PERSONA4 THE LOVELIVE 〜番長と歌の女神達〜 作:ぺるクマ!
謎の電話に呼び出されてテレビの世界に入った悠たち。そこで待ち受けていたのは………
…………………………
『レディースエンドジェントルメンヌっ!! 読者の皆さん、あけましておめでとうクマー! さあ、年明けからいよいよお待ちかね。ついにあの番組の“本選”が開幕するクマ~。司会はもちろんこの私、“ジャスミークマ沢”で御座います! それでは参りましょう!』
気力・能力・クマの気分っ! 優勝目指して突き進めっ!! 題して……
【マヨナカ横断ミラクルクイズ】
ワアアアアアアアアアアアアアア
「えっ? なにこれ?」
「このテレビのスタジオっぽいの、確か稲羽のテレビの世界やと思うけど」
「いつの間に、こんなセットが……? って、私たちいつの間にか晴れ着になってるわよ!」
「「えっ!?」」
目の前に広がる光景に絵里・希・にこはただ呆然としていた。このテレビ局のスタジオみたいな広場は間違いなく稲羽のテレビの世界。だが、今はあの時とは違って何故かどこぞのクイズ番組のようなセットが用意されている。軽快な音楽が流れている背後の大画面のテレビには【マヨナカ横断ミラクルクイズ】とうテロップが映し出されていた。
更には、服装が制服から正月に着る晴れ着になっている。これは一体どういうことだろうか?
「ああ……やっぱり始まっちまったか……」
「クマくんから呼び出された時点で察しはついてたんだけどね」
「………………」
極めつけは一緒に入ったはずの悠が見当たらず、代わりに稲羽に居るはずの陽介・千枝・雪子が隣の席で頭を抱えたり瞑想したりしているということだ。3人も自分たちと同じく晴れ着に身を包んでいる。
「およ~これはこれは稲羽市からお越しの“女を捨てた肉食獣”里中千枝さん、いい勘をしてるクマ。前回の番外編のクイズパワーのお陰か頭が冴えているのでしょうか?」
「一目瞭然だっつの!」
「ねえ、このクマそろそろ締め上げていいかな?」
クマもといジャスミークマ沢のイラっとくる言葉に拳を振り下ろしたくなるが、絵里たちの手前なので今は我慢しておこう。
「とにかく、まずは私たちに状況を説明して。一体何なの、このクイズ番組のセットみたいなのは?」
「エリちゃん、何言ってるクマ~? 今現実の世界線では2021年のお正月クマよ。お正月と言ったらクイズ、クイズと言ったらお正月って言うでしょう?」
「言わねえよ! 大抵このお正月の番外編は晴れ着とか年賀状とか、初夢とかがテーマだったろうが!」
「ヨースケも相変わらずうるさいクマねえ。だから、今回はお正月だからみんな晴れ着を着てもらってるんでしょ? それに、修学旅行に行っちゃってるホノちゃんたちの代わりに、大人でセクシーなエリちゃんたちを呼んだんでしょうが!」
「意味わかんねえよ」
「巻き込まれた私たちは飛んだ迷惑よ」
「にこっちのどこに大人でセクシーな要素があるん?」
「うっさいわね! クマ吉がそう言ってるから良いんでしょう!」
もう時間軸や企画理由からしてぐだぐだである。お正月風に見せようと自分たち全員がいつの間に晴れ着になっているところから、今回も安定のジャスミークマ沢は不手際さに陽介のみならず、絵里も溜息を吐いてしまった。
「さあ、お喋りはここまでにして、今回初登場の音ノ木坂組のパネラーを紹介するクマ~。それではまず、東京都からお越しの【女王気質のホワイトスワン】こと絢瀬絵里ちゃん。意気込みをどうぞ」
ジャスミークマ沢はそう言うと絵里に話を振ると、誰もいないはずの周囲から歓声が沸いた。
「え、ええっ!! 何この歓声。もしかして、これって誰か見てるんじゃ」
「安心するクマ。これはクマが出してる効果音なんだけど、薄っすらと沖縄にいるホノちゃんたちの声も混じってるクマから良いコメントよろしくクマ~!」
