったが、悠にとってはどうでもよくない。去年の夏休み以来、『ラブリーンと言えば菜々子、菜々子と言えばラブリーン』と悠の中では定義づけられているのだ。すると、

 

「お、お兄ちゃん…可愛いってそんな……みんなの前で堂々と言うなんて……嬉しいけど、恥ずかしいよ……」

 

 何故かことりが照れてもじもじしていた。どうやら『妹』という単語で自分と勘違いしたらしい。それに花陽が涙目で、真姫は半眼でこちらを睨んでいた。

 

「でも、ラブリーンはことりにはちょっと……どうせなら予行演習でウェディングドレスとか…」

 

「ことり、一旦落ち着きましょうか」

 

 ことりは自分の世界に入ったようで訳の分からないことを言っている。海未がトリップしていることりを現実に引き戻そうとすると、被害者である穂乃果はにこに掴みかかる。

 

「それより穂乃果のポテト返して!ついでに鳴上先輩のも!!」

 

「俺のはついでなのか…」

 

 穂乃果にしては本気で怒っている。食べ物の恨みが怖いとはまさにこのことだろう。しかし、にこは穂乃果に掴まれても舌を出して小ばかにしたような態度を取った。穂乃果がその態度にキレて今度は頬を引っ張ろうとすると…

 

「言ったでしょ!アンタたち、解散しなさいって」

 

「はあ?」

 

「か、解散!?」

 

 にこからの発言に花陽は困惑した。理由を問い詰めようとすると、にこはお構いなしに言い続けた。

 

「アンタたち、ダンスもステップも全然なってない。プロ意識が足りないわ」

 

 にこは意気揚々とそんなことを言うが、先ほど泥棒を働いたラブリーンに言われても困る。

 

「アンタたちがやってるのはアイドルに対する冒涜!恥じよ!とっとと止めることね」

 

 にこは穂乃果たちにそう言い終えると、悠の方をちらっと見て颯爽と去っていった。以前と同じで何をしに来たのか分からないので呆然としてしまう。とりあえず、にこが悠たちに対して嫌悪感を抱いていることは分かった。

 

「……あの人、何だったんですかね?」

 

「さあ?」

 

「にしても、訳が分からないわよ。突然解散しろだなんて」

 

 花陽とことり、真姫が口々にそう言う。しかし、穂乃果に関しては『解散しろ』と言われて何か思うところがあるのかその場に呆然としていた。

 

「穂乃果、大丈夫ですか?」

 

「あ…うん………大丈夫…」

 

「あれ?鳴上先輩、どうしたのかにゃ?考え込んで」

 

 悠はにこが去ってから手を顎に当てて何か考え込んでいた。

 

「矢澤は確かアイドルの……………あっ」

 

「せ、先輩?」

 

「園田、もしかしたら練習場所が確保できるかもしれないぞ」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~翌日~

 

<昼休み 音乃木坂学院 生徒会室>

 

「ありがとうな、東條」

 

「ええよ、これくらい。お礼は…」

 

「……分かった。明日一緒に弁当食べるから。献立は…」

 

「ええよ、この間鳴上くんに良い店紹介してもらったから、明日はウチが鳴上くんの分も作るから。楽しみにしとき♪」

 

「ああ、楽しみにしとく。それじゃ」

 

 悠は希にあることを聞くと、早々に生徒会室を去っていった。目的のことを聞けたのはいいが、その代わりとして明日昼食を一緒に食べようということになった。それくらい安いものである。悠が去ると、悠が来てからずっとそっぽを向いていた絵里が恨めしそうに希に問いかけてきた。

 

「希、鳴上くんと前より仲良くなってない?」

 

「そう?元から鳴上くんとは仲良かったで。それよりエリチ、良かったん?」

 

「……何がよ?」

 

「鳴上くんに亜里沙ちゃんを助けてもらったお礼言わんで」

 

 先日悠と直斗が解決した事件の被害者だった亜里沙は絵里の実の妹なのだ。妹からその話を聞いた絵里はそのことに関してお礼を言おうとしているのだが、中々言えないでいる。

 

