ゲーム・ア・ライブ   作:ダンイ

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三話

「はぁぁぁぁぁ……」

 

「なんだ、五河。朝っぱらから疲れた老人のような声を出して。そんなんじゃ、幸せが逃げていくぞ」

 

仕方ないだろ、此処はようやく見つける事が出来た安息の地なんだから。

昨日から琴里のトラップのせいで精神的に甚大なダメージを受けて疲れてるんだよ。肉体的には昨日より格段に良くなったけど、精神的には昨日よりも疲れているくらいだ。

このまま続けられたら俺の精神が保ちそうにない……琴里に直談判して訓練の内容を変える、もしくは数を減らしてもらえるようにしよう。

 

「本当にどうしたんだ……っま、五河が疲れているなんて何時もの事だしどうでもいいか……」

 

おい……

俺は学校でどんなふうに思われてるんだよ。周りの人たちも殿町の意見にうんうんって頷いてるし。

あれ?そういえば、休日に神次元や超次元の方に行って、仕事の手伝いで疲れた時は何時も学校でこんな感じになっていたような気が……

俺っていつの間にかに学校では疲れキャラで通っているのか?それは失礼だろ、主にイストワールとかに……

イストワールは俺が負っている以上の苦労を常にしてるからな……うん、そう考えたら少しだけ力がみなぎって来た。

これぐらいでへこたれてちゃ駄目だよな。

 

「それで士道……お前は巫女とメイドとナースどれがが良いと思う?」

 

「はぁ?いきなりどうしたんだよ?」

 

「いや、この雑誌の表紙が読者の投票で決まるらしくてな……どれにすれば良いのか悩んでいたんだよ」

 

「そうなのか……そうだな。今はナースかな」

 

美女のナースなんて贅沢は言わないから、老人のナースでも良いから疲れた俺を癒して欲しい。今日も帰ったらまた訓練があるんだろうしな……

前のギャルゲーといい、ナンパといい、嫌な予感しかしないんだよな。もうちょっとましな訓練とかはないのかな……と言っても目的が精霊とのデートだからしょうがないのかもしれないけどさ……

ん?ちょっと待て。精霊が女性だと誰が決めたんだ?もし男性の精霊がいたらどうすれば良いんだ?もしかして士織モードになって……

うん、これ以上考えるのはやめよう。本当に精神がへし折れる。

 

「ナース?」

 

「折紙か?あ、今の気にしないでくれ……ただ適当に言った事だから……」

 

「そう、では士道は本当は何に興味があるの?」

 

「えっと…………巫女かな?」

 

滅多に見ないしな。

一度でいいから本当の巫女って言うものを見てみたいんだよな。此処は空間震の跡に建てられた街だから古い神社とかないんだよな。

ってどうして折紙はそんな事を聞いてくるんだ?なんか第六感的な感覚が警鐘を鳴らしてるんだが気のせいだよな。

今までの折紙の行動を踏まえると何か起こりそうで怖い……話題を変えることにしよう。

 

「体調は大丈夫なのか?昨日一日寝込んで治ったのか?」

 

「問題ない。士道と一緒に入って回復した」

 

えっと……何で?

確かに昨日の風呂は俺が士織モードになって一緒に入ったけど、もしかしてそれで体力が回復したのか?俺、折紙の背中を流した(半強制的に)ぐらいしかやってないんだけど?

なんか折紙の事を知る度に、彼女の事がほんの少しだけど怖くなっていく気がするのは、俺の気のせいなのだろうか?