「紛らわしいわよ。というか、穂乃果たちも見てるの!?」
「そうクマ。せっかくの修学旅行なのに、台風でどこも行けないって聞いたから、マーガレットさんにお願いしたクマ」
『おおい! 絵里ちゃ~ん、見てる~?』
『またクマさんがこんな企画を……まあ、台風でやることがないのでありがたいと言えばありがたいのですが……』
『ねえねえ、お兄ちゃんはどこかな?』
クマの言葉は真実だったのか、本当に頭上から沖縄にいるはずの穂乃果の声が聞こえてきた。何と言うか、あのベルベットルームの住人たちは本当に何でもありな気がしてきた。
「ではでは~、続いて同じく東京都からお越しの【夢みるナルシストアイドル】矢澤にこさん。いつものアレをどうぞ!」
「ちょっ、いきなりって。ううん…………にっこにっこに~。あなたの」
「はい続きまして」
「って、最後までやらせなさいよ────!」
にこも続いて自己紹介を振られたが、やり切る前にスルーされてしまった。
「あれ? ノゾチャン、どこ行ったクマ?」
「ああ、希ちゃんなら……」
「はい悠くん、あ~ん」
「あ~ん」
千枝が指さすその先では、いつの間にいた悠が希に食べ物をあーんしてもらっている最中だった。
「ウチのパフェ美味しい?」
「ああ、格別だ」
「うふふ、嬉しいわぁ」
「っておい! 何やってんだよ!?」
まるで付き合いたてのカップルのように甘々な空気を領域展開する2人の雰囲気に耐え切れなくなった陽介がツッコんでしまった。
「およ~! 流石は自称正妻最胸スピリチュアル巫女ノゾチャンこと東條希さん! 二つ名に恥じぬ積極性を見せております!」
「お前もそこで煽るな! こんなとこ、ことりちゃんが見たら……」
『ちょっとちょっと! ことりちゃん危ないって!』
『テレビの中に突っ込むのは止めて下さい!!』
『離して海未ちゃん! 早く希ちゃんを止めないと、お兄ちゃんが食べられちゃう!』
案の定、外では兄を危機的状況から救おうとテレビに突入しようとする妹がいた。
「さあ、テレビの前の皆さん! お待たせした! 今回この私のアシスタントを務めますのは、東京都より大物ゲスト!! 今話題沸騰中のスクールアイドル【μ‘s】の敏腕マネージャー兼プロデューサーであらせられる【鋼のシスコン番長】こと、セ・ン・セ・イです!!」
「よろしく」
ジャスミークマ沢の仰々しい紹介に周りが一斉に歓声を上げる。それに対して、悠は淡々と一言だけそう言った。この男も晴れ着を着用しているだけあって、とても映えていた。
「前もそうだったけどさ、何でいつもお前だけ紹介が仰々しいんだよ……」
「キングだからな。おかわり、ストレートで」
「あれっ!? またお前酔ってんの? つか、またジュースで酔ってんのかよ!!」
「違うぞ、陽介。これはジュースじゃなくてシンデレラというノンアルコールカクテルだ」
刹那、陽介の台に表示されている数字が0から―1に変わった。
「はあっ!? 何で今ので俺のポイントがマイナスになるんだよ!」
「陽介、いつからクイズが始まっていないと錯覚していた?」
「どこのラスボスだよ! つか、この流れは前もやっただろ!! というか、穂乃果ちゃんたちが修学旅行でいないから絵里ちゃんたちを呼んだのは分かるんだけどさ、何で俺ら稲羽組は顔ぶれが変わってねえんだよ。今回こそ完二とか直斗とか呼べばよかっただろ?」
「ええ、それは去年も言ったクマよ? ご本人たちに直談判したけど、ソッコーでお断りされたって」
「やっぱしな……」
「そんで、今度はハナちゃんやリンちゃんとマキちゃんにもお願いしたんだけど、同じくソッコーでお断りされたクマ……オヨヨ」
「ああ……やっぱし……」
「って、ちょっと待ちなさい! 花陽たちにはこのクイズ番組のことを話したってこと!?」