「さっきだってお礼言うタイミングは結構あったやろ?はよ言わんと、ずっと言えんようになってしまうで?」

 

 すると、絵里はうっとなりながらもジト目で希を見てこう言った。

 

「……仕方ないじゃない。だって…」

 

「だって?」

 

 

「鳴上くんとの接し方が分からないんだもの!!」

 

 

「………はぁ?」

 

 親友の予想外の発言に希は思わず聞き返してしまった。

 

「だって鳴上くん、今結構学校の間で人気なのよ。そんな彼に話しかけたら噂になっちゃうし…彼に迷惑じゃない!」

 

「いやエリチ、いくら何でもお礼言うだけやで?」

 

「それに……あ、あんなこと言われたら…彼とどう接したらいいのか分からないのよ!」

 

 どうやら絵里は以前自分が悠を嫌いと公言した時に、悠が『絵里が自分を好きになってくれるよう頑張る』と言ったことをすごく気にしているらしい。一応あの件に関しては誤解を生む言い方をした悠に非があるのだが。

 

「……」

 

「本当にもう…どうすればいいのよ」

 

 そう言って項垂れる絵里。そんな稀に見る親友の残念な姿に希は溜息をつくしかなかった。

 

「そっとしとこう……」

 

 悠の口癖を真似して希は未だに頭を抱えている絵里を他所に昼食を取り始めた。希としてはこれ以上ライバルが増えるのは好ましくないが、親友の悩みも解決したいと思うので、どうしたもんかと口を動かしながら思考の海に入っていった。

 

「とりあえず、明日鳴上くんとはオハナシしようかいな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<放課後 アイドル研究部室前>

 

 今日も雨だったので練習は中止し、悠たちはにこに会うためにアイドル研究部の部室前に来ていた。場所は以前連行されたことがあるので一応把握していた。早速ドアをノックしようとしたその時、ちょうどこの部室の主であるにこがやってきたところだった。

 

 

「あ、アンタたち……」

 

 

 にこは悠たちの姿を見て呆然としたかと思うと、目にも止まらぬ速さで悠たちを押しのけて部室に逃げ込んだ。

 

「なっ!ちょっと!!」

 

 穂乃果は必死に止めようとドアを開けようとするが、鍵がかかっていて開かなかった。

 

「あ、開かないよ~!」

 

 すると、凛は何か思いついた顔をしてみんなに言った。

 

「外から行くにゃ!」

 

「え?」

 

「凛は先に行くにゃ~!」

 

 凛はみんなにそう言い残し、外に出ようと廊下を走り出した。

 

「ちょっと!凛、待ちなさい!!」

 

「くっ、俺が一緒に行ってくる。園田たちはそこで待ってろ!」

 

 あの調子だと凛がまた何をしでかすか分かったもんじゃないので、ストッパーとして悠が追跡することにした。何とか凛に追いつき外に出ると、ちょうどにこが窓から逃走しようとしているところだった。

 

「見つけた!」

 

「げっ!」

 

 にこは悠たちの姿を確認すると、咄嗟に反対方向に雨の中走り出した。

 

「待つにゃー!!」

 

「逃がすか!」

 

 悠と凛も負けじと雨の中へ走り出した。雨のせいか地面は走りづらかったが、八十稲羽で散々雨の中を走り回った悠や雨の中でもアクロバットができる凛にとってはそんなものは関係なかった。そして、ある程度距離が縮まったとき、2人はアタックを仕掛けることにした。

 

「行くぞ!凛!!」

 

「うん!!」

 

 

ーカッ!ー

 

「「ペルソナー!」」

 

 

 2人は何故かそう叫び、にこに掴みかかろうとする。凛はギリギリのところで掴み損ねて前方に転がり込んでしまったが、悠はしっかりとにこの胴体をホールドすることに成功した。

 

「ちょっ!離しなさい!って………!!」

 

「大人しく…ってあれ?」

 

 悠は手に何か違和感を感じた。何か柔らかいようでそうではないようなものを掴んでいるような…それに何故かにこの顔が赤いような……

 