俺がそんな疑問を感じていると、折紙は腰を下げて自分の席に座った……座ったと言っても俺の隣なんだがな。

ともかく俺は殿町に顔を戻して……

 

「殿町!?何かあったのか!?目から血を流してるぞ!!」

 

「なにかあっただと……五河士道、貴様何時から鳶一折紙とファーストネームで呼び合う仲になった!?それだけでも許せないのに、一緒に入っただと!!貴様、何に一緒に入ったんだ!まさかお風呂じゃないだろうな!!」

 

やばい……どうやって真実を隠そう……

って言うか、なんで殿町はピンポイントで正解を言い当てられるんだよ。

本格的に今の状況は不味いな……殿町の声を聴いて教室中の男子が俺に殺気のこもった視線を向けている。俺の答え次第では一斉に襲い掛かってくることになりそうだ。

俺は慎重に言葉を選ぶ……この一言が今後の俺の学校生活を決める一言になるんだからな。

そんな時だった……十香が教室に入って来たのは……

 

「シドー、弁当を家に忘れただろう。私が持って来てやったぞ!」

 

「あ……そうだったのか?悪いな……」

 

「五河士道……なんで貴様の忘れた弁当を十香ちゃんが持ってきているんだ?」

 

あ……

やばい、これ確実に終わった奴だ……なんかもう皆カッターやらハサミやらで武装を始めている。

こいつらは俺をどうする気なんだ。軽く命の危険を感じるんだが……

ともかく、これからの流れが予想できた俺はそーっと窓際まで移動して窓を開ける。

 

「む?私は家が出来るまで士道の家で厄介になっているのだが……言ってなかったか?毎日の弁当も士道が作ってくれているのだぞ」

 

「おい!!五河士道、貴様……」

 

「さらば!!」

 

俺は殺気のこもった声を背中から感じつつ、窓から外に飛び降りる……ここは三階だからこれで時間が稼げるはずだ。

窓からは「裏切者を処刑する!!」や「サーチ&デス!!」と恐ろしい言葉と共にバタバタと足音が聞こえてきた……この選択で正解だったみたいだ。

俺は校庭に着地するとそのまま職員室の方を目指す……流石に教師の前では俺を処刑なんてできないだろう。

 

「五河士道!!逃げ切れると思うなよ!!」

 

校舎の方から響いてくる殿町の声、俺はその声を聞き流しながら一つだけ理解できたことがあった。

どうやら此処は俺の安息の地ではなかったようだ。

本格的にプラネテューヌへの亡命を考えるかな……

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………以上で授業は終わりにします。皆さん次回の予習をやってきておいてくださいね」

 

教師はそういって困ったような顔をしながら教室を出て行った。

まあ無理もないだろう。教室に居る半数近くの生徒……正確には俺以外の男子生徒が気を失って机に突っ伏しているのだ。この光景を見て困惑しない人などいないだろう。

 

ちなみに誰がこの光景を作り上げたのかと言うと……勿論俺だ。

流石に教師の前や授業中は手を出してこなかったのだが、休み時間が来る度に襲撃される事となり。何度も逃げている内に学習をされてしまったのか、逃げ場を完全に失ってしまい、俺が最終手段として気絶させたのだ。

それにしても、素人の集団とは言えこの人数を後遺症を残さずに気絶させるのには骨が折れた。

でもそのおかげで、奴らに襲われる心配はなくなったが……

 

「シドー!昼餉だ!!」

 

そういって喜ぶのは十香……本当に食べるのが好きだよな……

そんな事を思っていると、俺の机が左右からドッキングされた。してきたのは勿論十香と折紙だ。

二人は一瞬だけ互いの事をむっと見合わせたが……直ぐに弁当の準備に取り掛かった。

神次元で行われたデートの時はリアルファイトに発展しかねなかった事を考えると凄まじい進歩と言えるだろう。

 

あの誘拐事件の後からは二人ともこんな感じだからな……ことわざで表せば雨降って地固まると言えばいいのかな。

あれからは互いの事を名前で呼び合ってるし……まあ、性格が噛み合わないためか小競り合いこそするものの、その程度だ。

むしろ、心の奥で互いの事を認めているから……って、そこまでは考えすぎかな?

何はともあれ、二人の関係が良くなったのは喜ばしい事だと思う。

 

「む?どうしたのだ、シドー。弁当を出さないのか?」

 

「悪い……ちょっと考え事をしていた……」

 

「そうなのか?……こら!?折紙、私のおかずを取るな!!」

 

「貴方だけ士道の弁当を食べるのはずるい。私にも半分渡すべき」

 

「それなら、せめて貴様のを半分よこさぬか!」

 

「わかった、交渉成立……」

 

別に普通の弁当だと思うんだけどな……そこまでして欲しい物なのか?