「そうクマよ。ヨースケのケータイを借りて電話でお願いしたクマ」
「何よそれ! おかしいでしょ! にこ達は何で説明せずに呼んだのよ!?」
花陽たち1年生組にはクイズのことを説明したのに、何故自分たちには説明もせず騙す形でここに連れてこられたのが納得できなかったのか、にこは思わずクイズ台から身を乗り出して追及する。
「もう、ニコちゃんは察しが悪いクマねぇ。これでニコちゃんたちは来なかったら出場者はヨースケたちだけになっちゃうでしょー? そうなったら、去年の焼き増しだってネットで叩かれちゃうでしょー? そうなったら、司会兼プロデューサーのクマが困っちゃうでしょうー?」
「知らないわよ……」
「もう、クマくんったら。ちょっと雪子ちゃんも何か言って……」
「今度は負けない」
「天城サン……?」
「まーた乗り気っすか……」
雪子と言えばもう既に早押しのボタンを連打しまくっており、準備万端だった。
「オヨ~、さっすが【難攻不落の黒雪姫】ユキチャンクマ~。というわけで、そろそろ“巻き”に入ってるけど、皆の調子はどうクマ~?」
「ADはいねえっつの。てか、どんだけクイズ好きなんだよ。前回もやったろーが」
「まーたまたそんなこと言って~。ヨースケだって楽しんでたでしょー? あの日の感動を忘れたとは言わせないクマよ?」
「感動してねぇし意味わかんねえよ。つか、前回は海未ちゃんと天城が同点でぐだぐだになっただろうが……」
前回はこのジャスミークマ沢の不手際のせいで、クイズ番組にはあるまじき事態になったことを思い出したのか、陽介は頭痛に苛まれた。
「まあ、良いんじゃない? せっかくクマくんがわざわざ用意してくれたんだし」
「そうやね」
「優しいな、絵里ちゃんたちは」
「諦めてるだけよ。もうここまで来たら参加して乗り切るしかないじゃない」
ここまできたら、もうやけくそだ。クマにへそを曲げられても困るし、ここは乗ってクマに機嫌よくしてもらってさっさと還ろう。
「それに、優勝したら悠くんを好きに出来る券を貰えるんやろ?」
「はあっ!? そんなこと聞いてねぇけど!」
「違うよ、希ちゃん。鳴上くんにお揚げをたくさん作って貰える券だよ」
「えっ? 花村に肉丼をたくさん奢ってる貰える券じゃなかったっけ?」
「悠にA-RISEのライブに付き合ってもらう券でしょ」
「情報が錯綜してわけわかんないだけど! あと里中、また俺にたかるつもりか!?」
自分だけ知られていない情報に更に頭痛が痛くなる陽介。よく見てみれば、前回と同じく何も書かれていない紙きれを悠が持っている。十中八九さっきから彼女たちが言ってる何でも出来る券はあのことだろう。
「何なんだよ、俺だけ知らないってどういうことだよ……まともなのは俺だけか!!」
「……クマ、ボートを用意しろ」
「用意するな! てか、お前もふざけんなよ!」
「落ち着いて陽介くん。ここまできたらやるしかないわよ。悠に買い物に付き合ってもらう券を手に入れるために」
「無理にボケなくていいからな、絵里ちゃん」
目標変更。情報が錯綜してカオスな状況になっているが、悠と自分の貯金のためにもこのクイズ番組に勝たなくては。
「さあて皆さん、用意は良いクマか? 今から皆さんの目の前にある大画面に問題が映し出されます。問題は早押しで、制限時間内に答えが分かったら手元のボタンをビシッと押すクマ。正解したら1ポイント、不正解だったら-1ポイント差し上げまっす」
「ちなみに、問題のジャンルは俺が見た限り様々だ。俺たちのことに関する問題だったり雑学だったりするので、そこも注意だな。是非とも読者の皆もチャレンジしてみてくれ」
「それでは早速、第1問!」
ジャスミークマ沢と悠の説明が入ったあと、早速大画面に問題が映し出された。
Q1:特捜隊&μ‘sの協力者【山岸風花】のペルソナの名前は?
