スステイゴールド本拠地のビル内。
エレベーターを呼ぶボタンを押すが、反応はない為、
仕方なく急いで階段に向かうサラス。
「…どうなってるんだ?
…一体なにが起こったんだ?」
サラスは、走りながら混乱している、今の状況を整理してみた。
・昨夜、ロデオソウルズの副団長片桐から、団の運営方針の違いで、
ロデオソウルズが、分裂した事を聞かされた。
八雲団長と数名の隊長は、出て行き、団員も数十名を残して、出て行く予定となった。
しかし、片桐とニーナは、ステイゴールドをこれまでと同様に支援すると約束してくれた。
・朝起きると、サラス宛てに自室にメモがあり、「朝10時に一人で団長室へ」…その通りに行動。
・団長室に行くと、副長のイオナがいて、同じようなメモを受け取っていた。
そして、部屋には謎かけのようなメモがいくつも用意されていた。
・それを二人で時間をかけて解き、その意味をつなげていくと、
どうやらメイジ団長は、恋人のタニアに殺されたと判明。
・団長室を出ようとするが、いつのまにか閉じ込められていた。
・なんとか脱出する事が出来たが、出て見るとビル内にいた団員のほとんどが負傷し、
数人は死亡していた。
・理由を聞くと、ロデオソウルが敵に寝返ったと報告された。
・建物の入り口は、数十名のロデオソウル団員に封鎖され、出入り不可。
そして今、上階にある幹部達の部屋へ、急いで向かっていた。
イオナが、頭の中の混乱を収めたくて、サラスに尋ねる。
「隊長…一体…何が起きたんですか?」
「わからない…」
「本当に、ロデオソウルズが寝返ったんでしょうか?」
「そんな事…考えたくはないが…負傷した部下達が、
俺に嘘をつくとも思えない…」
「どうして!?昨日、助けてくれると約束したのに…」
「……」
イオナの問いには、何も答える事が出来ないサラスだったが、
とにかく、今ステイゴールドが危険な事だけはわかっている。
1秒でも早く、他の幹部達と会って、事態の収束を計るしかなかった。
上階に着き、部屋が並ぶ廊下に出ると、一人の幹部が倒れている。
三番隊副長のドイタンだった。
駆け寄ったが、胸には大きな穴が開いており、すでに息はない。
他の部屋を見ると、三番隊隊長ウィルズは自室で、頭と身体が切り離されていた。
二番隊副長のムルザも自室で身体を二つに切られ、死んでいた。
残るは、一番隊の隊長マークスと、副長の小早川だけだ。
サラスは、起きている事態に恐々としながら、ゆっくりと廊下に戻ると、
副長の小早川が自室のドアを突き破り、廊下に飛ばされてきた。
「…こ…小早川さん!?」
サラスは駆け寄ろうとしたが、その前に小早川の部屋の中から、小早川の武器であるはずの斧が飛んできて、
小早川の頭を割る。
サラスは、よろよろと歩み寄ったが、やはり息絶えてしまった。
その部屋から出てきたのは、ニーナだった。
サラスは、身を震わせながら、つぶやいた。
「……アンタ……な…何を…?」
ニーナは、何も言わずサラスを見下ろす。
「…皆んな…アンタがやったのか…?」
「…」
「どうして…?……俺達を…助けてくれるはずじゃ……」
「………団長が決めた事だ」
サラスは、ニーナから昨日と同じ言葉を聞いた。