苦笑しながら自分の弁当を取り出そうとして……

 

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

 

警報が鳴った。

空間震警報……精霊がこちらの世界に現れる前兆が感知されたと言うことだ。

十香が封印されたのを最後にここ最近は空間震がなかったのだが……ようやく来たと言えばいいのだろうか。

 

「無茶はしないで……」

 

周りに聞こえないように折紙が耳元でそう呟くと、彼女は教室の外へ飛び出して行ってしまった。きっとASTの一員として精霊に対処しに行くのだろう。

彼女はラタトスクの黙認や精霊である十香の存在を認めてくれたものの、すべての精霊を認めてくれたわけではない。人を自ら襲うような精霊がいれば倒すと明言しているし、流石に俺もそこまで考えを改めろと言うことは出来なかった。

最も、十香みたいな精霊であれば、ラタトスクへの協力はやぶさかではないようだ。

って、俺もぼーっとしている場合じゃないな……こうなった際は校舎の玄関でフラクシナスが回収してくれる手筈になっている。

玄関に向かおうとして……十香が俺の服の裾を掴んでいるのに気がついた。

十香は俺を不安げに見つめている。

 

「その……シドーは精霊の説得のために空間震の中心地に向かうのだろう?」

 

「あ、ああ」

 

「その……大丈夫なのか?私も……」

 

「それはダメだ。理由は教えられただろ……」

 

「っ!?それは……」

 

十香が俺を心配してくれるのは嬉しい……でも今の十香では空間震の中心地に向かうなんて危険すぎる。

霊力を封印されてなお十香は超人的な身体能力を誇っている。普通の人間に比べれば凄いが、元々持っていた人知を凌駕した力とは比べ物にならないくらい弱体化してる。今の状態ではASTにすら勝てないだろう。

それに複数人で行くと向けられる好感度が分散すると琴里に注意を受けている……

まあ、最後については状況次第で破るつもりだが、とにかく今の十香が空間震の現場に行くのは危険すぎると言うことだ。

 

「いざって時にはネプテューヌやプルルートも居るからさ……そんなに心配しないでくれ」

 

「それは分かっているのだ……だが……その、私が役立たずみたいで……」

 

「誰もそんな事を思ってないから大丈夫だって……それじゃあ、俺は行ってくるからシェルターに居るんだぞ」

 

「ああ……シドーも怪我をしないようにな」

 

わかった……そう短く十香に返した俺は、そっと教室を出て玄関に向かうことにした。

その途中で令音さんと合流して、二人一緒にフラクシナスに回収される事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、ようやく来たんだね。待ちくたびれちゃうところだったよ」

 

「士道君、いらっしゃい~」

 

「いらっしゃいって、此処はプルルートの家じゃないと思うんだが」

 

俺がプルルートに突っ込みつつ辺りを見渡すとフラクシナスのクルー達はコンソールをいじっている……空間震を捉えようとしているのだろう。

それは別にいいって言うか当たり前の事なんだろうが……非常に気になるのは目を輝かせているネプギアの存在だ。

彼女はコンソールやらモニターやら様々な箇所を興味深く見つめている……分解してもいいかなんて言い出さなかったよな……若干だけど不安だ。

ってよく見ると、艦長席に座った琴里が俺を手招きしている。何かあったのか?