「えっ? 風花さんのペルソナ……」
「ああ、どっかで聞いたことあるような……」
今回も最初から難解な問題に頭を悩ませるパネラーたち。P-1Grand Prixで共闘した悠や穂乃果はまだしも、夏休み以降あまり接点がない自分たちはうっすら聞いたことがある程度。頭にぼんやりと浮かんでいるのだが、一体何だっただろうか?
ピコンッ
「これやろ、【ユノ】」
悩み始めてから数秒ほどで、希がボタンを押して解答した。
ピポピポーンッ!
「ジャスミー! ノゾチャン正解クマー!」
「うふふふ、これくらい余裕や」
「さっすが希ちゃん」
「同じナビペルソナ持ちだから、分かってたのかな?」
「さあ、どうやろうねえ?」
「続いて、第2問です!」
Q2:絆フェスの総合プロデューサー【落水鏡花】がプライベートに設定していた4ケタの暗証番号は?
「ああ……これも落水さんが言ってたな」
「確か、あのマシンルームに入った時だったよね?」
「ええっと……」
またも過去を振り返るような内容の問題に頭を悩ませる。この問題は確かマヨナカステージ事件の大詰めで関係者の落水の話に出ていた覚えがある。一体何だっただろうと思っていると、
ピコンッ
「はい、【1324】」
またも希がいち早く解答ボタンを押した。
ピポピポーンッ!
「ジャスミー! またまたノゾチャン正解クマ──―!」
「うふふふ。イエイ☆」
「希ちゃん、すげえ……」
「もう希ちゃんの一人勝ちじゃね?」
「ま、まだよ! 希に負けてたまるもんですか!」
「ムホホ~、次は超ゲキムズ問題クマ~。みんなは答えられるかな~?」
ジャスミークマ沢の得意げな言葉に一同は身構える。そして、その超ゲキムズ問題としてだされたのは……
Q3:夏休みの海水浴で音ノ木坂学院の理事長【南雛乃】が着ていた水着は何だったでしょう?
「はあっ!? 何だよ、この問題」
「前回みたいに鳴上くんのペルソナ答えろっていうのが来ると思ったら、今度はこれ!?」
「いや、流石にこれは誰も覚えてないでしょ……」
「文字通りゲキムズやわあ……」
夏休みの海水浴は良い思い出も悪い思い出もあって記憶に新しいが、誰がどんな水着を着ていたなどあんまり覚えていない。しかも、あの時主に遠泳していた雛乃の水着なんて最も記憶にない。だが、
ピコンッ
「あっ、これだ! 【黒のモノキニ】」
意を決した表情で解答したのは意外にも陽介だった。果たして結果は……
ピポピポーンッ!
「おおっ! ジャスミー!! ヨースケまさかの大正解クマ~~! ミラクルが起きたクマ~~~!!」
あの不幸に定評がある陽介が大正解した結果にスタジオに大歓声が沸いた。言うまでもなくこれはクマが流している効果音である。
「おっしゃああ!」
「ヨースケ、よく分かったクマねぇ」
「いやあ、みんなでジュネスに水着買いに行った時さ、ちょうどあそこの担当が俺だったから妙にどこにどんな水着売ってるか覚えててさ。雛乃さんが手に取った場所を思い出してこれだって思ったんだよ。いや~、ジュネスのバイトがここで役立つとは思わなかったぜ」
実家のジュネスバイトのお陰でゲキムズ問題に正解できて大はしゃぎする陽介とは対称に、話を聞いていた女性陣は冷めた目をしていた。
「花村くん……」
「最低……」
「今度から別のとこにした方が良いかな?」
『陽介さん、それはないよ』
『破廉恥です』
「いやだから、偶々だって言ってんだろ! 俺にそんな変態趣味はないから、その冷めた目を向けるのはやめて!!」
こういう感じでクイズ番組は次々と進行していった。
Q5:真下かなみが調べもので読んだ“イチオシ! アイドル図鑑”には後輩アイドルグループ【Pastel*Pallets】のランキング順位は?
