共同作戦の夜。
シノノメテラスのカフェテリアで、作戦に参加した隊の、
合同打ち上げが、行われている。
アズマは、いつものメンバーと飲んでいた。
スグリが、カウンターに用意された料理から、数種類を選び、
テーブルに運んできた。
ダイゴが、置く前からハシを皿に伸ばした。
「サンキュー!スグリ!……うっめー!」
「どんどん食べてくださいねー!
私は、もう一回取ってきますね!」
スグリは、また料理を取りにカウンターに行った。
クメが、カシスソーダを飲みながら、
スグリを目で追う。
「スグリさん…なんか機嫌いいですね…」
ダイゴが、ローストビーフを丸呑みしながら、答える。
「そりゃそうだろ。
アズマ隊が一番成果を上げたんだからな。
上官にも褒められたらしいぞ……アズマ…マスタード取ってくれ…」
アズマがマスタードを渡しながら、
「……今回は、二人とも、ちゃんと結果を残してくれたからだよ。
それが、何より嬉しそうだったぞ?」
クメは、スプーンを揺らして、曲がってるように見せながら、
「ふ〜ん…スグリさんも、ずっとあんな顔をしてれば可愛いのに、
すぐまたいつもの、女教師モードに入るんでしょうね…」
ダイゴが、チキンの照り焼きを丸呑みして、答える。
「誰かが、本人にそう言ってやれば、少しはおしとやかに、
なるんじゃないのか?……アズマ…七味くれ…」
アズマは、七味を取りながら、
「でも、あの厳しいスグリがいいって言ってる隊員も多いだろ?」
クメがストローの袋に水をたらして、動かしながら、
「アズマさん……それは、そういう趣味の人達ですよ〜。
僕達にまで、それをやられちゃたまんないですって。
僕は、もっと儚そうなタイプの娘がいいなぁ…
例えば、ミツイさんのところの……」
ダイゴがトンカツを丸呑みしながら、答える。
「ああ、葵副長だろ?…なんせ女からも、人気がある位だからな。
ああいう女を連れて歩いたら、こっちまでカッコ良くなった気に、なれるからな!
……アズマ…ケチャップとマヨネーズを取ってくれ…」
アズマがダイゴに渡しながら、
「葵も綺麗だって言われてるけど、隊員には、なかなか厳しいぜ?
しっかりしてるって所は、スグリと同じだし。
メガネをかけてるか、かけてないかの違いじゃないかな?」
クメが、おしぼりでウサギを作りながら、答える。
「二人とも、僕の話聞いてます?
スグリさんも、葵副長も、羅刹モードに入る人でしょ?
僕は甘いタイプがいいんですよ。
僕がいいたかったのは、七葉さんの事です」
ダイゴが、ソーセージを丸呑みしながら、
「七葉さんかぁ。
確かにな、あの子はほんわかしてるくせに、色っぽい体してるもんな。
なんか、結婚するなら、ああいう守ってあげたいタイプがいいよな。
いつまでも、新妻でいてくれそうでよぉ。
……アズマ…柚子胡椒を取ってくれ…」
アズマは、柚子胡椒を渡しながら、黙っている。
スグリが来ないのか、アズマが振り向くと、
スグリは、カウンターで上官につかまっている。
「…」
クメが紙ナプキンで、バレリーナを作りながら、
「あれ?…アズマさんどうしました…黙っちゃって。
そういえば…アズマさんは、七葉さんと仲良いですよね。
付き合ってる人とか、いたりするんですか?
どんなタイプが好きとか、聞いた事ないんですか?」
ダイゴが、お好み焼きを丸呑みしながら、答える。
「クメ…わかってねぇな…お前は。
七葉さんのお相手は、あのミツイだろ?
よくミツイの方から、七葉さんを誘ってメシとか食ってるじゃないか。
お姉様キラーのクメが狙っても、七葉さんタイプの自己主張しない子は、
ミツイみたいな、万能タイプに持ってかれると思うぞ?
……アズマ……どろソースを取ってくれ…」
アズマは、どろソースを渡しながら、
「七葉も…ああ見えて、結構しかりしてるんだ…
お姉さんぶりたいって言うか…
だから、多分ミツイとは…合わないんじゃないか?」
クメが、つまようじをまつげに乗せながら、
「お姉さんぶりたいなら、
やっぱり僕に合ってるじゃないですか。
七葉さん、一緒に食事とか行ってくれないかなぁ?」
「おまたせー!
何の話をしてるんですか?
私も入れてくださいよ」
スグリが料理を持って戻ってきた。
皿には、10品ほど盛っている。
ダイゴが、それを見てアズマに言う。
「……アズマ……もう席を変わってくれ…」