「あっ」

 

 気づけば悠はにこのあるようで無いような胸をしっかりと掴んでいた。それに気づくと悠は咄嗟に手を放したが、もう遅い。

 

「あれ?鳴上先輩?どうしたの…ってヒィ!」

 

 起き上がった凛が見たのはどこぞの戦闘民族のような赤いオーラのようなものを発して悠を睨みつけるにこの姿だった。

 

「な…鳴上ィ………」

 

 にこはゆらりゆらりと拳を構えながら近づいて来る。心なしかどこぞのハンターのように拳にオーラが集中しているように見えた。

 

「お、落ち着け!これは…じ」

 

 

「変態!!」

 

 

 にこは制裁と言わんばかりに、右ストレートを思いっきり悠の顔面にぶつけた。悠は成す術もなく吹っ飛ばされ、その先にあったアルパカ小屋に突っ込んだと同時に意識がブラックアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<保健室>

 

 意識が戻ると、悠は保健室のベッドで寝ていた。どうやら自分はあの後、保健室に運ばれたらしい。まだ殴られた顔が痛い。

 

「起きた?」

 

 声がする方を向くと、そこには足を組んで椅子に座っているにこが居た。

 

「矢澤…俺は一体………」

 

「言わないといけない?」

 

 にこが悠をギロッと睨みそう言ってきた。ここで余計なことを言うとまた右ストレートが来そうなので、そっとしておいた。とりあえず、また余計なことを言わないうちに話題を変えることにした。

 

「あ、あの…それより、高坂たちは?」

 

「…さっきまで居たけど、希にどこかに連れていかれたわよ」

 

「そうか……」

 

「あいつらから聞いたわよ。鳴上が私をあいつらのスクールアイドルに引き込もうとしてたこと」

 

 そう、当初の悠の目的はにこを【μ‘s】に引き込むことなのだ。昼休みに絵里と希から聞いた話によると、実質【μ‘s】は正式な部活ではないので部室は与えられない。しかも、にこのアイドル研究部が既に存在しているため、新たに部活動申請しようとも受理されないのだ。しかし、その二つの部活が統合すれば話は別とのことだったので、悠はにこが自分たちに興味を持っているであろう今なら、にこを【μ‘s】に引き込めるのではないかと思ったのだ。しかし、

 

「あいつらにはもう言ったけど、その話はお断りよ」

 

「なぜ?」

 

「前にも言ったけど、アンタたちのしていることはアイドルを汚してるの。そんな奴らと手を組むなんて真っ平ごめんだわ」

 

 そう拒絶されてはぐうの音もない。簡単にはいかないだろうとは踏んでいたが、ここまでとは思っていなかった。一体自分たちの何がいけないのだろうか?そんなことを聞こうと思ったが、それを聞く前に先ににこが口を開いた。

 

「それはともかく…アンタを殴り飛ばしたことは謝るわ。ごめんなさい」

 

 そう言ってにこは頭を下げる。確かに気絶はしたが、こんなのは悠にとってはテレビの世界で手強いシャドウにぶっ飛ばされるよりマシである。最近なんて首を絞められたり炎で焼かれそうになったりしたので、それらに比べたらまだ可愛い方だ。

 

「あ、ああ。こんなの大したことじゃ……」

 

「でも!アンタが私の胸を触ったことは別!」

 

 どうやらにこは自分の胸を触られたことを随分と気にしているらしい。そう言うと、にこは悠に指をさしてこう宣言した。

 

 

「責任取ってもらうから!」

 

 

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スクールアイドルをやってた?」

 

「あの先輩がですか?」

 

 一方、希に話があると言われて保健室から渡り廊下に連れられた穂乃果たちは希からにこの過去の話を聞いているところだった。

 

「そう…最初は三人やったんやけどな…にこっちの意識が高すぎて、一人辞めて…またもう一人辞めてもうたんよ………そして、何かあったのか転校してな…」

 

「「「え?」」」

 