ピコンッ
「こんなの、余裕よ。8位!」
ピポピポーンッ!
「ジャスミー! にこちゃん、正解クマ~~!」
「ふん、スーパーアイドルにこちゃんにかかればこんなものよ」
「そう言う割には、この一問しかあってないけどな」
「余計なこと言うんじゃないわよ、陽介」
Q9:焼肉屋のメニューにある“カルビ”とはどこの肉のこと?
ピコンッ
「あちょうっ! あばら骨周辺のお肉のこと!」
ピポピポーンッ!
「ジャスミー! 今度はチエチャンが正解クマ~~!」
「へっへーん! 肉のことなら負けないってね」
「流石千枝ちゃん、女を捨てた肉食獣なだけあるなぁ」
「希ちゃん……それはもうやめて。蹴りたくなるから」
「何でその蹴りが俺の方に向いてるんだよ!!」
Q13:学園祭から今日まで鳴上悠が召喚したペルソナを全て答えよ。
「「「またこれかよ!!」」」
「だから、こんなのマニアックすぎだっつってんだろ!」
「あたしたちが答えられるわけないって!」
「よしんば答えられるとしても、絆フェスの奴だけだって」
「流石にこれは答えられないって」
「あっ! はいはい! ええっと……イザナギと…………ほら、あれ、ベル……ベル……ベルアステリオス?」
ブブーッ!
「ノットジャスミー! にこちゃん、不正解です」
苦し紛れににこが回答したが、てんでダメだった。あまりにダメな回答にスタジオから深い溜息が漏れる。
「ええっ! 何でよ~~~!」
「いや、明らかにおかしいだろ。しかもなんだよ、ベルアステリオスって」
「何か、どっかの主人公とライバルが混ざってたわよ……」
「流石にそれはないわあ」
「ううう……」
答えがあまりにとんちんかんだった故か、他のパネラーから総スカンを喰らってにこはガックシと肩を落としてしまった。すると、
ピコンッ
「しかたないなあ」
「ノゾチャン?」
「イザナギとジークフリードとトール、それとベルゼブブとイシスやな。あと、伊邪那岐大神」
「「「「……………………」」」」
ピポピポーンッ
「ジャスミー! ノゾチャン正解クマ~~!! コトチャンに並ぶ記録クマ~~!」
なんと、にこが間違えた問題をあっさりと答えてしまった。これにはジャスミークマ沢も大興奮だ。
「うふふふ、ウチも悠くんのことは何でも知っとるからねぇ。ことりちゃんには負けへんで」
「いや怖えよ。ことりちゃんとは違うベクトルで怖えよ!」
『ふ、ふん! ことりもちゃんと分かってたからね』
「張り合わなくていいからな、ことりちゃん!」
Q16:“ふふふふふふふふふふ”これなんだ?
「えっ、ここでなぞなぞ!」
「クマ公のくせにトリッキーなの出してきやがったな……」
「ええっと、これって……」
ピコンッ
「はいっ! 【豆腐】」
ピポピポーンッ
「ジャスミー! エリちゃん、正解クマ~~~!!」
「ふう、何とか答えられたわね」
「ねえ千枝、これってどういうなぞなぞなの?」
「さあ?」
「ふが10個だから、とうふってことだよ」
「ああ! なるほど、さっすが雪子」
様々な展開が繰り広げられた中、ついに最終問題へ突入した。
「ここで決める!」
「一撃で仕留める」
「最後まで負けないわ!」
いよいよ問題も最後というのもあるのか、皆の気迫のボルテージは最高潮に達していた。
「それでは、最終問題でっす!」
ジャスミークマ沢の掛け声で大画面に最終問題が表示された。その内容は……
Q20:沖奈市のカラオケでマリーが歌ったのは何?