取りあえず琴里の方へ行ってみる。

 

「士道……彼女は一体どうしたのよ?フラクシナスの中に入ったら歓声を上げるし、分解してみてもいいですかなんて事を言い出したのよ」

 

「ああ、ネプギアは言ってしまったのか……」

 

「ごめんね。真面目で普通が取り柄のネプギアの数少ない個性だから、お姉ちゃん的には、大目に見てもらえると嬉しいんだけどなー」

 

「大目に見るって言ったって限界ってものがあるのよ。私が断らなければ彼女、本当に分解していたわよ」

 

ごめんネプギア……俺にはネプギアはそんな事をしないってフォローをする事が出来ない。

目を輝かせてフラクシナスを分解するネプギアの姿が目に浮かんでしまった……ネプテューヌも俺と同じ事を思い浮かべたのか苦笑している。

と言うか……

 

「なんで、ネプギアまでいるんだ?一旦帰ったりしなかったのか?」

 

「んっとね。最初は直ぐに帰ろうと思ってたんだよ。でもこっちに来るのってわたしとぷるるんだけで、ネプギアは殆どこっちに来てないでしょ。だから軽く観光みたいな事をしてからプラネテューヌに帰ろうかなって思ってたんだ」

 

「観光っていったって天宮市にそんな所があるのか?」

 

「大丈夫だよ~。女神化すればぁ、国内くらいだったらひとっ飛びでいけるよぉ~」

 

「琴里っ!今すぐ人一人を透明化できる顕現装置を作製してくれ!!」

 

「善処しておくわ……」

 

出来るだけ早めに頼む……

前回の件でネプテューヌは精霊の一人として数えられているみたいだし、そうでなくても人が宙を飛ぶ姿を目撃されるのは非常にまずい。

夕方のニュース番組とかで「不思議!!宙を舞う少女達」なんて内容が流された日には、俺はストレスで倒れてしまいそうだ。

たぶんその前に国の方で情報統制をしてくれると思うが、万が一と言うこともある。出来るだけ打てる手は打っておきたい。本人達に直接言ってもネプギア以外は無駄だろうしな……

 

「って、そんな事をしている内に空間震が起こりそうになっているわよ。メインモニターに出現予測地点の画像を映して頂戴」

 

琴里がそう指示を出すと、正面にある巨大モニターの画像が切り替わり街中の様子が映される。

人が誰一人としていない、その一点を除けばどこにでもある至って普通の街並みがそこには映されいる。そしてその街並みは突如として歪んだ……比喩とかではなく、空間そのものが歪み始めたのだ。

その歪みは徐々に大きくなっていき……突如として爆発が起こった。

 

画面はしばらくの間真っ白となり……それが終わった時に映ったのはすり鉢状に切り取られた街中だった。

これが空間震……今まで何度か見てきたがここまではっきりと見たのは初めてだな。

十香と最初にあった際や、ファミレスの傍で起きた際のは近くにはいたが、よく見てなかったからな。

 

「驚いた?でも今回のは小規模なんだけどね」

 

「うわ~、これで小規模って、大きいのだとどれくらい吹き飛ばしちゃうの?下手すると街一つくらい消し飛ばしちゃうんじゃないかな?」

 

「お姉ちゃん、それは流石に言い過ぎだと思うよ」

 

「あら、貴方たちは士道から説明されてなかったの?空間震は大きいものになると街一つくらい簡単に吹き飛ばすわよ。この街だって空間震の跡に建てられたのよ」

 

「ふぇ~、それじゃあ、この街のおっきなクレーターって、空間震のせいだったの~。士道君が、説明してくれなかったからぁ、あたしてっきり隕石が落ちた跡だと思ってたよぉ~」

 

「説明する機会がなかったんだからしょうがないだろ。それに琴里の言うような規模はここ二十年くらいは起こってなかったんだよ」

 

「士道が私達に説明してくれなかった件は置いておく事にするけど、十香って凄い力を持ってたんだね。いや~、神次元での冒険でその凄さは何度も見てきたけど、改めて認識させられた気分だよ。でも、それを封印できる士道って何者なのかな?凄く気になってきたよ」

 

「たしか、ラタトスクの方でも調査中なんでしたよね」

 

「ええ、その通りよ。分かったのは士道がそういった力を持っているって事だけ……って、こんな事を悠長に話している場合じゃなかったわね。モニターの画像を精霊が見れるように拡大して頂戴。早くしないとASTが殺しにやってくるわよ」

 

って琴里の言う通りだ。こんな所で無駄話してる時間はなかった。

モニターに映る画像を見れば徐々にクレーターの中心へとズームしていく。それと共に空間震のせいで舞い上がった砂埃などが消えていき、中心にある人影が徐々にはっきりしていく。

