いくつものビルが立ち並んでいる。
片桐から命じられたカイトは、この場所を訪れていた。
カイト隊のユウやタイジ、コータローら8人の隊員だけをつれて、あるビルを目指している。
片桐からは、目立つ事は禁止で、やり過ぎ注意の指示が出ていた為、
ブラッドベリーの幹部でも、あまり目立たない者を選んで、
倒す事にした。
ステイゴールドの幹部に聞くと、親切にも、
三番隊の副長、根津が調達に来ている場所を教えてくれた。
カイトの手元には、手書きのメモがある。
情報をくれた一番隊隊長マークスがくれたものだ。
目的地に近づき、ターゲットの潜む建物を影からこっそりのぞくと、
周辺に三十名くらいの兵士が警戒しているのが見えた。
カイトはそれを確認すると、隊員を集めて、
小声で指示をだす。
「よし、根津はあの建物の中だ。
お前らは8人全員で、外にいる20人を相手しろ。
その隙に、俺が一人で中に入る」
いいな?」
カイト隊のユウが双眼鏡を見ながら、進言する。
「カイト、建物の中の…中庭みたいな所にも10人くらい見えるけど…」
「ああ、わかってる、それは俺がなんとかする。
メモによると、部下は30人前後とあるから、
これで、残るのはターゲットの根津だけだ。
いいか、絶対に外の敵を建物に入れるなよ?」
「了解」
カイトの合図の後、8人は一斉に飛び出した。
「敵襲だー!抜かるな!
相手は10人程度だ、皆殺しにしろ!」
戦闘が始まると、カイトは一人皆の死角から、建物に入った。
中にはエントランスがあり、それを抜けると中庭に出る。
階段がその先にあるようだ。
根津は上の階のどこかにいるんだろう。
中庭には数人が、待ち構えるようにして待機していた。
カイトは中庭への扉を開けた。
「入ってきたぞ、相手は一人だ!作戦通りに行け!」
10人ほどが一斉に動き、武器を掲げ、カイトを目掛け襲ってきた。
「…3…4…5……8人か…」
カイトは、向かってくる人数を把握し、槍を構える。
先頭の男が槍をカイトの突き出す。
カイトはそれより先に、男の喉に槍を突き刺した。
次の男が、飛び上がり斧を頭に叩きつけてくる。
カイトは、槍を下から一回転させ、空中で男を股から切り裂いた。
「にぃっ」
次は横から、刀で薙ぎ払われる。
その刀を、体を後ろに反らしてかわし、
槍の真ん中を持つと、頭の上で横に回転させ、男の頭を半分に切る。
「さん」
次に剣が左右から同時に襲ってきた。
槍ではもう刺せない程、近かった為、カイトは、自分の槍を上に大きく放り投げ、
左側の男の手を掴み、体を入れ替え、仲間の剣に突き刺させ、
血を吐いた男の剣を取りあげ、刺した男の首をはねた。
「ごぅっ」
次も二人同時に襲ってきて、一人は大楯をカイトに押し付け、動きを封じ、
もう一人が後ろから槍で突き刺してくる。
そして最後の一人は、少し離れた所で、弓を引き絞っている。
カイトは大楯の下部に足を押し当てて上部を掴み、体重を下にかけて、
大楯の兵士ごとひっくり返し、自分の後方に転がすと、
槍兵の死角になっている下側から首に剣を突き刺す。
崩れる男の槍を取り、ひっくり返っている男の首を刺し、
「ラスト!」
と叫んで、弓兵を目掛けて全身をバネのようにしならせて槍を放った。
槍は、男が矢を放つより先に顔を突き抜け、男は倒れながら、空に矢を放つこととなった。
カイトは、最後に回転しながら落ちてくる自分の投げた槍を受け取ると、
ターゲットがいるはずの、上に登って行った。