ピコンッ
「「「はいっ!!」」」
一瞬で分かったのか、目に見えぬ速さで解答ボタンを押したのが数名。そして、解答ランプが点灯したのは……
「エリちゃん!」
「【恋愛サーキュレーション】」
絵里が解答したと同時に沈黙が訪れる。果たして、絵里の答えは…………
ピポピポーンッ!
「ジャスミー! エリチャンが正解クマ~~!」
「ふふふ、やっぱり自分が正解すると気持ちいいわね」
「エリチ、とっても嬉しそうやね」
「さあ、ここで全問終了でっす! 結果を見てみましょうっ! 今回のマヨナカ横断ミラクルクイズの優勝者は~~?」
壮大なドラムの音が響き渡り、ジャスミークマ沢の掛け声と同時に大画面に今回の結果が映し出された。果たしてその結果は……
陽介:0点
千枝:1点
雪子:3点
絵里:3点
希 :3点
にこ:-3点
「あれ? 同点クマ?」
蓋を開けてみれば、雪子と絵里、希3人の同点優勝。この結果に総司会のジャスミークマ沢はポカンとしてしまった。
「だから、この形式だったらこういうこともあるって前も言っただろうが!!」
「え~……」
「何だその予想してませんでした、みたいな反応! おかしいだろ!!」
「同点のことは考えてなかったわけね……」
前回のことを全く反省していなかったのか、クマのポカンとした顔を呆れてしまった。
「ね! 同点決勝だよね? 同点決勝! 早く続やろう!」
「ありませんってば!」
そして、例の如く雪子は雪子で同点決勝を望んでいるが、そんな時間も余裕はない。クマはすがるようにアシスタントの悠を見るが、当人はまたもノンアルコールカクテルで場酔いしているので全然役に立たない。
そんな四面楚歌と言ってもいい状況の中、クマは決断した。
「ムムム……仕方ないクマ。今回も優勝者は無し! またの挑戦をお待ちしております。さよならクマ~~~!!」
「「「「ふざけんなあああああっ!!」」」」
またも有耶無耶にして強引に番組を終わらせたクマにパネラーたちは怒りの声を上げた。
「またやるつもりか!? もうやんねーよ!」
「クマくんはもっと企画や構成を練ってから出直してきなさい」
「悠くん、これおいしい?」
「ああ、上手いな」
「ちょっと! 希は隙あらば悠にじゃれつくんじゃないわよ」
「うわあ、もうこれ収拾つかないって」
「同点決勝……」
こうして、このマヨナカ横断ミラクルクイズはまたもあるまじき形で終了した。もう二度とこのような催しはないだろう。いや、ないと信じたい。
「……夢か……」
目が覚めると、そこは見慣れた天井だった。いつもの堂島家の自室の布団、外は連日の降雪で雪景色が広がっている。
どうやらさっきまでの出来事は全部夢だったようだ。それにしても、一体あの夢はなんだったのだろう。不思議に思いつつも布団から身体を起こす。すると、机の上に何かメッセージカードのようなものが置かれていた。
『次回、マヨナカ横断ミラクルクイズ決勝戦。そのパネラーとして貴方様をご招待致します。此度の司会はこの私がお勤めさせてもらいますので、是非ともご参加して下さいませ。 E』
「えっ?」
ーfin?ー
明けましておめでとうございます。ぺるクマ!です。
毎年恒例となりつつある正月番外編の2021年版でした。
今回はマヨナカ横断ミラクルクイズの第2弾をやらせていただきました。ペルソナ4Gのようにメンバーは変わらずで行こうかと思いましたが、あえて今回はμ’s組だけを入れ替えて稲羽組は変わらずという方向にしました。
前回同様クイズの内容はどうしようかと散々悩みましたが、読者の皆様が楽しんで頂けたら幸いです。
それはともかく改めて、読者の皆様あけましておめでとうございます。
昨年は色々ありましたが、今年も「PERSONA4 THE LOVELIVE~番長と歌の女神たち~」をよろしくお願いします!