そしてクレーターの中心に立った精霊の姿を見て……

 

「っ!?」

 

俺は思わず息をのんでしまった。

別にその精霊が美しかったからではない……見覚えがあったのだ。

ウサギの耳のような飾りつけられたフードがある緑色の外套、海のような色をした髪、そして何より右手につけられたウサギの人形……四糸乃だ。

昨日、俺が家で腕に着けた人形を直してあげた少女で間違いない。

 

「四糸乃なのか……」

 

気づけば俺は思わず彼女の名前を口に出していた。

そして自分が口に出したことに気づいた時には、俺は周りからの視線を一身に浴びていた。

目の前に映る精霊の名前を口にしたのだからしょうがないのかもしれないが……笑顔でこめかみの辺りをピクピクとさせている琴里がガチで怖い。

 

「士道……今、目の前の精霊の名前っぽいのを口に出してたけど……この精霊とも知り合いだって言うんじゃないわよね。また異世界で会ったけど内緒にしていました……とかだったらぶっ飛ばすわよ」

 

なぜだろう……今、琴里が言ったぶっ飛ばすは冗談に聞こえなかった。

そう答えた瞬間にぶっ飛ばされる気がしてならない……なんか後ろの方には炎みたいなのが見えてきてるし。

ぶっ飛ばされちゃたまらないので正直に答えることにしよう。

 

「異世界とかは関係なくて、昨日帰り道であったんだよ。それで手に付けている人形が壊れたみたいだから、家に連れ込んで修理したんだ」

 

「家に連れ込んだですって……もしかして私が昨日家で気を失っていた時のこと?なんでもっと早く言わなかったのよ」

 

「仕方ないだろ、あの時は精霊だって思わなかったんだよ」

 

今になって思えば転んだのに人形以外に怪我はなかったり、雨に濡れていたはずの服が直ぐに乾いたり、家に関しては頑なに沈黙を守ったりと、彼女が精霊だと思わせるような言動はいくつかあった。

と言っても、さすがに帰り道で精霊と会うなんて考えもしていなかった。

 

「うん~、こうやって正式な出会いの前にフラグを立てていくのは、さすがギャルゲーの主人公というかー。取りあえずネプギアは純粋なんだから、士道に落とされないように気をつけようね」

 

「へ?お姉ちゃんが何を言ってるか良く分からないけど……士道さんは悪い人じゃないから変な事はしないと思うよ」

 

「そのネプギアの純粋さが、将来的に悪い男に騙されるんじゃないかって、お姉ちゃん的には心配だよ」

 

「誰が悪い男だ」

 

人を悪い男扱いしたネプテューヌの事は軽く小突いておく。

って言うかギャルゲーのネタは何時まで引っ張るつもりなんだよ。確かに状況的にはギャルゲーにありそうって言うか、朗読プレイをしたギャルゲーの中に似たようなのがあったけどさ。

流石に精霊の命や自分の命が掛かってるんだ。ゲームの感覚で出来るわけがない……と言っても下手に考えすぎると逆効果なのは十香の時に証明されてしまったんだけどな。

 

「士道がギャルゲーの主人公なのかは置いておくとして……士道は彼女をどうしたいの?早くしないとASTの本格的な攻撃が始まっちゃうわよ」

 

そういって俺に得意げに笑う琴里……

こいつ、俺がなんて言うのか分かって笑ってるな……でも、その通りだよ。俺は四糸乃を助けたい。

俺の知っている四糸乃と言う精霊は非常に人見知りなところがあったり、二重人格の片方を人形を通して出したりするちょっと変わった少女かもしれない。でも同時に人を思いやれる優しさを持った少女だった……その存在を否定されるような事があっていいわけがない。

 

「皆……俺は四糸乃を助けたい。だから俺に力を貸してくれ」

 

「それでこそ私のおにーちゃんよ。さあ総員準備しなさい。私達の戦争を始めるわよ」

 


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