 あまりの話の重たさに穂乃果たちは押し黙るしかなかった。あのにこという先輩に一体何があったのだろう。

 

「副会長、何で私たちにこんな話をするんですか?」

 

 正直この話は自分たちには重すぎる。海未の疑問は最もであった。

 

「んー?鳴上くんや貴女たちなら、にこっちを何とかしてくれるやろうと思ったからや」

 

 その希の発言に海未は更に疑問を抱いた。毎度この人は会う度に悠のことを口にしている。

 

「それにしても、副会長は随分と鳴上先輩を信頼してるんですね」

 

 海未のその言葉に何名か反応した。特にことりに関しては黒いオーラを発している。そんな海未の言葉に希は一瞬面を食らったが、微笑みを返してこう言った。

 

「ウフフ、当然よ。だって鳴上くんはウチの」

 

 しかし、そう言いかけた時だった。

 

 

「あ、あのな矢澤」

 

「別に良いじゃない?責任取ってもらうんだから」

 

 

 穂乃果たちは昇降口からそんな会話をする悠とにこが相愛傘をして出てくるところを目撃した。相愛傘をしている上、にこが悠に引っ付いているその光景に穂乃果たちは唖然としてしまい開いた口が塞がらなかった。

 

「お、お兄ちゃん!どこ行くの!?」

 

 ことりが耐え切れなくなってそう叫ぶと、悠は穂乃果たちの姿を確認するなり顔が真っ青になった。

 

 

「こ、ことり…それに」

 

「ちょっ!鳴上!!行くわよ!!」

 

「うお!」

 

 

 にこは穂乃果たちを見るなり雨の中にも関わらず、悠を引っ張って慌ててその場を去っていった。

 

「ど、どういうこと……」

 

「今…責任を取ってもらうとか言ってなかったかにゃ?」

 

「な、鳴上先輩……まさか…」

 

「ハ……ハレンチです!!」

 

 先ほどの光景に困惑する穂乃果たち。中には変な妄想に入って顔を真っ赤にしている者もいる。すると、

 

 

「ほほう……鳴上くん、今度はにこっちに手を出したんかいな……これは再教育確定やなぁ」

 

 

 希は悠たちが去った方を向いてどす黒いオーラを発しながらそう言った。

 

 

「お兄ちゃん……これは流石にことりも許せないかな……」

 

 

 更にはことりまで希と同じく黒いオーラを発している。もしここがテレビの世界であれば、シャドウたちは2人の姿に怯えて逃げていることだろう。

 

「お、妹ちゃん気が合うなぁ。どうする?尾行する?」

 

「…しましょう。そして、何か一線を超えるようなことになれば、その場できついお仕置きを与えましょうか」

 

「ウフフフ、ワックワクのドッキドキやな~♪」

 

「ふふふ、そうですね♪」

 

 2人とも笑顔でそんなことを言っているが、内容がアレなだけに恐怖しか感じない。穂乃果たちは唯々その様子を見守るしかなかった。

 

「これ、穂乃果たちも行かなきゃダメかな?」

 

「行くしかないでしょ……ハレンチなものを殲滅したいのは山々ですが、鳴上先輩に何かあったら私たちが止めるしかないんですから…」

 

 海未の言う通り、もしこの2人が暴走した際には仕方ないが自分たちがストッパーになるしかない。不本意ながら、渋々ついて行くことにした。

 

「わ、私も…行きます!鳴上さんのことが…気になりますし…」

 

「……仕方ないから私も行くわよ。言っとくけど、鳴上さんが気になるとかあんなやつに渡すもんかとか思ってるわけじゃないんだからね!」

 

「何か大変なことになったにゃ…」

 

 どうやら一年生組もついて行くらしい。そして、一同は各々鞄をを持って悠とにこの尾行を開始した。どうやらこの雨の中、一つの波乱が巻き起ころうとしているようである。

 

 

ーto be continuded




Next Chapter

「何か寒気が…」

「これくらい当然でしょ?」

「ウフフフフフ…」

「逃げられると思ってるの?」

「に、逃げるわよ!」


「どうしてこうなった……」


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